Ryzen 9 7945HXのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証していく。Zen 4アーキテクチャ採用のハイエンドモデルだ。16コア32スレッドとスペックが高くモバイル向けモデルとしてトップクラスのパフォーマンスを持つ。GeForce RTX 4090 MobileやGeForce RTX 4080 Mobileなどハイエンドクラスのグラフィックボードとの組み合わせが好ましい。ゲームプレイだけではなくクリエイター用途にも最適だ。取り扱いはASUSやMSIなどの海外メーカーが中心となっている。国内メーカーから搭載モデルがリリースされればもう少し身近な存在になりそうだ。
当ページの目次
Ryzen 9 7945HXの概要
コードネーム | Zen 4(Dragon Range) |
---|---|
プロセス | 5nm |
コア/スレッド数 | 16コア / 32スレッド |
コア定格/最大クロック | 2.5 GHz/ 5.4 GHz |
L2キャッシュ | 16MB |
L3キャッシュ | 64MB |
内蔵GPU | Radeon 610M |
TDP | 55W-75W |
発売日 | 2023年01月04日 |
価格 | – |
特徴 | (+)16コア32スレッドと驚異的なスペックを持つ (+)省電力性に長けている (-)搭載モデルのラインナップが少ない (-) |
評価 | ・総合評価 9.5 ・ゲーム評価 9.5 |
Ryzen 9 7945HXの基本スペック
他のRyzen 9シリーズと比較
Ryzen 9 7945HX | Ryzen 9 7945HX3D | Ryzen 9 7940HS | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Dragon Range) | Zen 4 (Dragon Range) | Zen 4 (Phoenix) |
プロセス | 5nm | 5nm | 4nm |
トランジスタ数 | 131.4億 | 131.4億 | 250.0億 |
ダイサイズ | 2x 71 mm² | 2x 71 mm² | 178 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | 6nm | - |
I/Oダイサイズ | 122 mm² | 122 mm² | - |
コア | 16 | 16 | 8 |
スレッド数 | 32 | 32 | 16 |
定格クロック | 2.50 GHz | 2.30 GHz | 4.00 GHz |
最大クロック | 5.40 GHz | 5.40 GHz | 5.20 GHz |
L2キャッシュ | 16MB | 16MB | 8MB |
L3キャッシュ | 64MB | 64MB+64MB | 16MB |
対応メモリ | DDR5-5200 | DDR5-5200 | DDR5-5600 LPDDR5-7500 |
内蔵グラフィックス | Radeon 610M | Radeon 610M | Radeon 780M |
TDP | 55W-75W | 55W-75W | 35W-54W |
MSRP | - | - | - |
発売日 | 2023/02/28 | 2023/07/27 | 2023/01 |
Ryzen 9 7945HXはZen 4(Dragon Range)アーキテクチャ採用のハイエンドモデルとなる。デスクトップ向けのCPUの消費電力を抑えてモバイル向けに改良したCPUだ。5nmプロセスのCPUダイと6nmのI/Oダイを組み合わせている。2つのダイでトータルサイズは264m㎡だ。8つのコアを搭載したCPUコアを2基搭載していてトータルコアは16となる。ハイパースレッディング対応でスレッド数は32だ。
メインストリームの上位モデルであるRyzen 9 7940HSと比較していく。同じZen 4アーキテクチャを採用しているが、コードネームはPhoenixだ。プロセスは4nmとRyzen 9 7945HXよりもさらに小さい。CPUコアは1基でコア数・スレッド数は8コア16スレッドとなる。定格クロックはRyzen 9 7940HSの方が1.50GHz(60%)高く、最大クロックはRyzen 9 7945HXの方が0.20GHz(4%)高い。
L2キャッシュはRyzen 9 7945HXの方が8MB多く、L3キャッシュもRyzen 9 7945HXの方が48MBも多い。メモリ回りも大幅に強化されていることがわかる。対応メモリはRyzen 9 7945HXがDDR5-5200であるのに対して、Ryzen 9 7940HSはDDR5-5600・LPDDR5-7500だ。Ryzen 9 7945HXの内蔵グラフィックスはRadeon 610Mだ。
Ryzen 9 7940HSはRadeon 780Mとより構成なCPU内蔵グラフィックスが選択されている。消費電力(TDP)はRyzen 9 7945HXの方が40%以上高く55W-75Wだ。Ryzen 9 7940HSはメインストリームの中でもパフォーマンスよりも省電力性を重視したモデルとなっている。Ryzen 9 7945HXとの性能差は大きい。
3D V-Cache搭載のRyzen 9 7945HX3Dのスペックも見ておこう。現行最強のゲーミングCPUとなっている。Ryzen 9 7945HXとの違いはクロック周波数とL3キャッシュ容量(3D V-Cache)だ。Ryzen 9 7945HX3Dは3D V-Cacheを搭載しているため消費電力を抑える必要があり定格クロックを抑えている。Ryzen 9 7945HXよりも0.2GHz(8%)低い。最大クロックは5.40GHzと共通だ。L2キャッシュ容量は16MBと違いはない。L3キャッシュはRyzen 9 7945HXよりも64MB多くトータルで128MBだ。対応メモリ・内蔵グラフィックス・消費電力は同じだ。
Intel製CPUと比較
Ryzen 9 7945HX | Core i9-13980HX | |
---|---|---|
コードネーム | Zen 4 (Dragon Range) | Raptor Lake |
プロセス | 5nm | 10nm |
トランジスタ数 | 131.4億 | - |
ダイサイズ | 2x 71 mm² | 257 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | - |
I/Oダイサイズ | 122 mm² | - |
トータルコア | 16 | 24 |
トータルスレッド | 32 | 32 |
コア(P) | 16 | 8 |
スレッド(P) | 32 | 16 |
コア(E) | - | 16 |
スレッド(E) | - | 16 |
定格クロック(P) | 2.50 GHz | 2.20 GHz |
最大クロック(P) | 5.40 GHz | 5.60 GHz |
定格クロック(E) | - | 1.60 GHz |
最大クロック(E) | - | 4.00 GHz |
L2キャッシュ | 16MB | 32MB (2.00MB×8+4MB×4) |
L3キャッシュ | 64MB | 36MB (3.00MB×8+3MB×4) |
対応メモリ | DDR5-5200 | DDR5-5600 DDR4-3200 |
内蔵グラフィックス | Radeon 610M | UHD Graphics 770 |
PBP(TDP) | 55W-75W | 55W |
MTP | - | 157W |
MSRP | - | $668 |
発売日 | 2023/02/28 | 2023/01/04 |
競合モデルであるIntel第13世代のフラグシップモデルと比較していこう。Core i9-13980HXはRaptor Lake世代のハイエンドモデルでRyzen 9 7945HXと同じようにデスクトップ向けのCPUをモバイル向けに改良している。Core i9-13980HXのダイサイズは257m㎡だ。ハイブリッドコアアーキテクチャを採用していて8つのパフォーマンスコア(Pコア)と16つのエフィシエントコア(Eコア)を組み合わせてトータルコアは24コアだ。パフォーマンスコアのみハイパースレッディングに対応していてトータルのスレッド数は32だ。
Ryzen 9 7945HXにはEコアに当たるコアがないためPコアのクロック周波数を比較していく。定格クロックはRyzen 9 7945HXの方が0.30GHz(13%)高く、最大クロックはCore i9-13980HXの方が0.20GHz(4%)高い。Core i9-13980HXのEコアの定格クロックは1.60GHz、最大クロックは4.00GHzだ。Pコアよりはクロック周波数が引き上げられていることがわかる。
L2キャッシュはCore i9-13980HXの方が16MB多く、L3キャッシュはRyzen 9 7945HXの方が28MB多い。Ryzen 9 7945HXはL3キャッシュを重視している。Core i9-13980HXはDDR5-5600メモリだけではなく、DDR4-3200もサポートしている。 Core i9-13980HXの内蔵グラフィックスはUHD Graphics 770だ。TDPは55WでRyzen 9 7945HXと同じだ。Core i9-13980HXのMTPは157Wとなる。Ryzen 9 7945HXのMTP(PPT)は非公開だ。Core i9-13980HXの価格は$668だ。
Ryzen 9 7945HX搭載モデルの特徴
モバイル向け最強のゲーミングCPU
Ryzen 9 7945HXは、モバイル向け最強のゲーミングCPUだ。性能スコアは36,523と高い数値を出している。デスクトップ向けモデルだとRyzen 9 7900が近い。モバイル向けモデルでこれだけの性能を持っているのは驚きだ。16コア32スレッドスペックが高くゲームプレイだけではなくクリエイター用途にも最適だ。
競合モデルのCore i9-13980HXと比べても7%程度高い。下位モデルのRyzen 9 7845HXとの性能差は11%だ。Ryzen 9 7945HXを唯一上回るCPUは同じAMDのRyzen 9 7945HX3Dしか存在していない。ただし、国内ではRyzen 9 7945HX3Dの販売がないため実質Ryzen 9 7945HXがトップモデルと考えてよい。CPU性能にもこだわりたい方は要チェックだ。
取り扱いメーカーが少なくラインナップも僅少
国内においてRyzen 9 7945HXは希少性の高いCPUとなっている。海外メーカーであるASUSとMSIの二社からのみ搭載モデルがリリースされている。ドスパラやマウスコンピューターでは取り扱いがない。Ryzen 9 7945HX搭載モデルを探している方はある程度限られたモデルの中から選択する必要がある。グラフィックボードはGeForce RTX 4060 Mobile・GeForce RTX 4070 Mobile・GeForce RTX 4090 Mobileから選択できる。
ミドルクラスのGeForce RTX 4060 Mobile搭載モデルなら20万円以下で購入できるが、現行トップクラスの性能を持つCPUなのでできればGeForce RTX 4090 Mobileなどハイエンドモデルを選択したい。GeForce RTX 4080 Mobileを搭載したモデルがないのは悩ましい。価格は高めなので予算がある方向けと言える。
Ryzen 9 7945HXのベンチマーク一覧
Cinebench R23
Cinebench R23でのスコアを見ていく。Ryzen 9 7945HXのマルチコア性能は34,029で、シングルコア性能は1,926だ。競合モデルであるCore i9-13980HXと比べてマルチコア性能が12%高く、シングルコア性能は8%低い。下位モデルのRyzen 9 7845HXと比べてマルチコア性能は22%高く、シングルコア性能も3%高い。3D V-Cache搭載のRyzen 9 7945HXと比べるとマルチコア性能が2%低く、シングルコア性能は1%高い。モバイル向けモデルとしてトップクラスのモデルだと考えてよい。
Handbrake
動画のエンコードソフトであるHandbrakeでのパフォーマンスを見ていく。Ryzen 9 7945HXはRyzen 9 7945HX3DやCore i9-13980HXを押さえてトップクラスに君臨している。下位モデルであるRyzen 9 7845HXと比べて14%もパフォーマンスが高い。Ryzen 9 7940HSよりも22%もパフォーマンスで上回っている。Ryzen 9 7945HXはハイエンドモデルにふさわしくクリエイター作業に適したCPUと言えるだろう。
7-Zip(圧縮)
Zipファイルの圧縮速度を見ていく。Ryzen 9 7945HXがトップの速度を叩き出した。Ryzen 9 7945HX3Dと比べても1%パフォーマンスが高い。競合のCore i9-13980HXと比べても5%もパフォーマンスで上回っている。下位モデルであるRyzen 9 7845HXよりも7%速度が速い。Intel製CPUよりも有利な立場にある。
7-Zip(解凍)
Zipファイルの解凍速度を見ていこう。圧縮速度と同様にトップに君臨している。モバイル向けモデルとしては圧倒的だ。Ryzen 9 7945HX3Dと比べて1%パフォーマンスが高い。Core i9-13980HXと比べても7%パフォーマンスで上回っている。Intel製CPUを圧倒するその性能は評価できる。
Adobe Photoshop
Photoshopでのパフォーマンスを見ていく。Ryzen 9 7945HXの性能スコアは1,246とトップクラスだ。Ryzen 9 7945HX3Dと比べてもスコアは上回っている。Ryzen 9 7940HSと比べると3%程度パフォーマンスが低いのは気になるところだ。スペック的にもグレード的にも劣るわけではないはずだ。ソフトウェア側の最適化の問題なのかもしれない。それでもIntel製CPUを圧倒していることがわかる。
Ryzen 9 7945HX搭載ゲーミングノートPC一覧
ROG Strix G17 G713PI (ASUS)
219,800円 189,800円
液晶:17.3インチFHD 144Hz
重量:約2.80kg
CPU:Ryzen 9 7945HX
GPU:GeForce RTX 4060 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 512GB Gen4 NVMe
コスパ:調査中
Amazon.co.jp限定モデルとして販売されている。キャンペーン中は30,000円OFFで購入可能だ。性能帯を考えると18万円台は圧巻だ。17.3インチFHDディスプレイを搭載したゲーミングノートPCだ。144Hz対応で快適なゲームプレイができる。本体重量は約2.80kgとやや重い。持ち運ぶ機会が多い方注意しよう。グラフィックスにはAda Lovelace世代のミドルクラスであるGeForce RTX 4060 Mobileを搭載している。Ryzen 9 7945HXとの組み合わせを考えるとCPU寄りでゲームプレイだけを考えるとオーバースペックだ。メモリDDR5-4800 16GB・SSD 512GB Gen4 NVMeと構成は平均的だ。
ROG Strix G17 G713PV(ASUS)
289,800円 229,800円
液晶:17.3インチQHD 240Hz
重量:約2.80kg
CPU:Ryzen 9 7945HX
GPU:GeForce RTX 4060 Mobile
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
コスパ:調査中
17.3インチQHD対応ディスプレイを搭載したゲーミングノートPCだ。リフレッシュレートは240Hz対応でより滑らかなゲーム描写が実現する。グラフィックスにはAda Lovelace世代のGeForce RTX 4060 Mobileを搭載している。ディスプレイ自体はQHDに対応しているものの性能的にはフルHDを基本に考えるとよいだろう。もちろんタイトルによってはメモリDDR5-4800 16GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も平均以上だ。
ROG Strix G17 G713PI(ASUS)
339,800円 299,800円
液晶:17.3インチQHD 240Hz
重量:約2.80kg
CPU:Ryzen 9 7945HX
GPU:GeForce RTX 4070 Mobile
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
コスパ:調査中
Ryzen 9 7945HX×GeForce RTX 4070 Mobile搭載のハイクラスのゲーミングノートPCだ。高解像度や高リフレッシュレートでのゲームプレイも実現しやすい。ASUSオリジナルの冷却ファンを搭載していてハイクラスのモデルにふさわしい冷却性能を持つ。CPU・GPUを効率的に冷却することができる。当該モデルは17.3インチQHDディスプレイを搭載している。リフレッシュレートは240Hz対応でデスクトップパソコンに近いゲーム環境を構築できる。本体重量が約2.80kgと重いので頻繁に持ち運びをしたいと考えている方は注意しよう。メモリDDR5-4800 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も抜群だ。
Alpha 17 C7V Alpha-17-C7VG-3034JP(MSI)
液晶:16.0インチWQHD 165Hz
重量:約2.80kg
CPU:Ryzen 9 7945HX
GPU:GeForce RTX 4070 Mobile
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 2TB Gen4 NVMe
コスパ:調査中
MSIからもハイクラスのモデルがリリースされている。17.3インチWQHDディスプレイ(165Hz)を搭載していて快適なゲームプレイが可能だ。Ryzen 9 7945HX×GeForce RTX 4070 Mobile搭載のモデルだ。GeForce RTX 3080 Mobileに匹敵する高い性能を持ち、WQHDでのゲームプレイにも対応できる。70番台のグラフィックボードも性能が底上げされている。メモリDDR5-4800 32GB・SSD 2TB Gen4 NVMeとずば抜けた構成を持っている。カスタマイズを考えてなくても十分通用する一台だ。
ROG Strix SCAR 17 G733PY(ASUS)
549,800円 499,800円
液晶:17.3インチQHD 240Hz
重量:約2.80kg
CPU:Ryzen 9 7945HX
GPU:GeForce RTX 4090 Mobile
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
コスパ:調査中
税込50万円弱のハイエンドゲーミングノートPCだ。グラフィックスにはAda Lovelace世代のフラグシップモデルであるGeForce RTX 4090 Mobileを搭載している。デスクトップ向けモデルで言えばGeForce RTX 3080 Tiと同等の高い性能を有している。デスクトップパソコンに近い環境を構築できるのは頼もしい。本体も17.3インチと大きくゲームに没頭できる。高解像度でのゲームプレイもお手の物だ。メモリDDR5-4800 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も充実している。
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