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今回は最近のグラフィックボードの品薄状況及び価格が高騰していることについての見解をまとめている。ゲーミングPCを自作したくてグラフィックボードを探していたり、ゲーミングPCを新しく購入したくてBTOパソコンを見ていたりするとグラフィックボードの価格が異様に高いことに気付くのではないだろうか。

特にここ数ヶ月の価格を調べている方だとすでに価格の上昇幅に驚いていることだろう。現在の状況や今後について詳しく掘り下げていく。参考にしていただけますと嬉しい。疑問点があればコメント欄かお問い合わせフォームよりご連絡いただければと思う。

グラボ・ゲーミングPC価格の高騰は続く

2022年01月時点でも価格が落ち着く気配はない。2021年11月時点と比べるとグラフィックボード単体の価格は下落傾向にあるが、国内定価と比べるとその差は大きいと言える。ゲーミングPCの価格については冬休みが終わってまた上がっているように思う。グラフィックボード価格の高騰はまだまだ続きそうだ。

各グラフィックボードの在庫・価格まとめ【2022年01月】

arkzaiko出典:(AKIBA PC Hotline!, 2021)

製品名国内定価(MSRP)国内価格2022/01(2021/11時点)BTO価格2022/01(2021/11時点)
RTX 3090229,800円($1,499)280,000円~(310,000円~)418,980円~(391,980円~)
RTX 3080 Ti175,800円($1,199)180,000円~(192,000円~)327,980円~(331,980円~)
RTX 3080109,800円($699)140,000円~(153,000円~)278,980円~(316,980円~)
RTX 3070 Ti89,980円($599)110,000円~(127,000円~)244,880円~(225,980円~)
RTX 307079,980円($499)105,000円~(110,000円~)229,980円~(204,980円~)
RTX 3060 Ti59,980円($399)84,000円~(84,000円~)179,980円~(169,800円~)
RTX 306049,980円($329)72,000円~(66,000円~)150,980円~(129,800円~)
GTX 1660 Ti39,980円($279)51,000円~(58,000円~)122,980円~(125,980円~)
GTX 1660 SUPER27,990円($229)58,000円~(56,000円~)139,980円~(125,980円~)
GTX 166032,980円($219)40,000円~(56,000円~)-(112,979円~)
GTX 1650 SUPER21,780円($159)-(40,000円~)-(-)
GTX 165021,780円($149)27,500円~(29,000円~)94,980円~(89,980円~)
GTX 1050 Ti18,980円($139)22,000円~(23,000円~)115,280円~(-)
RX 6900 XT142,780円($999)170,000円~(180,000円~)386,980円~(360,980円~)
RX 6800 XT89,980円($649)140,000円~(155,000円~)331,980円~(305,980円~)
RX 680079,980円($579)137,500円~(190,000円~)287,980円~(250,980円~)
RX 6700 XT74,980円($479)92,000円~(110,000円~)204,980円~(221,980円~)
RX 6600 XT59,980円($379)62,700円~(70,000円~)146,980円~(145,981円~)
RX 660054,980円($329)55,000円~(65,000円~)166,980円~(137,980円~)
2022年01月時点での各グラフィックボードの価格とBTOパソコンについてまとめている。MSRPはメーカー小売価格だ。定価みたいなものだと考えておくとよい。実はこのMSRPと国内の定価とは差がある。これは代理店マージンなどが含まれるためだ。いわゆるASK税と呼ばれるものになる。これは国内に住んでいる限り受け入れるしかないのが現状だ。高騰していなくても割高なことは間違いない。

今のところ購入が難しいグラフィックボードはGTX 1650 SUPERぐらいで他のモデルはプレミアム価格にこそなっているものの購入することが可能だ。2021年11月時点と比べるとほとんどのモデルが価格が下がっている。国内定価の差異が小さいのはRTX 3080 TiRTX 3060GTX 1660 TiGTX 1660GTX 1650RX 6900 XTRX 6700 XTRX 6600 XTRX 6600辺りとなる。もっともRadeon RX 6000シリーズについては価格高騰を反映した価格設定になっている側面がある。

BTOパソコンについては2021年11月時点と比べると全体的に価格が上がっている。これまで購入していた在庫が捌けて価格が上がっているのかもしれない。RTX 3060 Ti搭載モデルやRTX 3060搭載モデルが人気だ。価格帯的には15万円~18万円ということになる。RTX 3060 Ti搭載モデルは上位モデルであるRTX 3070搭載モデルよりもコスパに優れたモデルが多い。ほとんどのモデルで価格が上がっていることがわかる。GTX 1650搭載モデルなら税込10万円以下で購入することが可能だ。ハイエンドクラスのRTX 3080搭載モデルを購入するには30万円以上の予算が必要となる。

2021年夏までのグラフィックボード市場について

品薄状態で購入したくても購入できない

rtx3080urikire出典:(パソコン工房, 2021)

パーツショップを見るとすぐにわかると思うが、グラフィックボードを購入したくても在庫がなくて購入できない状態が続いている。特にGeForce RTX 3080・GeForce RTX 3060 Ti・Radeon RX 6900 XT・Radeon RX 6800 XTなどが入手困難だ。在庫を見つけたらすぐに購入した方がよいだろう。

パーツショップも厳しい

ワンズの在庫状況を見てもRTX 3090の次はGTX 1050 Tiとなっている。間のモデルがすっぽりと抜けていてこれはまさに異例だと言える。

在庫があっても価格高騰中

rtx3070kakakusui出典:(価格.com, 2021)

グラフィックボードの在庫があっても価格が跳ね上がっている。なかなか手を出しづらいというのが本音だ。例えば、ゲーマーに人気の高いRTX 3070は発売時の価格が82,485円だったものが、2021年2月23日時点で118,572円と40%以上も値上がりしている。グラフィックボードなど半導体の高騰は度々起こる。2018年1月頃にも同じようにグラフィックボードの価格が高騰していた。色々な要因が重なって供給不足に陥るということが言える。

今回のグラフィックボードの高騰は、トランプ政権が終了したことによる影響もあるのではないかと思う。(HUFFPOST, 2021)グラフィックボードやマザーボードなどのパソコン関連製品で優遇されていた中国への関税の完全除外が終了となった。これによって定価が高くなっているのだ。新型コロナウイルスに関連するオペレーティングコストの上昇も要因となり得ます。

グラフィックボードの供給が不足している理由

グラフィックボードの価格が高騰しているのは供給が不足しているためだ。ではどうして供給不足に陥っているのかを見ていくとしよう。

元々グラボの供給が安定していなかった

まず元々それほどグラフィックボードの供給が安定しているとは言えない状況だった。これは新型コロナによって半導体の生産を抑えたことによる世界的な半導体不足が原因(WEDGE Infinity, 2021)だ。まずは自動車業界がその影響をもろに受けた。そのつけが今になってグラフィックボード業界にも来ていると考えられる。スマートフォンやノートパソコンなどの需要が爆発したことも半導体不足に拍車をかけている状況だ。

自宅にいる時間が長くなったこともあってゲーミングPCの需要がずっと大きかった影響もあるだろう。そこに中国の旧正月やマイニング需要の急増などの要因が重なって深刻な供給不足になっているのだ。半導体の生産に対しての投資を増やしているが、供給が安定するまでしばらく時間が掛かりそうだ。

また、グラフィックボードは高性能になればなるほどダイサイズが大きくなり、より多くのシリコンウェハー(素材)が必要になる。製造できるグラフィックボードの数を増やしにくい状況だったと言えるかもしれない。Ampere世代のグラフィックボードでは前世代のRTX 20シリーズより大幅に性能が引き上げられている。ダイサイズも大きくなっているので当然だ。

マイニング需要の急増

bitcoin出典:(bitFlyer, 2021)

マイニング需要の急増によってグラフィックボードの需要が高くなり供給不足になってしまった。ビットコインの価格推移を見るとわかるが、2020年の年末頃から急激に価格が上昇している。当然価格が上がればマイニングでの利益を出しやすくなるので、高性能なグラフィックボードの需要が高まることになる。

中国の旧正月による工場の稼働停止

kyusyougatsu出典:(HUFFPOST, 2021)

供給が不安定な状況に中国の旧正月が重なってしまった。グラフィックボードの製造過程において中国は重要な役割を果たしている。その中国が旧正月で休暇になってしまうと工場の稼働が止まってしまう。通常旧正月は前後7日間の大型連休となる。日本人の正月と同じイメージだ。

グラフィックボードの供給不足に対するNVIDIAの対策

当然NVIDIAもグラフィックボードの供給不足に対して様々な対策を実施している。現時点ではそれほど効果があるようには思えないのが残念なところだ。それでもRTX 3070やRTX 3080でもマイニング性能を意図的に落とすということなので今後もう少し改善してくるかもしれない。

GTX 1050 Ti/ RTX 2060の再発売

NVIDIAは、旧モデルであるGTX 1050 Ti及びRTX 2060を復活(PCWorld, 2021)させている。これは異例の措置で過去を振り返っても例を見ない。それほどグラフィックボードの供給不足が深刻でNVIDIA側も事の重大性を理解しているということだ。

NVIDIAがGPUメモリ容量が小さいグラフィックボードを選んだのはマイニング用途での購入をさせないためだと考えられる。2021年5月時点でRTX 2060の在庫がやや増えているように思う。RTX 2060の価格は高騰前の2倍近い70,000円前後となっている。後継モデルのRTX 3060が100,000円以上となっているので選択肢として悪くないと思う。ミドルクラスをカバーできるのは嬉しいところだ。

RTX 3060の発売

2021年2月25日Ampere世代の60番台の本命であるRTX 3060のリリースを予定(PCGAMER, 2021)している。このリリースによって多少グラフィックボードの需要をカバーできるのではないかと思う。いつの時代でも60番台のグラフィックボードはゲーマーに人気がある。このRTX 3060を待ちわびている方も多いだろう。

性能的にはやや期待はずれ感はあるが、ミドルクラスのグラフィックボードとして十分だ。RTX 2060 SUPERよりも性能が高くレイトレーシング性能についても引き上げられている。今は登場したばかりということもあって価格は高めだ。価格が落ち着くことがあればRTX 30シリーズで最も売れる可能性がある。今後在庫切れになってしまう可能性も否定できないが…

RTX 3060のマイニング性能を落とす

もちろんRTX 3060も仮想通貨のマイニングを考えている方が狙うことが想定されている。もしそのような方が手にしてしまうと他のRTX 30シリーズと同様にすぐに在庫切れになる可能性が高いだろう。その対策としてNVIDIAはRTX 3060のマイニング性能を意図的に落とす(PCMag, 2021)ということだ。

結果的にゲーマーの手に渡りやすくなるということに繋がる。RTX 30シリーズはゲーマーをターゲットにしたグラフィックボードなので当然の対策だと思う。他のRTX 30シリーズに適用されないのがもどかしいところだ。

2021年5月にNVIDIAがRTX 3080・RTX 3070・RTX 3060 Tiにもマイニング制限を加えるということを発表(NVIDIA, 2021)した。ハッシュレートを意図的に半減させるようだ。

グラフィックボードの高騰はいつまで続くのか予想

gamingpcgpu
正直現時点でいつまでグラフィックボードの高騰が続くかはわからない。新型コロナ感染症の第6波が来ていることもあって今後さらに厳しくなってしまう可能性もあるのだ。不要の外出を控えるということでゲームをする時間は増えるだろう。結果的にミドルクラス以上のグラフィックボードを必要とされる方は多いと思うし、仮想通貨バブルによってまた需要が急増する可能性もある。

RTX 2060やRTX 2070 SUPERなどの販売でも落ち着くことはなかった。当面の需要をRTX 3060でカバーできれば2021年3月の終わりか4月には落ち着くのではないかというのが楽観的な見方だった。ところが、2022年1月になっても価格が下がらず2022年の間も高騰が継続することは間違いないだろう。今すぐ購入する必要がない方は数ヶ月様子を見てもよいと思う。半導体不足による影響は車産業にも影響を与えている。自動車専門調査機関のLMCオートモーティブによると「2022年には生産と在庫が回復し、2023年には通常に近づく、との見方を示している」(JETRO, 2021)ということだ。まだまだグラフィックボード価格が下がることはないだろう。

2022年01月時点ではグラフィックボードの価格高騰も高止まりしている状況だ。あとは下がるのを待つのみとなる。もちろん定価(MSRP)と比較するとかなり割高なことは間違いない。主流のモデルでも定価からの増加率は140%未満となっている。中には110%前後に抑えられているモデルもあるぐらいだ。一方で、ゲーミングPCの価格は上がってきている。これは価格が落ちきっていたIntel第10世代Core iシリーズの販売が終了した影響もあると思う。また、Ryzenシリーズについては供給不足が続きRyzen搭載モデルは価格が下がっていない。買い時を図りつつ購入の計画を立てるとよいと思う。

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