画像引用元:https://jp.msi.com/
当記事では、GeForce RTX 2080 SUPERのスペック&性能ベンチマークを検証している。NVIDIAが誇るSUPERシリーズの最後のモデルが発売開始となった。ユーザーが気になるのは、前モデルであるGeForce RTX 2080との性能差と上位のGeForce RTX 2080 Tiとの差がどのぐらい縮まったのかということだろう。
これらのポイントを中心に詳しくこのグラフィックボードを検証していくことにする。なお、GeForce RTX 2080については販売終了となる。BTOパソコンを含めて今後の主流はRTX 2080 SUPERへと変わっていくはずだ。
後継モデルであるAmpere世代の「GeForce RTX 3080」がリリースされているので合わせてそちらを確認して欲しい。RTX 2080 Ti以上のゲーミング性能を持つ。ワンランク以上高いゲーミング性能を得られる上にレイトレーシング性能も大きく向上している。4K環境でのゲームプレイを考えている方向けだ。
世代 | Turing |
---|---|
プロセス | 12nm |
CUDAコア | 3,072 |
ベースクロック | 1650MHz |
ブーストクロック | 1815MHz |
TDP | 250W |
MSRP | $699 |
中古価格 | 33,980円~ |
発売日 | 2019/07/23 |
- (+)4KとWQHDで高いパフォーマンスを発揮する
- (+)レイトレーシング・DLSSも存分に堪能できる
- (+)RTX 2080 Tiよりもコスパが高く選びやすい
- (-)RTX 2080からの性能アップはそれほど大きくない
当ページの目次
GeForce RTX 2080 SUPERの基本スペック
RTX 2080 SUPER | RTX 2080 Ti | RTX 2080 | |
---|---|---|---|
コードネーム | Turing | Turing | Turing |
GPU | TU104 | TU102 | TU104 |
プロセス | 12nm | 12nm | 12nm |
ダイサイズ | 545m㎡ | 754m㎡ | 545m㎡ |
トランジスタ数 | 136億 | 186億 | 136億 |
RTコア数 | 48基 | 68基 | 46基 |
Tensorコア数 | 384基 | 544基 | 368基 |
CUDAコア数 | 3072 | 4352 | 2944 |
ベースクロック | 1650MHz | 1350MHz | 1515MHz |
ブーストクロック | 1815MHz | 1545MHz | 1800MHz |
GPUメモリ | 8GB GDDR6 | 11GB GDDR6 | 8GB GDDR6 |
メモリクロック | 15.5Gbps | 14Gbps | 14Gbps |
メモリバス帯域幅 | 496 GB/s | 616 GB/s | 448 GB/s |
TDP | 250W | 250W | 215W |
MSRP | $699 | $1199 | $699 |
中古価格 | 49,800円~ | 59,290円~ | 46,800円~ |
発売日 | 2019/07/23 | 2018/9/27 | 2018/09/20 |
フルスペックTU104
RTX 2080 SUPERで搭載されているGPUはTU104となっている。RTX 2080 Tiで搭載されているTU102とは異なることから性能面で近づくことが難しいのが当然だ。ただ、いずれのグラフィックボードも控え目に構成されていたという共通点がある。つまり、どちらのグラフィックボードも2,3個のストリーミングマルチプロセッサー(SMs)を無効化して出荷されているということだ。結果的に必要に迫られたらパフォーマンスを引き上げるための余裕を持っていたということに繋がる。そして今それが開放されたということだ。
TU104には48個のSMs(ストリーミングマルチプロセッサー)が搭載されていてRTX 2080では2つが無効化されていた。そして、RTX 2080 SUPERでは全て有効化されフルスペックモデルとなっている。これによりCUDAコアが2944→3072(48×64)に引き上げられた。RTコアもTensorコアも伸びている。フルスペックになったことでどのぐらい性能が上がったのかというのがポイントだ。すでに見てきたとおり性能向上は8%程度だ。
高速GDDR6メモリ搭載
RTX 2080 SUPERで最も興味深い変化は、GPUそれ自体というよりはメモリサイドの変化だろう。初めてのGDDR6規格のメモリを搭載したグラフィックボードが登場してからずっと14Gbpsメモリが採用されている。主要なメモリベンダーで最も早いグレードだったが、製品ラインナップ的には一番というわけではなかった。RTX 2080 SUPERで初めて採用された16Gbpsがそれに当てはまる。RTX 2080と比較して11%メモリ帯域幅が向上した。ただし、パフォーマンスに与える影響はそれほど大きくない。
新しいグラフィックボードのリリースに当たって、NVIDIAはSamsungの新しい16Gps、8G bitのチップを採用。グラフィックボード自体は256bitのメモリバスで、RTX 2080 SUPERはオリジナルのRTX 2080と同じ8GBのVRAM(GPUメモリ)を持っている。しかしながら、バンド帯域幅を引き上げることができた。ただし、許容範囲である16Gbpsではなく、15.5Gbpsに留めているのは注目に値する。これはグラフィックボードのベンダーが新しいPCBを用意する必要がないようにとの配慮だ。メモリのためだけに新しいPCBを用意するのはナンセンスだという判断だろう。
GeForce RTX 2080 SUPERの最新評価【2024年】
ミドルクラス相当のゲーミング性能を持つ
GeForce RTX 2080 SUPERは、GeForce RTX 2080 Tiに次ぐTurin世代におけるハイエンドのグラフィックボードだ。詳細を見ると、前モデルであるGeForce RTX 2080よりも5%程度性能が向上したに過ぎない。思っていたほどGeForce RTX 2080 Tiに近づいたとは言えず性能差は12%程度ある。性能的にはGeForce RTX 2080に極めて近いと考えてよいだろう。GeForce RTX 2080 Tiと比べた場合の優位性は手を出しやすい価格設定にある。中古価格を見ても11,000円前後の価格差がある状態だ。GeForce RTX 2080 SUPERなら性能差12%に対して25%程度安く購入できる。コストパフォーマンスを考えるとGeForce RTX 2080 SUPERは魅力的なモデルだ。
次世代モデルのAmpere世代で言えばGeForce RTX 3060 Tiが最も近い。まさか60番台と同等の性能になるとは驚きだ。それでも発売から4年経ってもミドルハイクラス相当のグラフィックス処理性能を維持しているのは評価できる。ハイエンドモデルを購入しておけば長く使い続けられるのは事実だ。GeForce RTX 2080 SUPERの後継モデルであるGeForce RTX 3080になると大きくゲーミング性能が向上する。GeForce RTX 3080なら30%アップだ。やはり次世代モデルにおける80番台の伸びはすごい。
コストパフォーマンスは良好
GeForce RTX 2080 SUPERの中古価格は33,980円~とミドルクラス並に落ちていることがわかる。コスパ指標は0.698と悪くない。GeForce RTX 2080と同等のコストパフォーマンスだ。この価格帯だと選択肢が多いのも事実だ。よりコストパフォーマンスを追求するならGeForce RTX 2070 SUPERも魅力的だ。VRAMも8GBと同等で4,000円ほど安く購入できる。
一方で、VRAM容量を増やしたいならGeForce RTX 2080 TiやRadeon RX 6700 XTは魅力的だろう。特にRadeon RX 6700 XTは12GBとこのクラスでトップクラスだ。コストパフォーマンス指標もGeForce RTX 2080 SUPERと近い。純粋なグラフィックス処理性能を重視したいゲーマー向けだ。
レイトレーシング・DLSSといった機能を重視するなら次世代のGeForce RTX 3060 TiやGeForce RTX 4060がよいだろう。RTコア・Tensorコアも世代を重ねるごとに進化している。特に現行のGeForce RTX 4060はフレーム生成にも対応していて対応タイトルなら高いパフォーマンスを期待できる。
GeForce RTX 2080 SUPERの特徴&注意点など【発売時点】
RTX 2080よりも高いパフォーマンスを持つ
RTX 2080 SUPERは、RTX 2080よりも高いパフォーマンスを持っている。現在は登場したばかりでプレミア価格となっているが、定価自体はRTX 2080と同じなのでユーザーにとって金銭的なデメリットはない。RTX 2080 Ti Superの発売はないとNVIDIAが明言していることからRTX Titan、RTX 2080 Tiに次ぐモデルということになる。
また、価格的に最上位であるRTX Titanを購入するゲーマーはほとんどいないと考えられることから実質二番目でこれまでと変わらない。RTX 2080については随時RTX 2080 SUPERへと切り替えられ消滅することになる。性能的な不満はないだろう。
問題となるのは、レイトレーシングやDLSSといった最新技術に対応したタイトルがほとんどないことだ。「Wolfenstein: Youngblood」がリリースされてやっと6つめのタイトルということになる。早くRTXシリーズの本領発揮を見たいものだ。
搭載モデルのコスパは良好でラインナップも多い
RTX 2080 SUPERを搭載したゲーミングPCはラインナップも多くユーザーからしても選びやすい。その上コストパフォーマンスの高いモデルが揃っていておすすめだ。RTX 2080からうまく切り替わっている。ハイクラスのCPUも揃ってきていてCPUとのバランスも取りやすい。
RTX 2080 Ti搭載モデルになるとCPUもフラグシップモデルばかりで一気に跳ね上がってしまう。そう考えるとRTX2080 SUPERはちょうどよい価格と性能を持つグラフィックボードだと言える。RTX 2070 Superではやや物足りないという方や4Kなど高解像度にこだわりたいと考えているゲーマーの方は必見だ。
消費電力が増えてしまった
CUDAコア数がアップしてクロック周波数も引き上げられた。その結果消費電力は215Wから250Wへと18%程度増えてしまっている。性能向上以上に消費電力の高さが目についてしまう。ベースクロックは、ブーストクロックについてそれぞれ9%、6%高くなり、ほとんどのタイトルで1815MHzを安定して出すことができる。
クロック周波数を引き上げること自体は大きなメリットとなる。このデメリットが消費電力の高さというわけだ。上位モデルであるRTX 2080 Tiと同じ消費電力になってしまっている。パワーの効率性を落とすことで総合性能を引き上げたという形だ。それでもパワーの余力を持たすことでオリジナルのRTX 2080よりも負荷を高められるという強みもある。
ポイント:RTX 2080からの革新的な進歩はない
RTX 2080 SUPERは、既存製品のアップデートに過ぎない。以前のモデルよりも性能は引き上げられているが、すでに見てきたように劇的と言えるほどではない。すでに、RTX 2080を購入しているのであれば買い替えを考える必要はなくそのまま使い続ければ良い。
そしてもし新しいBTOパソコンの購入や既存のグラフィックボードからアップグレードを考えている方で、RTX 2070 SUPER以上かつRTX 2080 Ti以下のモデルが用途に合致するのであればRTX 2080 SUPERは選択する価値があるグラフィックボードだ。
RTX 2060 SUPERとRTX 2070 SUPERは、AMDの新しいグラフィックボードに対するNVIDIAの回答だ。そしてRTX 2070 SUPERを発売したことで上位モデルのRTX 2080との差が縮まってしまった。その過程でRTX 2080を不要だと判断したわけだ。それはもっともで$200安く、それに近い性能が手に入るのだから誰もRTX 2080を選択しなくなる。
$699という同じ価格でRTX 2070 SUPERとRTX 2080 Tiの間のグラフィックボードを販売するとなると、少なくともRTX 2080よりも高性能なモデルが必要となる。そしてそれがRTX 2080 SUPERだというわけだ。RTX 2070 SUPERがリリースされなければRTX 2080 SUPERはリリースされなかっただろう。RTX 2080 SUPERは、SUPERシリーズの中でも性能アップの度合いは小さいことは確かだ。
他のグラフィックボードが、オリジナルバージョンよりもおよそ15%の性能アップが図られている一方で、RTX 2080 SUPERはそのわずか半分の8%程度に留まる。わずか8%だが、それでも発売したことに意味がある。RTX 2070 SUPERとRTX 2080 Tiの間のグラフィックボードというものが必要だったのだから目的を達成している。RTX 2080よりも少しでも高性能なグラフィックボードだ。
GeForce RTX 2080 SUPERのベンチマーク一覧
Far Cry 5
RTX 2080 Ti | |
RTX 2080 Super | |
RTX 2080 | |
GTX 1080 Ti | |
RTX 2070 Super |
Final Fantasy XV
RTX 2080 Ti | |
RTX 2080 Super | |
RTX 2080 | |
RTX 2070 Super | |
GTX 1080 Ti |
Shadow of the Tomb Raider
RTX 2080 Ti | |
RTX 2080 Super | |
RTX 2080 | |
RTX 2070 Super | |
GTX 1080 Ti |
Grand Theft Auto V
RTX 2080 Ti | |
RTX 2080 Super | |
GTX 1080 Ti | |
RTX 2080 | |
RTX 2070 Super |
Battlefield V
RTX 2080 Ti | |
RTX 2080 Super | |
RTX 2080 | |
GTX 1080 Ti | |
RTX 2070 Super |
GeForce RTX 2080 SUPER搭載おすすめBTOパソコン
GALLERIA ZA7C-R80S(ドスパラ)
価格:219,980円
CPU:Core i7-10700K
GPU:GeForce RTX 2080 SUPER
メモリ:DDR4 16GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:750W GOLD
Core i7-10700Kを搭載したハイクラスのゲーミングPCだ。第10世代になりハイパースレッディングに対応したことで大きくパフォーマンスが向上している。前モデルのCore i9-9900Kに匹敵する性能を持つ。GPU・CPUの性能面では不足はない。CPU性能が非常に高くゲーム配信や動画編集なども快適に行える。メモリ16GB、SSD 1TB、電源ユニット700W GOLDと構成も充実。カスタマイズはそれほど考えなくてもよいだろう。
LEVEL-R049-LCiX7K-VWXH-JUPITER(パソコン工房)
CPU:Core i7-10700K
GPU:GeForce RTX 2080 SUPER
メモリ:DDR4 16GB
SSD:500GB NVMe対応
HDD:2TB
電源:750W GOLD
RTX 2080 Super×i7-10700K搭載のゲーミングPCだ。ドスパラの「GALLERIA ZA7C-R80S」に似た構成になっている。SSD 500GB MVNe対応、HDD 2TBとダブルストレージを採用していて初心者の方にも扱いやすい。コストパフォーマンスも高くおすすめしやすい。この2つから選ぶなら好みのブランドあるいはPCケースなどで選んでしまってもよいだろう。
G-Tune TD-P(G-Tune)
CPU:Core i9-9900K
GPU:GeForce RTX 2080 SUPER
メモリ:DDR4-2666 32GB
SSD:512GB NVMe対応+500GB SATA
HDD:3TB
電源:800W PLATINUM
G-Tuneと当サイトとのコラボレーションモデルとなっている。グラフィックボード性能については説明不要だろう。CPUにもフラグシップモデルのCore i9-9900Kを採用している。さらに、メモリ32GBと大容量なのも魅力だ。動画編集やゲーム配信でも余裕が出る。高いレベルでのゲームプレイを考えている方におすすめだ。
GALLERIA ZA7R-R80S(ドスパラ)
CPU:Ryzen 7 3700X
GPU:GeForce RTX 2080 SUPER
メモリ:DDR4 16GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:750W GOLD
Ryzen 7 3700Xを搭載した数少ないゲーミングPCとなっている。Ryzen 7 3700Xは、8コア16スレッドとCore i7-10700Kに近いマルチスレッド性能を持つ。ゲーム適性はIntel製CPUに比べると劣るものの第3世代になりゲーミングパフォーマンスは向上した。ゲームプレイ以外も考えるので検討する価値がある。メモリ容量16GB、SSD 1TB NVMe対応と構成も充実している。AMDが好きだという方はぜひチェックして欲しい。
G-GEAR GA9J-J201/ZT(TSUKUMO)
CPU:Core i9-10900K
GPU:GeForce RTX 2080 SUPER
メモリ:DDR4 16GB
SSD:500GB NVMe対応
HDD:2TB
電源:750W GOLD
RTX 2080 SUPER搭載モデルとしては価格が抑えられている。高解像度あるいは高リフレッシュレートでのゲームプレイが前提だ。Core i9-10900Kでは課題となる熱対策としてCoolerMaster製ヒートパイプ式CPUクーラーを搭載しているのは魅力的だ。また、750W GOLDの電源を搭載していて発熱を抑える効果がある。メモリ16GB、SSD 500GB、HDD 2TBと構成も抜群だ。
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イチオシのゲーミングノートPCを紹介している。外出先でもゲームを楽しみたいという方はぜひ参考にしてほしい。
当サイトでレビューをしている全てのゲーミングPCを表でまとめている。一覧で見れば、ゲーミングPCの構成や相場感を把握することができる。
ベンチマークテスト環境
CPU | Intel Core i7-8700K |
---|---|
メモリ | 2x8GB G.Skill TridentZ RGB DDR4-3200 |
ストレージ | Samsung 970 Evo 1TB Samsung 860 Evo 4TB |
電源ユニット | EVGA SuperNova P2 1000W |
マザーボード | Gigabyte Z370 Aorus Gaming 7 |