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ゲーミングPC価格高騰の経緯と現在地をまとめた記事だ。2025年2月のグラフィックボード供給不足に始まり、2025年11月からのメモリ・SSD価格高騰へと、性質のまったく異なる2つの波が立て続けに市場を襲った。結論から言えば、2026年8月時点でも価格が本格的に下がる気配は見られない。ただし上昇の勢いそのものは鈍化し始めている。

この記事では、何が起きたのかを時系列で整理したうえで、それぞれの波の原因を掘り下げ、最後に2026年8月時点の到達点をまとめる。今後の展望については「今後の展望:メモリおよびSSD価格はいつ落ち着くのか?」で詳しく解説しているので参考にしてほしい。なお、今すぐ買うべきか、買うならどの構成にすべきかという購入判断は「ゲーミングPCの買い時」に集約している。この記事は高騰の背景と現在地を把握するためのものだと考えてほしい。

ゲーミングPC価格高騰の経緯【2025年〜2026年】

まずは全体像を時系列で押さえておこう。原因がまったく異なる2つの高騰局面が連続して発生したことが、今回の異常な値上がりの正体だ。

時期 何が起きたか 主因
2025年2月 GPU搭載モデルが高騰・品薄・納期長期化 第1波/グラフィックボードの供給不足
2025年11月 メモリ価格が上昇開始。ショップが値上げを予告 第2波/メモリ・SSDの供給不足
2025年12月 駆け込み需要が殺到。複数メーカーが受注停止 第2波
2026年1月 値上げが順次適用。ドスパラは福袋を中止 第2波
2026年7月 DDR5 32GBが約68,000円に。RTX 50 SUPERが発売保留 第2波
2026年8月 上昇率は鈍化。ただし価格は高止まり 第2波

2022年から2023年頃のコロナ禍でもゲーミングPC価格は高騰したが、今回はその時以上のインパクトになっている。当時は供給が戻れば価格も戻るという見通しが立ったが、今回はAI需要という構造的な要因が背景にあるためだ。

第1波:グラフィックボードの供給不足(2025年)

2025年前半の高騰の根本的な原因は、グラフィックボードの需要に対して供給が追い付いていなかったことにある。まずは当時のゲーミングPC市場で何が起きていたのかを振り返っておこう。

価格高騰・在庫切れ・納期の長期化が同時に起きた

GALLERIA RM7C-R46T-koutou
一番大きなところではゲーミングPC価格の高騰が目立った。例としてドスパラの売れ筋モデルだった「GALLERIA RM7C-R46T」を挙げる。1月上旬までは189,980円で販売されていたものが249,980円となり、実に60,000円の値上げだ。ミドルハイクラスの性能帯でこれだけ価格が上がると購入しづらい。

FRGKB760WS211NTK-kakakuフロンティアの「FRGKB760/WS211/NTK」も最安値164,800円から25,000円高くなった。旧世代に当たるGeForce RTX 40シリーズも関係なく価格が高騰している。高騰時でも格安で販売することの多いフロンティアでこれだけ上がるというのは、当時の市場の厳しさを物語っている。

tsukumo-lineupsoldout商品の在庫切れも目立った。TSUKUMOではGeForce RTX 50シリーズ搭載モデルが全滅、RTX 40シリーズ搭載モデルも同様だ。単体のグラフィックボードはさらに厳しくほとんど壊滅的で、ドスパラやパソコン工房などのパーツショップでも抽選販売がメインとなり購入ハードルは高かった。

dosupara-syukkaosoi納期の長期化も起きた。短納期が魅力のドスパラでも最短7日、一部モデルは10日まで延びている。

mouse-dosupara-syukkaosoiマウスコンピューターでも通常4営業日(オプションで2営業日)のところ21営業日となり、翌営業日出荷サービスも選択できなくなった。パソコン工房・TSUKUMO・フロンティア・ストームなどでも同様だ。なお、この「価格高騰・在庫切れ・納期長期化」という3点セットは、後の第2波でもそっくり繰り返されることになる。

NVIDIAがコンシューマー向けGPUへの優先度を下げた

当時NVIDIAはコンシューマー向けGPUの優先度を意図的に下げていた。単純にコンシューマー向けGPUは儲からないからだ。2025年の売上高予想は19.2兆円($130 billion)で、そのうちコンシューマー向けGPUを含むGamingカテゴリーはわずか8%〜9%にすぎない。対してAI関連サービスや企業向けクラウドサービスであるData Centerは90%近くを占めている。致命的なのは、AI向けGPUもゲーム向けGPUも同じTSMCの製造ラインを使用していることだ。

こうなると当然、利益率の低い製品ではなく利益率の高いAI向けへ投資することになる。マイニングブームが終わったようにAIブームが終われば供給は安定するはずだが、それがいつになるのかは予想もつかない。AMDがシェア獲得のためにあえて利益率の低いコンシューマー向けGPUを優先してくれば話は変わってくるかもしれない。

四半期ごとの売り上げ推移(部門別)
nvidiaquarterlyrevnuetrend出典:https://investor.nvidia.com/home/default.aspx
このAI向けが優先され、コンシューマー向けが後回しになるという構図は、そのまま第2波のメモリ・SSD高騰にも当てはまる。パーツの種類が変わっただけで、根っこの問題は同じだ。

AIチップに発生した不具合による生産の遅れ

Blackwell世代のAIチップに設計上の不具合が発生したことで生産量が著しく落ちた。これがグラフィックボードの供給不足の大きな要因となった。チップの設計見直しやサーバー向けGPUの優先により、コンシューマー向けラインナップのリリースが遅れている。元々GeForce RTX 50シリーズは2024年秋頃のリリース予定だったので、3か月〜4か月延びた形だ。

GeForce RTX 50シリーズのリリースを控え、旧世代であるGeForce RTX 40シリーズの生産はすでに停止していた。旧世代の在庫を抱えるメリットはなく、ここまでは自然な流れだ。しかし想定外の事態が起きたことでBlackwell世代のチップ生産が遅れ、世代交代がスムーズに行えなかった。結果的にRTX 50シリーズは十分に供給されず、かつRTX 40シリーズも生産されないという最悪の状態に陥った。両者は同じウエハーを使用しているため、新しくオーダーすることもできない。

パーツショップの在庫を見るとわかる通りRTX 40シリーズの価格も高騰気味だった。こうなるとユーザーは古いRTX 40シリーズを購入せず、RTX 50シリーズのリリースを待つことになる。RTX 5090やRTX 5080のリリース直後に完売となったことも納得できる。

注目タイトル「モンハンワイルズ」のリリース

2025年2月28日に人気シリーズであるモンハンワイルズがリリースされたことで、国内でのゲーミングPCやグラフィックボードの販売台数が増え、供給不足に拍車をかけたと考えられる。人気タイトルのリリース時にゲーミングPCの販売台数が大きく伸びるのは一般的だ。モンハンワイルズは要求スペックが高く買い替えニーズも大きかった。2025年2月5日にはSteam上でベンチマークソフトも公開されている。

どの性能帯・価格帯のゲーミングPCを購入すればいいのかわからず買い替えを控えていたユーザー層が一気に購入した。2月に入ってゲーミングPCの納期が延びた要因の一つといえるだろう。ただし、価格高騰の一番の原因はAIチップに発生した不具合であることには留意してほしい。

第2波:メモリ・SSD価格の高騰(2025年11月〜)

第1波がある程度落ち着いたと思われた2025年秋、まったく別の要因による第2波が始まった。メモリ価格が高騰し始めた2025年11月時点では、メモリおよびSSD価格高騰の影響がこれほど大きいものになるとは想像もしていなかった。確かに当時メモリ価格が上がっていると話題になっていたが、すぐに落ち着くだろうと楽観視していたのだ。その後ゲーミングPCの駆け込み需要が発生し、一部のBTOメーカーが受注を停止するなど異例の年末年始となった。

ゲーミングPCの価格が5万円から10万円前後高くなっている

今回はドスパラとフロンティアを例として挙げるが、パソコン工房やTSUKUMOなど他のショップでも同じだ。

ドスパラ

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2025年11月以降ゲーミングPCの価格が段階的に上昇し、まさに高止まりといった状況となっている。上記はドスパラの廉価ブランドであるTHIRDWAVE-Gシリーズの値上げ幅を示したものだ。39,000円〜87,000円も高くなっている。構成もメモリチャネルがデュアルチャネル(8GB×2枚)からシングルチャネル(16GB×1枚)になったり、そもそもの容量を16GB→8GBへと削減したりしてコストカットが図られている。

フロンティア

フロンティア 主要モデルの値上げ幅(2025年12月)
型番 値上げ幅 価格推移12/05 → 12/26 主な構成
FRGHLB860/WS12101 123,000+41% 296,800 → 419,800 Core Ultra 7 265F/RTX 5070 Ti/32GB/1TB
FRGHLMB650/WS12201 111,000+40% 278,800 → 389,800 Ryzen 7 9700X/RTX 5070 Ti/32GB/1TB
FRGHLMB650/WS12200 110,000+34% 319,800 → 429,800 Ryzen 7 9800X3D/RTX 5070 Ti/32GB/1TB
FRGHLMB650/WS12210 110,000+16% 699,800 → 809,800 Ryzen 9 9950X3D/RTX 5090/64GB/2TB
FRGHLMB650/WS0309 103,000+35% 296,800 → 399,800 Ryzen 7 9800X3D/RX 9070 XT/32GB/2TB
FRGHLMB650/WS12102 100,000+33% 299,800 → 399,800 Ryzen 7 7800X3D/RTX 5070 Ti/32GB/2TB
FRGHLMB650/WS12153 100,000+26% 389,800 → 489,800 Ryzen 7 9800X3D/RTX 5080/32GB/2TB
FRGHLMB650/CB6C 93,000※11月比 - → 279,800 Ryzen 7 9700X/RX 9060 XT 16GB/32GB/1TB
FRGHLMB650/WS12240 90,000+32% 279,800 → 369,800 Ryzen 7 7800X3D/RX 9070 XT/32GB/2TB
FRMFGB650/WS12200 85,000+28% 299,800 → 384,800 Ryzen 7 9800X3D/RX 9070 XT/32GB/1TB
FRGKA620/WS12200/NTK 80,000+35% 229,800 → 309,800 Ryzen 7 9700X/RTX 5070/32GB/1TB
FRGKA620ASR/WS122240/NTK 80,000+33% 244,800 → 324,800 Ryzen 7 9700X/RX 9070 XT/32GB/1TB
FRGHLB550/WS12200/NTK 60,000+40% 149,800 → 209,800 Ryzen 7 5700X/RX 9060 XT 16GB/16GB/1TB
FRGHLB550/WS12200 55,000+34% 159,800 → 214,800 Ryzen 7 5700X/RTX 5060 Ti 8GB/32GB/1TB
FRGAMB550/WS1225/NTK 44,000+30% 145,800 → 189,800 Ryzen 7 5700X/RTX 5060/32GB/1TB
FRGAMB550/WS1224/NTK 42,000+27% 157,800 → 199,800 Ryzen 7 5700X/RX 9060 XT 16GB/32GB/1TB

※単位は円(税込)。値上げ幅の大きい順。FRGHLMB650/CB6Cのみ12/05時点の価格が未取得のため、値上げ幅は11月時点との比較。

フロンティアでも値上げが続き、値上げ幅は42,000円〜123,000円とかなり大きい。フロンティアはメモリやSSDが充実したモデルが多く、価格高騰の影響を受けやすいショップだといえる。

BTOメーカー/パーツメーカーの動向

福袋なし


まさかドスパラが福袋の販売を取りやめるとは思いもしなかった。また、毎年恒例の謹賀新年特別モデルの販売もなかったのは驚きだ。メモリおよびSSD価格高騰が影響を与えていると考えてよいだろう。

2025年福袋

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2025年は2,025円の福袋が販売された。SSD 500GBが入っているというものだ。当たりは1TB、大当たりは2TBと注目度も高かった。

新規オーダーの停止

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駆け込み需要により注文が殺到し、TSUKUMO・マウスコンピューター・サイコムでは新規オーダーを停止した。長らくBTOメーカーの動向を見てきたが、販売を停止するというのは異例中の異例だ。それだけメモリ価格高騰の影響は大きいということだ。

在庫切れ

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フロンティアではセールを更新するたびにすぐ在庫切れとなった。パソコン工房やドスパラでも一部のモデルが完売となっている。

納期の長期化(最大2か月程度)


納期の長期化も普段ではほとんど見られない。出荷スピードの速さに定評のあるドスパラでさえ2週間(記事執筆時点では3週間〜7週間)となった。第1波でも同じことが起きていたが、今回はサイコムの10週間など桁が違う。

カスタマイズ価格の引き上げ

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当然カスタマイズ費用も高額になる。上記画像はドスパラのカスタマイズ画面だ。メモリ32GBへのカスタマイズは49,999円、64GBだと99,999円となる。さらに通常時デュアルチャネルだったものがシングルチャネルへとコストカットされている。

BTOメーカー(及びパーツショップ)の生の声

以下のBTOメーカーの声を見てほしい。やはり価格高騰は避けられなさそうだ。メモリだけに留まらずSSDやグラフィックボードの値上げが起こり得る。

将来的な値上げは必至 – 2025年11月時点


11月の時点でショップは高騰することを示唆している。この時期から1か月程度は値上げまでの猶予があったことになる。

購入するなら今しかない – 2025年12月時点


iodata-priceup出典:(アイ・オー・データ機器, 2025)

マウスコンピューターが12月10日につぶやいてから、一気に駆け込み需要での購入が殺到したように思う。多くのユーザーにゲーミングPC価格高騰が現実味を帯びていることを知らしめた。アイ・オー・データもSSDやHDDの1月以降の値上げを発表している。

順次値上げが適用となる – 2026年1月時点

マウスコンピューターでは12月16日の時点で1月以降順次価格変更を行うことを公表していた。受注を停止中のサイコムでも一部パーツの値上げを適用していくということだ。

PCパーツの価格が高騰している要因

AIデータセンター向けメモリおよびSSD需要の増大

価格高騰の一番の要因は、AIデータセンター向けの需要が激増していることにある。AIの処理においては、GPUへのデータ転送を効率的に行うため、大容量かつ高速なメモリが要求される。転送速度が遅ければGPUとの間にボトルネックが発生してしまい、巨大なモデルを動かせなかったり、動作が極端に遅くなったりするのだ。実際にローカルLLMを動かしてみれば、いかにメモリ容量が重要であるかが痛感できるだろう。16GBや32GB程度ではすぐに負荷が100%に達し、動作が著しく重くなってしまう。
AIデータセンター向けメモリには、より高性能なHBM(High Bandwidth Memory)が採用されている。コンシューマー向けのDDRメモリでは、GPUの高速処理に転送スピードが追いつかないためだ。現在の生産ラインがより高収益なAI用HBMへ傾倒したことで、一般消費者向けのメモリが供給不足に陥るという事態を招いている。メーカー側からすれば、より高い利益を得られるAI市場に注力するのは当然の経営判断といえる。
同様に、生成AIの学習において膨大なデータを処理するためには大容量ストレージも欠かせない。サーバー向けモデルともなれば、その容量は数十TBに及ぶ。また、学習内容が失われた際の保険として、定期的に学習状態を保存する「チェックポイント」の作成も必須だ。こうした背景から、利益率の低いコンシューマー向けモデルの生産はどうしても後回しにされてしまう。

世代交代によるDDR4の生産量減少

DDR5メモリへの世代交代が進む中、主要メーカーが相次いでDDR4メモリの生産終了(あるいは大幅な減産)を発表した。これを受け、DDR4メモリを必要とするデバイスメーカー各社が安価なうちに確保しようと大量買い付けに走った結果、深刻な供給不足を招き価格が高騰している。一時は、最新規格であるDDR5メモリの価格を上回るほどの逆転現象さえ発生した。
今後の展開として、この旺盛な需要を鑑みメーカー側が生産ラインの一部でDDR4の生産を再開する可能性もゼロではない。そうなれば価格は落ち着きを取り戻すだろう。しかし依然としてDDR4の供給不足が解消されなければ、ユーザーは否応なしにDDR5環境への移行を強いられることになる。その結果、DDR5メモリへの需要がさらに集中し、さらなる価格高騰を引き起こすリスクも懸念される。

NANDフラッシュの供給不足と各種コストの増加

キオクシアやSamsungなどのNANDメーカーが利益率を上げるために生産を意図的に抑えていたこともあり、急激にNANDフラッシュの供給不足が深刻になってきている。メモリの価格が上昇した直後は安定していたが、1か月ほど遅れて急に価格が高くなった。チップの製造コストや物流コストが上昇していることも価格高騰の一因となっている。日本国内においても様々なものの価格が上がっていることを体感しているはずだ。大手メーカーであってもそれは避けられない。

長く続く円安

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出典:(Yahoo!ファイナンス, 2025)
海外生産となるメモリの価格について、円安が与える影響は無視できない。2025年4月以降円安が続き、1ドル155円前後で推移した。円安が進めば円の価値が下がり、海外製品を手に入れるにはより多くの円が必要となる。メモリ価格高騰の一因となっていることは間違いないだろう。政府も利上げで円安を抑制しようと動いているが、思ったほどコントロールできていない。今後も円安が続く可能性があるので、為替の動向を注視したい。

一般消費者の必要容量が増加

身近なところではパソコンの必要メモリが増えたことも要因として考えられそうだ。もちろん、企業のAI需要と比べるとその影響は微々たるものかもしれない。それでも小売店にユーザーが殺到することは容易に想像できる。ゲーミングPCの最低基準が16GBとなり、8GB搭載モデルはほとんど見かけなくなった。さらに今では16GBでも足りず32GB以上を必要とするユーザーが増えているように思う。中には64GBや128GBを搭載するユーザーもいるぐらいだ。ゲームの要求スペックが上がったことに加えて、大容量メモリを必要とする画像生成AIなどAI関連ソフトの普及がメモリ容量の引き上げにつながっている。

市場全体の流れは「ゲーミングPC業界のトレンド解説」でまとめている。いま各BTOメーカーが力を入れている方向性が分かると、モデル選びの判断もしやすくなるはずだ。

2026年8月時点の現在地


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パーツ価格はどこまで上がったのか

感覚的な「高くなった」ではなく、倍率で把握しておくべき水準に達している。

パーツ 2025年秋頃 2026年年央 倍率
DDR5-6400 32GB 約18,000円 約68,000円 約3.8倍
SSD 1TB 約11,000円 約32,000円 約2.9倍
HDD 8TB 約20,000円 約55,000円 約2.7倍

※市中価格の一例。時期・製品・容量により変動する。
メモリ32GBがCPU1個分の価格になっているというのが2026年の異常さを端的に表している。ゲーミングPCの価格構成のうち、かつて数%だったメモリ・ストレージが十数%を占める構造に変わってしまった。ドスパラのカスタマイズ価格が32GBで49,999円という数字も、この市況を反映したものだ。

上昇ペースは鈍化、ただし下落ではない

明るい材料もある。上昇の勢い自体は明確に鈍ってきている。調査会社の見通しでは、2026年第2四半期に前期比58〜63%増だったDRAMの上昇率は、第3四半期には13〜18%増まで縮小する見込みとされている。NAND型フラッシュメモリも同様に、55〜60%増から10〜15%増へ上昇幅が縮小する予測だ。

ただし上昇率が下がるのであって価格が下がるわけではない点は誤解してはいけない。前四半期比でプラスである限り、価格は今も上がり続けている。伸び方が緩やかになっただけだ。

新製品の発売そのものにも影響が出ている

2026年に入って、高騰はPCの値段が上がる段階を越えて新製品が出てこない段階に達した。GeForce RTX 50 SUPERは基板がほぼ完成していながら発売が保留され、AMD Zen 6・Intel Nova Lakeも2027年へずれ込む観測が出ている。RTX 50 SUPERが止まっている理由は搭載予定だった3GB GDDR7メモリで、1個あたり60〜70ドルと2GB品(約20ドル)の3倍の水準に達した。

CPU側の遅延にも、DDR5高騰による消費者の購買意欲の低下が影響しているとされる。メモリ高騰が、ついに製品ロードマップそのものを動かし始めたということだ。各製品の最新の見通しと、それが購入タイミングにどう影響するのかは「ゲーミングPCの買い時」で整理している。

今後の展望:メモリおよびSSD価格はいつ落ち着くのか?

当面の間、価格が落ち着くことはないというのが筆者の見解だ。ここで「当面」というのは、2026年から2027年前半までを指している。メモリおよびSSDに対する需要が減退する兆しはなく、供給が需要を満たす可能性は依然として低いと考えられるからだ。まず需要の側面では、やはり企業のAI投資の加速が挙げられる。

四季報を一通り読んでみると、各企業の概要欄に「AI」という文字が何度も登場することに気づくはずだ。業種を問わず、多くの企業がAIを活用して業務の効率化を図っている。AIは日々進化を続け、今や私たちの生活やビジネスになくてはならない存在となっている。

これだけの需要があれば、Google、Microsoft、Amazon、ソフトバンク、NTTデータといった巨人がデータセンターへの投資を止めることはないだろう。ソフトバンクは2026年中に北海道・苫小牧でのAIデータセンター開業(ソフトバンクニュース, 2025)を目指している。ハイパースケーラーであるGoogleやMicrosoftの投資規模は言わずもがなであり、この勢いが2026年中に収束するとは到底思えない。

次に供給側(Samsung、SK Hynix、Micron、WD、キオクシア等)の事情を見てみよう。各社とも需要を満たすために工場建設など多額の投資を行っているが、その対象はあくまでAIデータセンター向けが中心だ。また、工場を建設しても実際に稼働して出荷が始まるまでには数年単位の期間を要する。一般消費者にその恩恵が回ってくるのはまだ先のことになるだろう。

半導体メーカーには、2022年から2023年頃のコロナ禍での苦い経験もあり、増産投資に対して慎重な姿勢も見られる。当時は半導体不足を受けて増産に踏み切ったものの、結果として供給過剰を招き、価格の暴落と巨額の赤字に苦しんだ。メーカー側も、現在のAIブームが一時的なバブルではないかという懸念を完全には拭い去れていない。そのため現在は売上規模の拡大よりも利益率の向上に重点を置いており、必然的に高単価・高利益なAIデータセンター向け製品が優先されているのである。

この高騰は待てば終わるものなのか

落ち着くまで待つという選択が、今回に限っては機能しにくい。第1波のグラフィックボード供給不足は、生産が正常化すれば解消する性質のものだった。しかし第2波のメモリ・SSD高騰は、AI需要という構造的な要因が背景にあり、少なくとも2027年前半までは解消の見通しが立っていない。つまり安くなってから買うという前提そのものが、今回は成立しないということだ。

待っても状況が良くならない以上、判断の軸は「いつ安くなるか」ではなく「今の相場のなかでどう買うか」に移る。状況別の買い時判断、高騰下で妥協していい箇所・してはいけない箇所、セール時期の見極めについては「ゲーミングPCの買い時」にまとめている。購入を検討している方はそちらを確認してほしい。

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