LANカード(アダプター)の特徴について解説していく。ゲーミングPCにLANカードを搭載したいと考えている方向けのコンテンツだ。LANカードを搭載することでどのようなメリットがあるのか、注意すべき点はどのようなところかといったことをまとめていく。なお、回線が遅くて悩んでいる方は、LANカードを搭載する前に「オンラインゲームと回線の不具合」を参考にしていただければと思う。根本的な問題解決を行った上でLANカード搭載を考える必要がある。
当ページの目次
LANカード(LANボード)とは
LANカードとは、インターネット通信のためのLANケーブルを挿す外部コネクタ(拡張パーツ)のことだ。PCIe x1に接続して使用する。今回は1,500円程度の安価なモデルを使用したが、10,000円を超えるモデルも販売されている。メーカーは、TP-Link、バッファロー、玄人志向などがある。
このように裏側にLANポートを増設できる。
上記赤色の枠で囲っているものがオンボードの外部コネクタとなっている。オンボードにもブロードバンドポートが搭載されていて、ゲーミングPCでは別途LANカードを利用しなくてもネット通信ができる。役割で考えると両者は同じものだ。一般的にはオンボードよりも拡張LANカードの方が性能は優れている場合が多い。実際に使用しているネット環境によって異なるので、交換したからといって確実に性能が上がるというわけではない。その点を含めて詳しく解説してきたい。
LANカード(LANボード)の特徴&注意点
LANカード搭載でもネットワーク性能は変わらない
LANカードを搭載するだけで回線速度がアップするということはない。こう言うと少し語弊があるかもしれない。ネットの回線速度は一定であり、LANポートによって回線速度が変わるということだ。例えば、基本的なパソコンのマザーボードに搭載されるLANポートは1000BASE-T、いわゆるギガビットLANと言われるものだ。
これは1Gbpsの回線速度に対応できるLANポートである。契約している回線が1Gbpsであれば、オンボードもLANカードも性能差は生じない。もしも、契約している回線が5Gbpsや10Gbpsのような1Gbpsより優れたものだと効果が出るということになる。
そのようなケースにおいては、オンボードでは1Gbpsに制限されていたのが開放されて回線速度が上がったように感じられる。ネットワークの性能が上がるのではなく、制限を解除して性能を引き出せるようにするのがLANカードである。そのため、LANカードを増設することで回線速度が向上するかどうかは環境によるということだ。
回線は基本的にベストエフォート式
回線は基本的にはベストエフォート式であることを理解しておこう。最高速度が出ることはほとんど出ないと考えて間違いない。例えば、ネットワーク回線が1Gbpsを謳っていても、実際に1Gbpsの通信ができるわけではない。よくても800MB、悪ければ100MBを切ることもある。
インターネット回線の公称速度はベストエフォートという方式での速度だ。これは何の障害もなく、理論上最高の条件下での速度だ。完成したばかりの高速道路を、一般開放していない状態で走行してかかった時間がベストエフォートだ。一般開放した後に同じタイムで走れるかというとそうではない。10Gbpsでも5Gbpsでもそれは変わらない。
また、回線は複数の世帯と共有することになる。特にマンションタイプではそれが顕著だ。仕事から帰ってきて寝るまでのゴールデンタイムは回線速度が著しく低下してしまう。その時、10Gbps対応のLANカードであっても、10Gbps対応のLANポートであっても同じ速度になる。もっとも、多くのマンションタイプは1Gbpsタイプが主流で、一部のプロバイダーが2Gbpsを提供している程度だ。
10Gbpsなどの高速タイプは戸建て向けのサービスに留まっている。ただし、今後必ずマンションタイプにも広く展開されると予想される。先々高速タイプのLANカードの需要は伸びてきそうだ。現時点に限ってはマンションタイプのユーザーにとってLANカードは必須なものとは言えない。
LANカードに関する考察
4gamer
……以上のように考えていくと,Killer Xeno Proというのは,CPUやGPUに資金をつぎ込み,もはや両面とも強化する余地はもはやないというお大尽なプレイヤーが,最後に手を出すべきアイテムだと結論づけられるのではないかと思う。効果は薄いが皆無ではないため,文字どおり究極のゲームマシン構築を目指す場合に限っては,導入の意味がある,といったところである。
引用元サイト:“ゲーム用LANカード”に効果はあるのか
4gamerでゲーム用LANカードを使ってネットが早くなるのかフレームレートが安定するのかを検証している。結論は上記のとおりだ。効果は薄いが皆無ではないということになる。やや忖度があるように思える。これは11年ほど前の4gamerの記事だ。この当時はCPU負荷を軽減させることができる程度で、ゲームに対する恩恵は低いという判断だ。しかし、今はCPU性能が大きく向上したことで、CPU負荷を下げてもフレームレートに影響を与えるほどではないだろう。
LANカードの優劣がゲームに与える影響は今も小さいままだ。例えば、10Gbpsの回線を使用していたとする。そこに1Gbpsと10GbpsのLANカードで接続した同じ性能のパソコンでゲームをプレイする。この時、この2台には快適性に違いが生じるかどうか。答えは影響なしである。回線速度が一定を超えると、後はどの程度安定するかがオンラインゲームには重要だ。
以前FPSをプレイしていた時に、100MB接続の大阪のプレイヤーと2Gbps接続の千葉のプレイヤーのpingは同値だった。回線速度が大きいほどping値は下がりやすいが、サーバーとの距離が最も重要だと感じた。LANカードは回線速度の制限を解除することはできても、ゲームによい影響を与えるとはやはり言い難い。
Amazonレビュー
ここではAmazonのレビューを紹介するが、いずれも故障など不具合が生じたときの対処法として購入していることがわかる。ネットが早くなったというコメントは見当たらなかった。
Windows10のアニバーサリーアップデートを行った後に、高速起動とスリープからの復帰では、オンボードのEthernet [≧[゚ ゚]≦] が正常に接続されなくなりました。高速起動を止めて、スリープを行わなければ問題ないので、そのまま使用していたのですが、少々不便に感じて、このボードを購入しました。搭載し標準ドライバで起動したのちに、高速起動でもEthernetが正常接続されるようになりました。
今までオンボードの蟹さんでしたが、時々「通信不能」になることがありました。何も作業も通信もしていないのに、ソースを見たらLANがあり得ないくらいビジーになっていて、ウェブもメールもダウンロードも全滅になります。再起動してもすぐにはダメなんですが、10分から30分ぐらい放置していれば何事もなかったかのように元に戻ります。ルーターには問題がないのでおそらくオンボードのLANではないかという結論になり、評判のいいインテルのNICを購入しました。
サブPCの中古のマザーボードのLAN周りが故障を抱えていて、PC起動後再起動しないとネット接続出来ない状態だったのですが、こちらのカードを増設したところ、再起動ではなく一度シャットダウンして起動したときにもちゃんとネットに繋がった状態で立ち上がったので万々歳です。
LANカードの利用で得られる恩恵一覧
オンボードが故障したときの代用
最も多いのがオンボードが故障したときの代用としての導入だろう。それほど故障頻度が高いパーツではないが、接触が悪くなったり、ネット接続が不安定になったりすることがある。そのような時にLANカードを搭載すれば改善する。
株やFXのデイトレをしている方やFPSなどのゲームをしている方にとってネット環境はなくてはならないものだ。そのようなときのリスクヘッジとして前もってLANカードを用意しておくというのも良いかもしれない。ただ、私自身何年もパソコンを使っているが、ブロードバンドポートが潰れたことはない。
CPUに掛かる負担を軽減できる
性能の向上は一切しないのかと言われるとNOとなる。ただ、費用対策効果は薄く体感差はほとんどないだろう。また、CPU負荷を抑える効果を期待することができる。しかし、それも環境に依存していると言ってしまえばそれまでだ。CPUの性能自体が高いので影響を受けないといった方が正しいかもしれない。
そのため、CPU負荷を抑えるといってもワンランク上のCPU性能を引き出せるほどでもない。これが無線LANカードなどであれば別だが、デスクトップパソコンにLANカードを搭載することで性能の向上を見込んでいるのであればストップしたほうがいいかもしれない。
ファイルの送受信やプリンターとの接続ができる
LANカードにはUSBタイプがあり、名称はネットワークカード・LANアダプター・NICなどと呼ばれている。現在はパソコン同士のファイルの送受信やプリンターとの接続などに用いられることが多いようだ。あなたの想定している用途を考えて検討してほしい。
BTOメーカーのカスタマイズからもほぼ消えた
2016年ぐらいまではBTOメーカーのカスタマイズでLANカードを選択することができた。ところが、今は一部のショップを除いてカスタマイズできなくなっている。1Gbpsを超える回線が普及し始めていることを考えると、再度カスタマイズ項目に追加されるのではないかと思う。2000年以前はオンボードにLANポートが存在せず、LANカードによってネットワークに接続することが当たり前だった。
2010年以降は光接続が主流になり始め、100Mbpsを超えることも珍しくなくなった。その頃にはオンボードのLANポートも100MBに対応し、いつの間にか当たり前のように1GBにも対応していた。このまま行けばオンボードは2GB、5GBと徐々に対応力を広げていくのではないか。主流になる頃にはオンボードがしっかりと対応してきた歴史がある。カスタマイズで追加するまでもないということなのかもしれない。
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