Core i7-13620Hの性能比較&ベンチマーク検証を行っていく。Intel第13世代のモバイル向けハイパフォーマンスモデルだ。2つのコアを組み合わせたハイブリッドコアアーキテクチャを採用していて10コア16スレッドというスペックを持つ。上位のCore i7-13700Hと比べるとスペック・性能共に劣るが、ミドルハイクラスとして十分な性能を持つ。
60番台や50番台との組み合わせがベストだろう。2025年7月時点でも、ドスパラ・マウスコンピューター・HPなどから搭載モデルが販売されている。価格もこなれてきていて買い時といえそうだ。搭載モデルは「Core i7-13620H搭載ゲーミングノートPC一覧」で紹介している。
Core i7-13620Hの概要
コードネーム | Raptor Lake |
---|---|
プロセス | 10nm |
コア/スレッド数 | 10コア(6Pコア+4Eコア)/ 16スレッド |
Pコア定格/最大クロック | 2.4 GHz/ 5.0 GHz |
Eコア定格/最大クロック | 1.8 GHz/ 3.6 GHz |
L2キャッシュ | 16MB |
L3キャッシュ | 24MB |
内蔵GPU | UHD Graphics 770 |
PBP | 45W |
MTP | 115W |
発売日 | 2023年01月04日 |
価格 | $502 |
特徴 (長所・短所) |
(+) ミドルハイクラス相当のCPU性能を持つ (+) 10コア16スレッドとスペックが高い (+) コストパフォーマンスに優れている (-) 2世代前のモデルとなる (-) 搭載モデルは縮小傾向にある |
評価 |
・総合評価 7.0 ・ゲーム評価 7.0 |
Core i7-13620Hの基本スペック
Core i7-13620H | Core i7-13700H | Core Ultra 7 155H | |
---|---|---|---|
コードネーム | Raptor Lake | Raptor Lake | Meteor Lake |
プロセス (コンピュートタイル) |
10nm | 10nm | 7nm |
SoCタイル | – | – | 6nm |
I/Oタイル | – | – | 6nm |
グラフィックスタイル | – | – | 5nm |
トータルコア(スレッド) | 10(6P+4E)/16 | 14(6P+8E)/20 | 16(6P+8E+2LPE)/22 |
定格クロック(P) | 2.4GHz | 2.4GHz | 1.4GHz |
最大クロック(P) | 5.0GHz | 5.0GHz | 4.8GHz |
定格クロック(E) | 1.8GHz | 1.8GHz | 0.9GHz |
最大クロック(E) | 3.6GHz | 3.7GHz | 3.8GHz |
定格クロック(LPE) | – | – | 0.7GHz |
最大クロック(LPE) | – | – | 2.5GHz |
オーバークロック | 非対応 | 非対応 | 非対応 |
L2キャッシュ | 16MB | 20MB | 20MB |
L3キャッシュ | 24MB | 24MB | 24MB |
対応メモリ | DDR5-5200 DDR4-3200 LPDDR5x-6400 LPDDR4x-4267 |
DDR5-5200 DDR4-3200 LPDDR5x-6400 LPDDR4x-4267 |
DDR5-5600 LPDDR5x-7467 |
内蔵グラフィックス | UHD Graphics 770 | Iris Xe Graphics | Arc Graphics |
実行ユニット | 64 | 96 | 8 |
グラフィックス周波数 | 1.50GHz | 1.50GHz | 2.25GHz |
PBP | 45W | 45W | 28W |
MTP | 115W | 115W | 115W |
MSRP | $502 | $502 | $503 |
発売日 | 2023/01/04 | 2023/01/04 | 2023/12/14 |
Core i7-13620Hは、Raptor Lake世代のハイパフォーマンスモデルとなる。プロセスは10nmだ。6つのPコアと4つのEコアを搭載し10コア16スレッドというスペックを持つ。上位モデルであるCore i7-13700HはEコアが4つ多く14コア20スレッドだ。ここはしっかりと差別化が図られている。Core i7-13620HのPコアの定格・最大クロックはそれぞれ2.4GHz、5.0GHzだ。実はCore i7-13700Hと共通となっている。
Eコアについては定格クロックはどちらも1.8GHzだが、最大クロックがCore i7-13700Hの方が0.1GHz高い。いずれのモデルもオーバークロックには非対応だ。キャッシュ周りはEコアが多い分だけCore i7-13700Hの方がL2キャッシュが4M多い。L3キャッシュ容量はどちらも24MBだ。対応メモリはDDR5-5200及びDDR4-3200をサポートしている。省電力モデルであるLPDDR5x-6400なども対応しているが、搭載モデルはほとんど見かけない。
Core i7-13620Hの内蔵グラフィックスはUHD Graphics 770だ。Core i7-13700Hに搭載されているIris Xe Graphicsよりも性能は低い。実行ユニット数も32多く96だ。グラフィックス周波数は1.5GHzと共通だ。Core i7-13620HのPBPは45Wで、MTPは115Wとなる。これはCore i7-13700Hと共通だ。MSRPは$502と同じだ。発売日も同じだ。
次世代のCore Ultra 7 155Hは、Meteor Lake世代のモデルだ。アーキテクチャが大きく変わり複数のタイルを組み合わせたチップレット構造が採用されている。プロセス自体の微細化も進みコンピュートタイルは7nmだ。スペックは16コア22スレッドとなる。PコアとEコアに加えてより省電力性の高いLPEを搭載している。スペック的にはCore i7-13700Hに2つのLPEが追加された形だ。
対応メモリはDDR5-5600・LPDDR5x-7467となりDDR4はサポートされていない。内蔵グラフィックスはAIパフォーマンスの高いArc Graphicsとなる。実行ユニットは8基でグラフィックス周波数は2.25GHzだ。PBPは28Wと押さえられている。MTPは115Wだ。MSRPはIntel第13世代のCore i7シリーズと同等の$503だ。

Core i7-13700Hと比べるとコア数が4基少ないが、Pコアの数6基と変わらないのでスペックほど差があるわけではない。Pコアのクロック周波数も変わらずEコアが少ない分だけTDP的に有利な側面もある。ミドルハイクラスのゲーミングCPUとして見れば悪くない。
Core i7-13620H搭載ゲーミングノートPCの性能と特徴
ミドルハイクラス相当のCPU性能を持つ
Core i7-13620Hの性能スコアは19,917と数値は悪くない。競合モデルであるRyzen 7 7735HSやRyzen 7 7435HSと同等のパフォーマンスだ。Core i7-13620Hはすでに3世代前のモデルだが、性能的には見劣りしない。上位モデルであるCore i7-13700Hと比べると8%程度低い。ただし、これはあくまでもEコアを含めた総合性能で、Pコアが重要となるゲーミング性能ではそこまでの差はでない。お得に購入できるCore i7-13700Hともいえそうだ。
前世代のCore i7-12650Hと比べると12%程度処理性能が向上している。同じ10コア16スレッドというスペックでアーキテクチャの進化とそれに伴うクロック周波数の引き上げで実現した形だ。2世代前のCore i7-11800Hと比べると実に25%近くもパフォーマンスが高い。立ち位置的にはミドルハイクラスで今購入しても問題ない水準にある。
搭載モデルのコストパフォーマンスが高い
本来であれば3世代前のCPUをおすすめすることはないところだが、Core i7-13620Hに関しては2025年でも通用する性能を持ちつつさらに価格も安いのが魅力だ。搭載モデルは9万台から購入できる。ゲーミングノートPCで10万円を切るモデルは希少だ。セール・キャンペーン時に少し出るぐらいで、恒常モデルだとほとんど見かけない。Core i7-13620H搭載モデルだから実現できるのだろう。
Core i7-13700H搭載モデルではなかったと記憶している。10万円以下のモデルに限らず全体的にコストパフォーマンスが高く最安値クラスを目指せる。GeForce RTX 3050 Mobile・GeForce RTX 4060 Mobile・GeForce RTX 5060 Mobile搭載モデルの購入を考えている方は必見だ。型落ちモデルということもあり在庫処分と考えるのが自然だ。タイミングを逃すと販売終了で二度と安く購入できなくなる可能性もある。
Core i7-13620Hのベンチマーク一覧
Cinebench R23
定番ベンチマークソフトであるCinebench R23でのスコアを見ていく。Core i7-13620Hのマルチコアは14,897で、シングルコアは1,801だ。上位モデルであるCore i7-13700Hと比べるとマルチコアは7%低く、シングルコアも4%低い。次世代のCore Ultra 7 155Hは消費電力を抑えた影響かCore i7-13620Hとほとんど性能が変わらない。前世代のCore i7-12650Hと比べるとマルチコアが29%高く、シングルコアも3%弱高い。
Cinebench 2024
Cinebench 2024は、Cinebench R23の次世代バージョンだ。レンダリング負荷が上がりスペックの高くなった新しいモデルのパフォーマンスを計測するのに適している。負荷が高くなったことでハイエンドのHXシリーズを除けばスコア差が小さくなっている。Core i7-13620Hのマルチコアは795で、シングルコアは103だ。下位モデルであるCore i5-13500Hとの性能差は3%程度だ。シングルコアについてはCore i5-13500Hが上回っている。Core i7-13700Hと比べるとマルチコアが5%弱低く、シングルコアも2%低い。
Handbrake
動画のエンコードに掛かる時間をまとめている。Core i7-13620Hは29.3とまずまずの結果だ。Core i7-13700Hと比べると9%程度パフォーマンスで劣る。一方で、次世代のCore Ultra 7 155Hと変わらないパフォーマンスは驚きだ。下位モデルであるCore i5-13500Hと比べると9%程度上回っている。Core i5シリーズとの性能差は大きいといえそうだ。
7-Zip(圧縮)
Zipファイルの圧縮に掛かる速度をまとめている。Core i7-13620Hの圧縮速度は81.8だ。Core i7-13700Hよりも10%弱遅くなっている。下位モデルであるCore i5-13500Hと比べると43%も上回っている。Pコアが多い分だけ差をつけている形だ。
7-Zip(解凍)
Zipファイルの解凍速度は1,296.2となる。Core i7-13700Hと比べると12%程度低い。同じCore i7シリーズでも型番の数値が小さく性能も抑えられている。Ryzen 7 7840HSと比べても15%低くなっている。
Adobe Photoshop
PugetBenchでPhotoshopのパフォーマンスを計測している。Core i7-13620Hのスコアは1,116となる。Core i7-13700Hよりも8%程度低い。下位モデルであるCore i5-13500hと比べると10%程度上回っている。
Core i7-13620H搭載ゲーミングノートPC一覧
GALLERIA RL7C-R35-5N (ドスパラ)
価格:99,980円+送料3,300円
液晶:15.6インチFHD 165Hz
重量:約2.10kg
CPU:Core i7-13620H
GPU:GeForce RTX 3050 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 500GB Gen4 NVMe
電源:180W ACアダプター
コスパ:9.8
最安値クラスのゲーミングノートPCだ。デスクトップパソコンとは違って10万円以下で購入できるゲーミングノートPCはこのモデルぐらいしかない。GPUにはAmpere世代のエントリーモデルであるGeForce RTX 3050 Mobileを搭載している。性能が高いわけではないが、フルHD環境で設定を標準にすればある程度対応可能だ。旧世代のGeForce GTX 1650やGeForce GTX 1050と比べると性能は大きく向上している。構成はメモリDDR5-4800 16GB・SSD 500GB Gen4 NVMeと平均的だ。電源は180W ACアダプターが付属となっている。コスパ指標は9.8と高い。
GALLERIA RL7C-R45-5N(ドスパラ)
価格:137,980円(送料込)
液晶:15.6インチFHD 165Hz
重量:約2.30kg
CPU:Core i7-13620H
GPU:GeForce RTX 4050 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 500GB Gen4 NVMe
電源:230W ACアダプター
コスパ:8.4
グラフィックボードにGeForce RTX 4050 Mobileを搭載した一台だ。GeForce RTX 3050 Mobile搭載モデルよりも性能が高く高リフレッシュレートも目指しやすい。ただし、価格差が38,000円と大きくコスパ指標は8.4と少し落ちる。構成はメモリDDR5-4800 16GB・SSD 500GB Gen4 NVMeと平均的だ。電源は230W ACアダプター付属となる。ガレリアブランドは人気が高く売却がしやすいのも魅力だ。
G TUNE P5-I7G60WT-B(マウスコンピューター)
価格:179,800円(送料込)
液晶:15.3インチWQXGA 144Hz
重量:約2.11kg
CPU:Core i7-13620H
GPU:GeForce RTX 4060 Mobile
メモリ:DDR5-5200 16GB
ストレージ:SSD 500GB Gen4 NVMe
電源:180W ACアダプター
コスパ:調査中
2024年7月23日に発売されたゲーミングノートPCだ。ゲーミングノートPCとしては珍しく白色の筐体が特徴的だ。15.3インチWQXGAディスプレイを搭載している。144Hz対応で滑らかなゲーム描写が実現する。本体重量は約2.11kgと平均的だ。グラフィックスはAmpere世代のミドルクラスであるGeForce RTX 4060 Mobileを搭載している。電源は180W ACアダプター付属となる。パフォーマンスよりもポータブル性を重視した選択だ。構成はメモリDDR5-5200 16GB・SSD 500GB Gen4 NVMeとなる。
Victus 15(インテル)パフォーマンスプラスモデルG3(HP)
価格:
311,300円 179,900円(送料無料)
液晶:15.6インチフルHD 144Hz
重量:約2.29kg
CPU:Core i7-13620H
GPU:GeForce RTX 5060 Mobile
メモリ:DDR4-3200 16GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:200W ACアダプター
コスパ:調査中
現在131,400円OFFで購入できるが、HPの場合定価はあってないようなものだ。現行のBlackwell世代のミドルクラスであるGeForce RTX 5060 Mobileを搭載している。現行モデルが17万円台は素晴らしい。15.6インチフルHDディスプレイを搭載している。144Hz対応でシューティングゲームにも最適だ。構成はメモリDDR4-3200 16GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと平均以上となる。ストレージ容量が1TBと大容量なのは頼もしい。複数タイトルの保存も問題ない。電源は200W ACアダプター付属だ。
G TUNE E5-I7G50BK-A(マウスコンピューター)
価格:199,800円(送料込)
液晶:15.3インチWQXGA 240Hz
重量:約2.09kg
CPU:Core i7-13620H
GPU:GeForce RTX 4050 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 512GB Gen4 NVMe
電源:240W ACアダプター
コスパ:調査中
Core i7-13620H×GeForce RTX 4050 Mobile搭載のゲーミングノートPCだ。G TUNE P5-I7G60WT-Bと同等の構成ながら20,000円高くなっている。G TUNE E5-I7G50BK-Aの特徴は15.3インチWQXGAディスプレイを搭載していることだ。対応リフレッシュレートも240Hzとなっている。また、電源も240W ACアダプター付属で同じGeForce RTX 4050 Mobileでもより高いパフォーマンスを期待できる。さすがに240Hzを実現することは難しいが、設定を調整すれば144fpsは十分目指せるだろう。構成はメモリDDR5-4800 16GB・SSD 512GB Gen4 NVMeとなる。