gtx1060elsa画像引用元:https://www.elsa-jp.co.jp/

当記事では、グラフィックボード(GPU)に搭載されているメモリについて解説している。GPUメモリについて詳しく知りたいという方向けのコンテンツだ。GPUメモリは、ビデオメモリーやVRAMと呼ばれることもあるので合わせて覚えておくとよい。

まず基本的なグラフィックボードのメモリの役割についてまとめている。また、パソコン本体に搭載されているメモリとの違いにも触れる。その後中上級者向けにもう少し突っ込んだ内容をまとめている。例えば、ゲーミングに必要なメモリ容量の検証やよくある疑問についてなどだ。知識がある方はぜひ参考にして欲しい。

GPUメモリ(VRAM)の概要(容量、規格 etc.)

GPUメモリ(VRAM)とは?

videocard

パソコンの画面表示に必要なデータを保存する専用のメモリー。いわゆるメモリー(メインメモリー)とは別の部品になっている。

VRAMの容量が多いと、高い解像度にしても、たくさんの色数で画面表示できる。

引用元:【ビデオメモリー】用語解説辞典|【公式】NTTPC

定義に関しては、NTTPCの用語解説辞典がわかりやすいので引用しておこう。GPUメモリとは、グラフィックの処理にのみ特化したメモリと考えてもらえばわかりやすいと思う。メインメモリとは役割が異なっている。違いは後述している。

グラフィック処理を行う際に、必要に応じて映像データを一時的にGPUメモリに保存して必要な処理を随時行う形になる。映像処理をスムーズに行うためにまずグラフィックボードの処理速度が優先される。

しかし、リアルタイムにたくさんの映像処理を行うと、遅延が発生してしまいスムーズな処理ができなくなることもある。そこでGPUメモリが登場するというわけだ。GPUメモリ容量が大きければ大きいほどたくさんの映像に関する情報を保存することができ、同時に情報処理も行ってくれる。

グラフィックボードのGPUメモリ容量は2GB~11GBの範囲となっている。GPUメモリを活用することでゲームプレイ時などに遅延が発生せず、リアルタイム描写でありながらスムーズな処理が可能になるのだ。GPUメモリ自体表に出るものではないが実は非常に重要な役割を果たしている。

GPUメモリ規格

メモリ規格GDDR6GDDR5XHBM2
製造元Samsung
Micron
Hynix
MicronSamsung
Hynix
最大キャパシティー24GB16GB32GB
最大速度16 Gbps10 to 14 Gbps2.4 Gbps
バス幅384-bit256-bit3092-bit
消費電力1.35V1.35V1.20V
搭載モデルRTX 20シリーズ
RX 5700 XTなど
GTX 1080 Ti
GTX 1080など
Radeon Ⅶ
RX Vega 64 など
GPUメモリにもシステム搭載のメモリのように規格がある。現在の主流はGDDR6だ。省電力かつ性能が高いというのが特徴となっている。前世代のグラフィックボードとメモリ容量が同じだったとしても規格が異なることでパフォーマンス面にも影響を与える。

HBM2は、主にAMDが採用しているメモリ規格だ。省電力性・パフォーマンスが高いがコスト面で不利になってしまう。そのため、AMDの最新のグラフィックボードではGDDR6を搭載している。今後HBM2に移行する可能性は低いだろう。

GPUメモリ消費量の確認方法

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GPUメモリの消費量についてはタスクマネージャーから確認することが可能だ。タスクマネージャーを開いて、”パフォーマンス”タブのGPU 1をクリックして専用GPUメモリを確認しよう。ゲームプレイ中やアプリケーションの使用中にどのぐらいの容量を消費しているのかを把握すればイメージしやすくなるだろう。まだ見たことがない方はぜひ試してみてほしい。

VRAMとRAMの違いとは?

メモリと聞けばゲーミングパソコン本体に搭載されているメモリ(RAM)を連想しがちだ。このRAMは、CPUとHDDとの綱渡し役で、いわゆるVRAMとは全く異なるものとなっている。GPUメモリよりも広範囲な情報を取り扱う。

グラフィックボードに搭載されているメモリはあくまでもグラフィックに関する情報のみを保存する。GPUメモリもとても重要なパーツなので、軽視してはいけない。本体に搭載されるメモリ(メインメモリ)とは本質的に全く違うものになる。

保持する情報に違いがあると考えれば十分だ。GPUメモリの容量が多いと下記のようなメリットがある。

GPUメモリが多いことによる恩恵

高解像度でゲームができる
高いテクスチャ環境でゲームができる
アンチエイリアス処理をしていても快適なプレイができる

GPUメモリの役割(中上級者向け)

次にGPUメモリがどのような用途で使用されているのかを知る必要がある。かなり簡略化しているが下記のような役割がある。初心者の方や簡単に役割を知れれば十分だという方はスキップしていただいても問題ない。

テクスチャの読み込み

テクスチャの読み込みが基本的な役割となる。テクスチャとは、ものの表面の質感をリアルに表現するために貼り付ける画像のことだ。車の汚れやシミを表現したり、ビルの模様を表現したりするのに利用される。リアリティを出すために必須の技術だと言える。

メモリにロードされるテクスチャのサイズはプレイしているゲーム及びゲームにセットされている質によって異なる。例としては、スカイリムの高解像度テクスチャでは3GBのテクスチャが含まれている。

ほとんどのアプリケーションは必ずしも全てのテクスチャがGPUメモリに残るわけではなく、動的に必要な時にテクスチャをロードしたり、ンロードしたりする。しかしながら、特定のシーンを描写するために必要なテクスチャは必ずメモリに保持される必要がある。

フレーム・バッファーの保持

フレームバッファとは、複数のレイヤーにあるオブジェクトを一枚にすることを指している。このフレームバファでは、ディスプレイに送られる前または間に画像が描写されるとそのイメージを保持するために使用される。

このように、メモリの使用量は出力する解像度(1920×1080×32の場合は8.3MBで3840×2140×31の場合は33.2MBとなる。)やバッファーの数に依存することになる。特定のアンチエイリアス処理(FSAA,、MSAA,、CSAA、CFAAが対象でFXAAとMLAAは対象外となる。)は描写されるべきピクセルの数が飛躍的に増加するので、それらは全体的に必要なGPUメモリの量を増加させる。

特に描写ベースのアンチエイリアス処理ではメモリー使用量に甚大な影響を与え、サンプルサイズが増加するにつれてさらに増えることになる。追加のバッファーはさらにGPUメモリを消費する。

Zバッファーの保持

Zバッファーを保持するという役割がある。Zバッファーとは、3次元画像の表示を深度情報を活用して高速化する技術のことだ。GPUメモリにはこの深度情報を格納することになる。

ゲーミングPCに必要なGPUメモリ容量は?

最低限必要なGPUメモリ容量は2GB

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前世代でかろうじてゲームプレイができるGTX 1050の2GBがゲーミングPCに必要な最低ラインとなる。ただし、GTX 1050の性能面まで考えるとやや厳しくなってきているのは事実だ。GTX 700番台のGTX 750 Tiだと1GBだったが、1GBではもう2020年時点では通用しない時代になった。

現行のグラフィックボードだとローエンドのGeForce GTX 1650でも4GBを搭載している。今後は4GBあるいは6GBが当たり前の時代が来るだろう。GTX 1650で4GB、GTX 1660で6GB、RTX 2060 SUPERで8GBとなる。基本的にGPUメモリ容量は「グラフィックボードの性能に依存する」と考えておけばいいと思う。

メモリが4GBとなると、リファレンスモデルではハイエンドモデルであることがほとんどのように相応のメモリというものがある。情報の蓄積量と処理速度が関係する以上、基本的に性能が良いグラフィックボードほどメモリ容量が大きいと効果が高い。

GPUメモリ容量の異なるモデルがある

グラフィックボードの中にはメモリ容量の異なるラインナップが出ている場合がある。前モデルで人気を博したGTX 1060には、GTX1060 3GBとGTX1060 6GBがあった。AMDにもRX 570のように4GBと8GBといったように異なるモデルが販売されている。同じグラフィックボードであるという前提で、メモリ容量が多い方が良いのかどうかということを決めるのは難しい。

たとえGPUメモリが多いとしても、処理速度が遅いグラフィックボードだと結局メモリ容量を上手く生かすことが出来なくなるのだ。一例を挙げるならばGTX760は2GBだが、4GBのモデルも存在している。この2GBと4GBではどちらのほうが性能が良いかと言われても、GPUメモリ容量がそれほど大きな影響を与えることはなくほぼ同等の性能と考えてよいだろう。グラフィックボード自体の性能によってアッパーが決まってしまうということだ。

4GBが必要なゲームであればGTX 760の4GBのほうが良いと思ってしまうかもしれない。しかし、事実はそうでもないこともある。というのも、性能自体はどちらもGTX 760なのだからメモリが大きくなろうと処理性能に違いはない。容量が大きくなることによりスムーズに処理できるはずだが、処理速度が追いつかずに遅延の原因となることもある。ただし、これはゲームタイトルによるため全てのゲームでそうなるとも限らない。

それこそGTX 780 Tiに「6GB版が出る」と話題になったように、もしも全世界で発売されていたら世界はGTX900番台の登場を待たず革命的な衝撃を受けただろう。GTX 760では元々の性能がそこまで高くないことであまり意味がないと一蹴された。しかし、当時のハイエンドモデルであるGTX780Tiがメモリ2倍となれば話は別だ。

現行のグラフィックボード搭載メモリ容量一覧

型番GPUメモリ
RTX 2080 Ti11GB
RTX 2080 SUPER8GB
RTX 2070 SUPER8GB
RTX 20708GB
RTX 2060 SUPER8GB
RTX 20606GB
GTX 1660 Ti6GB
GTX 1660 SUPER6GB
GTX 16606GB
GTX 1650 SUPER4GB
GTX 16504GB
GTX 1060 6GB6GB
GTX 1060 3GB3GB
GTX 1050 Ti4GB
GTX 10502GB
GTX 10302GB
現行のRTX 20シリーズ及びGTX 16シリーズの各グラフィックボード(Turing世代)のGPUメモリをまとめている。フラグシップのRTX 2080 Tiになると11GBと大容量だ。RTX 2080 SUPER~RTX 2060 SUPERまでが8GB、GTX 1660までが6GB、それ以下が4GBだ。

前世代のGTX 1050及びGT 1030は2GBでそれ以外のモデルは2GB以上を搭載していることがわかる。GTX 1050 Tiは4GBメモリを搭載しているが、GTX 1060 3GBと比較すると性能は劣る。このことからGPUメモリの容量によって性能が大きく変わるということはないということが理解できるだろう。

GTX 1060 6GBと3GBのベンチマークの比較

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過去モデルの紹介記事となっているので、現時点では通用しないこともあることは理解しておいて欲しい。現行の売れ筋モデルであるGTX 1060にはGPUメモリ6GBと3GBの二つのモデルがある。この二つを比べればGPUメモリの容量がゲームに与える影響についてイメージしやすいだろう。上のテーブルの黄色が6GB、緑色が3GBとなっている。

ショップによって取り扱いが異なる

ドスパラではXTやDTの売れ筋モデルが6GB搭載となっているのは興味深い。価格差がほとんどなく上位モデルである6GB搭載モデルがドスパラのキャンペーン対象になりやすいのであえて6GBを選択しても損はないだろう。ただし、後述するが性能差はそこまで高くない。

一方、G-Tuneでは6GBモデルがそもそもラインナップにない。割り切ってしまっているのが現状だ。G-Tuneはあまりセール対象とならないので3GBモデルを搭載することで価格を抑える狙いがあるのかもしれない。もちろん性能差がほとんどないことを考慮した上での選択だろう。

FF14のベンチマークを比較

GTX1060の6GBと3GBでどのぐらいの性能差があるのかFF14のベンチマークを見てみよう。第六世代CPUの最高峰Core i7-6700Kを搭載している同じ構成のモデルで比較している。これを見ればほとんど差がないことがわかる。もちろんあくまでもベンチマークなので、実際のゲームプレイでは多少異なる可能性はある。それでもある程度参考にしても問題はないと考える。

6GBモデルが12,857、3GBモデルが12,257となっている。およそ5%しか差がないことになる。CPUが劣るにも関わらずGTX1070搭載モデルだと30%程度性能差があることを考えると極わずかだということだ。また、ここでは紹介していないが、3DMARKでは3GBの方がスコアが高くなっている。これはフルHD環境が要因だろう。やはり特殊な環境でないとGPUメモリを最大限生かすのは現時点で難しいと考えられる。

詳細は下記の記事を参考にして欲しい。GALLERIA XTの実機レビューにおいて、第六世代CPUのモデルと性能を比較するのに6GBと3GBを引き合いに出している。スペックの解析やケースの紹介を行っている。GTX1060のメモリ容量の違いについてもまとめているので、是非参考にして欲しい。

マーケティング手法として使われるというお話

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GPUメモリの過信は禁物

GPUメモリに関しては色々な憶測が飛び交っている。GPUメモリ自体がビデオカードの販売メーカーによってマーケティングの道具として使われることがある。どういうことかというと、ゲーマーの多くは、何事も多ければ多い程質がいいものと信じている。

そのため各メーカーはメモリ容量の多さを大きく売り出しプロモーションを強化するのだ。結果として、彼らが必要とするものより多くのRAMを搭載した入門用ビデオカードを購入してしまうのは当然かもしれない。失敗しないためには必要な性能を考えてそれを基準にグラフィックボードを選ぶことだ。GPUメモリを基準にすることはNGとなる。

GPUメモリ<グラボ性能

2GB搭載GPUは1GB搭載GPUよりも早いというのは時に真実ではない。メーカーは時にあまり高価ではないグラフィックボードにあまりにも多くのメモリを搭載することで多くのマージンをとるというのは驚くことではない。なぜなら多くのメモリを積んでいるグラフィックボードの方が速くなると信じている人がいるので販売側にはおいしい話だ。

当然GPUメモリを増やせば販売価格を高く設定することが可能になる。実際は、ビデオカードが搭載してるメモリ容量というものはゲームをプレイしていてメモリを全て使用できる環境にない限りは製品のパフォーマンスに影響を与えることはない。それでは多くのGPUメモリがあるのはどういうときに効果があるのだろうか。

当記事のまとめ

グラフィクボードのメモリ(GPUメモリ)とは、グラフィック情報を一時的に保存しておくことができるパーツだ。GPUメモリはグラフィックボードの内部に搭載されている。美しい映像をリアルタイムに映し出すためには、メモリに情報を移して効率化する必要があるのだ。これは本体にあるメモリ(ROM)と異なるものとなっている。

GPUメモリの大きさはゲームプレイに影響を与えないことがある。GPUメモリが多ければ多いほど良いと考えるのは、グラフィックボードを販売している側の策略かもしれない。実際に容量の差を体感することはできないので深刻に考える必要はない。GPUメモリは補完的に考えてグラフィックボード自体のパフォーマンスを重視するのがおすすめだ。

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