2025年2月以降のゲーミングPC市場に関する考察をまとめました。ゲーミングPC市場に明らかな異変が起きていることに気付いている方も多いのではないかと思います。具体的にはゲーミングPC価格の高騰・品薄・納期の長期化です。2022年~2023年頃にはコロナによる影響もあってゲーミングPC価格の高騰が続いたことがありますが、今回の高騰はその時以上のインパクトがあるのではないかと考えています。
ゲーミングPC価格高騰の根本的な原因はグラフィックボードの需要に対して供給が追い付いていないからで、どうして供給不足になったかを見ていけば状況を理解できるはずです。まずは今ゲーミングPC市場で起きている異変について詳しく見ていきます。次に、その原因となっているグラフィックボードの供給不足の要因を解説します。最後にユーザーがとるべき行動についてまとめて終わります。
今起きているゲーミングPC市場の異変
すでに気付いている方も多いと思いますが、今ゲーミングPC市場には主に3つの異変が起きています。購入を考えていた方にとっては悩ましい状況だといえます。もっともすべてのモデルに当てはまるわけではないので、お得なモデルに絞って購入を検討するとよいでしょう。
価格高騰
一番大きなところではゲーミングPC価格高騰が目立ちます。高騰の例として2つのモデルをピックアップしました。まずはドスパラの売れ筋モデルだった「GALLERIA RM7C-R46T」です。現在の価格は249,980円となっていますが、1月上旬までは189,980円で販売されていました。実に60,000円の値上げです。ミドルハイクラスの性能帯でこれだけ価格が上がると購入しづらいですね。
フロンティアの「FRGKB760/WS211/NTK」も最安値164,800円から25,000円も高くなっています。旧世代に当たるGeForce RTX 40シリーズも関係なく価格が高騰しています。高騰時でも格安で販売することの多いフロンティアでもこれだけ価格が上がると現在の市場の厳しさを痛感してしまいます。
在庫切れ
ゲーミングPCの在庫切れも目立っています。TSUKUMOではGeForce RTX 50シリーズ搭載モデルが全滅です。GeForce RTX 40シリーズ搭載モデルも同様に在庫切れとなっているモデルが多いです。他のBTOメーカーもTSUKUMOのようにわかりやすく在庫切れを表示しているわけではないもののラインナップ数は激減しています。なお、単体のグラフィックボードはさらに厳しくほとんど壊滅的です。ドスパラやパソコン工房などのパーツショップでも抽選販売がメインで購入ハードルは高いです。
納期の長期化
納期の長期化も目立ちます。短納期が魅力のドスパラでも最短7日での出荷と納期が延びています。一部のモデルは10日まで伸びています。ここまで納期が延びたことはないように思います。
マウスコンピューターでも通常4営業日(オプションで2営業日)のところ、今は21営業日とかなり納期が長いです。当然オプションの翌営業日出荷サービスも選択できません。パソコン工房・TSUKUMO・フロンティア・ストームなどでも同様ですね。
グラフィックボードの供給不足の要因
AIチップに発生した不具合による生産の遅れ
Blackwell世代のAIチップに設計上の不具合が発生したことで生産量が著しく落ちました。これがグラフィックボードの供給不足の大きな要因となっています。チップの設計の見直しやサーバー向けGPUを優先したことでコンシューマー向けのラインナップのリリースが遅れました。元々GeForce RTX 50シリーズは2024年秋頃のリリース予定だったので3か月~4か月伸びた形になります。
今は問題が改善され生産も安定しているようですが、完全に供給不足が改善されるまでに時間を要することになるでしょう。Blackwell世代のグラフィックボードの生産の遅れは致命的な影響を与えています。Blackwell世代のGPUに問題が発生しなければ世代交代もスムーズにいくはずでした。GeForce RTX 50シリーズのリリースを控え、旧世代であるGeForce RTX 40シリーズの生産を停止しました。
旧世代の在庫を抱えるメリットはなくここまで自然な流れです。しかしながら、想定外の事態が起きたことでBlackwell世代のチップの生産が遅れGeForce RTX 50シリーズへの世代交代がスムーズに行えませんでした。結果的にGeForce RTX 50シリーズはリリースされず、かつGeForce RTX 40シリーズも生産されず現在の供給不足につながっています。GeForce RTX 40シリーズもGeForce RTX 50シリーズも同じウエハーを使用しているため新しくオーダーすることもできません。
パーツショップの在庫を見るとわかる通りGeForce RTX 40シリーズの価格も高騰気味です。こうなると古いGeForce RTX 40シリーズを購入せずに、ユーザーはGeForce RTX 50シリーズのリリースを待つことになります。GeForce RTX 5090やGeForce RTX 5080のリリース直後に完売となったことも納得できます。70番台、60番台とどのモデルもすぐに完売となりそうです。当然ゲーミングPC価格の高騰も続くでしょう。
注目タイトルのモンハンワイルズのリリース
2025年2月28日に人気シリーズであるモンハンワイルズがリリースされることで国内でのゲーミングPCやグラフィックボードの販売台数が増えグラフィックボードの供給不足につながっているのではと考えられます。人気タイトルのリリース時はゲーミングPCの販売台数が大きく伸びるのは一般的です。モンハンワイルズは要求スペックが高く買い替えニーズも大きかったはずです。2025年2月5日にはSteam上でモンハンワイルズのベンチマークソフトが公開されました。
どの性能帯・価格帯のゲーミングPCを購入すればいいのかわからず買い替えを控えていたユーザー層が一気に購入しました。2月に入ってゲーミングPCの納期が延びた要因の一つだと言えるでしょう。ただし、ゲーミングPCの価格高騰=グラフィックボードの供給不足の一番の原因はAIチップに発生した不具合であることはご留意ください。
ユーザーはどうすればいいのか!?
ゲーミングPCの購入を考えている方はどうすればいいのかは悩ましいところでしょう。少しでもお得に購入したいのであれば落ち着くのを待つのがベストです。おそらく現在の状況がしばらく続くことになると思います。いい状況になるまで数か月は見ておく必要があるでしょう。ゲーミングPCの買い時を考察すると、2月というのはセールやキャンペーンが落ち着く時期でもあるので3月あるいは4月まで待つのもよいでしょう。
また、2025年3月から4月にかけてGeForce RTX 5070・GeForce RTX 5060 Ti・GeForce RTX 5060がリリースされるはずです。上位モデルと比べれば市場に流れる量も多くなりそうです。ゴールデンウィークあるいは夏休みになれば状況はぐっとよくなるのではないかと読んでいます。少しでも早くゲームを楽しみたいのであれば今購入するのがよいです。確かにゲーミングPCは品薄で価格も高騰気味です。それでも中にはコストパフォーマンスの高いモデルがあります。「コスパ最強のゲーミングPCおすすめランキング16選 2025年冬版」を参考にしていただければお得なモデルが見つかるはずです。
このサイトの情報を参考に1月にゲーミングPCを買ったんですが、まさかその後たった1ヶ月でこんな状態になっちゃうとは思いませんでした
ここまで悪条件が重なるとどうにもならなさそうですね、無事増産されることを祈ります……
記事、興味深く読ませていただきました。
確かにこの半月くらいのグラボの品薄は過去類を見ないレベルですね…
2日前に秋葉原に行きましたが、Nvidiaに関しては(新品は)RTX4060はあるけれど4060Tiとなるとほぼなく、4070以上のモノは発見できませんでした。
自作PCを7,8年やっていますが、ここまでグラボが無い状況を見るのは初めてです。
マイニングブームの時期のグラボは「高かった」ですが「無い」わけではなかったですからね…
4000番代から5000番代へのバトンタッチが上手く行っていなかったり、それに対してモンハン等の需要も上がっていったり…いろんな悪条件が重なっている結果だなあと、肌に感じました。
私はまだRTX2060 6GBを使っているので、性能的にもVRAM的にも足りないなと思うことが増え、そろそろ買え時かな…と考えていましたが、もう少し先にしようと思ってます。
需要と供給の安定を待つばかりです…