Core i7-13650HXの性能スペック及び搭載ゲーミングノートPCを紹介していく。Intel第13世代のハイエンド志向のCPUだ。今世代になってHXシリーズであるCore i7-13650HXが多くのゲーミングノートPCで採用されるようになった。メインストリームのCore i7-13700Hと同じ14コア20スレッドというスペックを持ちクロック周波数が引き上げられている。
Core i7-13700Hとの価格差が意外と小さく、気になっている方も多いのではないかと思う。DellやASUSなど海外メーカーから高コスパなモデルがリリースされている。搭載モデルは「Core i7-13650HX搭載ゲーミングノートPC一覧」から確認してほしい。1つ上のCore i7-13700HXになると16コア24スレッドとより高いパフォーマンスを得られる。
当ページの目次
Core i7-13650HXの概要
コードネーム | Raptor Lake |
---|---|
プロセス | 10nm |
コア/スレッド数 | 14コア(6Pコア+8Eコア)/ 20スレッド |
Pコア定格/最大クロック | 2.4 GHz/ 5.0 GHz |
Eコア定格/最大クロック | 1.8 GHz/ 3.7 GHz |
L2キャッシュ | 11.5MB |
L3キャッシュ | 24MB |
内蔵GPU | Intel UHD Graphics |
PBP | 55W |
MTP | 157W |
発売日 | 2023年01月04日 |
価格 | $485 |
特徴 | (+) i7-13700Hよりもワンランク高い性能を持つ (+) コストパフォーマンスは良好 (+) DellかASUSで取り扱いがある (-) CPU内蔵グラフィックスの性能が低い (-) 消費電力が高め |
評価 | ・総合評価 8.5 ・ゲーム評価 8.5 |
Core i7-13650HXは評価の高いCPUとなる。PBPの上限が引き上げられたおかげで性能面で有利だ。ハイブリッドコアアーキテクチャ採用でCPU性能が高く総合評価は8.5となっている。ゲーミングCPUとしても8.5という評価とした。ハイエンド志向のHXシリーズの中でもリーズナブルなのが魅力の一つだ。
Core i7-13650HXの基本スペック
製品名 | i7-13650HX | i7-13700HX | i7-12650HX | i7-13700H |
---|---|---|---|---|
コードネーム | Raptor Lake | Raptor Lake | Alder Lake | Raptor Lake |
プロセス | 10nm | 10nm | 10nm | 10nm |
ダイサイズ | - | 257m㎡ | 217m㎡ | - |
トータルコア(スレッド) | 14 (6P+8E) / 20 | 16 (8P+8E) / 24 | 14 (6P+8E) / 20 | 14 (6P+8E) / 20 |
定格クロック(P) | 2.6 GHz | 2.1 GHz | 2.0 GHz | 2.4 GHz |
最大クロック(P) | 4.9 GHz | 5.0 GHz | 4.7 GHz | 5.0 GHz |
定格クロック(E) | 1.9 GHz | 1.5 GHz | 1.5 GHz | 1.8 GHz |
最大クロック(E) | 3.6 GHz | 3.7 GHz | 3.3 GHz | 3.7 GHz |
オーバークロック | × | × | × | × |
L2キャッシュ | 20 MB | 24 MB | 11.5 MB | 11.5 MB |
L3キャッシュ | 24 MB | 30 MB | 24 MB | 24 MB |
対応メモリ | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR5-5200 DDR4-3200 |
内蔵グラフィックス | Intel UHD Graphics | Intel UHD Graphics | Intel UHD Graphics | Iris Xe Graphics |
実行ユニット | 16 | 32 | 32 | 96 |
グラフィックス周波数 | 1.55 GHz | 1.55 GHz | 1.45 GHz | 1.50 GHz |
PBP | 55W | 55W | 55W | 45W |
MTP | 157W | 157W | 157W | 115W |
価格 | $485 | $485 | $472 | $502 |
発売日 | 2023/01/04 | 2023/01/04 | 2022/05/10 | 2023/01/04 |
Core i7-13650HXは、Raptor Lake世代のハイエンドモデルとなる。プロセスは旧世代のCore i7-12650HXと同じ10nmだ。コア・スレッドは14コア20スレッドと共通だ。Pコアの定格クロックが30%高く、最大クロックも5%高い。Eコアについても定格クロックが27%高く、最大クロックも9%高い。アーキテクチャのマイナーチェンジでより高いクロック周波数を実現している形だ。L2キャッシュ・L3キャッシュ・メモリ規格なども変わっていない。CPU内蔵グラフィックスについては実効ユニットが半減して、グラフィックス周波数が7%引き上げられている。PBPおよびMTPも共通だ。MSRPは$13高くなっている。
上位モデルのCore i7-13700HXになると大きくスペックが変わる。Pコアが2つ増えて16コア24スレッドと高スペックだ。デスクトップ向けCPUと比べても見劣りしない。Pコアの最大クロックが5.0 GHz、Eコアの最大クロックが3.7 GHzとCore i7-13650HXよりもそれぞれ0.1 GHz引き上げられている。L2キャシュが24MBと20%多い。L3キャッシュも25%増えて30MBとなる。メモリ規格に違いはない。内蔵グラフィックスの実効ユニットが倍増となる。PBPとMTPは同じだ。MSRPはどちらも$485となる。
最後にメインストリームのCore i7-13700Hと比較していこう。6つのPコアと8つのEコアを搭載していてCore i7-13650HXと同じだ。定格クロックはCore i7-13650HXの方が高いが、最大クロックはCore i7-13700Hの方が高い。PBPが10W低く、MTPも42Wも低い。当然性能はCore i7-13650HXが上だ。いずれのモデルもオーバークロックには非対応となる。
Core i7-13650HX搭載モデルの特徴
i7-13700H搭載モデルよりもパフォーマンスが高い
Core i7-13650HXは、ハイエンド向けのモデルで高いパフォーマンスを持つCPUだ。ゲーミングノートPCで搭載されることの多いメインストリームのCore i7-13700Hと比べても10%程度処理性能が高い。従来モデルのフラグシップモデルのCore i9-12900HXと比べても性能は上だ。同じハイエンドの上位モデルであるCore i7-13700HXとの性能差は4%-5%となる。
Core i7-13650HXは、メインストリームのHシリーズよりも消費電力が高くなっている分だけ性能も高いと考えてよい。Ada Lovelace世代になってグラフィックボードの性能も大きく向上しているので、少しでも高い性能を持つCPUを選択するのが有効だ。ゲーミングノートPCの場合CPUがボトルネックになりがちなのでCPUへの投資は無駄になりにくい。発熱量が増えることに対しては部屋の空調を使用するなど対策を考えておこう。
グラフィックボード搭載モデルのみのラインナップ
CPU内蔵グラフィックスは性能の低いIntel UHD Graphicsだ。メインストリームのCore i7-13700Hではより高性能なIntel Iris Xe Graphicsが搭載されていることを考えるとCore i7-13650HXはCPU性能に振り切っている形と言える。グラフィックス実効ユニットも16とIntel Iris Xe Graphicsの1/6に留まる。
Core i7-13650HX搭載モデルは、基本的に外付けのグラフィックボード搭載が前提となる。ゲーミングノートPCやクリエイターノートPCへの搭載が想定されているのだ。グラフィックボードが不要な方はCore i7-13700Hを選択する方がコストを抑えられるのでメリットが大きい。
DellやASUSから搭載モデルがリリースされている
意外とCore i7-13650HXを搭載したゲーミングノートPCのラインナップは豊富だ。DellやASUSから高コスパなモデルがリリースされている。Core i7-13700H搭載モデルとそれほど価格も変わらないので、性能だけを重視するなら候補に入れてもよいのではないかと思う。
Core i7-13650HX搭載モデルの弱点は消費電力の高さからくるバッテリー駆動の短さとエアフロー確保のために本体重量が増すことだ。また、グラフィックボード搭載モデルしかないので、ビジネス用途ではややおすすめしづらい側面がある。
Core i7-13650HXのベンチマーク一覧
Cinebench R23
Cinebench R23でCPUのレンダリング性能を見ていく。おおよそのパフォーマンスを把握する上で有効なベンチマークソフトの一つだ。Core i7-13650HXは、マルチコア性能が16,021・シングルコア性能が1,890と高い数値を出している。従来モデルのCore i7-12650HXと比べてマルチコアが20%高く、シングルコアも1%弱高い。特にマルチコア性能が伸びているのが印象的だ。クロック周波数の引き上げやL2キャッシュ増量が効いている。Core i7-13700Hと比べてもマルチコア性能が10%近くも高い。ハイエンドモデルらしいパフォーマンスだ。
Handbrake
動画のエンコード速度を見ていこう。従来モデルのCore i7-12650HXと比べて8%前後パフォーマンスが向上している。Core i7-13700Hとの性能差はそれほど大きくない。Core i7-13700HXとの性能差も3%未満だ。Core i9-13950HX以上のモデルになると一気にパフォーマンスが高くなる。単純にコア・スレッド数が多い方が有利だ。
7-Zip(圧縮)
Zipファイルの圧縮速度をまとめている。Core i7-13650HXは93.4 MB/sとCore i7-13700Hよりも3%程度速い。旧世代のCore i7-12650HXと比べても16%もパフォーマンスが高くなった。上位モデルのCore i7-13700HXと比べると6%程度劣る結果となっている。
7-Zip(解凍)
解凍速度についても見ていこう。おおよそ圧縮速度と同じ傾向が見られる。Core i7-13700Hと比べて3%程度高く、Core i7-12650HXと比べても17%高い。Core i7-13700HXとの性能差は5%程度だ。モバイル向けモデルとしてはトップクラスのCPUと考えてよいだろう。
Adobe Photoshop
Photoshopでのパフォーマンスはやや伸び悩む結果となっている。最適化が進んでいない可能性があるため参考程度に考えておこう。Core i7-13700Hがトップクラスのパフォーマンスを発揮しているのは注目に値する。
Core i7-13650HX搭載ゲーミングノートPC一覧
Dell G15 ゲーミング ノートPC(Dell)
モニター:15.6インチFHD 120Hz
重量:約2.81kg
CPU:Core i7-13650HX
GPU:GeForce RTX 3050 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 512GB NVMe
電源:240W ACアダプター
コスパ:調査中
Core i7-13650HX搭載モデルの中でもっとも安価な一台となる。送料込みで129,980円はリーズナブルだ。15.6インチFHDディスプレイを搭載している。グラフィックスは旧世代のRTX 3050 Mobileだ。設定を調整すれば十分ゲームプレイに対応できる。メモリDDR5-4800 16GB・SSD 512GB NVMeと構成は平均的だ。本体重量は約2.81kgとかなり重い。エアフローのためだけではなくコストカットも図られているのではないかと思う。持ち運び機会が多い方は避けた方がよさそうだ。
Dell G15 ゲーミング ノートPC(Dell)
モニター:15.6インチFHD 165Hz
重量:約2.97kg
CPU:Core i7-13650HX
GPU:GeForce RTX 4060 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 512GB NVMe
電源:330W ACアダプター
コスパ:調査中
Core i7-13650HX×RTX 4060 Mobile搭載のミドルクラスのゲーミングノートPCだ。15.6インチFHDディスプレイを搭載している。165Hz対応で滑らかなゲーム描写が実現する。現行の60番台のグラフィックボード搭載でフルHD×高リフレッシュレートでのゲームプレイにも対応しやすい。メモリDDR5-4800 16GB・SSD 512GB NVMeと構成は平均的だ。本体重量が約2.97kgと3.0kg近いのは厳しい。18.0インチクラスの重量と言える。コストが抑えられているので仕方がないのかもしれない。据え置きノートパソコンとして考えるべきだ。
ROG Strix G16 G614JU(ASUS)
219,800円 179,980円+送料770円
液晶:16.0インチWQXGA 165Hz
重量:約2.50kg
CPU:Core i7-13650HX
GPU:GeForce RTX 4050 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 512GB Gen4 NVMe
電源:280W ACアダプター
コスパ:調査中
GeForce RTX 4050 Mobile搭載のエントリークラスの一台だ。セール期間中は40,000円OFFで購入できる。16.0インチWQXGAディスプレイを搭載している。高リフレッシュレートでのゲームプレイにも対応可能だ。GeForce RTX 4050 Mobileはエントリークラスとはいっても従来モデルの60番台に匹敵する高い処理性能を持つ。メモリDDR5-4800 16GB・SSD 512GB Gen4 NVMeと構成は平均的だ。本体重量は約2.5kgと重めだ。
TUF Gaming F16 FX607JV(ASUS)
液晶:16.0インチWQXGA 165Hz
重量:約2.27kg
CPU:Core i7-13650HX
GPU:GeForce RTX 4060 Mobile
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:240W ACアダプター
コスパ:調査中
TUF Gamingはコストパフォーマンスを重視したゲーミングブランドだ。GeForce RTX 4060 Mobile搭載で税込20万円以下で購入できる。16.0インチWQXGAディスプレイを搭載していて、本体重量は約2.27kgと平均的だ。ゲーム性能は高く高リフレッシュレートでのゲームプレイにも対応しやすい。最新のタイトルにも対応できるポテンシャルがある。メモリDDR5-4800 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も抜群だ。240W ACアダプター付属となる。