画像引用元:https://www.amd.com/en/
当ページでは、Ryzen 7 3800Xの性能比較&ベンチマーク検証をしている。第3世代Ryzenシリーズの後発モデルの一つだ。当サイトではすでに第3世代RyzenシリーズのRyzen 9 3900X及びRyzen 7 3700Xについてレビューを行った。このRyzen 7 3800Xはその間を埋めるCPUだ。ただし、Ryzen 7 3700Xと比べて得られるのは3%の性能アップ(価格が21%高い)のみとなっている。
Ryzen 7 3800Xを搭載したBTOパソコンも販売されていたが、Ryzen 7 3700Xと比べるとそこまで人気があったわけではない。そもそもすぐにRyzen 7 3700X搭載モデルに切り替わり販売期間が短かったように思う。2024年11月時点で少しだけ中古ゲーミングPCを見つけることができる。「Ryzen 7 3800X搭載の中古ゲーミングPC一覧」で紹介しているので参考にしてほしい。
後継モデルは、「Ryzen 7 5800X」だ。Zen 3アーキテクチャ採用のモデルで高いパフォーマンスを発揮する。ゲーム適性にも優れているが、価格が$449と$50上がってしまったのが痛い。どうやらAMDはプレミアム路線への転換を考えているのかもしれない。
当ページの目次
よくわかる!!Ryzen 7 3800Xの特徴まとめ
コードネーム | Zen 2 |
---|---|
プロセス | 7nm |
コア/スレッド数 | 6コア/12スレッド |
定格/最大クロック | 3.9 GHz/ 4.5 Ghz |
L3キャッシュ | 32MB |
TDP | 105W |
発売日 | 2019年7月12日 |
MSRP | $399 |
中古価格 | 14,980円~ *2024/11時点 |
コメント | (+)Ryzen 7 3700Xよりも高いクロック周波数を持つ (-)ゲーム性能はRyzen 7 3700Xと同等に留まる (-)消費電力がかなり高い (-)搭載ゲーミングPCのラインナップが僅少 |
評価 | ・総合評価 5.5 ・ゲーム評価 5.5 |
Ryzen 7 3800Xの基本情報
基本スペック
Ryzen 7 3800X | Ryzen 7 3700X | Ryzen 7 2700X | |
---|---|---|---|
メーカー | AMD | AMD | AMD |
プロセス | 7nm | 7nm | 12nm |
コードネーム | Zen2 | Zen2 | Zen+ |
CPUコア数 | 8 | 8 | 8 |
スレッド数 | 16 | 16 | 16 |
定格クロック | 3.9 GHz | 3.6 GHz | 3.7 GHz |
最大クロック | 4.5 GHz | 4.4 GHz | 4.3 GHz |
L3キャッシュ | 32MB | 32MB | 16MB |
TDP | 105W | 65W | 105W |
MSRP | $399 | $329 | $329 |
中古価格 | 14,980円 | 13,980円 | 8,980円 |
発売日 | 2019年7月12日 | 2019年7月7日 | 2018年4月19日 |
顕著な違いは、クロック周波数が引き上げられていることだ。ースクロック10%アップ、ブーストクロック3%アップとなった。Ryzen 7 3700Xの弱点をカバーできていてより高負荷への適性が上がっている。ただし、大幅に性能がアップしたというわけではない。ゲームプレイだけに限定するとRyzen 9 3900Xに匹敵する性能を持つが、これはRyzen 7 3700Xにも当てはまる。
一方で、Ryzen 7 3700Xよりも消費電力が大きく105Wとなっていることは無視できない。アーキテクチャを変えずにクロック周波数を引き上げたのだから当然だろう。電源ユニットなどには気を使う必要がある。
Intel製CPUと比較
Ryzen 7 3800X | Core i7-9700K | |
---|---|---|
メーカー | AMD | Intel |
プロセス | 7nm | 14nm++ |
コードネーム | Zen2 | Coffee Lake R |
CPUコア数 | 8 | 8 |
スレッド数 | 16 | 8 |
定格クロック | 3.9 GHz | 3.6 GHz |
最大クロック | 4.5 GHz | 4.9 GHz |
オーバークロック | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ | 32MB | 12MB |
オンボードGPU | 非搭載 | UHD 630 |
クーラー | Wraith Prism | 非搭載 |
TDP | 105W | 95W |
MSRP | $399 | $385 |
中古価格 | 14,980円 | 19,980円 |
発売日 | 2019年7月12日 | 2018年10月20日 |
Core i7-9700Kの消費電力は95Wである一方でRyzen 7 3700Xでは105Wと10%ほど大きい。実際は計測している環境が異なるためAMDの7nmプロセスの方がIntelの14nmプロセスよりもパワー効率が高いと考えて良い。また、Ryzen 3800XではL3キャッシュが32MBとIntel Core i7-9700Kの12MBよりも大きいにもポイントだ。スペックだけ見るとAMDが優秀だ。
Ryzen 7 3800Xの最新評価【2024年】
ローエンドからミドルクラス相当のゲーム性能を持つ
Ryzen 7 3800Xは、Ryzen 7 3700Xの上位モデルとなっている。性能差は1%未満で誤差の範囲だと言える。より高クロックなRyzen 7 3800XTでもそこまで性能は変わらない。競合のCore i7-9700Kよりもわずかにゲーム性能が高い。後継モデルであるRyzen 7 5800Xになると一段性能が高くなる。性能差は25%以上だ。純粋なCPU性能だけではなくゲーム適性も向上している。ただし、価格が高いため価格が抑えられているRyzen 7 3800X/Ryzen 7 3700Xには優位性がある。
次世代のCore i5-10400やRyzen 5 5600Xになると完敗だ。Ryzen 7 3800Xはそこまでゲームに最適化されているわけではないと言える。マルチコア性能についてはCore i7-9700Kと比べて圧倒的な性能を誇る。性能差は65%以上と大きい。Core i7-9700Kはハイパースレッディングに対応していないのでRyzen 7 3800Xが圧倒する形だ。8コア16スレッドとスペックが高いことが功を奏している。
コストパフォーマンスはRyzen 7 3700Xに劣る
製品名 | コア/スレッド | ゲーム性能 | 価格 | コスパ | 発売日 |
---|---|---|---|---|---|
Core i5-13400F | 6/12 | 28,926 | 23,980 | 1.206 | 2023/01/03 |
Ryzen 7 5700X | 8/16 | 27,036 | 22,480 | 1.203 | 2022/04/04 |
Core i5-12400F | 6/12 | 26,448 | 15,980 | 1.655 | 2022/01/05 |
Ryzen 5 5600X | 6/12 | 25,932 | 13,980 | 1.855 | 2020/10/09 |
Core i7-11700 | 8/16 | 24,828 | 28,980 | 0.857 | 2021/03/17 |
Core i5-11400F | 6/12 | 22,473 | 16,980 | 1.323 | 2021/03/30 |
Core i5-10400F | 6/12 | 22,301 | 13,980 | 1.595 | 2020/05/20 |
Ryzen 7 3800XT | 8/16 | 22,032 | - | - | 2020/07/23 |
Ryzen 7 3800X | 8/16 | 21,884 | 14,980 | 1.461 | 2019/07/12 |
Ryzen 7 3700X | 8/16 | 21,811 | 13,980 | 1.560 | 2019/07/07 |
Ryzen 5 5500 | 6/12 | 21,713 | 10,980 | 1.978 | 2022/03/22 |
Ryzen 5 3600 | 6/12 | 21,476 | 9,980 | 2.152 | 2019/07/07 |
Core i7-9700K | 8/8 | 21,394 | 19,980 | 1.071 | 2018/10/20 |
Core i7-9700 | 8/8 | 21,271 | 17,980 | 1.183 | 2019/09/06 |
ゲーム性能だけで言えばCore i5-10400Fも魅力的なモデルと言える。スペックは6コア12スレッドと低くなるが、ゲーミング適正では上回る。次世代のRyzen 5 5600Xも候補に入れてよいだろう。中古価格はRyzen 7 3800Xよりも安くより高いゲーム性能を得られる。Core i7-9700Kについては19,980円~と高値を維持している。コストパフォーマンスは高いとは言えないが、オーバークロックが前提なら選択肢に入れてもよさそうだ。Kモデルは自作ユーザーからの支持が厚くなかなか価格が下がらない傾向にある。
Ryzen 7 3800Xの特徴&注意点【発売時点】
Ryzen 7 3700Xより5%高い性能を持つ
Ryzen 7 3800Xは、Ryzen 7 3700Xよりも5%程度高い性能を持つ。定格クロックが0.3GHz上がり、最大クロックが0.1GHz上がったことによる恩恵だ。その分消費電力が65W→105Wへと引き上げられている。正直消費電力の大きさに比べると性能への影響は大きくない。これはAMDが期待していたほどではなかったのかもしれない。
両者は同じZen 2アーキテクチャを採用し第2世代のRyzenシリーズよりもIPCが15%改善している。つまり、Ryzen 7 2700Xとの性能差は大きい。Precision Boost 2は、環境によってCPU性能を引き上げることができる機能だ。温度管理がとても重要なキーとなっている。CPUクーラーを標準のものからより高性能なものに交換すればオーバークロックにも対応しやすい。
CPUに使用されるダイは、同じシリコンウェハから作られる。しかし、同じシリコンウェハでも中には優等生が現れる。当然数は少ないがその優等生がRyzen 9 3900XやRyzen 7 3800Xに割り当てられるのだ。標準よりやや上ならRyzen 7 3700X、平凡ならRyzen 5 3600といった具合だ。
Silicon Lottery(SILICON LOTTERY, 公開年不明)によると、Ryzen 7 3700Xのトップ20%はAVX2ストレステストの4.3GHzをパスしている。一方、3700Xのトップ21%は4.15GHzに留まる。また、すべての3800Xは、4.2GHzのテストをパスしているが、3700Xはせいぜい4.05GHzとなっている。
つまり、3800Xはオーバークロックをしたときに150MHzの余力があるということだ。Ryzen 7 3800Xはエリート集団であることは間違いない。消費電力が高くなっているのはこれも関係しているだろう。
なお、このSilicon Lotteryというのはシリコンの宝くじという意味で、シリコンには当たりもあればはずれもあるということだ。瓶でCPUを振り分けているためユーザーは必要なCPUを購入できる。
次世代規格を持つCPUとなっている
Ryzen 7 3800Xは、Ryzen 7 3700Xと同様に次世代規格を持つCPUだ。AMD製CPUが優れているのは何も性能面だけではない。規格という面においてもIntel製CPUよりも優勢だ。
例えば、新しいマザーボードのチップセットX570を選択すればPCI Express 4.0を使用することができる。従来の3.0よりも転送速度が高く、対応しているグラフィックボードやSSDを選択すれば高パフォーマンスを発揮できる。これはIntel製CPUにはない強みとなっている。
また、Ryzen 3000シリーズではデュアルチャネルのDDR4-3200をサポートしている。前世代のDDR4-2966からステップアップしている。AMDはメモリの互換性及びオーバークロック性能を大幅に改善している。今後の標準となることは間違いない。
搭載されているBTOパソコンはほとんどない
Ryzen 7 3800Xを搭載したゲーミングPCはほとんどなくカスタマイズでのアップグレードを基準に考える必要がある。主流はやはりRyzen 7 3700Xだ。ほとんどのBTOメーカーでRyzen 7 3700X搭載のモデルを取り扱っている。自作派の方は特に問題となることはないが、BTOパソコンの購入を考えている方は慎重に検討する必要がある。
基本的にはRyzen 7 3700X搭載モデルの方がコスパが高い。上記に記載したとおりわずかなパフォーマンス向上にもかかわらずAMDは当該CPUに対して21%価格を引き上げている。性能差は大きく見ても5%程度であることを考えるとなかなか強気な価格設定だ。また、搭載モデルが少ないということは仕入れ数も少なくそれが搭載モデルの価格に影響を与える。
Ryzen 7 3800Xのゲームベンチマーク一覧
Far Cry 5
Hitman 2
Final Fantasy XV
その他アプリケーションのベンチマーク
Cinebench R20
GeekBench 4
Handbrake
7 Zip
Ryzen 7 3800X搭載の中古ゲーミングPC一覧
Ryzen 7 3800Xを搭載したゲーミングPCのラインナップはそこまで多くない。モデルが見つからなければRyzen 7 3700X/Ryzen 5 3600搭載モデルなどを検討しよう。BTOパソコンとして人気が高かったこともあり数多くのモデルから選択できる。おすすめ中古ゲーミングPC特集も参考にしていただければと思う。お得に中古ゲーミングPCを購入するポイントを理解できる。
ENTA-GR38XRX57-192(マウスコンピューター)
CPU:Ryzen 7 3800X
GPU:Radeon RX 5700
メモリ:16GB
ストレージ:SSD 512GB+ HDD 1TB
電源:非公開
コスパ:調査中
GPUにもAMD製Radeon RX 5700を搭載した珍しいゲーミングPCだ。性能的にはGeForce RTX 2060やRadeon RX 6600が近い。ローエンドクラスのモデルでフルHD環境でのゲームプレイに適している。メモリ16GBと必要十分だ。ストレージはSSD 512GB+HDD 1TBのデュアルストレージ採用となる。ゲームやメディアをたくさん保存したいユーザーにも最適だ。このEnta(エンタ)」シリーズはマウスコンピューターがビックカメラグループ(ビックカメラ・コジマ・ソフマップ)向けに展開していたモデルとなる。そこまで知名度があるブランドではないものの洗練されたデザインで評価している。
PM-AB450 Ryzen7 3800XT(マウスコンピューター)
CPU:Ryzen 7 3800X
GPU:GeForce GTX 1660 SUPER
メモリ:16GB
ストレージ:SSD 500GB
電源:非公開
コスパ:調査中
こちらはマウスコンピューターのゲーミングブランドであるG-TuneブランドのゲーミングPCだ。今も続く人気のブランドとなる。Ryzen 7 3800X×GeForce GTX 1660 SUPER搭載のローエンドクラスのモデルだ。設定を調整すれば快適にゲームを楽しめる。高解像度でのゲームプレイははっきりと苦手だ。メモリ16GB・SSD 500GBと構成は平均的といえる。
Ryzen 7 3800X搭載おすすめゲーミングPC
CY-AR8X57ARN7-N5(Ark)
CPU:Ryzen 7 3800X
GPU:Radeon RX 5700 XT
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:512GB NVMe+1TB NVMe
HDD:非搭載
電源:750W 80PLUS PLATINUM
唯一Ryzen 7 3800Xが搭載されたゲーミングPCだ。グラフィックボードにはRX 5700 XTを採用しAMDが好きな方にぜひ選んで欲しい。WQHD環境までなら対応できるポテンシャルを持っている。メモリ16GB、SSD 512GBと構成も充実。電源ユニットには強力な750W PLATINUMを採用しているのも評価が高い。
ZEFT R7K02(パソコンショップセブン)
CPU:Ryzen 7 3700X カスタム可
GPU:GeForce RTX 2060 Super
メモリ:DDR4 16GB
SSD:480GB
HDD:非搭載
電源:600W 80PLUS BRONZE
+14,800円でRyzen 7 3800Xにアップグレードできる。もっともこれだけカスタマイズにお金を掛けるのであればグラフィックボードやストレージにお金を掛ける方が良いだろう。MSI製やASUS製のグラフィックボードが選択できる。メモリ16GB、SSD 480GBと十分な構成だ。電源ユニットは600W BRONZEを採用し土台もしっかりとできている。
GALLERIA AXF(ドスパラ)
CPU:Ryzen 7 3700X カスタム可
GPU:GeForce RTX 2070 Super
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:2TB
電源:650W 80PLUS BRONZE
+10,000円でRyzen 7 3800Xにアップグレードすることが可能だ。パソコンショップセブンよりカスタマイズ費用が安いのは魅力的だ。このモデルに関してはメモリ、SSD、HDDと構成が充実しているためこれらに手を加える必要はない。Ryzen 7 3800Xへのアップグレードよりも電源ユニットのアップグレードの方が実用性が高くおすすめだ。
参照外部サイト
- HISTORICAL BINNING STATISTICS(SILICON LOTTERY, 公開年不明)
その他あなたにおすすめの記事はこちら!
- 管理人厳選のおすすめゲーミングPCランキング
- ゲーミングノートPCおすすめランキング
- 当サイト紹介ゲーミングPC一覧表
おすすめのゲーミングPCランキングを紹介している。コストパフォーマンスが高いモデルに人気が集中していると言える。
イチオシのゲーミングノートPCを紹介している。外出先でもゲームを楽しみたいという方はぜひ参考にしてほしい。
当サイトでレビューをしている全てのゲーミングPCを表でまとめている。一覧で見れば、ゲーミングPCの構成や相場感を把握することができる。
ベンチマークテスト環境
GPU | MSI Trio GeForce RTX 2080 Ti |
---|---|
メモリ | – |
ストレージ | – |
電源ユニット | – |
マザーボード | MSI X570 Creation |