当記事では、サイコムの販売するゲーミングPCであるG-Master Spear Z890/D5の詳細レビューをまとめている。初期構成ではCore i7-14700K×GeForce RTX 4060を搭載している。これをベースにカスタマイズで自分好みに仕上げよう。カスタマイズ内容を反映したURLを発行できるようになったので、いつでもカスタマイズ画面を呼び出すことができる。カスタマイズ画面下部の「クリップボードへコピー」をクリックしてURLを発行しよう。友人やSNSで構成の相談がしやすくなった。当ショップでもおすすめカスタマイズを作ってみた。「G-Master Spear Z890/D5おすすめカスタマイズ」を参考にしていただければと思う。カスタマイズの自由度が高くこれが正解というわけでははないことは理解しておいて欲しい。
カスタマイズをしないとかなり割高なのでできる限りカスタマイズをしよう。注意は必要だ。定期的に価格調整が行われるため公式サイトの価格を必ず確認しておくとよい。当該モデルはサイコムの中でも売れ筋モデルの一つだ。Z890チップセット・DDR5メモリ搭載のハイエンドモデルとなっている。CPUクーラーもNoctua製「NH-U12S redux」を採用するなどこだわりが見える。PCケースはゲーミングPCでも人気の高い「CoolerMaster MasterBoxCM694」を採用している。クリアガラスパネルを選択することも可能だ。「CoolerMaster MasterBoxCM694」の在庫不足によって現在初期構成ではPCケースに「Fractal Design Define 7 Black/White TG Clear Tint」が選択されているが、在庫切れの状態で「CoolerMaster MasterBoxCM694」などに戻す必要がある。
G-Master Spear Z890/D5のスペック解説
メーカー | サイコム |
---|---|
ブランド名 | G-Master |
製品名 | G-Master Spear Z890/D5 |
価格 | 302,460円(税込) |
CPU | Core Ultra 7 265K(レビュー) |
GPU | GeForce RTX 4060(レビュー) |
メモリ | DDR5-5600 32GB |
SSD | 1TB Gen4 NVMe |
HDD | 非搭載 |
電源 | 750W 80PLUS GOLD SilverStone |
マザーボード | チップセットZ890 (Wi-Fi・Bluetooth) |
おすすめ度 | Aランク |
評価 | ・コスパ 4.6 —–内訳—– ・ショップ評価 7.8 |
サイコムが販売する人気モデルの一つだ。価格は302,460円だ。送料2,920円を含めると305,380円となる。CPUにはCore Ultra 7 265Kを、GPUにはGeForce RTX 4060を搭載している。グラフィックボードはMSI製「GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC」だ。オーバークロックモデルで高いパフォーマンスを発揮する。メモリはDDR5-5600 32GBと充実している。ストレージはSSD 1TB Gen4 NVMeが選択されている。電源ユニットはSilverStone製750W GOLD搭載だ。コストパフォーマンス指標は4.6と標準を下回っている。コスパを重視するモデルではないのでそこまで問題はない。ほぼすべての箇所をカスタマイズできるのが強みだ。おすすめ度は高く強いこだわりのある中級者以上の方におすすめのモデルだ。
おすすめカスタマイズ
- CPU △
- CPUグリス △
- CPUクーラー △
- マザーボード △
- メモリ △
- SSD △
- ビデオカード ◯
- 電源 △
サイコムの製品はほぼすべてのパーツをカスタマイズできる。CPUやグラフィックボードはもちろん、マザーボードまでカスタマイズ可能だ。すべての性能を向上させたり、構成を大幅に強化したりできるのがサイコムの持ち味だ。相性などで不可能な組み合わせを選択した場合赤文字の警告を表示して教えてくれるので安心だ。
CPUは標準でCore Ultra 7 265Kが選択されている。価格を少し抑えられるCore Ultra 7 265KFも選択可能だ。上はCore Ultra 9 285K、下はCore Ultra 5 225Fと幅広い選択肢が用意されている。価格と性能のバランスを自分好みで選べる。ほぼフルカスタマイズBTOのサイコムだからできることだ。CPUは価格差を考えてもCore Ultra 7 265KFがおすすめだ。Core Ultra 5 225Fを選択してもおよそ30,000円しか値引きされないからだ。Core Ultra 5 235はBTOパソコンでは珍しい。コストパフォーマンスを考慮するならCore Ultra 7 265KFがよい。
CPUグリスは好みのものでいい。注意点は選択しているCPUクーラーによって選べるものが変わることだ。標準のNoctua NH-U12S reduxでは、標準のものしか選択できない。CPUグリスは劇的な変化があるわけではないので、強いこだわりがない限りは変更しなくても問題ない。CPUクーラーはサイコムでパソコンを購入するなら変更しておきたい。標準のものでも十分だが、水冷式のCPUクーラーも種類が豊富だ。冷却高価を求めるなら最低でも240mmのラジエーターを搭載するものがいい。理想は360mmだが、少し価格が高くなるのがネックだ。ここもCPUの発熱量を考慮していれば好みでいい。
マザーボードは標準のものでいい。仮に変更するにしても、アップグレードを基本に考えたい。B860を選択すると価格は安くなっても機能面で落ちる。価格が高ければいいというわけでもないので、自分に必要だと思うものを選択してほしい。よくわからないという方は無理してカスタマイズせず、標準のものを使用すれば問題ない。標準のマザーボードも優秀なので無難な選択肢と言える。
メモリはDDR5-5600 32GBが標準だ。メーカーを選択できたり、キャンペーンで安くなっていたりするので要チェックだ。4/14までは無償アップグレード対象となっており、64GBまで価格据え置きで選択できる。こういったカスタマイズを対象としたキャンペーンが多いので、変更するつもりのない箇所も確認しておきたい。メモリ容量はGeForce RTX 4060では32GBもあれば十分だ。もしも、グラフィックボードを高性能なモデルに変更するなら64GBを選択するのも悪くない。もちろん、無償アップグレード中ならしっかり選択したい。
SSDは標準で1TBの容量がある。本来ならカスタマイズは推奨しないが、サイコムでは話が変わってくる。サイコムのカスタマイズ費用は基本的に控えめだ。他メーカーでは1TBから2TBへの変更は12,000円ほどだ。前述の通り、サイコムではカスタマイズのキャンペーンがある。SSDは最も多く適用されるので、必ずチェックしておきたい。2TBへのカスタマイズが7,000円以下ならおすすめだ。使い分けるなら増設で追加するのも悪くない。
ビデオカードの項目では、グラフィックボードを選択できる。これがG-Master Spear Z890/D5のメインカスタマイズとなるだろう。GeForce RTX 4060からGeForce RTX 5090まで幅広く選択可能だ。ただし、在庫状況はその都度変わるので、タイミングによっては選択できないモデルもある。高性能なグラフィックボードを選択する際は、電源の容量も変更しなくてはならない。単純にグラフィックボードの価格が上乗せされるだけではなく、電源の費用も考慮しておきたい。
電源のカスタマイズは腕の見せ所だ。標準で750W 80PLUS GOLDが搭載されている。グラフィックボードに合わせた容量を選択したい。850W 80PLUS PLATINUMには990円で変更できるように、幅広い選択肢から電源を選ぶことになる。価格の調整がしやすく、ギリギリを狙いつつ価格を抑えることも可能だ。逆に価格を抑えつつ品質を高めるような選択もできる。同じ750Wクラスにも選択肢が多いので、理想を追いかけるのもよいだろう。
G-Master Spear Z890/D5のカスタマイズ例
初期構成 | カスタマイズ | 価格差 | |
---|---|---|---|
ブランド | G-Master | G-Master | – |
製品名 | G-Master Spear Z890/D5 | G-Master Spear Z890/D5 | – |
価格 | 302,460円 | 286,840円 | -15,620円 |
イメージ | ![]() |
![]() |
– |
CPU | Intel Core Ultra 7 265K | Core Ultra 7 265KF | -4,220円 |
CPUグリス | CPUクーラー付属グリス | CPUクーラー付属グリス | 0 |
CPUクーラー | Noctua NH-U12S redux | DeepCool AK400 | -3,130円 |
マザボ | ASRock Z890 Pro RS WiFi [Intel Z890chipset] |
ASRock Z890 Pro RS WiFi [Intel Z890chipset] |
-4,790円 |
メモリ | 32GB[16GB*2枚] DDR5-5600 | DDR5-5600 64GB(無償時のみ) | +7,880円 |
SSD | Crucial T500 CT1000T500SSD8 | Crucial P3 Plus CT1000P3PSSD8 | -6,550円 |
HDD | 非搭載 | 非搭載 | 0 |
光学ドライブ | 【黒】DVDスーパーマルチドライブ+ 書込みソフト | なし | -3,430円 |
GPU | GeForce RTX4060 8GB MSI製 GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC |
GeForce RTX4060Ti 8GB ASUS製 DUAL-RTX4060TI-O8G-EVO |
+11,510円 |
ケース | Fractal Design Define 7 Black/White TG Clear Tint [ガラスパネル] |
【黒】CoolerMaster CM694 | -8,890円 |
ケースオプション | なし | なし | 0 |
電源 | SilverStone SST-DA750R-GMA [750W/80PLUS Gold] |
Antec CSK650 [650W/80PLUS Bronze] |
-6,960円 |
価格をあまり動かさずに性能アップを目指すカスタマイズをしてみた。これぞフルカスタマイズ可能なサイコムの基本とも言えるものだ。CPUはCore Ultra 7 265KからCore Ultra 7 265KFに変更している。これは内蔵グラフィック機能をカットしたもので、グラフィックボードを搭載しているモデルならほぼデメリットなしだ。グラフィックボードを外して使用する可能性があるなら非推奨である。
CPUクーラーは安価なDeepCool AK400を選択している。冷却性能は落ちるかもしれないが、十分な冷却に期待できるので大きな問題とは考えていない。オーバークロックや電力制限の解除を想定しているユーザーなら水冷式への変更が必須だ。メモリは64GBを選択しているが、これは現在無償アップグレードの期間中だからだ。無償アップグレードでなければ32GBのままで問題ない。さらにコストカットを目指すなら、あえて16GBへのダウングレードもありだ。ダウングレードを選択できるのも、フルカスタマイズの魅力だ。
SSDは同じメーカーの同じGen4接続のSSDに変更している。廉価グレードということもあって品質や読込速度は少し落ちる。しかしながら、それ以上に価格を抑えられるのはメリットだ。容量も同じ1TBであるため、使用感にそれほど差はない。読込速度が少し下がったところで、ここまで来ると体感するのはむずかしいはずだ。それなら少しでも価格を抑えるモデルを選択するのも醍醐味だ。こういった価格調整ができるのも強みだ。
グラフィックボードはGeForce RTX 4060 Tiへアップグレードしている。グラフィックボードのカスタマイズこそが最大の魅力であり、G-Master Spear Z890/D5を選択する理由だ。GeForce RTX 4060 Tiを選択できれば、ゲームへの対応力も変わってくる。これだけでG-Master Spear Z890/D5の印象は大きく変わるはずだ。グラフィックボードのカスタマイズを行わなければ、G-Master Spear Z890/D5の魅力は半減する。
電源はグラフィックボードに合わせて750W 80PLUS GOLDから650W 80PLUS BRONZEへダウングレードした。GeForce RTX 4060 Ti搭載モデルならこれで十分だ。ただし、CPUのオーバークロックを想定している場合は、電源容量に余裕がなくなるので注意したい。消費電力が高まる使い方をするなら、電源は変更しない方がいい。
PCケースは標準で選択されている「Fractal Design Define 7 Black/White TG Clear Tint」が在庫切れのため、「【黒】CoolerMaster CM694」を選択している。元々G-Master Spear Z890/D5は、「【黒】CoolerMaster CM694 TG[強化ガラスサイドパネル]」が標準ケースだった。カスタマイズでは在庫切れと価格から、標準ケースのガラスサイドパネルなしにあたるCoolerMaster CM694を選択した。ケースは好みで選べばいいが、在庫状況が安定しないのでおまけ程度に考えた方がいいかもしれない。
これらのカスタマイズを適用することで、標準モデルよりも優れた性能を持ちながら、価格は少し安くなるモデルを構築できる。価格差は15,620円で30万円台を切ることに成功した。Core Ultra 7 265KFとGeForce RTX 4060 Tiの組み合わせ、さらに充実した構成を持っての28万円台は割高感を打ち消す価格だ。こういったことができるのはフルカスタマイズならではだ。ただ、当然性能に関わる部分以外は品質が下がる。品質と価格のトレードオフは必ずしもよい選択とは言えない。好みや理想を追いかけやすいということを証明したかっただけだ。予算に余裕があるなら、G-Master Spear Z890/D5は自由度が高く、調整しやすいのでおすすめだ。
各タイトルの対応表
Apex Legends | フォートナイト | マイクラ | モンハンワイルズ |
---|---|---|---|
![]() ・240Hz ・144Hz |
![]() ・240Hz ・144Hz |
![]() ・影Mod ・通常 |
![]() ・144fps ・60fps |
対応表は必要なスペックや環境から評価した個人的な見解であることをご了承いただきたい。
★5つ=最高設定、★4つ=高設定、★3つ=標準設定、★2つ=低設定、★1つ=厳しいということだ。なお、対応表は必要なスペックや環境から評価した個人的な見解となっている。
G-Master Spear Z890/D5はCore Ultra 7 265KとGeForce RTX 4060を搭載したミドルクラスのゲーミングPCだ。標準構成のまま選択する方は少ないと思うので、標準性能ではこのくらいの対応力という参考にしてほしい。ゲームをメインにプレイするなら、この評価から性能強化具合を調整したい。
国内人気の高いApex Legendsは、144fpsであれば安定させられる性能がある。最高設定でも概ね144fpsは目指せる。標準設定にまで落とせば240fpsも出せる。張り付きにはならないので、場面によって設定の調整は必須だ。
Apex Legendsと同じジャンルのフォートナイトは、設定による負荷の変動が大きいゲームだ。最高設定はかなり重く、60fpsの安定もむずかしい。一方で、最低設定では240fpsの安定も目指せる。プレイするモードでも負荷が変わるので、おおむね200fps程度で安定する性能だと思っておこう。
今も人気のMinecraftは、負荷の高い影Modを導入しても快適にプレイできる。Minecraftをメインにプレイするには、オーバースペックなモデルである。複雑なレッドストーン回路や大規模な経験値タワーなど、負荷の高い環境ではカクつきは生じる。これは性能でカバーしにくい部分だ。クライアントクラッシュしにくくなるので、無駄な性能にはならない。
2025年登場の注目タイトルモンハンワイルズは、ある程度快適にプレイできる。最高設定では60fps前後となるものの、フレーム生成を使用できる。これにより、設定を少し下げれば60fps、大きく下げれば100fpsを目指せる。モンハンワイルズへの対応力はまずまずだ。最高設定を想定するならおすすめはできない。
G-Master Spear Z890/D5の性能まとめ
ゲーミングPCとは、グラフィックボードやCPUなどのPCパーツの集合体だ。ここでは特に重要なグラフィックボードとCPUについて分解して細かく見ていく。
PC初心者の方がスペックを見て性能をイメージすることは難しいだろう。一体として見るよりも一つずつのパーツを見ていくと理解がしやすいと考えている。
Intel Core Ultra 7 265K(CPU)
初期構成ではこのCore Ultra 7 265Kが選択されている。Arrow Lake世代のハイパフォーマンスモデルだ。ゲーム性能は思ったほど伸びておらずCore i7-14700に劣るこそさえある。今後アップデートなどの改良で改善される可能性はあるが、現時点では期待ほどではない。2世代前のCore i7-13700Kと同等のゲーム性能を持つにとどまる。
GeForce RTX 5070までのグラフィックボードとの組み合わせがよさそうだ。ゲーム性能以上にマルチコア性能が向上している。ハイパースレッディングの廃止で20コア28スレッドから20コア20スレッドとスペック自体は下がったが、IPCの改善によってパフォーマンスの底上げが行われた。ゲーム実況動画作成から3D CADまで幅広い用途に通用するCPUだ。
GeForce RTX 4060(GPU)
当該モデルでは初期構成でミドルクラスのGeForce RTX 4060が選択されている。GeForce RTX 4060以下のモデルを選択するなら他のベースモデルを探す方がよいだろう。GeForce RTX 4060は、Ada Lovelace世代でも人気のあるグラフィックボードとなっている。従来モデルのGeForce RTX 3060と比べて20%以上も処理性能が向上している。フルHD環境でのゲームプレイを考えている方向けだ。
CPUとGPUのバランス考察
Core Ultra 7 265KとGeForce RTX 4060の組み合わせはよいとは言えない。Core Ultra 7 265Kの性能的に、GeForce RTX 4060の性能を引き出しても持て余すからだ。ゲームに限って言えば、Core Ultra 5 225のように、価格を意識したCPUと組み合わせる方がよい。Core Ultra 7 265Kの強みはゲーム以外の用途への対応力だ。ミドルクラスのグラフィックボードに対してはややオーバースペックというのが本音である。もっともほとんどの方がグラフィックボードのアップグレードを検討するはずだ。GeForce RTX 4060 Ti以上のモデルを選択したいところだ。
G-Master Spear Z890/D5の特徴
パーツの知識が必要な熟練者向けモデル
G-Master Spear Z890/D5はカスタマイズが前提ということもあり中上級者向けのゲーミングPCといえる。幅広い選択肢からパーツを選ぶことになるので各パーツの特色などはある程度理解しておかなければならない。標準構成での選択は推奨できないことからも、一度は自作PCを組み立てたことがある方やパーツやメーカーに強いこだわりを持つ方に適したモデルだ。同じグラフィックボードでも、メーカーが違えば性能や特性にも差が出る。
こういった部分に目を向けるなら、フルカスタマイズは魅力的に映るはずだ。本来BTOパソコンとは受注生産を意味していてフルカスタマイズができるものだったが、初心者に受け入れられないこともあり今はサイコムほどカスタマイズができるショップは激減している。意図的にカスタマイズの自由度を制限しているショップが多いのだ。ライト層への配慮が一般的になった反面、熟練者の受け皿がなくなってきていた。
サイコムなら一般的なBTOパソコンでは満足できなかったユーザーにぴったりだ。自作PCで組み立てるのも悪くないが、パーツの相性や適合問題・保証の問題を考慮してショップで購入したいと考える方も多いだろう。組み合わせ不可の際は警告が表示されるのはありがたい。G-Master Spear Z890/D5の標準構成はあくまでもベースだ。ここからどう変化させて、こだわりや理想を追うかで色を変えるモデルだ。一般的なBTOでは固定されて変更できないパーツも多い。理想を追うよりも妥協が求められるのが現状だ。
G-Master Spear Z890/D5は現行のミドルクラスをベースにしている。手を加えやすく、理想を追いやすいのが特徴と言える。性能と価格を追うなら、大手のBTOメーカーをおすすめする。G-Master Spear Z890/D5はミドルクラスにしては高すぎる価格だ。はっきり言って万人受けするようなモデルではない。G-Master Spear Z890/D5のカスタマイズの自由度を魅力と受け止められる方にのみおすすめだ。
コストパフォーマンスは低い
G-Master Spear Z890/D5の弱点は価格が高いことだ。こだわりを反映できる一方で、価格は跳ね上がってしまう。ミドルクラスの性能で30万円台を突破している。大手BTOメーカーでは20万円台くらいだ。30万円台にもなればGeForce RTX 5070搭載モデルも視野に入る。価格だけで言えば2ランク3ランク上の性能を手にできる。このことから、コストパフォーマンスは非常に低いと断言できる。初めてのゲーミングPCや初心者の方には手が出しづらい。
パーツの知識やこだわりの前に、予算という壁が立ちはだかるモデルである。昨今のゲーミングPCはコストパフォーマンスを意識したモデルが中心になっている。CPUやグラフィックボードの性能が高くなり、ゲームをプレイするだけならミドルクラスでも十分対応できるようになったのも大きい。結果的に、性能や構成を妥協しても、安定したゲームプレイが可能だ。
これがこだわりの強いゲーミングPCを激減させる要因にもなっている。つまり、G-Master Spear Z890/D5は今の主流に逆行したモデルとも言える。性能は高く価格が安い。この理想から外れたところに注力している。しかし、サイコムのパソコンは以前からこのスタイルを貫き通している。今では物珍しいスタイルで、割高という印象が強い。これを強みと取るか、弱みと取るかはユーザーによって変わるものだ。
G-Master Spear Z890/D5はコストパフォーマンスが低くてもおすすめのモデルだ。それ以上の魅力を持つモデルだからだ。前述の通り万人に受け入れられるモデルではない。だからこそ、G-Master Spear Z890/D5に魅力を感じた方には選んでほしいと考えている。コストパフォーマンス以外の場所に目を向ける方は、おそらくそのほとんどが熟練した方だろう。そういった方に向けて用意されているモデルだ。
競合モデルとの比較
ブランド名 | G-MASTER | OMEN |
---|---|---|
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製品名 | G-Master Spear Z890/D5 | GALLERIA XA7C-R57 |
ケース | ミドル | ミドル |
価格 | 302,460円 | 309,980円 |
送料 | 2,920円 | 3,300円 |
CPU | Core Ultra 7 265K | Core Ultra 7 265F |
CPUクーラー | 空冷 (Noctua NH-U12s redux) |
空冷 |
GPU | RTX 4060 MSI | RTX 5070 |
メモリ | DDR5-5600 32GB | DDR5-5600 32GB |
SSD | 1TB Gen4 NVMe Crucial | 1TB Gen4 NVMe |
電源 | 750W GOLD SilverStone | 750W GOLD |
マザーボード | Z890 ASRock (Wi-Fi+Bluetooth) |
B860 |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチ | 非搭載 |
納期 | 17日以内 | 2週間前後 |
標準保証 (延長) |
1年間 (最長3年間) |
1年間 (最長5年間) |
電話サポート | 平日10:00-17:00 (12:00-13:00除く) |
24時間365日 |
公式 | 公式 | 公式 |
同価格帯のゲーミングPCを比較対象とした。GALLERIA XA7C-R57はゲーマーに人気のブランドだ。価格差は7,520円だ。送料の差を考慮すると7,900円高くなる。CPUは無印のCore Ultra 7 265へダウンするが、GPUはツーランク上のGeForce RTX 5070になる。メモリ・SSD・電源ユニットは共通だ。マザーボードはZ890搭載のG-Master Spear Z890/D5が優れている。Wi-Fi・Bluetooth対応も好印象だ。G-Master Spear Z890/D5は光学ドライブも標準搭載となる。
やはり純粋な価格比較では勝負にならない。いくらマザーボードや光学ドライブなど優れた点があってもGPU性能がこれだけ変わると差は歴然だ。また、ショップ評価を見ても24時間365日の電話サポートを提供しているドスパラが有利だ。ガレリアブランドの人気も強力だ。コストパフォーマンスを少しでも意識するならGALLERIA XA7C-R57が無難だろう。
パソコンケースレビュー
正面
PCケースは「CoolerMaster CM694 TG」だ。サイコムなど玄人向けメーカーでは定番のケースだと言える。ケースオプションとしてARGB発行システム(LEDストリップ×2本を追加している。光学ドライブ搭載で実用性が高い。最近はドライバーのインストールなどオンラインで完結することが多く必要性は薄れているが、あって困るものでもない。
左側面
強化ガラスサイドパネル仕様だ。中が見えるというだけで一気にゲーミングPCらしさが出てくるのがなんとも面白い。ホワイトのマザーボードとグラフィックボードがアクセントになっている。
左側面内部
内部はスペースにかなり余裕があることがわかる。メーカーはミドルタワーとして分類しているが、高さは500mmを超えていてフルタワー相当だ。SSD 8基+HDD 6基を搭載できる拡張性を持つ。グラフィックスカードスタビライザー付きで大型のグラフィックボードにも対応できる。
グラフィックボード
グラフィックボードはGeForce RTX3060Ti 8GB ASUS製 DUAL-RTX3060TI-O8GD6X-WHITEを選択した。2基のファンを搭載している。ホワイトカラーがおしゃれだ。GPUメモリ規格が通常のGDDR6ではなくGDDR6Xでパフォーマンス面で有利なモデルとなっている。
電源
電源ユニットはSilverStone SST-ST85F-PT [850W/80PLUS Platinum]を選択している。PLATINUM規格でより安定した電源供給が可能だ。Core i7-13700KFとRTX 3060 Tiの組み合わせだとややオーバースペックだが、オーバークロックを考えるならこれぐらいあってもよいだろう。
右側面
Windows OSのライセンスキーが右側面に記載されている。その他は至ってシンプルなデザインだ。
I/Oパネル
I/Oパネルは使い勝手がよい。USB 3.0 Type-A×2、電源ボタン、ヘッドフォン端子、USB 3.1 (Gen 2) Type-C x1が配置されている。
本体上部
本体上部にはCPUファンが搭載されている。240mm水冷式のASUS TUF GAMING LC 240 ARGBだ。RGBポンプ&ファンが標準搭載となる。
本体内部後方
マザーボードはASUS PRIME Z790-A WIFI-CSMに変更している。機能面に優れていて評価が高い。ホワイトのデザインもかっこいい。白で揃えたい方には魅力的なモデルだと言える。
背面
背面にもファンが取り付けられている。ポート装備が充実しているのもポイントだ。
- DisplayPort端子
- HDMI端子
- 1 x USB 3.2 Gen 2×2 Type-C
- 4 x USB 3.2 Gen 1ポート (4 X Type-A)
- 3 x USB 3.2 Gen 2ポート(2 x Type-A, 1 x Type-C)
- 有線LAN(2.5GBASE-T)端子×1
- Wi-Fi 6E
- マイク入力端子
- 音声出力端子
- 音声入力端子
底面
本体底面には4本の足がある。しっかりとした作りで安心感がある。また、ダストフィルターが取り付けられていてメンテナンスもしやすい。
管理人による総評

G-Master Spear Z890/D5は、Z890チップセット・DDR5メモリを搭載したハイエンドモデルだ。PCケースにはCoolerMaster MasterBoxCM694を採用している。CPUにはCore Ultra 7 265Kを、グラフィックスにはGeForce RTX 4060を搭載している。これをベースに自由にカスタマイズしよう。基本的にカスタマイズをせずに初期構成のままで購入することは推奨しない。かなり割高になってしまうからだ。カスタマイズをすることである程度中和できる。通常のBTOパソコンには満足できない方はサイコムのこのG-Master Spear Z890/D5をチェックしよう。売れ筋モデルだけあって完成度が高い。
価格 | CPU | グラボ |
---|---|---|
302,460円 | 7 265K | RTX4060 |
メモリ | SSD | チップセット |
DDR5 32GB | 1TB | Z890 |
*記載内容は更新時点のものです。内容について万全を期するようにしておりますが、ご購入前に必ず公式サイトのスペックをご確認くださいませ。