Lenovo LOQ 15AHP9syoumen
Ryzen 7 8845HSの性能比較&ベンチマーク検証を行っていく。Zen 4アーキテクチャを採用したモバイル向けモデルだ。8コア16スレッドというスペックでゲーム適性もそこそこ高い。マルチコア性能も十分だ。基本的には従来のRyzen 7 7840HSのリネーム版と考えてよい。NPUが少しだけ引き上げられている形だ。

搭載モデルは「Ryzen 7 8845HS搭載ゲーミングノート/ビジネスノートPC一覧」で紹介している。ゲームを目的にしているならグラフィックボードを搭載したモデルを選択するのが吉だ。確かに搭載されているRadeon 780Mは内蔵グラフィックスとしては高い性能を持っているが、ゲームをプレイする上で妥協が必要になってくる。それでも納得できるのなら選択して後悔はないかもしれない。




Ryzen 7 8845HSの概要

コードネーム Zen 4(Hawk Point)
プロセス 4nm
コア/スレッド数 8コア/16スレッド
コア定格/最大クロック 3.8 GHz/ 5.1 GHz
L2キャッシュ 8MB
L3キャッシュ 16MB
内蔵GPU Radeon 780M
TDP 45W
発売日 2023年12月06日
価格
特徴
(長所・短所)
(+) 8コア16スレッドの高性能モデル
(+) 内蔵GPUにRadeon 780Mを搭載している
(+) 省電力性が高い
(-) Ryzen 7 7840HSとほとんど変わっていない
(-) ゲーミングノートPCのラインナップが少ない
評価 ・総合評価
7.0

・ゲーム評価
7.0

Ryzen 7 8845HSの基本スペック

Ryzen 7 8845HS Ryzen AI 7 350 Ryzen 7 7840HS
コードネーム Zen 4(Hawk Point) Zen 5(Krackan Point) Zen 4(Phoenix)
プロセス 4nm TSMC 4nm TSMC 4nm TSMC
ダイサイズ 178m㎡ 195m㎡ 178m㎡
トータルコア(スレッド) 8 / 16 8(4 Zen 5+4 Zen 5c)/ 16 8 / 16
定格クロック(Zen 4/Zen 5) 3.8GHz 2.0GHz 3.8GHz
最大クロック(Zen 4/Zen 5) 5.1GHz 5.0GHz 5.1GHz
定格クロック(Zen 5c) 非搭載 2.0GHz 非搭載
最大クロック(Zen 5c) 非搭載 3.5GHz 非搭載
オーバークロック 非対応 非対応 非対応
L2キャッシュ 8MB 8MB 8MB
L3キャッシュ 16MB 16MB 16MB
対応メモリ DDR5-5600
LPDDR5X-7500
DDR5-5600
LPDDR5X-8000
DDR5-5600
LPDDR5X-7500
内蔵グラフィックス Radeon 780M Radeon 860M Radeon 780M
実行ユニット 12 8 12
グラフィックス周波数 2.70GHz 3.00GHz 2.70GHz
NPU 16 TOPS 50 TOPS 10 TOPS
TDP 45W 28W 35W
PPT 54W 54W 54W
MSRP
発売日 2023/12/06 2025/01/06 2023/12/06

Ryzen 7 8845HSは、Zen 4(コードネームHawk Point)アーキテクチャ採用のCPUとなる。型番的にはRyzen 7 7840HSと後継モデルという位置づけだが、スペックを比較してわかるとおり中身はほとんど同じだ。アーキテクチャーはどちらもZen 4となる。コードネームはHawk PointとPhoenixという違いがある。製造プロセスはTSMC製4nmだ。ダイサイズは178m㎡となっている。コア・スレッドは8コア16スレッドと高スペックだ。定格クロックは3.8GHzで、最大クロックは5.1GHzとなる。Ryzen 7 8845HSもオーバークロックには非対応だ。

L2キャッシュは8MB、L3キャッシュは16MBだ。対応メモリもDDR5-5600とLPDDR5X-7500をサポートしている。モデルを見る限りDDR5-5600が選択されているモデルが多いように思う。内蔵グラフィックスはRadeon 780Mだ。実行ユニットは12基となっている。グラフィックス周波数は2.70GHzだ。NPUは10 TOPSから16 TOPSへと強化されている。ここが大きく変わった箇所だ。もっとも16 TOPSでもCopilot+の基準(40 TOPS)は満たせていない。TDPは45W、PPTは54Wとなる。実は発売時期は同じだ。

次世代のRyzen AI 7 350にも簡単に触れておこう。Zen 5アーキテクチャ(コードネームKrackan Point)採用のCPUだ。製造プロセスはTSMC製4nmと変わっていない。ダイサイズは少し大きく195m㎡だ。4つのZen 5コアと4つのZen 5cコアを組み合わせたハイブリッドコアアーキテクチャを採用している。トータルスレッド数は16となる。Zen 5コアの定格クロックは2.0GHzで、最大クロックは5.0GHzだ。Zen 5cコアは定格が2.0GHz、最大クロックが3.5GHzと抑えられている。オーバークロックには対応していない。

L2キャッシュ及びL3キャッシュ容量は同じだ。対応メモリはDDR5-5600とLPDDR5X-8000をサポートしている。内蔵グラフィックスはRadeon 860Mだ。実行ユニットは8基で、グラフィックス周波数は3.0GHzとなる。ハイライトはNPUが50 TOPSを実現していることだろう。より高いAI適性を持つ。TDPは28Wと控えめだ。PPTは54Wとなる。

徹底解剖サイト管理人

残念ながらRyzen 7 8845HSに目新しいところはない。Ryzen 7 7◯◯◯シリーズからRyzen 7 8◯◯◯シリーズと数字が一つ進んでいるのが紛らわしくしている。多くの方がRyzen 7 8845HSの方が性能が高いと判断してしまうはずだ。実際はNPUの性能が少し上がっただけに留まる。現在Ryzen 7 7840HS搭載モデルを所有している方だとRyzen 7 8845HSへの買い替えだと恩恵を感じづらいだろう。




Ryzen 7 8845HS搭載ゲーミングノートPCの性能と特徴

モバイル向けモデルとして高いパフォーマンスを持つ

ryzen78845hs-score
Ryzen 7 8845HSの性能スコアは22,416とモバイル向けモデルとしてみれば上位に位置する。やはりRyzen 7 7840HSとのスコア差はほとんどない。Core Ultra 7 255Hと同等の処理性能を有している。次世代のRyzen AI 7 350と比べてもパフォーマンスは上だ。デスクトップ向けのCore i5-14400と比べると8%弱低くなっている。2世代前のRyzen 7 6800Hと比べると実に23%もパフォーマンスが高い。数世代前のゲーミングノートPCから買い替えるとなるとGPU性能が高くなることはもちろんCPU性能も大きく底上げされる。動画編集や画像編集などのクリエイティブ作業への適性も向上すると考えてよい。

内蔵GPUはGTX 1650 Mobileに近い処理性能を持つ

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Ryzen 7 8845HSの売りの一つが内蔵GPUではないかと思う。もっともdGPU搭載のゲーミングノートPCの場合はその魅力は失われてしまう。外付けのグラフィックボードを搭載しないビジネスモデルでこそ活きるはずだ。Ryzen 7 8845HS搭載のRadeon 780Mのスコアは7,801だ。外付けのGeForce GTX 1650 Mobileに近い処理性能を持っていることからその性能の高さがわかる。デスクトップ向けのエントリーモデルであるGeForce GT 1030よりも2.5倍以上のパフォーマンスだ。

比較的消費電力は抑えられている

製品名 ゲーム平均 ゲーム最大 アイドル平均
Core Ultra 7 255HX 35.4W 80.2W 8.7W
Ryzen 7 8845HS 38.0W 64.0W 9.7W
Core Ultra 9 275HX 39.6W 103.3W 8.5W
Ryzen 9 9955HX 44.7W 114.8W 12.1W
Core i7-14650HX 57.9W 70.4W 9.1W
Ryzen AI 7 350 58.8W 70.5W 3.9W


FF14のベンチマークツール計測時の消費電力をまとめている。アイドル平均はアプリをすべて閉じた上での平均消費電力だ。Ryzen 7 8845HSはゲーム平均が38.0Wと比較的抑えられている。最大消費電力も64.0Wと上記のラインナップの中では最小値だ。CPU性能がそれほど高いわけではないが、ワットパフォーマンスも悪くない。特にRyzen AI 7 350の消費電力が上がりすぎなのでいかに優れたモデルであるかがわかるはずだ。アイドル時は9.7Wとなっている。

ビジネス向けモデルのラインナップが多い

2025年10月時点でRyzen 7 8845HSを搭載したゲーミングノートPCのラインナップは多くない。発売から2年以上経過していることもあるが、モバイル向けCPUの種類が多すぎることも要因かもしれない。AMDとIntelで同価格帯のモデルを挙げるとCore Ryzen AI 7 350・Ryzen 7 8840HS・Core Ultra 9 185H・Core Ultra 7 255H・Core Ultra 7 155H・Core 7 240H・Core i5-13500HX・Core i7-13620Hなどが該当する。これだけCPUが分散してしまうとラインナップが少なくなってしまうのも仕方がない。当記事を執筆している筆者でも頭の整理を定期的にしないとこんがらがってしまうほどだ。




Ryzen 7 8845HSのベンチマーク一覧【クリエイティブ】

Cinebench 2024

cinebenchr24Ryzen 7 8845HS-cinebench2024

Cinebench 2024のマルチコアは910で、シングルコアは104となる。Ryzen 7 7840HSとほとんど変わらないスコアであることがわかる。デスクトップ向けのCore i5-14400と同等のスコアなのは素晴らしい。Ryzen AI 7 350と比べるとシングルコアは10%程度劣るもののマルチコアは4%程度上回っている。Core Ultra 7 255Hと比べてもマルチコア性能は8%も高い。

Cinebench R23

cinebenchr15Ryzen 7 8845HS-cinebenchr23

Cinebench R23でのマルチコアは16,918で、シングルコアは1,760だ。Ryzen 7 7840HSとの差は誤差の範囲といえる。Ryzen AI 7 350と比べるとマルチコアは3%上回っているが、シングルコアは11%弱低くなっている。マルチコアの数値だけだとデスクトップ向けのRyzen 5 9600よりも高い。

Blender

blenderclassroomRyzen 7 8845HS-blender

Blenderのスコアは230.10となる。Ryzen 7 7840HSと同等だ。Core Ultra 7 255Hと比べても5%程度高い。デスクトップ向けのRyzen 5 9600に匹敵するパフォーマンスは評価できる。Core Ultra 9 185Hさえも上回っている。Core Ultraシリーズに対する最適化がそこまで進んでいないのかもしれない。

Handbrake

handbrakeRyzen 7 8845HS-handbrake

動画のエンコードにかかる時間をまとめている。Ryzen 7 8845HSはH.265で4分6秒、H.264で9分43秒となる。上位モデルと比べるとそこまで得意というわけではない。Ryzen 7 7840HSとパフォーマンスは変わらない。Ryzen AI 7 350は相性がよいのかH.264では大幅に上回っている。

7-Zip

7zipryzen78845hs-7zip

Zipファイルの展開速度は1,297,130ptで、圧縮速度は58,695ptだ。Ryzen 7 7840HSと比べると展開速度は5%程度高いが、圧縮速度は同等だ。Intel製CPUと比べて圧縮速度が伸び悩んでいる。

Adobe Photoshop

photoshopryzen78845hs-photoshop

PugetBenchでパフォーマンスを計測した。Photoshopのスコアは8,613だ。Ryzen 7 7840HSと変わらないスコアとなる。Intel製CPUのスコアが伸びず上位に位置している。次世代のRyzen AI 7 350になると12%程度スコアが高い。

Ryzen 7 8845HS搭載Radeon 780Mのゲーム性能

Fire Strike

Ryzen 7 8845HS-firestrike

Fire Strikeのグラフィックススコアをまとめている。Radeon 780Mは8,354とGeForce GTX 1650 Mobileに近い。GeForce RTX 2050 Mobileと比べると15%劣る形だ。上位のRadeon 880Mと同等のスコアが出ている。同じAMDのRyzen AI Max+ 395は25,955と内臓GPUとして圧倒的なスコアが出ている。GeForce RTX 4060 Mobileに匹敵するほどだ。

FF14 黄金のレガシー

ff14-dawntrail

製品名 解像度(設定) 平均fps
Ryzen AI 7 350 1920×1080(標準) 50.3fps
Ryzen 7 8845HS 1920×1080(標準) 46.7fps


黄金のレガシーでは標準設定で46.7fpsとなる。低設定ならもう少しフレームレートが出る。MMORPGの思いっきり楽しむのには内蔵GPUでは力不足だ。

フォートナイト

fortnite

製品名 解像度(設定) 平均fps
Ryzen AI 7 350 1920×1080(パフォーマンス) 140.5fps
Ryzen 7 8845HS 1920×1080(パフォーマンス) 136.2fps
GeForce GT 1030 1920×1080(パフォーマンス) 90.9fps


フォートナイトではパフォーマンスモードで136.2fpsが出る。建築も極端な形でなければ対応できる。デスクトップ向けのGeForce GT 1030と比べてもパフォーマンスは高い。




Ryzen 7 8845HS搭載ゲーミングノート/ビジネスノートPC一覧

mouse B5-A7A01SR-A(マウスコンピューター)

mouse B5-A7A01SR-A価格:139,800円(送料)
液晶:15.3インチWQXGA 144Hz
CPU:Ryzen 7 8845HS
GPU:Radeon 780M
メモリ:DDR5-5600 16GB
ストレージ:SSD 500GB Gen4 NVMe
電源:100W ACアダプター
コスパ:調査中

公式サイト

15.3インチWQXGAディスプレイを搭載したビジネスモデルだ。本体重量は約1.68kgと軽い。グラフィックボードを搭載していないためゲームプレイ時はRadeon 780Mに頼ることになる。ベンチマークを見てきたとおりフォートナイトなど軽めのタイトルで設定を下げる必要がある。構成はメモリDDR5-5600 16GB・SSD 500GB Gen4 NVMeと平均的だ。電源は100W ACアダプターだ。動画再生時バッテリーで約10時間動作する。

IdeaPad Slim 5 Gen 10(16型 AMD)(Lenovo)

IdeaPad Slim 5 Gen 10価格:148,830円(送料)
液晶:16.0インチ2.8K 120Hz
CPU:Ryzen 7 8845HS
GPU:Radeon 780M
メモリ:DDR5-5600 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:65W ACアダプター
コスパ:調査中

公式サイト

16.0インチ2.8Kディスプレイ搭載のビジネスモデルとなる。120Hzに対応している。本体重量は約1.69kgと軽めだ。このモデルの魅力は2.8K(2880×1800)ディスプレイにある。クリエイティブ作業や映画鑑賞に最適だ。メモリDDR5-5600 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成もずば抜けている。電源は65W ACアダプター附属だ。

LOQ 15AHP9 (AMD)(Lenovo)

Lenovo LOQ 15AHP9amd価格:161,800円(送料)
液晶:15.6インチFHD 144Hz
CPU:Ryzen 7 8845HS
GPU:GeForce RTX 4060 Mobile
メモリ:DDR5-5600 16GB
ストレージ:SSD 512GB Gen4 NVMe
電源:230W ACアダプター
コスパ:調査中

公式サイト詳細

2025年10月時点で購入できる唯一のゲーミングノートノートPCだ。15.6インチフルHDディスプレイを搭載している。高リフレッシュレートモニターのおかげでゲームに没頭しやすい。本体重量は約2.30kgと重めだ。GPUにはAmpere世代のミドルクラスであるGeForce RTX 4060 Mobileを搭載している。設定次第では高リフレッシュレートも実現可能だ。メモリDDR5-5600 16GB・SSD 512GB Gen4 NVMeと構成は平均的だ。電源は230W ACアダプターとなる。CPUとGPUの組み合わせを考えれば十分すぎる容量だ。

ベンチマークテスト環境

GALLERIA RL7C-R55-5N-front

モデル Lenovo LOQ 15AHP9 (AMD)(レビュー)
ディスプレイ 15.6インチフルHD 144Hz
CPU Ryzen 7 8845HS
GPU NVIDIA GeForce RTX 4060 Laptop
メモリ DDR5-5600 16GB
ストレージ SSD 512GB Gen4 NVMe
電源 230W ACアダプター