Ryzen 9 9955HX3Dの性能比較＆ベンチマーク検証【2025年】

Ryzen 9 9955X3D搭載モデルを購入するとなると40万円以上の予算が必要だ。国内ではASUS製「ROG Strix G16 G614FR（413,820円）」のみ購入できる。当サイトでの枠組みでは25万円以上となる。

Ryzen 9 9955X3Dは、Zen 5アーキテクチャ（コードネームFire Range）を採用したハイエンドモデルだ。Ryzen 9 7945X3Dの後継モデルとなる。チップ設計はチップレットでCPUコアダイとI/Oダイを組み合わせている。製造プロセスが5nmから4nmへと微細化されている。ダイサイズは同等だ。I/Oプロセスは6nmで、ダイサイズは122m㎡と変更なしとなっている。コア・スレッドは16コア32スレッドだ。

定格クロックが0.2GHz高くなっているが、最大クロックは5.4GHzのままだ。アーキテクチャの進化があるので同じクロック周波数でも当然性能は上回る。Ryzen 9 9955X3Dもオーバークロック対応だ。L2キャッシュは16MBで、L3キャッシュは128MBと変わっていない。デスクトップ向けモデルと同様に第2世代3D C-Cacheとなりパフォーマンスが向上している。

L3キャッシュ（3D V-Cache）の配置がCCDの上部からCCDの下部に変わり冷却効率が上がりクロック周波数の引き上げにつながっている。つまり、これまではCPUコアとCPUクーラーの間に3D V-Cacheが挟まれていて十分に冷却ができなかったのだ。CPUコアの下になったことでCPUクーラーで直接CPUダイを冷却できるようになった。これまでマルチコア性能が上がりづらかったのが改善されて高いパフォーマンスを期待できる。

対応メモリもDDR5-5200からDDR5-5600へと高クロックなモデルをサポートしている。内蔵グラフィックスはRadeon 610Mのままだ。実行ユニット2基を持ちグラフィックス周波数は2.20GHzとなる。TDPは55Wに設定されている。Ryzen 9 7945HX3DのPPTは非公開だが、おそらくRyzen 9 9955HX3Dと同じ101Wではないかと思う。Ryzen 9 9955X3D搭載モデルの価格は413,820円からだ。Ryzen 9 7945X3D搭載モデルもASUSのみの取り扱いで499,800円～（販売終了）だった。

下位グレードであるRyzen 9 9955HXと3D V-Cache以外にスペック上の違いがない。定格クロックや最大クロックも同等だ。L3キャッシュは3D V-Cache 64MBが搭載されておらず64MBとなる。TDPは55Wで、PPTは101Wだ。実際の運用においてはRyzen 9 9955X3Dの方が消費電力が高くなる。搭載モデルの価格は73,000円ほどの差がある。ただし、メーカー及び筐体が異なるため純粋な比較はできない。

CPUのレンダリング性能を計測できるベンチマークソフトだ。Ryzen 9 9955X3Dのマルチコアは2,110ptで、シングルコアは131ptとなる。Ryzen 9 7945X3Dと比べてマルチコアが11%高く、シングルコアも13%高い。Ryzen 9 9955Xよりもマルチコアが4%高く、シングルコアもわずかに高い。デスクトップ向けのRyzen 9 9950X3Dとの差は3%-5%とそれほど大きくない。Ryzen 9 9950X3Dが本領発揮できていない印象を受ける。機会があれば再度計測してみたいと思う。できれば他のメディアの数値も参考にしてほしい。

Cinebench R23でのマルチコアは36,002ptで、シングルコアは2,167ptだ。Ryzen 9 7945HX3Dよりもマルチコア11%弱高く、シングルコアも9%弱高くなっている。競合のCore Ultra 9 275HXと比べてもマルチコアが10%弱高く、シングルコアも5%弱高い。マルチコア性能だけでいえばデスクトップ向けのCore Ultra 7 265Kを上回っている。クリエイティブ作業でも高いパフォーマンスを期待できる。

Blenderのベンチマークスコアは582.67ptだ。従来モデルのRyzen 9 7945HX3Dよりも14%も高くなっている。下位グレードであるRyzen 9 9955HXよりも5%程度高い。競合のCore Ultra 9 275HXと比べても9%程度高い。デスクトップ向けのRyzen 9 9950X3Dとのスコア差は5%となる。

動画のエンコードに掛かる時間をまとめている。数値が少ないモデルの方が高性能となる。Core Ultra 9 275HXやRyzen 9 9955HXとそこまで変わらない。従来モデルのRyzen 9 7945X3Dと比べてH.265で7秒速く、H.264で26秒も速くなっている。デスクトップ向けモデルとの性能差は広がり、TDPの差が出ているように思う。

Zipファイルの展開及び圧縮速度をまとめている。Ryzen 9 9955HX3Dは、Ryzen 9 9950X3Dについで高いパフォーマンスを発揮する。3D V-Cache非搭載のRyzen 9 9955HXと比べて展開速度が3%速く、圧縮速度も3%弱速い。Ryzen 9 7945X3Dと比べて展開速度が13%速く、圧縮速度も13%速い。

PugetBenchによるPhotoshopのベンチマークスコアは9,488ptと高い。Ryzsen 9 9955HXよりも2%高く、Core Ultra 9 275HXよりも7%高い。Ryzen 9 7945HX3Dと比べても5%程度上回っている。デスクトップ向けのRyzen 9 9950X3Dとの差は大きく20%弱低くなっている。このあたりはTDPの差が出ているのかもしれない。

現在国内で購入できる希少なRyzen 9 9955X3D搭載モデルだ。ASUSのハイエンドモデルとなる。16.0インチWQXGAディスプレイ（40Hz対応）搭載だ。グラフィックボードにはGeForce RTX 5070 Ti Mobileを搭載している。最大グラフィックス電力（Turboモード）は140Wと高く設定されている。高解像度・高リフレッシュレートでのゲームプレイにも対応できる。ゲーミングノートPCでも性能面で妥協したくないなら候補に入れてもよい。メモリDDR5-5600 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も抜群だ。電源は280W ACアダプター付属となる。

現行最強のゲーミングノートPCと言っても過言ではない。18.0インチ4K+（3840×2400）ディスプレイ搭載だ。本体重量は約3.6kgと重量級となる。持ち運びははっきりと不向きだ。グラフィックボードにはBlackwell世代のハイエンドであるGeForce RTX 5090 Mobileを搭載している。高解像度でのゲームプレイにも対応可能だ。電源は大容量の400W ACアダプター付属だ。メモリDDR5-5600 64GB・SSD 2TB Gen4 NVMeと構成も申し分なしだ。M.2スロットに空きがあるので追加でSSDを追加することもできる。