Core Ultra 7 255Hの性能比較&ベンチマーク検証を行っていく。Arrow Lake世代のハイパフォーマンスモデルで、Core Ultra 7 155Hの後継モデルだ。16コア16スレッドとCore Ultra 7 155Hの16コア22スレッドからスレッド数が減少したが、製造プロセスの微細化などでより高いパフォーマンスを期待できる。搭載モデルは「Core Ultra 7 255H搭載ゲーミングノートPC一覧」で紹介している。Core Ultra 7 255Hを搭載したゲーミングノートPCはそれほど多くない。ゲーミングノートPCの購入を考えているならCore Ultra 7 255HXやCore i7-13620Hなど他のCPUを検討するべきだろう。選択肢が多く理想のモデルを見つけやすいように思う。
| 価格帯 | 人気 | CPU | GPU |
|---|---|---|---|
| 25万円以上 | 9 275HX/9 9955HX/AI 7 350 | RTX5090/RTX5080/RTX5070TiM | |
| 20万円-25万円 | AI 7 350/7 260/7 255H | RTX5070M/RTX5060M | |
| 15万円-20万円 | AI 7 350/i7-14650HX | RTX5060M/RTX5050M | |
| 10万円-15万円 | i7-13620H/5 240 | RTX5050M/RTX3050M | |
| 5万円-10万円 | i7-11800H | RTX3050TiM |
Core Ultra 7 255H搭載モデルの価格帯は20万円以上だ。性能を考えるとやや高めだ。海外製メーカーが中心なのである程度は仕方がない。価格帯ごとに人気のモデルをピックアップしているのでぜひ確認していただければと思う。
Core Ultra 7 255Hの概要
| コードネーム | Arrow Lake |
|---|---|
| 製造プロセス | 3nm |
| コア/スレッド数 | 16コア(6P+8E+2LE) / 16スレッド |
| コア定格/最大クロック(Pコア) | 2.0 GHz / 5.1 GHz |
| コア定格/最大クロック(Eコア) | 1.5 GHz / 4.4 GHz |
| コア定格/最大クロック(LP-Eコア) | 0.7 GHz / 2.5 GHz |
| L2キャッシュ | 6MB |
| L3キャッシュ | 24MB |
| 内蔵GPU | Intel Arc 140T |
| PBP | 28W |
| MTP | 115W |
| 発売日 | 2025年01月06日 |
| 価格 | $385 |
| 特徴 (長所・短所) |
(+) 16コア16スレッドの高スペックモデル (+) i7-13700Hからしっかりと進化を遂げる (+) 内蔵GPUの性能が高め (-) ハイエンドのHXシリーズと比べると性能はワンランク落ちる (-) ゲーミングノートのラインナップは限定的 |
| 評価 |
・総合評価 7.0 ・ゲーム評価 7.0 |
Core Ultra 7 255Hの基本スペック
| Core Ultra 7 255H | Core Ultra 9 285H | Core Ultra 7 155H | |
|---|---|---|---|
| コードネーム | Arrow Lake | Arrow Lake | Meteor Lake |
| チップ設計 | チップレット | チップレット | チップレット |
| 製造プロセス | 3nm | 3nm | 7nm |
| SoCタイル | 6nm | 6nm | 6nm |
| I/Oタイル | 6nm | 6nm | 6nm |
| グラフィックスタイル | 5nm | 5nm | 5nm |
| コア(スレッド) | 16コア(6P+8E+2LP-E)/16スレッド | 16コア(6P+8E+2LP-E)/16スレッド | 16コア(6P+8E+2LP-E)/22スレッド |
| 定格クロック(P) | 2.0GHz | 2.9GHz | 1.4GHz |
| 最大クロック(P) | 5.1GHz | 5.4GHz | 4.8GHz |
| 定格クロック(E) | 1.5GHz | 2.7GHz | 0.9GHz |
| 最大クロック(E) | 4.4GHz | 4.5GHz | 3.8GHz |
| 定格クロック(LP-E) | 0.7GHz | 1.0GHz | 0.7GHz |
| 最大クロック(LP-E) | 2.5GHz | 2.5GHz | 2.5GHz |
| オーバークロック | 非対応 | 非対応 | 非対応 |
| L2キャッシュ | 非公開 | 非公開 | 非公開 |
| L3キャッシュ | 24MB | 24MB | 24MB |
| 対応メモリ | DDR5-6400 LPDDR5x-8400 |
DDR5-6400 LPDDR5x-8400 |
DDR5-5600 LPDDR5x-7467 |
| 内蔵グラフィックス | Intel Arc 140T | Intel Arc 140T | Intel Arc Graphics |
| 実行ユニット | 8 | 8 | 8 |
| グラフィックス周波数 | 2.25GHz | 2.35GHz | 2.25GHz |
| NPU | 13TOPS | 13TOPS | 11TOPS |
| 合計Peak TOPS (CPU+GPU+NPU) |
96TOPS | 99TOPS | 33TOPS |
| PBP | 28W | 45W | 28W |
| MTP | 115W | 115W | 115W |
| 搭載モデル価格 | 259,800円(RTX 5050M) | 339,800円(RTX 5070M) | – |
| 発売日 | 2025/01/06 | 2025/01/06 | 2023/12/14 |
Core Ultra 7 255HはArrow Lake世代の高性能モデルとなる。前世代のCore Ultra 7 155Hと同じチップレット設計だ。CPUにおいて重要なコンピュートタイルの製造プロセスが7nmから3nmへと微細化されている。SoCタイル・I/Oタイル・グラフィックスタイルなどは6nm・5nmと従来モデルから変更は加えられていない。コア・スレッドの構成は大きく変わっている。16コア22スレッドから16コア16スレッドとスレッド数が減少している。これはPコアのハイパースレッディングが廃止されたことによるものだ。なお、PコアはRedwood VoceからLion Coveへと進化している。
クロック周波数も高くなっている。Pコアの定格クロックが0.6GHz高く、最大クロックも0.3GHz高い。Eコアも定格クロックが0.6GHz高く、最大クロックも0.6GHz高い。LP-Eコアについては同じクロック周波数が維持されている。製造プロセスの微細化によってここまでのクロック周波数の引き上げが実現したのだろう。Core Ultra 7 255Hは前世代のCore Ultra 7 155Hと同様にオーバークロックには非対応だ。L3キャッシュ容量は24MBとなる。
対応メモリはDDR5-5600/LPDDR5x-7467からDDR5-6400/LPDDR5x-8400へとより高クロックなモデルがサポートされている。内蔵グラフィックスもIntel Arc 140Tへと強化された。実行ユニットは8基で、グラフィックス周波数は2.25GHzと変わっていない。それでもNPUは11TOPSから13TOPSへと引き上げられて、合計Peak TOPSは33TOPSから96TOPSと大幅に高くなっている。PBPは28Wで、MTPは115Wと共通だ。
上位のCore Ultra 9 285Hとの違いはクロック周波数・内蔵グラフィックスのグラフィックス周波数、そしてPBPの3つだけだ。コア・スレッドは16コア16スレッドと同じだ。Core Ultra 7 255Hと比べてPコアの定格クロックは0.9GHz高く、最大クロックは0.3GHz高い。Eコアも定格クロックが1.2GHz高く、最大クロックも0.1GHz高くなっている。当然PBPも上がり45Wとなる。性能面でも期待ができる。より高い性能を求めるならCore Ultra 9 285Hがよいだろう。

Meteor Lake世代以降高性能コア(Pコア)・効率コア(Eコア)・低電力コア(LP-Eコア)と3つのコアを搭載している。それぞれ役割が異なり用途に応じて自動的に最適化される。ゲームプレイにおいては高性能コアが重要な役割を果たす。クリエイティブ作業やビジネス用途などでは効率コアや低電力コアが活躍する。消費電力の高い高性能コアの稼働を落とすことで消費電力を抑えるのだ。CPUはしっかりと進化していることがわかる。
Core Ultra 7 255H搭載ゲーミングノートPCの性能と特徴
モバイル向けメインストリームにおけるハイクラスモデル

Core Ultra 7 255Hの性能スコアは24,919ptだ。従来モデルのCore Ultra 7 155Hと比べて20%弱もパフォーマンスが向上している。PBP 28Wという枠組みの中ではトップクラスの性能を誇る。PBPが55WのCore i7-13650HXに匹敵するパフォーマンスは圧巻だ。アーキテクチャが進化したことの証明だ。競合モデルであるRyzen AI 7 350よりも15%程度高く、Ryzen AI 9 365と同等となる。
ハイエンドのCore Ultra 7 255HXとの性能差は20%以上だ。20コア20スレッドと性能が高くPBPも55Wと高めに設定されていることを考えれば妥当だろう。現行モデルになればハイエンドモデルの性能の底上げされる。Core Ultra 7 255Hのゲーム性能は標準よりも高くGeForce RTX 5060 MobileやGeForce RTX 5050 Mobileとの組み合わせがよい。それ以上のモデルになるとボトルネックが発生する可能性がある。
内蔵グラフィックスにIntel Arc 140Tを搭載している

Core Ultra 7 255Hは内蔵グラフィックスにIntel Arc 140Tを搭載しているのがポイントだ。内蔵グラフィックスとしてはまずまずの性能を持っている。従来モデルのCore Ultra 7 155H搭載のIntel Arcよりも3%弱性能が高い。2世代前のCore i7-13620H搭載のIntel Iris Xeグラフィックスと比べると2倍近い伸びを見せている。GeForce MX 550よりも30%以上高く、GeForce GTX 1650 Mobileに匹敵するほどだ。もっともゲームをプレイするにはやや苦しい。解像度を下げてなんとかフレームレートを稼げるぐらいだ。

Fire Strikeのスコアは8,771となる。GeForce GTX 1650 Mobileに近い処理性能は評価に値する。ライトゲーマーならゲーム目的で候補に入れてもよいかもしれないが、過度な期待は禁物だ。外付けのグラフィックボードと比べるとTDPの制約もあり思ったほどのパフォーマンスが出ないこともある。
ゲーミングノートのラインナップは少なめ
Core Ultra 7 255Hを搭載したゲーミングノートPCのラインナップはかなり少ない。市場を調べた限り「Core Ultra 7 255H搭載ゲーミングノートPC一覧」で紹介している3機種しかない。取り扱いがあるのはHPとASUSのみだ。ドスパラやマウスコンピューターなど国内BTOメーカーでは販売されていない。おそらく最近のゲーム市場でのスペックのインフレが影響しているのではないかと考えている。
つまり、ハイパフォーマンスであるHシリーズよりもハイエンドモデルであるHXシリーズが選ばれるようになっているのだ。実際Core Ultra 7 255HX搭載モデルは豊富だ。数年前までは考えられなかった状況だ。HシリーズとHXシリーズの立場が逆転している。グラフィックボードの性能も上がりそれに合わせてCPU性能も求められる。
Core Ultra 7 255Hのベンチマーク一覧
Cinebench 2024


Core Ultra 7 255Hのマルチコアは840でシングルコアは123だ。従来モデルのCore Ultra 7 155Hと比べるとマルチコアが2%弱高く、シングルコアが20%弱高い。特にシングルコアの伸びが大きいことがわかる。Core i7-13700Hと比べてもシングルコアが大きく工場している。Core i7-13620Hと比べるとマルチコアが5%高く、シングルコアも20%高い。競合のRyzen AI 7 350と比べるとマルチコアが5%弱低いが、シングルコアは6%高くなっている。
Cinebench R23


Cinebench R23でのマルチコアは16,006ptで、シングルコアは2,011ptとなる。従来モデルのCore Ultra 7 155Hと比べるとマルチコアが3%弱高く、シングルコアも12%弱高い。やはりシングルコアの伸びが素晴らしい。競合のRyzen AI 7 350と比べるとマルチコアは2%程度低いが、シングルコアは2%程度高くなっている。上位のCore Ultra 9 285Hになるとマルチコアが14%弱高く、シングルコアもわずかに高い。コアとスレッド数が変わらないのでこれぐらいが妥当だと思う。あとはメーカー側の排熱性能などによってパフォーマンスは前後する。デスクトップ向けモデルと比べてシステムの差が顕著に現れる。
Blender


Blenderのスコアは220.50だ。Core Ultra 9 185Hと同等のスコアだ。競合のRyzen AI 7 350と比べると7%程度低くなっている。Ryzen AI 7/Ryzen 7シリーズが少し上に位置しているが、スコア的には同等と考えてよさそうだ。Core Ultra 7 155Hと比べると45%もスコアが向上している。ハイブリッドコアアーキテクチャとの相性がそれほどよくなく、それが少し改善された形といえそうだ。
Handbrake


動画のエンコードにかかる時間を計測している。数値が少ない方が処理が速いことを意味する。前世代の上位モデルであるCore Ultra 9 185Hと同等以上のパフォーマンスを発揮している。Core Ultra 7 155Hと比べるとH.265で24秒速く、H.264でも22秒速くなっている。Ryzen AI 7 350との性能差は大きく適正が高いことがわかる。
7-Zip


Zipファイルの展開及び圧縮速度を計測している。Core Ultra 7 155Hと比べると展開速度が3%速く、圧縮速度もわずかに(1%未満)速くなっている。Ryzen AI 7 350と比べると展開速度が45%速く、圧縮速度も50%弱速くなっている。ハイエンドのCore Ultra 7 255HXになると展開速度が19%速く、圧縮速度も12%速い。
Adobe Photoshop


PugetBenchを活用してPhotoshopのベンチマークを計測している。Core Ultra 7 255Hのスコアは6,982となる。Core Ultra 7 155Hよりも4%程度高いだけに留まる。Core Ultra 7 255HXとのスコア差は17%となる。Ryzenシリーズが上位を占めていることからもわかるとおりAMD製CPUと相性のよいアプリケーションだといえる。
Core Ultra 7 255H搭載ゲーミングノートPC一覧
OMEN Transcend 14 パフォーマンスモデルG2 (HP)
価格:355,300円 259,800円(送料込)
液晶:14.0インチ2.8K 120Hz
CPU:Core Ultra 7 255H
GPU:GeForce RTX 5050 Mobile
メモリ:LPDDR5x-7467 16GB
SSD:1TB Gen4 NVMe
電源:140W ACアダプター
コスパ:調査中
HPから搭載モデルが販売されている。14.0インチ2.8K(2880×1880)と高解像度ディスプレイを搭載している。120Hz対応でゲームプレイに最適だ。本体重量は約1.63kgと軽く持ち運びもしやすい。GPUにはエントリーモデルであるGeForce RTX 5050 Mobile搭載だ。Core Ultra 7 255Hとのバランスもよい。メモリLPDDR5x-7467 16GBと省電力性を重視している。ストレージはSSD 1TB Gen4 NVMeだ。電源は140W ACアダプター付属となる。
OMEN Transcend 14 パフォーマンスプラスモデルG2 (HP)
価格:421,300円 289,900円(送料込)
液晶:14.0インチ2.8K 120Hz
CPU:Core Ultra 7 255H
GPU:GeForce RTX 5060 Mobile
メモリ:LPDDR5x-7467 32GB
SSD:1TB Gen4 NVMe
電源:140W ACアダプター
コスパ:調査中
上記で紹介したパフォーマンスモデルG2のグラフィックボードと構成を強化したモデルだ。Blackwell世代のミドルクラスモデルで高いゲーム性能を持つ。2.8Kモニターを100%活かすのは難しいが、GeForce RTX 5050 Mobileよりは余裕が生まれる。構成もメモリLPDDR5x-7467 32GBと大容量だ。クリエイティブ作業にも適している。ストレージはSSD 1TB Gen4 NVMeだ。電源は140W ACアダプター付属だ。容量は控えめでパフォーマンスよりも省電力性やポータブル性を重視していることがわかる。
ROG Zephyrus G16 GU605CM (ASUS)
価格:339,800円+送料770円
液晶:16.0インチWQXGA 240Hz
CPU:Core Ultra 7 255H
GPU:GeForce RTX 5060 Mobile
メモリ:LPDDR5x-7467 32GB
SSD:1TB Gen4 NVMe
電源:200W ACアダプター
コスパ:調査中
16.0インチWQXGAディスプレイ搭載のゲーミングノートPCだ。白色の筐体がオシャレだ。240Hz対応でシューティングゲームにも適している。GPUにはBlackwell世代のミドルクラスであるGeForce RTX 5060 Mobileを搭載している。メモリは省電力性重視のLPDDR5x-7467 32GBだ。ストレージはSSD 1TB Gen4 NVMeとなる。電源は200W ACアダプター付属だ。バランスの取れたモデルだといえる。









