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ゲーミングPCに最適なメモリ容量について検証している。8GB・16GB・32GBとそれぞれのメモリ容量でゲームプレイ時のフレームレートに与える影響を見ていく。メモリ自体はCPUやグラフィックボードに比べるとそれほど表に出てくることはないパーツだが、実はメモリもそれらのパーツと同様にパソコンのコアとなる部分だと言える。

メモリの役割や重要性について気になっている方は多いだろう。ここでは特に容量に焦点を当てて見ていこう。8GBがいいのか16GBがいいのかあるいはそれ以上の容量が必要なのかと長らく疑問に思われていたことに対して結論を出す。一般的なメモリの定義や役割については、「メモリとは | パソコンパーツの基礎」を参考にして欲しい。

ゲーミングPCとメモリ容量の考察

メモリ16GBが主流となった

memoryvolumereview参考:ゲーミングPCの評判とレビュー | 紹介ゲーミングPC一覧

上記は当サイトで紹介しているゲーミングPCにおけるメモリ容量を一覧でまとめたものだ。データを取り始めた2019年時点では8GB搭載モデルが多かったが、2021年以降一気に16GB/32GB搭載モデルが増えている。2025年時点では16GB搭載モデルが72.2%で、32GB搭載モデルが27.8%で32GBモデルが順調に増えていることがわかる。フロンティアでは基本的に32GB搭載モデルを販売していてそれが影響を与えている。ドスパラでも上位グレードでは32GBのメモリを搭載している。このデータからもゲーミングPCなら16GBあるいは32GBを基準に考えるとよい。64GBは趣味領域あるいは自己満足といえるかもしれない。

memoryvolumestat出典:(Steam, 2025)

2024年12月時点でのSteamの統計を見ても同様の結果が得られた。16GBが45.07%で最も多い。次いで32GBが32.08%、8GBが10.07%と続く。64GBは3.94%となっている。意外と8GBを選択しているユーザーが多いようだ。それでも16GBが主流であることは間違いない。要求スペックに16GBのメモリ容量を求められるゲームも多く登場していることが要因だろう。余裕を持って16GBを超えるメモリ容量を選択するゲーマーも増加傾向にあるようだ。

Steamのような数多くのゲームを取り扱っているプラットフォームでは当然ゲーマーの環境も幅広い。すべてのユーザーが高負荷な最新タイトルをプレイするとは限らないからだ。要求スペックの軽いゲームや設定を下げればメモリ容量8GB以下でも対応できる。そんなSteamで搭載容量が増加傾向にあるというのは興味深い。徐々に32GBや24GBのような16GBを超える容量が一般的になる日も遠くはないかもしれない。

ゲームの推奨メモリ容量も増加傾向にある

タイトル 推奨メモリ容量
LoL 4GB
Valorant 4GB
Counter-Strike 2 8GB
フォートナイト 16GB
FF14 黄金のレガシー 16GB
FF 15 16GB
Battlefield Ⅴ 16GB
Hitman 2 16GB
フォートナイト 16GB
PUBG 16GB
Cyberpunk 2077 16GB
Forza Horizon 5 16GB
モンハンワイルズ 16GB
パルワールド 32GB

シューティングタイトルを除けばほとんどのタイトルにおいてメモリ16GBが推奨されている。最新のパルワールドではついにメモリ32GBが推奨となった。もちろんタイトルによっては設定や解像度にこだわりがなければ8GBでも対応できることもあるが、基本的には16GB以上を選択しておくことが好ましい。16GBが主流の状況で16GBが推奨容量に指定されるというのは、これまでのことを考えると異常事態とも言える。

24GBや20GB搭載のモデルは登場していないが、そういったメモリ容量を搭載するモデルが登場してもおかしくない。20GBはともかく、8GBを3枚刺した24GBは自作ユーザーの間では割りと見られた容量だ。最新のゲームへの対応として、そういったモデルが登場してもおかしくはない。ハイクラス以上のゲーミングPCでも16GB搭載モデルが主流だが、ゲームの展開次第で32GBへ置き換わる可能性もある。今でも16GBに対する不安はある。価格がそれほど高くなるわけではないので、ハイクラス以上のモデルは32GBも視野に入れておきたい。

メモリの増設は初心者でも簡単にできる

メモリの交換や取り付けは初心者の方でも実施しやすい作業の一つとなっている。これはデスクトップPC・ノートPCに共通していることだ。もし容量や枚数を増やしたいなら増設を検討するとよい。マザーボードによっては少し取り外し方が違うものの、基本はツメを外して差し込むだけである。差し込みが甘いと認識されないので注意が必要だ。

最近のマザーボードはしっかりはめ込むことができれば外したツメが元の位置に戻るようにできているので見て分かるようになっている。また、マザーボードやメモリに触る前に静電気対策を忘れてはいけない。静電気が走ると機能しなくなるリスクがあるので、触る前には金属に触れておくなどして対策しておくべきだろう。ただし、数年前からマザーボードとメモリ自体にも静電気対策がされていてこのような事態が起きる可能性は低くなっている。

メモリの容量不足は非常に深刻でその場でブルースクリーンが発生することもある。CPUやGPUの性能不足はカクつきとして現れるのと似ているが、メモリの容量不足の方が深刻だ。メモリに関しては簡単に増設できるため、必要なメモリ容量に少し余裕を持たせるくらいがちょうど良いかもしれない。時代の波を考えれば16GBにアップさせておくことに何のデメリットもないはずだ。

故障以外の注意点としては、BTOショップ等で購入したパソコンはご自身でパーツの取り付けをすると保証対象外となってしまうことがある。事前に保証規定を確認しておこう。自身で増設後修理に出す際は自分で取り付けたパーツを全て外しておく必要がある。増設と交換は自己責任で行って欲しい。

各メモリ容量の考察

16GB ★★★★★

メモリ容量16GBというのは、ゲーミングPCにとっては基本となる。各BTOメーカーが販売しているゲーミングPCも、ほとんどが16GBであることからもわかるだろう。最新のゲームの推奨環境にメモリ16GBが指定されることもあり、余裕のあるメモリ容量とは言えないもののとりあえず16GBを選択しておけば間違いはない。今ではロークラスを除き、16GBが最低限として考えておく方がいいこともある。

16GBで困る場面はそう多くないので、16GBを中心に考えておいて間違いない。なお、16GBを実現する場合は8GB×2枚組とデュアルチャンネルを前提に考えよう。16GB×1枚組のシングルチャネルだと思ったほどパフォーマンスが発揮できないことがある。ハイエンドクラスのような性能の高いスペックを持つモデルにおいては16GBでは少し心許ない。ハイエンドクラスのゲーミングPCだと要求スペックの高い最新のタイトルでも最高設定でのゲームプレイが可能だ。

32GB以上の大容量メモリが活きる。人気の性能帯と言えるミドルクラスやミドルハイクラスでは変わらず16GBが中心だ。ゲーム以外の用途にもメモリは消費されることは押さえておこう。例えば、ブラウザを複数開いたり、動画視聴しながらのゲームをプレイしたりなどのケースでは16GBでメモリ不足になる場面はあるかもしれない。16GBをベースとしつつどのような用途でゲーミングPCを使いたいかを考えるとよさそうだ。

BTOメーカーの中には同じ16GBでも2枚組のデュアルチャネルではなく、1枚組のシングルチャネルを採用しているところがある。基本的には同じ容量でもパフォーマンス面ではデュアルチャネルの方が優勢だ。ただし、ゲームプレイがメインでかつグラフィックボードの性能が低ければそこまでの差は出なさそうだ。クリエイティブ用途においてはシングルチャネルだと明らかにパフォーマンスが落ちる傾向にあるので注意しよう。

32GB ★★★★☆

少し前までは32GBというのはハイエンドクラスにのみ許されたメモリ容量だったが、今では身近なメモリ容量となっている。ゲーマーにとってメモリ容量は多くて困ることはない。クリエイター向けPCやミドルハイクラス以上のゲーミングPCにも標準搭載のモデルがあるくらいだ。GeForce RTX 4060搭載モデルにも32GB搭載モデルがあるように、年々32GB搭載モデルの性能は下がってきているように感じる。

ゲームの推奨環境に16GBが求められるゲームがあることに加え、高解像度でのゲームプレイも身近になっている。解像度が高まるほどメモリ消費が激しくなることもあり、CPUとGPUの性能の向上で必要なメモリ容量がやや増加傾向だ。さらに、ゲーム以外の用途でも活かせる。例えば、Google Chromeはメモリ消費が比較的激しいブラウザだ。Chromeでyoutubeを見ながら攻略情報を表示してゲームをする。

こういった使い方でも32GBあれば安心だ。メモリの価格も一時期を考えれば安くなっており、大容量メモリ搭載も容易になったことも影響してそうだ。一旦は16GBを選択しておいて後から32GBへ増設するのもよいかもしれない。他のパーツに比べてメモリの増設のハードルは低いからだ。

8GB ★★★☆☆

ゲーミングPCにおいて8GBという容量になると妥協しなければいけないポイントが出てくる。最新のタイトルやMMORPGなどの負荷の高いタイトルの場合不利になってしまうことがある。古いタイトルであればおおよそ問題となることはない。今日の多くのタイトルの最小要件が8GBとなっていることが多いが、基本的には8GB以上の容量がある方が安定感に繋がる。

少し前までは10万円以下のモデルとなればメモリ8GBが当たり前だった。今では低価格帯のモデルでも16GB搭載が一般的で、メモリ8GB搭載のゲーミングPCを探す方が難しい。ビジネスモデルを購入してその後グラフィックボードを取り付けてゲーミングPCとして使用する場合などでもできる限り増設を検討するべきだろう。8GBでも16GBでもそこまで大きくコストが変わるわけではない。

64GB ★★☆☆☆

2025年時点でも64GBのメモリ容量は完全にオーバースペックである。この容量になると、ゲームではなく動画編集やクリエイティブな作業をメインに考えるクリエイター向けの容量だ。まだまだ一般的なゲーマーに浸透している容量ではない。ただ、環境によっては64GBが求められる場面はある。ゲーマーにも広く普及はしていないが、認識されているVRや8K解像度がある。

これらの特殊な環境・解像度では従来のメモリ容量では不足しやすい。32GBもあれば十分でも、実際の環境はそれらのアプリケーションのみの起動だけではない。ブラウザ、他のアプリケーションの起動も併用しているはずだ。要求スペックとしてはそれほど必要なくても、環境によっては必要となるケースも考えられる。まだまだ一般的な用途には含まれないながらも、64GBが求められそうな用途が増えてきているのは事実だ。

数年先では、今の32GBのポジションに64GBがきているかもしれない。それこそ、かつての4GBと8GBが今の8GBと16GBになったように、主流となる容量は年々増加傾向にある。今はまだオーバースペックでも、ちょうどよいという時代がすぐそこまで来ている。ハイエンドクラスの性能でゲームをプレイしているなら、意外と身近な容量と言えるかもしれない。

メモリ容量別のパフォーマンスを計測(ゲーム・レンダリングetc.)

amdsocketam5-2024

検証機 ベンチマーク検証機AMDソケットAM5
OS Windows 11
CPU AMD Ryzen 7 9800X3D
CPUクーラー DEEPCOOL LS520 WH R-LS520-WHAMNT-G-1
GPU Inno3D GeForce RTX 4090 X3 OC WHITE
マザーボード ASUS ROG STRIX X670E-A GAMING WIFI
メモリ Corsair CMK32GX5M2B5600C36【DDR5-5600 16GB×2】
Corsair CMK32GX5M2B5600C36【DDR5-5600 16GB×1】
Patriot Viper Venom PVV516G560C40K【DDR5-5600 8GB×2】
Patriot Viper Venom PVV516G560C40K【DDR5-5600 8GB×1】
SSD Crucial P5 Plus CT1000P5PSSD8JP 1TB Gen4 NVMe
電源ユニット 玄人志向 1200W PLATINUM KRPW-PA1200W/92+

メモリ容量別のパフォーマンスを計測していく。テスト環境は上記のとおりだ。CPUには現行最強のRyzen 7 9800X3Dを使用した。GPUはAda Lovelace世代のハイエンドモデルであるGeForce RTX 4090だ。結論から言えば、メモリ容量は多い方がよく、シングルチャネルよりもデュアルチャネルの方が好ましいことがわかった。ただし、タイトルによってはそのパフォーマンスの差を体感することは難しいように思う。

メモリ8GBは優位にパフォーマンスが落ちる。アプリケーションがうまく起動しないこともあるのでゲーミングPCでは避けた方がよさそうだ。特に高解像度でのゲームプレイは不向きだ。今回はハイエンドのGeForce RTX 4090で試したが、ハイクラスやミドルクラスであればメモリの差はより縮まるはずだ。まずは16GBのデュアルチャネルを基準にどのようなゲーム環境を構築したいかで判断するとよい。つまり、ハイエンドかつ高解像度ならメモリ32GBを、ミドルクラスでフルHD環境を想定するならメモリ16GBで十分だ。

Cyberpunk 2077

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Cyberpunk 2077では期待通りメモリ32GBが高いパフォーマンスを記録した。ついでデュアルチャネルの16GB・シングルチャネルの16GBと続く。WQHD環境までであればメモリ32GBを搭載するメリットがありそうだ。フルHDではメモリ32GBが237.4fpsとなっている。16GB(デュアルチャネル)が225.9fpsと5%程度の差がある。16GBにおいてデュアルチャネルとシングルチャネルでは2%程度の差がある。メモリ8GBはやや厳しい結果となったが、高解像であればパフォーマンスの差はほとんどないといえそうだ。

FF14 黄金のレガシー

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FF14黄金のレガシーではメモリによる差がほとんどなかった。今回はDLSSを使用しなかったが、DLSSでGPU負荷を下げれば結果が変わっていたかもしれない。

Forza Horizon 5

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Forza Horizon 5ではメモリ32GBが頭一つ抜き出ている。フルHD環境では16GB搭載モデルよりも13%もフレームレートが高い。一方で、16GBならデュアルチャネルでもシングルチャネルでも性能差が出ていない。もう一つ無視できないのはメモリ8GBだとWQHD及び4K環境でベンチマーク中に落ちてしまい測定ができないということだ。もっともハイエンドモデルで8GBを選択するユーザーは少ないだろう。

Fire Strike(3DMARK)

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Fire Strikeではメモリ容量及びチャネルによる性能差はほとんどない。CPU及びグラフィックボードの性能が素直に出ている形だ。

Time Spy(3DMARK)

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Time Spyではメモリ容量及びチャネルによってスコア差がある。Time Spyスコアについて32GBと8GBでのスコア差は4%弱にとどまるが、CPUスコアでは11%も差がある。16GBのデュアルチャネル及びシングルチャネルによる差はTime Spyスコアで1%弱、CPUスコアでも2%弱となる。確かにデュアルチャネルの方が有利だが、体感できるほどの差はないといえそうだ。

Cinebench R23

cinebenchr23-memory

Cinebench R23ではスコア差はほとんどない。32GBよりも16GB(デュアルチャネル)や8GBの方がスコアが高いのが気になる。発熱量によってパフォーマンスに差が生じてしまったのかもしれない。

Cinebench 2024

cinebench2024-memory

Cinebench 2024ではマルチコアのみ想定通りの差が出ている。メモリ32GBは、16GB(デュアルチャネル)よりも2%高い。16GB(デュアルチャネル)は、シングルチャネルよりも4%弱高くなっている。メモリ8GBではソフトウェアがうまく起動しなかった。やはりゲーミングPCで8GB搭載は一般的ではないのだろう。

7-Zip

7-zip-memory

Zipファイルの解凍及び圧縮速度をまとめたものだ。解答速度では16GB(デュアルチャネル)がトップで、32GB→16GB(シングルチャネル)→8GBと続く。メモリ16GB(デュアルチャネル)と8GBでのパフォーマンスの差は4%弱だ。圧縮速度ではより顕著にパフォーマンスの差が出ている。メモリ32GBでは104,013と高い。メモリ16GB(デュアルチャネル)よりも12%もパフォーマンスが高い。また、16GBにおいてデュアルチャネルとシングルチャネルで11%弱のパフォーマンス差がある。メモリ8GBでは69,139とやや遅れをとっている。

おすすめのゲーミングPC用メモリ紹介【2025年】

CORSAIR CMH32GX5M2B5600C40W (DDR5-5600 16GB×2枚組)

CMH32GX5M2B5600C40W

  • 価格:18,450円
  • 規格:DDR5-5600
  • 容量:32GB(16GB×2)

Crucial CT2K16G56C46U5 (DDR5 PC5-5600 16GB×2枚組)

crucial-Crucial 32GB Kit

  • 価格:13,080円
  • 規格:DDR5-5600
  • 容量:32GB(16GB×2)

Crucial CT2K8G4DFRA32A (DDR4 PC4-25600 8GB 2枚組)

Crucial CT2K8G4DFRA32A

  • 価格:4,280円
  • 規格:DDR4-3200
  • 容量:16GB(8GB×2)

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