Core i7-14650HXの性能比較&ベンチマーク検証を行っていく。Intel第14世代のハイエンドHXシリーズのモデルだ。Core i7-13650HXの後継モデルという位置づけになる。アーキテクチャ的にはCore i7-13650HXと同じRaptor Lakeのリフレッシュモデルとなる。今世代になってPコアが2つ増えて16コア24スレッドというスペックを実現している。パフォーマンス面では有利になるはずだ。
Core i7-14650HXの概要
コードネーム | Arrow Lake |
---|---|
プロセス | 10nm |
コア/スレッド数 | 16コア(8Pコア+8Eコア)/ 24スレッド |
Pコア定格/最大クロック | 2.2 GHz/ 5.2 GHz |
Eコア定格/最大クロック | 1.6 GHz/ 3.7 GHz |
L2キャッシュ | 24MB |
L3キャッシュ | 30MB |
内蔵GPU | Intel Graphics |
PBP | 55W |
MTP | 157W |
発売日 | 2024年01月08日 |
価格 | – |
特徴 (長所・短所) |
(+) ハイエンドモデルながら価格はリーズナブル (+) 16コア24スレッドと高スペック (-) 世代的には2世代前の型落ちとなる (-) 今のところミドルクラスが主流 |
評価 |
・総合評価 7.0 ・ゲーム評価 7.5 |
Core i7-14650HXの基本スペック
Core i7-14650HX | Core i7-14700HX | Core i7-13650HX | |
---|---|---|---|
コードネーム | Raptor Lake-Refresh | Raptor Lake-Refresh | Raptor Lake |
プロセス | 10nm | 10nm | 10nm |
ダイサイズ | 257m㎡ | 257m㎡ | 257m㎡ |
トータルコア(スレッド) | 16(8P+8E)/ 24 | 20(8P+12E)/ 28 | 14(6P+8E)/ 20 |
定格クロック(P) | 2.2GHz | 2.1GHz | 2.6GHz |
最大クロック(P) | 5.2GHz | 5.5GHz | 4.9GHz |
定格クロック(E) | 1.6GHz | 1.5GHz | 1.9GHz |
最大クロック(E) | 3.7GHz | 3.9GHz | 3.6GHz |
オーバークロック | 対応 | 対応 | 対応 |
L2キャッシュ | 24MB | 28MB | 20MB |
L3キャッシュ | 30MB | 33MB | 24MB |
対応メモリ | DDR5-5600 DDR4-3200 |
DDR5-5600 DDR4-3200 |
DDR5-4800 DDR4-3200 |
内蔵グラフィックス | Intel UHD Graphics | Intel UHD Graphics | Intel UHD Graphics |
実行ユニット | 16 | 32 | 16 |
グラフィックス周波数 | 1.60GHz | 1.60GHz | 1.55GHz |
PBP | 55W | 55W | 55W |
MTP | 157W | 157W | 157W |
MSRP | – | – | – |
発売日 | 2024/01/08 | 2024/01/08 | 2023/01/04 |
Core i7-14650HXの基本スペックを見ていく。比較対象は従来モデルのCore i7-13650HXと同世代の上位モデルであるCore i7-14700HXだ。Core i7-14650HXのコードネームはRaptor Lake-Refreshで、実はCore i7-13650HXとアーキテクチャは共通だ。10nmプロセスを採用していてダイサイズは257m㎡となる。トータルコアは14コア20スレッドから、Pコアが2基増えて16コア24スレッドと強化されている。
Pコアの定格クロックは0.4GHz低く、最大クロックは0.3GHz高い。Eコアも定格クロックは0.3GHz低いが、最大クロックは0.1GHz高くなっている。このあたりはRefreshモデルとして進化した部分だ。オーバークロック対応は共通だ。Pコアが増えたこともありL2キャッシュは4MB多く、L3キャッシュも6MB多くなっている。キャッシュ回りはゲームプレイにおいて重要な役割を果たす。
対応メモリもDDR5-4800からDDR5-5600と高クロックなモデルをサポートしている。DDR4-3200への対応を廃止していないのは朗報だろう。内蔵グラフィックスはIntel UHD Graphicsとなる。実行ユニット数は16と変わっていないが、グラフィックス周波数がわずかに引き上げられている。PBP・MTPは同じだ。Core i7-14650HXは2024年1月8日の発売でおおよそ1年ぶりの新モデルとなる。
上位モデルのCore i7-14700HXと比較すると完全な上位互換であることがわかる。大きいところだとEコアが4基増えて20コア28スレッドとより高いスペックを持っている。Pコアの最大クロックは5.5GHzで0.3GHzも高い。Eコアも最大クロックが3.9GHzと0.2GHz高くなっている。L2キャッシュも4MB多く、L3キャッシュも3MB多い。内蔵グラフィックスも実行ユニットが倍増の32となる。

Core i7-14650HXのスペックは、Core i7-13650HXの上位モデルであるCore i7-13700HXと同等だ。下位グレードが上位グレードと同等のスペックを得られたのは素晴らしい。クロック周波数もCore i7-13700HXよりも高いので当然性能は上回っている。Core i7-14700HXのスペックはこれまでなかった20コア28スレッドとなる。Core i9-14900HXが24コア32スレッドなのでちょうど中間に収まっている。
Core i7-14650HX搭載ゲーミングノートPCの性能と特徴
i7-13650HXから順当な進化を遂げる
Core i7-14650HXの性能スコアは27,143と高くなっている。上記テーブルの数値はすべて電力制限解除あるいはそれに準ずる環境においてのスコアである点を抑えておいてほしい。従来モデルのCore i7-13650HXよりも10%弱パフォーマンスが向上している。Core i7-13700HXを上回ることができたのはPコアが増えたからだろう。同世代の上位モデルであるCore i7-14700HXと比べると7%弱低くなっている。
Core i7-14700HXは24コア32スレッドとより高いスペックを誇る。次世代のCore Ultra 7 255HXとの性能差は15%程度とやや大きい。デスクトップ向けモデルで言えば定格のCore Ultra 7 265やCore Ultra 5 245Kが近い。特に倍率ロックフリーモデルでクロック周波数の高いCore Ultra 5 245Kは属性的にも共通点が多い。モバイル向けモデルだとハイエンドのCore i7シリーズでもCore Ultra 5 245Kに届かない。
電力制限を解除した場合Core Ultra 5 245Kは15%程度スコアが高くなり34,623となる。Core i7-14650HXとの性能差は28%程度まで広がる。設計的にモバイル向けCPUは不利であるのは間違いない。TDPに余裕のあるデスクトップ向けモデルはパフォーマンスが伸びやすい。それでも世代を重ねるごとに性能が高くなっているのも事実だ。
ワットパフォーマンスはそこまでよくない
製品名 | ゲーム平均 | ゲーム最大 | アイドル平均 |
---|---|---|---|
Ryzen 9 9955HX | 44.7W | 114.8W | 12.1W |
Core Ultra 9 275HX | 39.6W | 103.3W | 8.5W |
Core i7-14650HX | 57.9W | 70.4W | 9.1W |
上記テーブルはFF14(フルHD×最古品質)のベンチマーク計測時の消費電力を表している。Core i7-14650HXのゲーム平均時の消費電力は57.9W、ゲーム最大は70.4Wとなる。ゲーム平均は次世代のフラグシップモデルであるCore Ulra 9 275HXよりも諸費電力が高くなっている。アイドル時の平均消費電力も7%高い。前世代のRaptor Lakeのリフレッシュモデルで大きくアーキテクチャが進化したわけではないので、ワットパフォーマンスがそこまでよくないのは仕方がないのかもしれない。その点Core Ultraシリーズ2では省電力性が向上している。プロセスの微細化やチップレット構造がプラスになっているのだろう。
搭載モデルのGPUは70番台まで選択可能
Core i7-14650HXとの組み合わせとなるのは50番台や60番台が主流だ。MSIからGeForce RTX 5070 Mobile搭載モデルがリリースされているぐらいで基本的にはミドルクラスがメインとなる。液晶ディスプレイもフルHD×144Hzが中心となる。高解像度モニターを搭載したモデル自体ほとんどない。こちらも先に述べたMSIでWQHDディスプレイ搭載モデルがあるぐらいとなる。
TDP 55Wとモバイル向けCPUとして高めに設定されていることを考えると物足りなさはある。70番台や80番台を搭載したモデルになると現行のCore Ultra 9 275HXやCore Ultra 7 255HXがメインだ。すでに2世代前のハイエンドHXシリーズはお役御免となりつつあるのかもしれない。
Core i7-14650HXのベンチマーク一覧
Cinebench R23
Cinebench R23でのマルチコアは23,063、シングルコアは1,940となる。従来モデルのCore i7-13650HXと比べるとマルチコアが26%高く、シングルコアも3%弱高い。Core i7-13700HXと比べるとマルチコアが5%高いが、シングルコアは3%低い。マルチコアスコアはCore Ultra 5 245Kが近い。一方で、シングルコアは10%程度劣っている。
Cinebench 2024
Cinebench 2024は次世代のレンダリングベンチマークソフトとなる。レンダリング量を増やすなど最近のメニーコアCPUのパフォーマンスを計測するのに適している。Core i7-14650HXのマルチコアは1,285で、シングルコアは114だ。Core i-13650HXと比べるとマルチコアが8%高く、シングルコアが4%高くなっている。上位のCore i7-14700HXと比べるとマルチコアが9%低く、シングルコアは7%低い。定格のCore Ultra 5 245Kと比べるとマルチコアが7%低く、シングルコアも15%低くなっている。やはりデスクトップ向け倍率ロックフリーモデルのCPUは性能が高い。
Blender
Blenderのベンチマークスコアは311.34となる。Core i7-13650HXよりも13%高く、Core i7-13700HXよりも5%弱高いスコアだ。上位のCore i7-14700HXとの性能差は7%程度低くなっている。junkshopやclassroomでは同等のスコアだ。デスクトップ向けのCore Ultra 5 245Kを上回るスコアは評価できる。
Handbrake
動画のエンコードに掛かる時間を計測している。Core i7-13650HXと比べるとH.265で13%速く、H.264でも3%弱速くなっている。おおよそCore i7-13700HXと同等のパフォーマンスだ。Core Ultra 5 245Kと比べると性能差は大きく最大で20%劣っている。ハイパフォーマンスモデルであるCore Ultra 9 185HやCore i7-13700Hと比べると大きく上回っていることがわかる。
7-Zip
Zipファイルの展開及び圧縮速度をまとめている。Core i7-1365HXと比べると展開速度が7%速く、圧縮速度も7%弱速くなっている。Core i7-13700HXよりも2%-3%程度高速だ。なぜかデスクトップ向けモデルがうまくパフォーマンスを発揮できていない。特にCore Ultra 5 245Kの展開速度は1,285,911とCore i7-14650HXよりも20%近くも遅い。一方で、圧縮速度はCore i7-14650HXと同等だ。
Adobe Photoshop
画像編集におけるパフォーマンスを計測している。Core i7-13650HXよりも3%速く、Core i7-13700HXよりも1%弱速い。上位のCore i7-14700HXと比べると10%弱遅くなっている。デスクトップ向けモデルが強くCore Ultra 5 245Kのスコアは8,008とCore i7-14650HXを13%弱高くなっている。
Core i7-14650HX搭載ゲーミングノートPC一覧
LEVEL-15FX165-i7-RM4X(パソコン工房)
価格:169,800円+送料2,200円
モニター:15.6インチFHD 144Hz
重量:約2.30kg
CPU:Core i7-14650HX
GPU:GeForce RTX 4060 Mobile
メモリ:DDR5 16GB
ストレージ:SSD 1TB NVMe
電源:ACアダプター
コスパ:調査中
15.6インチFHDディスプレイを搭載したゲーミングノートPCだ。144Hz対応モニターでシューティングゲームも得意だ。本体重量は約2.30kgとゲーミングノートとしては平均的だ。GPUにはGeForce RTX 4060 Mobileを搭載している。ミドルクラスとして高い性能を有している。ディスプレイの性能を引き出すことが可能だ。メモリDDR5 16GB・SSD 1TB NVMeと構成は必要十分だろう。ACアダプターの容量は非公開となっている。無料会員登録をするだけで送料が0円になるのは嬉しい。
GALLERIA RL7C-R55-5N(ドスパラ)
価格:174,980円+送料3,300円
液晶:15.6インチFHD 144Hz
重量:約2.30kg
CPU:Core i7-14650HX
GPU:GeForce RTX 5050 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 500GB Gen4 NVMe
電源:180W ACアダプター
コスパ:8.5
Core i7-14650HX×GeForce RTX 5050 Mobile搭載のゲーミングノートPCだ。15.6インチFHDディスプレイを搭載している。2025年6月に発売した最新モデルとなる。GPUには現行のBlackwell世代のエントリーモデルであるGeForce RTX 5050 Mobileを搭載している。GeForce RTX 4060 Mobileに近い性能を持ちフルHD環境に最適だ。構成はメモリDDR5-4800 16GB・SSD 500GB Gen4 NVMeと平均的だ。電源は180W ACアダプター付属となる。
LEVEL-15FX166-i7-RKPX(パソコン工房)
価格:199,800円+送料2,200円
モニター:15.6インチFHD 144Hz
重量:約2.28kg
CPU:Core i7-14650HX
GPU:GeForce RTX 5060 Mobile
メモリ:DDR5 16GB
ストレージ:SSD 1TB NVMe
電源:ACアダプター
コスパ:調査中
15.6インチFHDディスプレイ(144Hz)搭載のゲーミングノートPCだ。本体重量は約2.28kgと平均的といえる。デザインを含めてオーソドックスな一台だ。GPUにはBlackwell世代のミドルクラスであるGeForce RTX 5060 Mobieを搭載している。フルHDで144Hz環境を構築するのに十分な性能を持つ。モニターのスペックを考えるとベストな選択だ。構成はメモリDDR5 16GB・SSD 1TB NVMeと平均以上だ。ACアダプターの電源容量は非公開となる。
Katana-15-HX-B14WFK-3259JP (MSI)
価格:
259,800円 242,800円(送料込)
液晶:15.6インチWQHD 165Hz
重量:約2.40kg
CPU:Core i7-14650HX
GPU:GeForce RTX 5060 Mobile
メモリ:DDR5-5600 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:240W ACアダプター
コスパ:調査中
Core i7-14650HX×GeForce RTX 5060 Mobile搭載のミドルクラスの一台だ。15.6インチWQHDディスプレイを搭載している。リフレッシュレートは165Hz対応だ。本体重量は約2.40kgとなる。メモリDDR5-5600 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も抜群だ。電源は240W ACアダプター付属となっている。大容量モデルで高いパフォーマンスを期待できる。ビジネス用途にもおすすめだ。他のCore i7-14650HXと比べると価格帯が一つ上だ。モニターのスペックと充実の構成がその要因となっていそうだ。
Katana-17-HX-B14WGK-6559JP (MSI)
価格:
296,800円 278,800円(送料込)
液晶:17.3インチWQHD 240Hz
重量:約2.70kg
CPU:Core i7-14650HX
GPU:GeForce RTX 5070 Mobile
メモリ:DDR5-5600 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:240W ACアダプター
コスパ:調査中
GPUにGeForce RTX 5070 Mobileを搭載したハイクラスのゲーミングPCだ。高解像度でのゲームプレイにも対応できる。17.3インチWQHDディスプレイ搭載だ。構成はメモリDDR5-5600 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと充実している。電源は240W ACアダプター付属だ。
ベンチマークテスト環境
モデル | GALLERIA RL7C-R55-5N(レビュー) |
---|---|
ディスプレイ | 15.6インチフルHD 144Hz |
CPU | Core i7-14650HX |
GPU | Nvidia GeForce RTX 5050 Laptop |
メモリ | DDR5-4800 16GB |
ストレージ | SSD 500GB Gen4 NVMe |