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CPUクーラーとは何かについて解説していく。CPUのパフォーマンスを引き出すためにも必須のパーツだ。自作PCを作っている方でないとCPUクーラーについてそこまで意識することはないかもしれない。BTOパソコンにおいてCPUクーラーは初期構成で十分でカスタマイズをするユーザーが少ないからだ。

最近ゲーミングPCで選択されることの多い水冷クーラーのデメリットについても詳しく見ていく。最後に「人気のCPUクーラーを紹介【2025年】」をまとめているのでチェックしていただければと思う。空冷と水冷のパフォーマンスについて知りたい方は別記事の「CPUクーラーは空冷と水冷どちらがいいのかを検証」を参考にして欲しい。

CPUクーラーとは

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CPUクーラーとは、CPUを冷却するためのPCパーツだ。CPUクーラーは主に金属ベース・ヒートパイプ・ヒートシンク(放熱フィン)・ファンの4つのパーツで構成される。CPUクーラーの金属ベースをマザーボード上のCPUに取り付けることになる。金属ベースとCPUクーラーの接地面は見た目とは違い平らというわけではなくそのままだと空気が入り込み熱伝導率が低くなる。熱伝導率が低いということはうまくCPUの熱が金属ベースに伝わらず冷却効果が落ちる。

そこでCPUグリス(TIM)が必要になる。CPUグリスで金属ベースとCPUの隙間を埋めて熱伝導率を上げることができる。熱が金属ベースからヒートパイプ(銅)を通ってヒートシンクに伝わって放熱する仕組みだ。ファンからの風も活用して放熱性を高めている。ヒートパイプには少量の液体(作動液)が含まれていて、CPUからの熱で沸騰して気体となりヒートシンクに移動する。ヒートシンクで冷やされると再度液体に戻り、金属ベースに移動する。

これを繰り返してCPUを冷やしているのだ。CPUクーラーの冷却性能が不十分だと、CPUの性能を100%引き出せなかったり、マザーボードなどの他のパーツへの悪影響が出る可能性がある。電力制限の解除やオーバークロックを前提としているなら冷却性能の高いハイエンドの空冷、できれば240mm水冷クーラー以上を選択するべきだ。マザーボードによっては選択するCPUクーラーの種類によってPL1・PL2が指定されることもある。

CPUにはサーマルスロットリングがあるおかげでCPUクーラーの冷却効果が足りなくてもCPU自体が壊れる心配はない。最近のCPUは賢いので故障リスクはないと考えてよいだろう。ただし、CPUからの発熱をうまく制御できないとマザーボードやメモリなどに悪影響を与えてしまう可能性も否定できない。壊れるまでいかなくても突然ブルースクリーンが表示されるなど不具合が生じることもある。

CPUクーラーの種類

CPUクーラーには2種類の冷却方式がある。空冷式と水冷式だ。空冷式クーラー2種類、水冷式クーラー2種類を詳しく解説していく。当サイトではBTOパソコンで一般的な空冷式サイドフロー型と簡易水冷式クーラーを取り扱う。最近はクロック周波数が極限まで高められてCPUの発熱量が上がったこともあって、水冷CPUクーラーを搭載したモデルが増えてきていることを伝えておく。

空冷式トップフロー型

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トップフロー型の空冷クーラーは、上部から直接ヒートシンクを増やす仕様だ。純正のリテールクーラーや安価な空冷クーラーが該当する。マザーボードやメモリなどにも風が当たるのは強みと言える。本体がコンパクトかつ取り付けも簡単で使い勝手がよい。トップフロー型の価格は1,200円~8,000円程度だ。弱点はヒートシンクの大型化が難しく他の種類に比べて冷却性能が劣ることだ。また、ラインナップはサイドフロー型の1/3程度となる。人気はサイドフロー型に負ける。よほどコストを抑えたいという希望がない限りは選択しなくてもよいように思う。

空冷式サイドフロー型

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サイドフロー型は名前の通りサイド部分から空気を取り入れてヒートシンクを冷やす。トップフロー型と比べてヒートシンクの大型化がしやすく、それが冷却性能に直結する。ミドルクラスだと1基のファンを、ハイエンドだと2基のファンを搭載していることが多い。価格は3,000円から15,000円だ。基本的には冷却性能及び静音性は価格に比例する。ラインナップが豊富でDEEPCOOL・COOLER MASTERなど多くのメーカーが製品をリリースしている。社外品のCPUクーラーを検討する際、第一候補に挙がるのはこのサイドフロー型だろう。コストパフォーマンスも高く選びやすい。

簡易水冷式

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簡易水冷式のCPUクーラーは現在注目度の高いモデルだ。簡易水冷クーラーは、水冷ヘッド(ポンプ一体)・チューブ・ラジエーター・ファンの5つのパーツで構成されている。パーツが多いので空冷式クーラーと比べると故障リスクは高くなる。寿命は2年~3年と言われている。ポンプがチューブ経由で冷却液(クーラント)を循環させる。CPUが発する熱で高温化した冷却液をラジエーターに送り、空冷ファンから空気を取り込みラジエーターが冷却液を冷ます。

この繰り返しでCPUの熱を取り除く仕組みだ。水冷ヘッドがコンパクトなのでケース内部特にCPU周りに余裕が生まれる。ただし、ラジエーターを搭載するためのスペースが必要だ。大型の360mmラジエーターになるとミドルタワー以上でないと厳しい。価格は9,000円~45,000円と幅広い。120mm・240mm・280mm・360mmとラジエーターが大きくなるほど冷却性能が高く、価格も高くなる。ラインナップは2種類の空冷式クーラーよりも多く、RGB対応モデルも人気だ。

本格水冷式

coolermastersuirei画像引用元:https://www.coolermaster.com/

本格水冷クーラーはこだわりのあるユーザー向けで初心者が手を出すべきではない。基本的なパーツ構成は簡易水冷クーラーと同じだが、CPUヘッド・ポンプ・チューブ・ファンなどをご自身で組み立てる必要がある。チューブの長さもケースに合わせて調整しなければいけない。細かいことが好きな方でないと手を出しづらい。SNSで映えることは間違いない。価格は高く20,000円~100,000円程度の予算が必要だ。こだわりのゲーミングPCを作りたい玄人向けといえる。

空冷CPUクーラーの特徴&弱み(メリット・デメリット)

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メリット 価格が安い or コスパが高い
静音性に優れる
取り付けが簡単
耐久性が高い
デメリット 冷却性能は水冷に劣る
エアフローの影響を受ける
本体が大きくケースに干渉することがある
メンテナンスが難しい

ここではゲーミングPCで一般的なサイドフロー型クーラーの特徴と弱みをまとめている。ハイエンドモデルになると簡易水冷クーラーと変わらない価格になるが、基本的には空冷タイプの方が価格が安くコストパフォーマンスが高い。静音性の高さも選ぶ理由になるだろう。ラジエーターがない分取り付けも簡単だ。また、パーツの数が少なく耐久性にも優れている。

絶対的な冷却性能では水冷クーラーに軍配が上がる。サイドフロー型になるとヒートシンクが大きくケースに干渉することがある。メモリの取り外しができないこともあるので注意が必要だ。また、エアフローについてもしっかりと考えないとクーラーのパフォーマンスを引き出せない。仕様上メンテナンスはできないと考えておこう。

水冷CPUクーラーの特徴&弱み(メリット・デメリット)

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メリット 冷却効果が高い
CPU周りにスペースが生まれる
エアフローを考える必要がない
デザイン性が高い(RGB)
メンテナンス不要
デメリット 価格が高め
故障リスクが高い
寿命が短い
独特な音がする

水冷CPUクーラーの最大の魅力は冷却効果の高さだ。冷却液が循環するおかげで空冷クーラーよりも効率的にCPUを冷やせる。水冷ヘッドにはヒートシンクがなくCPU周りがすっきりするのも特徴といえる。ケースにラジエーターが搭載できるかどうかは確認しておく必要がある。エアフローを考える必要がなくケース内にスペースがあれば十分な冷却効果を得やすい。RGB対応でデザイン性の高いモデルも多い。

メンテナンスは不要なモデルが多いが、パーツ点数が多く故障リスクが高い点は忘れてはいけない。また、一般的な寿命は2年~3年で空冷タイプよりもトータル費用は掛かってしまう。水冷独特の音が気になる方も多いかもしれない。ファンをフル稼働するとやや音が大きく感じるだろう。

CPUクーラーの選び方

CPUクーラーを選ぶ上で重要なポイントを解説していく。予算・空冷/水冷・デザイン・サイズ辺りを押さえておくとよい。

予算

予算によってある程度モデルの絞り込みができる。5,000円以下ならミドルクラスのCPUクーラーが候補になる。最低3,000円程度の予算から購入可能だ。少しでも予算を抑えたいなら純正クーラーを使うのも手だ。水冷CPUクーラーだと最低でも15,000円前後の予算が必要となる。最低価格で言えばハイエンドの空冷式CPUクーラーと価格は変わらない。

空冷 or 水冷

空冷か水冷も重要なポイントとなる。冷却性能を重視するなら水冷式がおすすめだ。最近はBTOパソコンでも選択されること増えてきた。有寿命商品となっているので消耗品と考える必要がある。その点は空冷クーラーが有利だ。ハイエンドモデルを選択すれば高い冷却性能を期待できる。ケースの制約を受けづらいのも魅力だ。

ファンの数・回転数・風量・ノイズ

ファンのスペックも確認しておこう。ぱっと見てわかるのはファンの数だ。ミドルクラスなら1基搭載が多い。冷却性能を求めるなら2基以上がよい。水冷式クーラーなら3基搭載しているモデルもある。あとはファンの回転数・風量そしてノイズだ。回転数は300rpm~2,000rpm、風量は60 CFM前後を基準にしよう。

静音性の高さを重視するならハイエンドの空冷ファンがおすすめだ。静音性に特化した製品もリリースされている。ノイズは30 dBAなら静かだといえる。価格は高くなってしまうがそれに見合う価値があるのではないかと思う。水冷式CPUクーラーはパーツの数が多く音の発信源が増える。独特な音がするのも水冷式クーラーのデメリットだ。

デザイン(RGB etc.)

デザインも重要なポイントだ。サイドクリアガラスパネルを採用したケースが増えているのでファンは外から見える状態になる。空冷式ならnoctua製が人気だ。光るゲーミングPCを構築したいならRGB対応ファンを搭載したクーラーを選択しよう。マザーボードに十分な端子があるか確認しておくとよい。

サイズ

クーラーのサイズも必ず調べておこう。PCケースによっては収まらない可能性が出てくる。特にハイエンドのサイドフロー型CPUクーラーは本体が大きく搭載できるケースは限られる。水冷式CPUクーラーもラジエーター搭載が必須なのでそのスペックが必要だ。

最大TDP

製品によっては最大TDPが記載されていることがある。使用環境によって大きく異なるためあくまでも一つの目安としてみる方がよい。そもそも最近のCPUはTDPはあってないようなものとなっている。電力制限の解除やオーバークロックを前提としているなら最大TDPだけではなくグレードなどを確認しておこう。

人気のCPUクーラーを紹介【2025年】

AK400 R-AK400-BKNNMN-G-1(DEEPCOOL)

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最安値クラスのモデル

2,980円~で購入できる安価なモデルだ。比較的小さくてどのようなケースにもフィットしやすい。Core Ultra 5 225やRyzen 5 9600のようなTDPが抑えられたCPU向けだ。騒音は29dB以下に抑えられている。

MUGEN6 BLACK EDITION SCMG-6000DBE(サイズ)

MUGEN6 Black EditionSCMG-6000DBE

王道のミドルクラスモデル

6,026円で販売されているミドルクラスの空冷クーラーだ。やや大きめのサイドフロー型クーラーとなる。騒音も最大で26.9 dBAと比較的静かだ。

NH-U12A(noctua)

NH-U12A

人気の高級CPUクーラー

オーストリア発祥のnoctua製空冷クーラーだ。空冷最強を謳う高品質モデルとなる。価格は15,000円と高いがそれに見合うCPUクーラーだ。比較的コンパクトなサイズながら冷却性能が高く使いやすい。デザインもよいように思える。光るゲーミングPCには不向きかもしれない。

Liquid Freezer III 360 ACFRE00136A(ARCTIC)

Liquid Freezer III 360ACFRE00136A

20,000円以下の水冷クーラー

17,980円~と比較的安価な水冷CPUクーラーだ。360mmラジエーター搭載で高い冷却性能を持つ。ポンプ・VRMファン・ラジエーターファンを別々に制御できる。

iCUE LINK TITAN 360 RX RGB LCD White CW-9061026-WW(Corsair)

CW-9061026-WW

白色の本体がかっこいい

33,980円~とやや高価な水冷CPUクーラーだ。ポンプヘッドに2.1インチのLCDパネルを搭載していてCPU温度などを確認できる。騒音レベルは36dBAと空冷式と比べるとやや音は大きい。