パソコンの電源に付属しているアース全般のことを解説していく。パソコン(ゲーミングPC含む)の電源にはアースと呼ばれる線が付いているのが一般的だが、その使い方や必要性について完璧に理解している方は少ないのではないかと思う。アースとは写真の黄色と緑色の配線のことだ。冷蔵庫・電子レンジ・洗濯機などの家電製品でも必ず付いている。
当ページの目次
アースって何のこと?
画像引用元:https://www.chiko.co.jp/(日本地工株式会社)
“接地(アース)”とは、電気設備機器や電路と大地を電気的に接続することです。
引用元:(日本地工株式会社, 公開年不明)
アースについて専門サイトの定義を引用している。アース(Earth)とは、接地接続のことを意味している。「Earth」には地球や大地という意味もあり、そちらの方がイメージしやすいかもしれない。アースを取り付ける理由は、感電の防止や落雷時の電気の逃げ道(避雷針のような効果)をつくることだ。パソコンが漏電した際に、電気を地面に逃がす役割を持つ。アースがないと最悪の場合人が感電してしまうことになる。
家電製品から発せられる電磁波対策にもなる。電気を地球あるいは大地に逃がすと考えるとわかりやすい。電源と合わせてアース端子に取り付けると効果を発揮する。万が一の事態が起こったとしても被害を抑えることができる。例えば、漏電による感電や火災予防に効果的だ。また、静電気の除去にも効果がある。場合によってはノイズ軽減にも効果が期待できる。
主にパソコン・冷蔵庫・電子レンジ・洗濯機などの家電の電源に付いている。法律で定められているのだ。特に水回りで使用することの多い冷蔵庫・電子レンジ・洗濯機などではできる限り利用したい。私もできる限りアースを取り付けるように意識している。
パソコンのアースの必要性について
パソコンのアースについては取り付けることができる環境があるのであれば使用するに越したことはない。使用することによるデメリットはない。慣れていない方でも簡単に取り付けることが可能だ。エアコンや洗濯機の設置を想定したコンセントにはアース用の端子が設置されているのが一般的だが、それ以外のコンセントでは付いていないことも多い。実は工事でアースを取り付けることも可能だ。
取り付けないことを推奨しているわけではないが、パソコンに限って言うとほとんどの方が使っていないと思う。「アースは取り付けたほうがいいけど強制ではない、あくまでも、自己責任ね!」という話だ。ただし、電磁波過敏症の方などは取り付けるべきだろう。極稀な症状とは言えど、確かに存在するものなので慎重になって当然だ。万が一の事態が起こる可能性に対しての保険になる。
アース線の取り付け場所がない時の対処法
ほとんどの方がアース線の取り付け場所がなくて悩んでいるのではないかと思う。筆者もほとんどのコンセントにアース線を取り付ける場所がなく苦労している。
アース付きのコンセントに交換する
もっとも確実なのがアース付きのコンセントに交換することだ。作業を行う上でアース棒を地中に埋設して、アースを取るケースでは電気工事士の資格が必要となる。決して素人が見様見真似で手を出してはいけない。相場的には数万円単位でのコストが掛かるので、パソコンのためだけに工事(D種接地工事)をするのは現実的ではなさそうだ。
一つの差込口にアース線を集約する
一つでもアース付きのコンセントがあるのであればそこに集約させるのもよいだろう。アース線の長さが足りないのであれば長いタイプに変更すれば対応できる。これが最も現実的ではないかと思う。
プラグ型漏電遮断器を利用する
もっとも気軽な対策がプラグ型漏電遮断器の利用だ。電化製品が漏電した場合、瞬時に察知して電気を遮断して危険を防ぐ。ただし、アース線とは役割が異なるので完璧な代替とはならない。
アースを使用しない場合のリスク
漏電による感電・火災
アースを使わないと漏電してしまう可能性がある。何らかの要因で電気が漏れてしまうと感電してしまう。火災を引き起こす可能性も否定できない。濡れた手で家電製品を触ってしまうと最悪の場合死につながることになる。安全性の観点から言えば、やはりアースを使用しておくのが無難だ。ゲーミングPCの使用時にはプラグ型漏電遮断器と呼ばれる機会を使うとよいだろう。工事が不要なので賃貸でも気軽に利用可能だ。
電磁波過敏症による体調の変化
近年、オール電化、送電線、電気自動車、スマートメーター、携帯電話、Wi-Fi 等、激増する人工電磁波がもたらす環境変化は、EHS(電磁過敏症)患者の発生を増やし続けている。それは、頭痛、耳鳴り、ふらつき、めまい、睡眠障害、血行不良、動悸、関節痛などの症状を呈することが多い。
引用元:(亀 節子, 2018)
電磁波過敏症という病気があることを知っているだろうか。電磁波過敏症とは、パソコン、携帯電話、電子レンジなどの家電から発せられる電磁波によって身体に異常が表れる疾患のことだ。具体的には、上記の通り頭痛・耳鳴り・ふらつきなどの症状が挙げられる。
現在電磁波過敏症に対しての治療法が確立されていないため、電化製品のアースを取り付けるなどで予防をすることが必要となる。また、入浴・腹式呼吸・発声や音楽療法など日常的に対応できるものも取り入れていく姿勢が求められているということ(亀 節子, 2018)だ。
こういった症状に悩んでいる方はまずは医師の診察を受けるべきだ。その後できることから初めていくとよいだろう。なお、居住環境における商用周波電磁界が人の健康に悪い影響を及ぼすという再現性のある結果は得られていないこと(経済産業省, 2021)は留意しておこう。
当記事のまとめ
当ページでは、アースとは何か、パソコンのアースの必要性などについて解説した。また、電磁波過敏症についても簡単に紹介している。アースとは、電気を地面に逃がすためにあるパーツだ。漏電による感電や火災などのトラブルから家電を守ってくれる。また、静電気の除去やノイズ除去にも効果がある。パソコンにもアースはあるが現実問題として使用している方は少ないだろう。
今アース付きのプラグでパソコンなどを接続している場合、そのコンセントにアースを取り付ける場所があるのかを確認しよう。無いのであれば、このことに目を瞑って今まで通り使うしかない。もしもコンセントに取り付け口があるのであれば、取り付けること自体にデメリットはないのでこれを機に是非取り付けておくのもよい。
参照外部サイト
- 接地(アース)とは|日本地工(日本地工株式会社, 公開年不明)
- 人工電磁波がもたらす健康影響について――電磁過敏症をめぐる諸問題――(亀 節子, 2018)
- 電磁界と健康(経済産業省, 2021)