当ページでは、Ryzen 9 6900HSの性能レビュー及び搭載ゲーミングノートPCの紹介をしている。Ryzen 9 5900HSの後継モデルだ。Zen 3+アーキテクチャ採用の省電力モデルとなっている。ついに6nmプロセスを採用していてより洗練されたアーキテクチャとなった。当該CPUは、Ryzen 9 6980HSに次いで高い性能を持つ。
8コア16スレッドと高スペックでゲームプレイから動画編集などのクリエイター作業まで幅広く対応可能だ。さらに内蔵GPUが強化されてRDNA 2のRadeon 680Mが搭載されている。外付けのグラフィックボードがなくてもある程度の3Dグラフィックス処理に対応できそうだ。より細かくパフォーマンスについて見ていこう。
当ページの目次
よくわかる!!Ryzen 9 6900HSの特徴まとめ
コードネーム | Zen 3+ |
---|---|
プロセス | 6nm |
コア/スレッド数 | 8コア/16スレッド |
定格/最大クロック | 3.3 GHz/ 4.9 Ghz |
L3キャッシュ | 16MB |
TDP | 35W |
発売日 | 2022年01月 |
価格 | 非公開 |
特徴 | (+) Zen 3+アーキテクチャ採用の高パフォーマンスモデル (+) 内蔵GPUにRadeon 680Mを搭載している (-) 従来モデルと比べて飛躍的に性能が伸びているわけではない (-) パフォーマンスはCore i9-12900HKよりも劣る (-) あくまでもZen 4アーキテクチャへの繋ぎとなる |
評価 | ・総合評価 ★★★★★★★★★☆ 8.5 ・ゲーム評価 ★★★★★★★★★☆ 8.5 |
Ryzen 9 6900HSのCinebench R23スコア
Core i9-12900Hと比べてマルチスレッド性能は13%低く、シングルスレッド性能は16%低い。やはり8コア16スレッドというスペックでは14コア20スレッドのCPUに太刀打ちできない。第5世代Ryzenシリーズ(Zen 4)までの繋ぎと見るのが妥当かもしれない。Ryzen 6900HSの魅力は省電力性の高さだ。この点においてはIntel第12世代Core iシリーズと比べて優位に立っている。
Ryzen 9 6900HSの基本スペック
Ryzen 9 6900HS | Ryzen 9 6900HX | Ryzen 9 5980HS | |
---|---|---|---|
メーカー | AMD | AMD | AMD |
アーキテクチャ | Zen 3+ | Zen 3+ | Zen 3 |
コードネーム | Rembrandt | Rembrandt | Cezanne |
プロセス | 6nm | 6nm | 7nm |
CPUコア数 | 8コア | 8コア | 8コア |
スレッド数 | 16コア | 16コア | 16コア |
定格クロック | 3.3 GHz | 3.3 GHz | 3.0 GHz |
最大クロック | 4.9 GHz | 4.9 GHz | 4.8 GHz |
L3キャッシュ | 16MB | 16MB | 16MB |
対応メモリ | DDR5-4800 | DDR5-4800 | DDR4-4266 |
内蔵グラフィックス | Radeon 680M | Radeon 680M | Radeon Vega 8 |
グラフィックス周波数 | 2400 MHz | 2400 MHz | 2100 MHz |
拡張バス | PCIe 4.0 | PCIe 4.0 | PCIe 3.0 |
TDP | 35W | 45W | 35W |
発売日 | 2022/01 | 2022/01 | 2021/01/12 |
搭載価格 | 219,800円~ | 289,800円~ | - |
CPUコア/スレッド数は8コア16スレッドと共通だ。定格クロックは10%高くなり3.3 GHzだ。最大クロックも3%高く4.9 GHzとなった。L3キャッシュ容量は16MBと共通だ。メモリについてはDDR5-4800をサポートしているのは素晴らしい。また、内蔵グラフィックスもRadeon Vega 8からRadeon 680Mへとアップグレードされた。より高いグラフィックス処理性能を持つ。拡張バスはようやくPCIe 4.0をサポートしている。TDPは35Wだ。搭載モデルの価格は219,800円~となっている。
ハイパフォーマンスモデルのフラグシップモデルであるRyzen 9 6900HXもZen 3+アーキテクチャを採用したAPUとなっている。コードネーム・プロセスなどを含めてTDP以外のスペックはすべて同じだ。このTDPの差がパフォーマンスの差ということになる。より性能にこだわりたいならRyzen 9 6900HXは魅力的なモデルだと言えるだろう。搭載モデルの価格は7万円高く289,800円~だ。
Ryzen 9 6900HSの強み&搭載モデルの特徴
Zen 3+アーキテクチャ採用の省電力モデルにおける最高峰APU
出典:(NOTEBOOKCHECK, 2022)
Ryzen 9 6900HSは、Zen 3+アーキテクチャ採用の省電力モデルにおける最高峰のAPUだ。ラインナップ的にはRyzen 9 6980HSに次いで高いパフォーマンスを持っている。もっともRyzen 9 6980HSはそれほど一般的なモデルではなく今のところRyzen 9 6980HSを搭載したゲーミングノートPCはリリースされていない。現時点ではこのRyzen 9 6900HSが上位モデルだと考えてよいだろう。
従来モデルのRyzen 9 5900HSを使用している方がRyzen 9 6900HS搭載モデルを購入するのはおすすめしない。それほど飛躍的に性能が伸びているわけではないからだ。それでもグラフィックボードが一新されるなら一考の余地はある。
内蔵GPUにRadeon 680Mを採用していて性能が高い
Ryzen 9 6900HSは、内蔵グラフィックスにRDNA 2アーキテクチャのRadeon 680Mを搭載している。従来モデルで採用されていたRadeon Graphicsよりもワンランク高いパフォーマンスを得られる。動画編集・WEBデザイン・ゲームプレイだけを気軽に試してみたいという方におすすめだ。当ページで内蔵GPU(iGPU)でのフレームレートを計測しているので参考にしていただければと思う。
CPU性能も高く扱いやすいモデルだと言える。グラフィックボード非搭載モデルが出れば価格も抑えられて魅力的なモデルが生まれるかもしれない。基本的にはグラフィックボード搭載モデルのみのラインナップとなってしまうことを理解しておこう。
搭載モデルは海外メーカーが中心となっている
Ryzen 9 6900HS搭載モデルは海外メーカーが中心だ。今のところASUSから搭載モデルがリリースされている。従来モデルのRyzen 9 5900HSを搭載したモデルも国内BTOメーカーからは発売されなかった。そう考えるとRyzen 9 6900HSは希少なモデルだと言えるだろう。AMDのファンの方はチェックしておいて損はない。
Intel製CPUと比べて性能では劣るものの省電力性の高さについては勝っている。できる限りコンパクトなゲーミングノートPCやクリエイターノートPCを探している方にとっては魅力的な選択肢となる。これはIntel製CPUにない強みだ。性能を重視するならIntel第12世代を搭載したモデルがよいだろう。
Ryzen 9 6900HSのベンチマーク一覧
Handbrake
Blender 2.91
7-Zip
Adobe Photoshop
Adobe Premiere Pro 2022
Ryzen 9 6900HSのゲーミング性能(iGPU)
Resident Evil 2
CS:GO
Watch Dogs Legion
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege
Ryzen 9 6900HSのゲーミング性能(dGPU)
出典:(NOTEBOOKCHECK, 2022)
Ryzen 9 6900HS搭載のゲーミングノートPC一覧
ROG Flow X13 GV301RC(ASUS)
価格:219,800円(税込)
液晶:13.4インチ WUXGA 120Hz
CPU:Ryzesn 9 6900HS
GPU:GeForce RTX 3050
メモリ:LPDDR5-6400 16GB
SSD:512GB NVMe
HDD:非搭載
13.4インチWUXGAモニターを搭載したゲーミングノートPCだ。本体重量が約1.35kgとかなり軽い。省電力モデルのRyzen 9 6900HSを搭載しているからこそ実現している。グラフィックスにAmpere世代のエントリークラスであるRTX 3050 Mobileを搭載したモデルだ。Ryzen 9 6900HSに合わせるにはやや物足りないかもしれない。それでも価格が抑えられている分CPU性能を重視したい方には魅力的な選択肢となるはずだ。例えばたまにゲームをプレイするクリエイターの方などが該当する。CPU性能を最大限に活かしつつGPUのパワーと組み合わせる使い方だ。
ROG Zephyrus G14 GA402RK(ASUS)
液晶:14.0インチ 120Hz
CPU:Ryzen 9 6900HS
GPU:Radeon RX 6800S
メモリ:DDR5-4800 32GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載
14.0インチWQXGAモニターを搭載したゲーミングノートPCだ。本体重量が約1.72kgと軽いのが特徴だ。性能を考えると驚くべき軽さだ。バッテリー駆動時間も約10.7時間と長く設定されている。天板部分にドット絵表示機能を搭載していてデザイン性も高い。グラフィックスにはRadeon RX 6800Sを搭載している。RTX 3070 Mobileと同等以上のパフォーマンスを期待できる。高リフレッシュレートモニターを存分に活かせる性能を持つ。メモリ32GB、SSD 1TBと構成も圧倒的だ。30日間返品保証キャンペーンの対象モデルとなっている。
ROG Zephyrus G15 GA503RW(ASUS)
液晶:15.6インチ WQHD 240Hz
CPU:Ryzen 9 6900HS
GPU:GeForce RTX 3070 Ti
メモリ:DD5-4800 32GB
SSD:1TB
HDD:非搭載
15.6インチWQHDモニターを搭載している。240Hz対応でゲームに没頭できる。この性能帯で本体重量約1.99kgは評価に値する。バッテリー駆動時間も約11.2時間と長くRyzen 9 6900HSの強みがはっきりと出ている。RTX 3070 Ti Mobile搭載のゲーミングノートPCでWQHD環境でのゲームプレイもこなせる性能を持つ。CPU性能にも不足はない。メモリ32GB、SSD 1TBと構成も充実している。
参照外部サイト
- AMD Ryzen 6000 mobile unveiled with a focus on iGPU performance and power efficiency(NOTEBOOKCHECK, 2022)
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ベンチマークテスト環境
モデル | MSI GE76 Raider |
---|---|
GPU | Nvidia GeForce RTX 3080 Ti (150W-175W) |
メモリ | DDR5-4800 32GB |
ストレージ | – |