Core i9-9900KS画像引用元:https://www.digitaltrends.com/

当ページでは、Core i9-9900KSのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。2019年10月31日に登場したCore i9-9900KSは第9世代最強とも言えるCPUだ。すでに販売されている8コア16スレッドの「Core i9-9900K」を強化したモデルとなっている。

全コア稼働で初の5.0GHzを達成という偉業を成し遂げた。高性能なCPUを探しているユーザーは必見だ。限定モデルということもあって搭載BTOパソコンのラインナップはほとんどない。後継モデルはIntel第10世代の「Core i9-10900K」だ。10コア20スレッドとスペックが強化されて高いマルチスレッド性能を実現する。

よくわかる!!Core i9-9900KSの特徴まとめ

コードネームCoffee Lake-R
プロセス14nm++
コア/スレッド数8コア/16スレッド
定格/最大クロック4.0 GHz/ 5.0 Ghz
L3キャッシュ16MB
TDP127W
発売日2019年10月31日
価格$513
評価 ・総合評価
6.0

・ゲーム評価
6.5
Core i9-9900KSの最大のウリは、ターボブースト時8コア全てが5.0GHzに対応するということだ。この5.0GHzを実現するために選ばれたチップのみが採用されている。シリコンウェーハから得られる量は少数だ。一般用途においては競合のRyzenシリーズに苦戦する一方で、ゲーミング用途で大きく差をつけているCore i9-9900Kの強化モデルということで期待値は非常に高い。Ryzenに最適化されているゲームでどこまで切り込むことができるか、安定感はどこまで高くなっているのか、Core i9-9900KSの真価はどこにあるのか気になることが多い。じっくり検証していこう。

Core i9-9900KSの基本情報

スペック

Core i9-9900KSCore i9-9900K
コードネームCoffee Lake-RCoffee Lake-R
プロセス14nm++14nm++
トランジスタ数--
ダイサイズ180 mm²180 mm²
CPUコア数88
スレッド数1616
定格クロック4.0 GHz3.6 GHz
最大クロック5.0GHz
(全てのコアで5.0GHz)
5.0GHz
(3コア目以降4.7GHz)
L3キャッシュ16MB16MB
対応メモリDDR4-2666DDR4-2666
内蔵GPUUHD 630UHD 630
TDP127W95W
PL2159W119W
価格$513$499
発売日2019/10/312018/10/20
Core i9-9900Kとの比較を行っていこう。主な変更点は最大クロックと消費電力だ。最大クロック周波数が5.0GHzとなっている。これだけ見ると変わっていないように見えるが、すべてのコアで5.0GHzを達成できるというのがポイントだ。通常はコア数が増えると最大クロック周波数を出すことはできない。事実Core i9-9900Kでは3コア以上稼働した時に4.7GHzまで抑えられてしまう。

また、Core i9-9900Kと比べてCore i9-9900KSは消費電力が33%アップしている。これはブースト時全てのコアで5.0GHzに対応したことによる結果だ。同時に、定格クロックも3.6GHzから4.0GHzに引き上げられており、これらの関係から消費電力のアップに繋がっているのだ。言い換えれば、Core i9-9900Kから変更されたのはこの部分のみで、アーキテクチャなど根本的な性能の底上げがされているようには感じない。

特に定格クロックに関して言えばオーバークロックで十分に追いつける範疇であるため、全てのコアで5.0GHzを実現した部分にだけ着目しておいたほうが良いのかもしれない。それこそがCore i9-9900KS最大の魅力であり、最も気になる部分である。

マルチコアで高い処理性能を発揮できる最高峰のCPUとして、ゲームにどのような影響を与えていくのだろうか。といったことはスペックだけではわからない。この点については後述のベンチマークを参考にしていただければと思う。

総合性能

corei9-9900ksseinou

Core i9-9900KSの気になる性能だが、Core i9-9900Kからの伸びは7-8%ほどで総合的な性能差はそこまで大きいわけではない。それこそRyzen 9 3900Xとの差はまだまだ広く、ゲーム以外での用途では追いつくには至っていない。全コア5.0GHzの恩恵は確かに存在しているが、それを体感できるほどではなさそうだ。もちろん、数値上で見れば高速になり、レンダリングなど何かと時間の掛かる作業において効率的に行えるようになる。

登場したばかりでは搭載モデルも少なく、価格も高いこともありCore i9-9900KSではなくCore i9-9900Kが再評価される流れにあるように感じる。もう少し価格が下がれば一気に評価を巻き返すことも可能であるためしばらくは様子を見たいところだ。価格が下がればこの性能は是非手に入れたいものとなるだろう。特にゲーマーの方ならおすすめだ。

現行モデルならCore i7-11700相当の性能を持ち高い今でも通用するCPUだと言える。同じ8コア16スレッドでスペックも似ている。オーバークロックができるのもプラスになるだろう。消費電力の問題さえクリアできるのであれば十分選択する価値がある。

Core i9-9900KSの最新評価【2023年】

i9-9900ksgamescore
Core i9-9900KSのゲーム性能スコアは21,933だ。現行に近いモデルで言えばCore i3-13100よりも低い。Intel第11世代のCore i5-11400と同等だ。ゲームプレイにおいて不足はないものの発売から4年の月日が経ち(Core i9-9900Kの発売は2018年)Core i9シリーズの面影はない。さすがにこれだけ世代が進むとランクは落ちてしまう。

それでもCore i9-9900KSはオーバークロックができるので多少の延命はできそうだ。60番台ぐらいのグラフィックボードであればバランスを取ることができる。現行のCore i9-14900Kになると性能差は95%以上とかなり大きい。2倍近い性能差があるということだ。Intel第10世代からソケットがLGA1151→LGA1200へと変わるため買い替えの難しいモデルとも言える。

Core i9-9900Kからの買い替えを考えているなら一気に第11世代まで飛ぶかさらに新しいソケット(FCLGA1700)に変更されたIntel第12世代以降のモデルがよいだろう。Intel第12世代以降のCore i9シリーズでは2つのコアを組み合わせたハイブリッドコアアーキテクチャを採用していてゲーム性能・マルチコア性能が大きく向上している。

なお、Core i9-9900KSは限定モデルということもあって中古のタマを探すのは難しい。参考までにオリジナルのCore i9-9900Kが38,980円~(Fシリーズは33,980円)で販売されている。ゲームプレイをメインに考えているなら18,980円で購入できるCore i5-11400がおすすめだ。6コア12スレッドとスペックは控え目だが、同等のゲーム性能を期待できる。マザーボードなどプラットフォームコストを考慮しても安く済む。

Core i9-9900KSの特徴詳細

ゲーミング向け最強のCPU

まさにゲーミング最強のCPUと言っても過言ではない。登場と同時に最強の座についた。圧倒的なパフォーマンスで総合評価No.1だったCore i9-9900Kよりも性能が高いのだから当然だろう。ゲーミング用途では競合のRyzen 9 3900Xを抑え差をつける形になった。

RTX 2080 Tiなどの高性能なグラフィックボードと合わせることで性能を発揮しやすく、まさにゲーマー向けの最強CPUだ。より高設定で、より快適にゲームをプレイするためにCore i9-9900KSは強い味方となってくれるだろう。最強のCPUを搭載するにはそれなりの装備が必要となるため、価格を抑えることには向いていないということだけは留意しておきたい。

性能の向上よりも消費電力と発熱には注意

消費電力の高さについては配慮しなければいけない。さすがにTDPが95W→127Wへと33%もアップしているのは気になるところだ。PL2も119W→159Wへと引き上げられている。5.0GHzで全てのコアを稼働させ続ける場面を考えるなら強力な冷却性能が求められることになる。

高性能な電源やCPUクーラーを搭載することが必須だ。CPUファンのままでいくよりも、水冷クーラーの導入や強力CPUファンへの交換も視野に入れた方が安心だ。それらのことを考えれば、Core i9-9900Kとの比較は果たして正しいのだろうか。

全くとは言わないまでも別物のCPUとなっているように感じる。Core i9-9900Kが割と身近な存在になってきた今、Core i9-9900KSのハードルは高く遠いものになっている。搭載モデルは冷却性能が求められることもありハイエンドの中でも手が出しにくいCPUになりそうだ。

Core i9-9900KSのゲームベンチマーク一覧

Farcry 5

farcry5

Core i9-9900KS150.1
109.4
Core i9-9900K146.2
104.0
Core i7-9700K143.2
99.1
Ryzen 9 3900X119.0
89.1
Ryzen 7 3700X117.3
86.0
平均最小
Ryzenへの最適化が進んでいないタイトルではintel製CPUが非常に優秀なスコアを叩き出している。Core i9-9900KSやCore i9-9900Kがスペック通り高いフレームレートを出している。Core i9-9900Kとの差は3%程度で微増だ。

一方、Ryzen 9 3900Xはかなり遅れを取る形だ。Ryzenシリーズにとっての致命的な弱点がこの最適化の有無でスコアが大きく変わる不安定な部分だと言える。これが改善されるまではゲームにはintelという評価が続くだろう。このスコアで見るとi7-9700Kがよく頑張っているのが分かる。

Shadow of the Tomb Raider

Shadow Of The Tomb Raider

Core i7-9700K154.2
98.6
Core i9-9900KS153.3
105.3
Core i9-9900K150.0
99.5
Ryzen 7 3700X126.0
86.0
Ryzen 9 3900X124.8
86.5
平均最小
Core i9-9900KSとCore i9-9900Kの差は2%と僅少だ。ここではRyzen、Intelともに下位モデルの方が上位モデルよりもスコアが高いという結果になっている。ただ、最小フレームレートが上位モデルの方が高いというのはさすがだ。安定感を考えると結果的に上位モデルが優れており、下位モデルが奮闘したという結論だろう。

Metro Exodus

apexlegends

Core i9-9900KS95.8
54.5
Core i7-9700K95.4
55.6
Core i9-9900K94.8
53.9
Ryzen 7 3700X92.5
47.9
Ryzen 9 3900X91.6
47.5
平均最小
負荷が高いことが有名なMetro Exodusでは、i7-9700Kが安定したスコアを出している。Core i9-9900KとCore i9-9900KSはスコア自体そこまで変わらないため、価格差を考慮するとCore i9-9900Kのほうが選びやすいような気もする。ただ、ゲームに関しては非常に高いスコアを出せるCPUであるためポテンシャルは高い。ゲーミングPCに新たな一歩が刻まれるかもしれない。

その他アプリケーションのベンチマーク

Cinebench R15

cinebenchCinebench R15-corei9-9900ks

CPUのレンダリング性能を測るベンチマークでは、マルチスレッドではRyzen 9 3900Xが圧倒し、i7-9700K以外はある程度横並びである。CPUのレンダリング性能を求めるならRyzenシリーズが優勢で、コストパフォーマンスの良さが見て取れる。i

Core i9-9900KSはCore i9-9900Kと比べて4%ほど伸び、Ryzen 7 3700Xを上回っている。Core i9-9900KSが6万円、Ryzen 7 3700Xが45,000円と考えると追い抜いたと言って良いのかは微妙なところだ。シングルスレッドではCore i9-9900KSがトップに立ち、Ryzen 9 3900Xに5%ほど差をつけている。これはCore i9-9900Kも同じであるためシングルスレッドの強さはintel製品の強みと言えるだろう。

Handbrake

handbrakehandbrake-Core i9-9900KS

Handbrakeは動画のエンコードのfpsを測定するもの。x264とh265それぞれ異なるファイル形式で測定している。ここでは性能をある程度示せているようにも見える。x264を得意とするRyzen 9 3900Xには大きく離され、x265を得意とするintelシリーズは善戦という形式は相変わらずだ。Core i9-9900Kと比べても大きな差は無く、力を発揮するには至っていないようだ。

7 Zip

7zip-Core i9-9900KS

7zipファイルの圧縮、解凍速度を計測している。この用途に置いては実用性はともかくRyzenの性能がしっかり反映されている。マルチコア、マルチスレッドの性能が重要となるだけに、intel製品は苦戦を強いられている。フォローするわけではないが、容量の大きい7zipファイルの解凍にかかる時間差はRyzen 9 3900Xとi7-9700Kでも数秒の違いであるため参考程度に見てもらいたい。

Core i9-9900KS搭載おすすめゲーミングPC

G-Tune HP-Z(G-Tune)

masterpiececase価格:259,800円
CPU:Core i9-9900KS
GPU:GeForce RTX 2070 Super
メモリ:DDR4 32GB
SSD:M.2 512GB
HDD:2TB
電源:800W TITANIUM

G-Tune自慢のフルタワーモデルとなっている。赤色のデザインがオシャレだ。RTX 2070 Superを搭載したゲーミングPCとなっている。メモリ32GBと大容量なのが特徴でゲームプレイ時の安定感が増す。SSD M.2 512GB、800W TITANIUMと構成も充実している。どうしてもフルタワーということで価格が上がってしまうが総合的に見ると納得できるモデルと言えるだろう。

G-GEAR neo GX9J-Z194/ZT(TSUKUMO)

G-GEAR neo GX7J-D190ZT価格:249,980円
CPU:Core i9-9900KS(水冷クーラー)
GPU:GeForce RTX 2070 Super
メモリ:DDR4 16GB
SSD:500GB
HDD:非搭載
電源:750W GOLD

RTX 2070 Superを搭載したゲーミングPCだ。ゲーミング性能が高く性能不足になることはない。ただし、CPUの高すぎる性能とはバランスが悪くあまりおすすめできるモデルではない。メモリ16GB、SSD 500GB、電源ユニット 750W GOLDと充実した構成を持っている。

GALLERIA ZZ i9-9900KS搭載(ドスパラ)

galleriaxg価格:274,980円
CPU:Core i9-9900KS
GPU:GeForce RTX 2080 Ti
メモリ:DDR4 16GB
SSD:NVMe 1TB
HDD:非搭載
電源:SILVERSTONE 750W GOLD

最高のグラフィックボードに最高のCPUを組み合わせた最強のゲーミングPCだ。現行でのシングルGPU搭載モデルではコレ以上の性能はなかなか手にできないだろう。特にi9-9900KSをいち早く搭載したことで上手くスタートダッシュを決め、しばらくはライバルが少ないこともあってトップモデルとなる。ただ、そのトップでいられる期間は意外と短いかもしれない。というのも、i9-9900KSは非常に高性能なCPUであるため、組み合わせの幅が少なく、同じ性能帯のモデルにしか搭載されにくい可能性がある。キャンペーンが始まるまでは様子を見るくらいで良さそうだ。

LEVEL-G03A-LCi9KS-XYVI(パソコン工房)

LEVEL-G03A-LCi9KS-XYVI価格:269,980円
CPU:Core i9-9900KS(水冷クーラー)
GPU:GeForce RTX 2080 Ti
メモリ:DDR4 16GB
SSD:NVMe 500GB
HDD:2TB
電源:700W BRONZE

性能はGALLERIA ZZと同じで、構成に違いがあるため好みでの選択を推奨する。まず、このモデルは水冷クーラーによる高い冷却性能が魅力である。また、GALLERIA ZZと異なるHDDとSSDによるデュアルストレージであるため、ストレージの使い分けがしやすい。電源は少し劣るものの、総合的なバランスが高いためこちらを選択するというのも悪くない。

FRGAH370/WS7/NTK(FRONTIER)

frontiergr価格:234,200円 184,800円
CPU:Core i9-9900KS
GPU:GeForce RTX 2070 Super
メモリ:DDR4 16GB
SSD:1TB M.2
HDD:2TB
電源:850W 80PLUS GOLD

フロンティアからも早速搭載モデルが登場している。他のショップとは異なりグラフィックボードにはハイクラスのRTX 2070 Superを搭載している。その分価格も手頃で購入しやすい価格帯だ。ゲーム実況などを考えていてCPU性能を高くしたいというユーザーにおすすめだ。SSD 1TB、HDD 2TBとダブルストレージも強力。電源ユニットも850W GOLDを採用し万全だ。

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ベンチマークテスト環境

desktoppc

GPUGeForce RTX 2080 Ti FE
メモリ2x8GB G.Skill TridentZ RGB DDR4-3200
ストレージSamsung 970 Evo Plus 1TB
Samsung 860 Evo 4TB
電源ユニットCorsair HX850 Platinum
マザーボードMSI MEG Z390 Godlike
参照元:INTEL CORE I9-9900KS REVIEW (PCGAMER)