
2025年10月以降PCメモリの価格が高騰中だ。普段からPCの自作をしていてメモリ価格の相場を把握している方だと、ここ数週間でどれだけ価格が上がっているのかを把握しているだろう。じわじわとゲーミングPCの価格も上がっていて気になる方も多いはずだ。どうしてメモリ価格が高騰しているのか、いつ終息するのかといったことを解説していく。
BTOメーカー(及びパーツショップ)の生の声
以下のBTOメーカーの声を見て欲しい。やはり価格高騰は避けられなさそうだ。メモリだけに留まらずSSDやグラフィックボードの値上げが起こり得る。
おはようございます☀️
PCパーツ・周辺機器類の販売 再開いたしました‼️
PC本体も好評販売中です!現在のところ
「SURUGA 5000CX」「SURUGA 7000C」が人気です😄
パーツ類の高騰で値上げになってしまう可能性が高い為、お早めにご利用ください🐱— 【公式】駿河屋オリジナルゲーミングPC「SURUGA」情報 (@surugaya_pc) November 22, 2025
本当にブラックフライデーセールがラストチャンスだと思います。
少し前からメモリの値上がりが始まっているので、少しずつお気づきかと思うんですが、今後各パーツをはじめとしてゲーミングPCやそれ以外も値上がりすると思います。https://t.co/9UTYgUkWgv
今ある情報ですとメモリの次は…— ソフマップゲーミング (@sofmap_gaming) November 21, 2025
PCメモリ価格はどのぐらい高騰しているのか?
価格.comやパーツショップを見ればかなり高騰していることがわかるだろう。Samsungはメモリ価格を9月比で最大60%引き上げたい(Reuters, 2025)という方針を示している。これからも値上げが続くことを示唆している。
Crucial製CP2K16G56C46U5(DDR5-5600 16GB×2枚組)の価格は長らく平均価格15,000円前後で推移していた。2025年11月末時点で平均価格は50,000円を超えている。3倍以上というのは驚きだ。10が後半以降一気に上昇していることがわかる。
DDR4メモリも例外ではない。ADATA製AX4U320016G16A-DW50(DDR4-3200 16GB×2枚組)の価格も20,000円前後から28,000円前後まで上がっている。こちらは11月中旬になって価格が上昇している。
PCメモリの価格が高騰している主要因
AIデータセンター向けメモリ需要の増大
メモリ高騰の一番の要因はAIデータセンター向けのメモリ需要が増大しているからだ。AIデータセンター向けメモリは、一般消費者向けのDDRメモリより高性能なHBMメモリ(High Bandwidth Memory)となる。つまり、生産ラインが高採算なAI用HBMメモリへ傾倒したことで、一般消費者向けのメモリが供給不足に陥っている状況となる。メーカーからするとより利益を得られるAIデータセンター向けメモリに力を入れるのは当然だ。
世代交代によるDDR4の生産量減少
DDR5メモリへの世代交代が進み各メーカーがDDR4メモリの生産を終了すると発表した。この時点でメモリを必要とするメーカーが安価なDDR4メモリを求めて大量に買い付けた結果、DDR4メモリの供給不足になり価格が高騰している。一時はDDR5メモリを上回るほど高値で販売されていた。もしかしたら今の情勢を考えてメーカーも生産を再開する可能性がある。そうなれば価格は落ち着く方向に向かうだろう。
PCメモリの価格が高騰している副要因
長く続く円安

出典:(Yahoo!ファイナンス, 2025)
海外生産となるメモリの価格について、円安が与える影響は無視できない。2025年4月以降円安が続き今は1$=155円前後で推移している。円安が進めば円の価値が下がり、海外製品を手に入れるにはより多くの円が必要となる。メモリ価格高騰の一因となっていることは間違いないだろう。
パソコンの必要メモリ容量が増加
パソコンの必要メモリが増えたことも副要因として考えられそうだ。数年前まではゲーミングPCでも8GBでも十分だった。それが16GBが最低基準となりBTOパソコンでも8GB搭載モデルはほとんど見かけなくなった。それが今では16GBでも足りず32GB以上を必要とするユーザーが増えているように思う。ゲームの要求スペックが上がったり、AI関連ソフトが登場したりと仕方がない部分がある。こうなると一般消費者もこれまで以上にメモリに投資することになる。
すでにゲーミングPC価格が上がりつつある

2025年11月後半になってゲーミングPCの価格が上昇中だ。ドスパラの廉価ブランドであるTHIRDWAVE-Gシリーズでも値上げが目立つ。ランキング上位3つともすべて高くなった。10,000円~25,000円程度の上昇幅だ。現在の価格でも相場よりも安いが、国内No.1メーカーが値上げを行ったということは他のメーカーも追随する可能性がある。
メモリ価格はいつ落ち着くのか?
記事の執筆時点ではメモリ価格が落ち着く見込みは薄いように思う。少なくとも2026年の半ばまでは続きそうだ。半導体不足によるグラフィックボード価格の高騰も1年以上続いた。AI需要という観点から状況は酷似している。もしかしたらこれまで以上に長引く可能性もある。それだけ企業がAIへ投資をしているということだ。基本的には先送りをせず早い段階で購入を決断するとよいだろう。品薄によっていくらお金を出しても手に入れられなくなる可能性だってある。ゲーミングPCの価格も上がってきていることから遅くとも年末年始のセールまでには購入しておくとよさそうだ。
参照外部サイト
- CP2K16G56C46U5 [DDR5 PC5-44800 16GB 2枚組] の価格推移グラフ(価格.com, 2025)
- AX4U320016G16A-DW50 [DDR4 PC4-25600 16GB 2枚組] の価格推移グラフ(価格.com-2, 2025)
- Exclusive: Samsung hikes memory chip prices by up to 60% as shortage worsens, sources say(Reuters, 2025)
- 米ドル/円【USDJPY】:外国為替相場FXレート・チャートをリアルタイム表示(Yahoo!ファイナンス, 2025)









