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公式サイト

マウスコンピューターが販売する「G TUNE FG-A9A7X」のレビューを行った。Ryzen 9 9950X3D×Radeon RX 9070 XT搭載のハイエンドクラスのゲーミングPCだ。最新のフルタワーケースを採用した高価格帯の一台となる。4K環境にも対応できる高い性能が頼もしい。CPUのRyzen 9 9950X3Dも現行最強のマルチコア・ゲーム性能を持つ。圧倒的なCPU性能で他のRadeon RX 9070 XT搭載モデルとは一線を画する。

コストパフォーマンスは4.1と標準を下回る数値だ。価格勝負をしていないモデルなので仕方がない。フルタワーモデルは、価格以外のところに力を入れているため、コストパフォーマンスに反映されにくい。価格的にも初心者の方にはおすすめできない。品質を重視する上級者向けの印象が強いモデルだ。

長所
  • 同等グラボ搭載モデルよりもゲーム性能が高い
  • 充実した構成でカスタマイズ不要
  • モデルの品質が優れている
  • ケースデザインがよい
短所
  • 価格が高い
  • チップセットがB650
こんな方におすすめ
  • 見た目も重視するコアなゲーマーの方
  • 自分に必要な性能や構成をよく理解している方
  • 個性あふれる品質の高いモデルを探している方

G TUNE FG-A9A7Xのスペック解説

G TUNE FG-A7G80

メーカー マウスコンピューター
ブランド名 G TUNE
製品名 G TUNE FG-A9A7X
価格 549,800円(税込)
CPU Ryzen 9 9950X3D(レビュー)
CPUクーラー 水冷式(360mm)
GPU Radeon RX 9070 XT(レビュー)
メモリ DDR5-5600 32GB
ストレージ SSD 2TB Gen4 NVMe
電源 850W 80PLUS GOLD
マザーボード チップセットB650
おすすめ度 Bランク
評価 ・コスパ
4.1

・ショップ評価
9.0

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G TUNE FG-A9A7Xのカスタマイズを評価

パーツ おすすめ度 詳細
OS 変更なし
オフィスソフト 変更なし
リカバリーメティア 変更なし
セキュリティソフト 変更なし
CPUグリス 【高耐久性能】 Thermal Grizzly Kryonaut +3,190円
メモリ 64GB メモリ
[ 32GB×2 ( DDR5-5600 ) / デュアルチャネル ] +35,200円
SSD (M.2) 変更なし
SSD 変更なし
外付けストレージ 変更なし
光学ドライブ 変更なし
光学ドライブ(外付け) 変更なし
電源 1000W 電源 ( 80PLUS(R) Platinum ) +15,400円
UPS 変更なし
外付け拡張デバイス 変更なし
ウイルス対策・セキュリティソフト 変更なし
ソフトウェア1(プリインストール) 変更なし
ソフトウェア2(バンドル) 変更なし
パソコン引越しソフト 変更なし
パソコン下取りサービス 変更なし
データ復旧サービス 変更なし
各種出張サービス 変更なし
サポートサービス選択 変更なし
電話サポート 変更なし
破損盗難保証サービス 変更なし
HUB 変更なし
USB周辺機器 変更なし
LANケーブル 変更なし
サプライ 変更なし

黄色のマーカーは、一般的なBTOパソコンで人気のカスタマイズを示している。おすすめ度は当該モデルでの評価だ。G TUNE FG-A9A7Xは初期構成に優れカスタマイズの必要性は低い。CPUの温度を少しでも安定させるためにCPUグリス変更、今よりもさらに高いパフォーマンスを期待してメモリ容量アップ、余裕を持たせる意味で電源の容量の引き上げと変更を検討してもよいのはこれら3箇所くらいだ。

CPUグリスは恩恵がそれほど大きいわけではない。標準で360mmラジエーターの水冷CPUファンを搭載しているので、冷却性能自体に問題はない。気休め程度かもしれないが、CPUグリスを変更しておくと僅かながらパフォーマンスの向上につながる。最上位と言ってもよいRyzen 9 9950X3Dを搭載しているのだから、妥協せずに変更してもよさそうなものだ。

メモリ容量は32GBでも十分だ。性能的には64GBが求められる用途にも対応できる。ゲームを含めて幅広い用途を想定するなら64GBへ変更してもいい。ゲーム配信や動画編集などのクリエイティブ作業において@プラスに働く。スロット自体は2つ空いているため、気になれば増設で対応も悪くない。注意してほしいのは、マウスコンピューターは3年間の保証が標準となっている。修理に出す際は増設したパーツを外して送らなければならない。あまりパソコンに慣れていないなら増設ではなくカスタマイズで対応した方がよい。

電源は1000W 80PLUS PLATINUMにカスタマイズを検討したい。Ryzen 9 9950X3DとRadeon RX 9070 XTの消費電力は高い。850W 80PLUS GOLDでも対応できるが、1000W 80PLUS PLATINUMを選択しておけば、今後パーツの交換でさらに高い性能を求めるときに交換の手間がなくなる。G TUNE FG-A9A7Xはケースの完成度が高いので長く使える。重要度はそれほど高くないので好みや将来を見据えた選択上で検討するとよい。

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G TUNE FG-A9A7Xの特徴&注意点

ゲーミングPCの完成形とも言える性能

G TUNE FG-A9A7Xの魅力はその高い性能だ。CPUのRyzen 9 9950X3Dはゲーム性能・マルチコア性能ともに最高峰に位置している。3D V-Cache搭載の恩恵もありCore Ultraシリーズ2やRyzen 9000シリーズを圧倒するゲーム性能を持つ。ゲームプレイにおいてCPUがボトルネックの心配はしなくてもよいだろう。

このモデルで性能不足になったらそれはゲーム側の問題だと割り切ればいい。16コア32スレッドと高スペックでゲームに限らず動画編集や画像生成AIなど専門的なソフトにも対応できる。用途を選ばない性能はユーザーも選ばない。ゲーマーはもちろん、クリエイターやストリーマーにも適している。

グラフィックボードはハイエンドの入口とも言えるRadeon RX 9070 XTだ。基本的な性能はGeForce RTX 5070 Tiに匹敵する。モンハンワイルズではGeForce RTX 5080に匹敵するスコアを叩き出している。ハイエンドクラスの中でも控えめな性能ではあるものの、得意なゲームでは存在感をしっかりと示している。

このCPUとグラフィックボードの組み合わせはまさに敵なしだ。高リフレッシュレートや高解像度への対応力に優れ、ゲームのプレイ環境を選ばない。何にでも幅広く高い水準で対応できる。これこそがG TUNE FG-A9A7Xの持つ性能だ。プロ志向のゲームも作業もこれ一台で完結できる。ゲーミングPCにしておくのがもったいないモデルだ。

G TUNE FG-A9A7Xは趣味を超えた本格的な環境を整えたい方におすすめだ。次世代の性能は夢を現実にできる環境をサポートする。ゲーミングPCはミドルクラスであっても、ゲームだけに特化した性能ではない。ハイエンドクラスともなれば、さらに高みを目指せる性能だ。G TUNE FG-A9A7Xは、総合的に優れたゲーミングPCのひとつの完成形と言えるモデルである。

利便性を極めた充実した構成

構成にも注目してもらいたい。360mm大型ラジエーター搭載の水冷CPUファンは序の口だ。DDR5-5600 32GBの大容量メモリ、Gen4接続のSSDは2TBの大容量がある。一般的なゲーミングPCではまず見られない構成を平然と採用している。価格が高いことにも理由があるのだ。

360mmの水冷ファンは、PCケースの大きさ的に採用できるモデルが限られている。ミニタワーやミドルタワーでは240mmが上限であることがほとんどだ。ミドルタワーを超えるフルタワーだからこそ搭載できる最強の冷却装置である。360mm大型ラジエーターの水冷CPUファンを搭載することは、冷却の終着点とも言える。

SSD 2TBは言うまでもなく、利便性を極めた容量だ。コストパフォーマンスを意識した人気モデルは、コストカットで500GBの容量が主流だ。昨今のゲーム事情を考えると500GBでは物足りなさがある。結局1TBへのカスタマイズが必要となったり、増設が必要になったりする。標準で2TBもあれば、使い切ることの方がむずかしい容量だ。

500GBと2TBは単純に4倍の容量差ではない。パソコンを使用するために必須のOSやアプリ、必ずインストールするゲームなどで200GB使用した場合、空き容量は300GBと1.8TBである。その差は実に6倍にまで広がっている。ゲームも作業も容量を気にしなくてよくなる容量は心強い。

唯一のマザーボードのチップセットがB650なのは気になる。せっかくなら最新のハイエンドであるX870を選択してほしかった。もっとも機能面ではB650でも十分だ。PCIeがGen5でも大きくゲーム性能が変わるわけでもないし、USB4の必要性も高くないように思う。特にBTOパソコンにおいて重視するユーザーは少ないだろう。

G TUNE FG-A9A7Xは、用途を選ばない性能を持つモデルに相応しい構成を有している。本格的な環境を求める方が安心して使用できる性能と構成がG TUNE FG-A9A7Xの魅力であり特徴だ。G TUNE最上位のシリーズらしく、まさに最上位の装備だ。利便性の高い構成もまた、性能を支える要素だ。G TUNE FG-A9A7Xに死角はない。

50万円を超える価格は万人受けしない

ここまで存在感を示し続けたG TUNE FG-A9A7Xにも弱点はある。それは価格だ。優れた性能と構成を持つということは、それだけ価格が高くなってしまう。G TUNE FG-A9A7Xの価格は549,800円である。本格的な環境を整えようとすれば、このくらいの価格になってしまうのは仕方がない。多くの方の予算を大幅に超えていることは容易に想像できる。

ゲーミングPCは15万円前後が最も人気があり、次いで20万円前後となっている。人気は予算に反比例していることから、30万円を超えると人気モデルが少なくなる。40万円を超えればさらに減少し、50万円を超えると一般ユーザーが選択肢に入れにくい価格帯だ。当サイトでも40万円以上の価格帯のゲーミングPCはアクセスが少ない傾向にある。

価格に関しては捉え方の違いもある。この構成で549,800円は相場に近い。しかし、フルタワーともなれば話は別だ。フルタワーモデルとして考えれば比較的安価という印象だ。価格自体は安くないが、モデルを考えれば相場よりも安いという意味である。だからといって、予算の上限が上がるわけでもなく、候補に挙がるとも考えにくい。

これだけ品質にこだわったモデルなら、549,800円はかなり頑張っているのではないだろうか。保証も標準で3年ある。他メーカーなら保証を3年にすると10%上乗せされるため、G TUNE FG-A9A7Xは実はお得なモデルというのを頭の片隅置いておいてほしい。もしも、予算が60万円程度あるなら、G TUNE FG-A9A7Xはおすすめのモデルだ。

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G TUNE FG-A9A7Xのベンチマーク

Cinebench 2024

G TUNE FG-A9A7X-cinebench2024

マルチコアは2,225pts、シングルコアは135ptsとなる。Ryzen 9 9950Xと同等以上のスコアだ。従来モデルのRyzen 9 7950X3Dと比べるとマルチコアが15%、シングルコアが12%高い。3D V-Caheの配置を変えたことでしっかりとスコアが出ている形だ。Core Ultra 9 285Kと比べるとマルチコアが8%、シングルコアが5%低くなっている。

Blender CPU

G TUNE FG-A9A7X-blendercpu

スコアは618.42だ。上位40%以上に入っている。Core Ultra 9 285Kよりも10%以上高い。Ryzen 9 7950X3Dよりも20%高くなっている。

Blender GPU

G TUNE FG-A9A7X-blendergpu

GPUのレンダリングは3060.31となる。GeForce RTX 50シリーズ/GeForce RTX 40シリーズと比べるとかなり落ちる。GeForce RTX 5070 Tiと比べると60%減だ。

7-Zip

G TUNE FG-A9A7X-zip

Zipファイルの圧縮及び展開速度は現行のCPUでトップだ。Ryzenシリーズが得意としている分野だ。

Cyberpunk 2077

Cyberpunk2077topG TUNE FG-A9A7X-cyberpunk2077

不可の高いCyberpunk 2077でも4Kでプレイできるポテンシャルがある。フレーム生成(FSP 3)を利用すれば4Kでも198.65fpsと高いフレームレートが出る。レイトレウルトラでもFSR 3の力を借りれば130.01fpsと通用する。

モンハンワイルズ

MonsterHunterWILDStopG TUNE FG-A9A7X-monsterhunterwilds

モンハンワイルズへの適性も高い。ウルトラ設定×4Kでも134.57と高いフレームレートが出ている。これはNVIDIA GeForce RTX 5080に匹敵するパフォーマンスだ。Radeonシリーズ全般と相性のよいタイトルとなっていることもあり同価格帯のNVIDIA製グラフィックボードを引き離すことができる。

フォートナイト

fortniteG TUNE FG-A9A7X-fortnite

フォートナイトも問題なくプレイできる。フルHD環境で最高設定も問題ない。設定を上げると意外と負荷の高いタイトルとなっている。ゲームの特性上最高設定でプレイすることはないだろう。ややNVIDIAに有利なタイトルでGeForce RTX 5070と同程度のパフォーマンスを持つにとどまる。

競合モデルとの比較

ブランド名 G TUNE G TUNE
イメージ G TUNE FG-A7G80 G TUNE FG-A7G80
製品名 G TUNE FG-A9A7X G TUNE FG-A7A7X
ケース フルタワー フルタワー
価格 549,800円 449,900円
送料 無料 無料
CPU Ryzen 9 9950X3D
(16コア32スレッド)
Ryzen 7 9800X3D
(8コア16スレッド)
CPUクーラー 水冷(360mm) 水冷(360mm)
GPU RX 9070 XT RX 9070 XT
メモリ DDR5-5600 32GB DDR5-5600 32GB
SSD 2TB Gen4 NVMe 2TB Gen4 NVMe
電源 850W GOLD 850W GOLD
マザーボード B650 B650
納期 約8営業日 約8営業日
基本保証
(延長保証)
3年間
(-)
3年間
(-)
電話サポート 24時間365日 24時間365日
公式 公式 公式

同じマウスコンピューターのG TUNE FG-A7A7Xと比較していく。G TUNE FG-A9A7Xの方が総合的な性能は高いが、構成は同じで価格はG TUNE FG-A7A7Xの方が99,900円安い。両モデルの違いはCPUにある。当然Ryzen 9 9950X3Dを搭載したG TUNE FG-A7A7Xの方が性能が高い。マルチコア性能ではRyzen 7 9800X3Dを寄せ付けない。

一方で、ゲーム性能だけで見ればRyzen 7 9800X3DとRyzen 9 9950X3Dでほとんど違いがない。CCXが1基という仕様上ゲームプレイにおいてはRyzen 7 9800X3Dの方が有利になることもあるぐらいだ。CPUの特性の違いがモデルの違いとして表れている。ゲームを含めた幅広い用途を想定するならG TUNE FG-A9A7Xの方がおすすめだ。

ゲームをメインに配信や動画投稿程度しか考えていないならG TUNE FG-A7A7Xの方がおすすめだ。ゲームだけなら10万円も安いG TUNE FG-A7A7Xの方が適しているというのもおもしろい。コストパフォーマンス指標も高くなる。10万円の差がある同じシリーズのモデルでも特性に違いがある。自分の想定する用途に適したモデルを選んでほしい。

同性能帯の競合モデルと比較

ブランド名 G TUNE G TUNE
イメージ G TUNE FG-A7G80 LEVEL-R769-LC127K-VAX
製品名 G TUNE FG-A9A7X LEVEL-R7B6-LCR99Z-TGX
ケース フルタワー ミドルタワー
価格 549,800円 424,800円
送料 無料 2,200円(会員無料)
CPU Ryzen 9 9950X3D Ryzen 9 9950X3D
CPUクーラー 水冷(360mm) 水冷(360mm)
GPU RX 9070 XT RX 9070 XT
メモリ DDR5-5600 32GB DDR5 32GB
SSD 2TB Gen4 NVMe 1TB NVMe
電源 850W GOLD 850W GOLD
マザーボード B650 B650
納期 約8営業日 1-2週間後
基本保証
(延長保証)
3年間
(-)
3年間
(最長4年間)
電話サポート 24時間365日 24時間365日
公式 公式 公式

競合で同性能帯のLEVEL-R7B6-LCR99Z-TGXと比較していく。価格差は125,000円と大きくLEVEL-R7B6-LCR99Z-TGXの方が安い。パソコン工房は無料会員登録をすれば送料が0円になるのでここは引き分けだ。LEVEL-R7B6-LCR99Z-TGXはミドルタワーケースを採用したゲーミングPCだ。

CPUクーラーは水冷式だ。メモリ規格について詳細がないためもしかしたらDDR5-5200が採用される可能性もある。それでも大きな性能差が出るわけではない。SSDの規格が下がり、容量は半減となる。それだけだ。さすがにこれだけで125,000円の差を埋めることはできない。参考までにSSDを2TBにアップグレードしても+14,000円だ。

価格帯がひとつ下がるなら、より多くの方に選んでもらえるようになる。価格という強みがLEVEL-R7B6-LCR99Z-TGXにはある。フルタワー採用のG TUNE FG-A9A7Xは、価格勝負になると苦しい。品質や構成を武器にしているだけに、価格だけを比べると割高に見えてしまう。さらに、文字で比べると構成に差がなく見えることもあり、かなり不利な状況だ。

もっとも、多少構成が下がっても同じ性能であるならLEVEL-R7B6-LCR99Z-TGXの方が魅力的であることは間違いない。品質にこだわるならG TUNE FG-A9A7X、コストパフォーマンスを意識するならLEVEL-R7B6-LCR99Z-TGXがおすすめだ。

G TUNEのフルタワーケースレビュー

G TUNEブランドで新しく登場したフルタワーケースの詳細だ。フルタワーは、メーカー最上位のシリーズに採用される極上のPCケースだ。ミニタワーやミドルタワーと異なり機能性やデザイン性に加えて耐久性の高さも魅力のケースだ。フルタワーは、コストはかかるがそれに見合った高級感と別格のデザイン性から一定の層に受ける。

G TUNEのフルタワーが更新されるのは9年ぶりで、以前はフラグシップモデルのMASTERPIECEという名称で展開されていた。重厚さを継承しつつも、スタイリッシュで特徴的なデザインは歴代のNEXTGEARシリーズを彷彿とさせる。これまでのG TUNEを融合させたかのような新鋭のケースは、マウスコンピューターを代表するものになっていくだろう。

正面

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G TUNEのフルタワーは、最近のゲーミングPCには見られないスリットデザインを採用している。平面デザインの多いゲーミングPCでは、これだけでも強い印象を残す。G TUNEのロゴは強く主張しない位置にあるが、電源を入れるとロゴが赤く光り強く主張する。正面デザインに関しては派手ではなくても、デザインを印象付けるインパクトがある。

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フロントの下部にスリム型の光学ドライブを搭載している。これはモデルによっては非搭載となることもあるかもしれないので注意したい。スリットデザインにうまく紛れた光学ドライブは、ケースの使い方がうまいというのが率直な感想だ。見た目と実用性を両立するのは、なかなかにむずかしい。これでこそデザイン性の高さという部分もある。今はあまり使われることのなくなった光学ドライブも、搭載しているといざというとき安心だ。

ひっそりと光学ドライブの下にもG TUNEのロゴがある。この主張しない配置は素晴らしい。というよりも、スリットデザイン故に、配置する場所がなかったというのが正しそうだ。スリットデザインの奥は3連ファンであるため、ロゴをスリットデザイン上に配置するのも問題だったのだろう。

左サイド

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左サイドパネルは全面クリアパネルとなっている。ワンタッチで外せるサイドパネルは、ゲーミングPCすべてに採用してほしいと思うほど便利だ。ストレージの追加やちょっとしたメンテナンスの際に、ネジを外さなくてよいのは素晴らしい。ネジを紛失することもなくなり、気軽に外せるにようになる。

機能面もよいが、やはり一番目を引くのはデザイン性の高さだ。フルタワーはサイズが大きいため、内部のスペースに余裕がある。すっきりとした内部はLEDの光りがなくても洗練された印象を受ける。LEDで派手さを演出しながらも、上品な仕上がりになっているのは流石フルタワーといったところだ。

少し気になるのは、ここぞとばかりにアンダーカバーに大きく刻まれたG TUNEのロゴだ。フロント部分の主張が大人しかったのは、やはり配置する場所がなかったからのようだ。ここに何もなければシンプル過ぎるので、悪いものではないようにも思う。ただ、賛否は分かれそうだ。

ヘッドホンホルダー

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左サイドパネルとフロントの中間上部にヘッドホンホルダーがある。格納できるので使用しないときは邪魔にならないのはポイントが高い。ホルダーが左側にあるところを見ると、パソコンの置き場所が自分の右側に固定されてしまう要素でもある。左サイドパネルがクリアパネルなので、左側を体に向けて設置することを前提としている。便利な反面、設置場所に制約を課すと考えるとメリットとは言いにくい。

本体の幅が24cmでゲーミングチェアを使用すると、机の下のスペースは100cm以上が必要だ。机の外側にパソコンを設置するとモニターとの距離が開き、モニターの設置場所に制約が生まれることにもなる。ヘッドホンホルダーは使用できる環境なら使用するくらいがよく、使い勝手が悪いと感じればクランプ式のヘッドホンホルダーを別途購入した方がいい。あくまでもオマケとして考えたい。

右サイド

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右のサイドパネルには、ゲーミングPCには珍しく大きめのエアインテークがある。このサイドパネルもワンタッチで取り外し可能で、後述するメッシュパネルも設置されている。エアフローの強化とともに、メンテナンス性のよさが特徴だ。ケースファンはなく、壁に密着させても動作に問題はない。できるだけ壁からは離して設置することをおすすめする。

右サイド防塵フィルター

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右サイドパネルのエアインテークには、マグネット式の防塵フィルターが設置されている。背面を除くすべてのエアインテークに防塵フィルターを設置しているところに、メンテナンスの重要性をよく考えられた設計に感じる。それなら少しでもメンテナンスしやすいように、エアインテークを減らせばよいと考えてしまうが、空気の流れであるエアフローを考えてのことだろう。

最近のグラフィックボードの高性能化を考えれば納得できる。フルタワーは比較的高性能なパーツを採用することが多い。当然発熱量も大きくなり、冷却効果の高さが効果を発揮する。少しでも空気を循環させた方が冷却性能を向上できる。ファンのみの力ではなくPCケースから冷却を考えている。

天板

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天板には360mmラジエーターを搭載した水冷CPUクーラーの3連ファンが取り付けられている。ここにもしっかりワンタッチの防塵フィルターがあり、手軽にメンテナンスできるようになっている。最近のゲーミングPCは、水冷CPUファンを搭載することを前提にしたものが多い。天板の防塵フィルターはもはや必須と言える。CPUファンの冷却性能に影響を与えるため、定期的なメンテナンスが必要な箇所だ。視認性もよく、ワンタッチで外せるのは素晴らしい。フィルターのみを外して洗うことができる。

I/Oパネル

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天板のI/Oパネル(コンソールパネル)には、電源スイッチ、LEDスイッチ、USB3.0 Type-Aが2つ、USB Type-Cが1つ、ヘッドホン・ヘッドセットジャック(4極 CTIA準拠)が1つ搭載されている。LEDスイッチも併設されており、このスイッチでLEDの輝度を3段階から調節できる。

I/Oパネルにはシャッターがあり、使用しないときはシャッターを閉じることができる。この機能自体はあってもなくても困らないというのが正直な感想だ。I/Oパネルの評価はあまりよくない。まず、天板にI/Oパネル設置されていると、USBケーブルは垂直に接続しなければならない。PCケースをPCラックなどに入れる場合、ラックの上板との距離が一定以上なければアクセスできない。

また、G TUNEのフルタワーケースは前述のように体の右側に設置することを前提としている。しかし、I/Oパネルは反対側の天板右手前に位置している。接続している機器が足に接触しないようにしているのだろうか。不便というほどではないが、少し不親切に感じる。搭載されている内容も十分とは言いにくく、ミニタワーやミドルタワーの最低限よりはマシという程度のものだ。

USB Type-Cは映像出力がなく、データ転送と給電のみだ。USB3.0が2つでUSB3.1もない。昔のG TUNEは延長ケーブルのようなもので強引にフロントI/Oパネルに設置していた。マウスコンピューターにしかなかったような特徴が鳴りを潜めている。このI/Oパネルからしても、大人になってしまった切なさを感じた。全体的によくできているとは思うが、もう少し昔のワイルドさがあってもよかったと考えるのは懐古主義だろうか。

背面

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背面はデザイン性を感じないかもしれない。しかしながら、背面もしっかり黒くなっているのは素晴らしい。電源やマザーボードはシルバーメッキを採用しているタイプが多く、黒色ケースの品が霞んでしまうものもある。G TUNE製品はフルタワーに限らず、ケース全体のデザインをしっかり考えられている。ケースの爪も黒く、見えないところまでこだわっているのがよくわかる。これはグラフィックボードにも言えることだ。よくまとまった上品なケースだ。

背面I/Oパネル

gtunefullcase-backiopanel
背面のI/Oパネルはかなり充実している。映像出力はHDMIとDisplay Portが用意されている。基本的にグラフィックボードからの出力となるので使用することはない。注目すべきは10個のUSBポートだ。USB3.0 Type-A×4・USB3.1 Type-A×3・USB Type-C×1・USB2.0×2の合計10個のポートが搭載されている。ASUSのマザーボードを搭載しているが、市販されているものをベースにしたオリジナルタイプ(ホワイトボックス)だ。

理想を言えば、USB3.1を1つくらい天板のI/Oパネルに持ってきてほしかった。USBフラッシュメモリは付け外し頻度が高く転送速度が重要だ。付け外しの度に背面に接続するのは難儀なものだ。天板のI/OパネルもUSB3.0なので悪くはないため、妥協できるラインかもしれない。理想的な形ではないという意味では少し残念な点だ。

サウンドはマイク入力×1・ラインイン×1・ラインアウト×1・リアスピーカー×1・センターサブウーファー×1・SPDIF/オプティカル/角型×1という内容だ。Micro-ATXではなくATX規格のマザーボードならではの充実度だ。もっとも、これはフルタワーだからこそではなく、ミドルタワー以上のタイプでは一般的なものだ。サウンド周りは標準的という評価である。

底面

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G TUNEのフルタワーで驚いたのは底面だ。全面に防塵フィルターが採用されている。パソコン工房のLEVELシリーズも全面だが、エアインテークのサイズと規模が違う。あちらは全面を覆ってエアインテークをカバーしている形だ。G TUNEのフルタワーは全面を覆わなければすべてのエアインテークをカバーできない設計になっている。

また、いわゆるゴム足が高めに設計されていることから、わざわざ底面が見えるように傾けたり倒したりしなくても取り外せる。これはメンテナンスを行うにあたって非常にありがたい要素だ。少しコツはいるので、パソコンが届いたらまずは見なくても外せるように1~2回練習しておくといい。そうすれば、この先のメンテナンスの効率が大幅に向上するはずだ。

G TUNEのフルタワーはアンダーカバーがあり、電源の吸気は底面から行うようだ。エアフロー的にも底面からは僅かに吸気が行われる。埃がたまりやすい底面からの吸気は、どうしても防塵フィルターに埃がたまりやすい。底面のメンテナンス性が高いことは、長くゲーミングPCを使用する上で重要視してもよいポイントだ。素晴らしい。

内部

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ここからはケース内部を探っていく。まず注目すべきはLEDだ。何か違和感がないだろうか。実はG TUNEのフルタワーにはLEDファンが採用されていない。間接照明のような形で内部を照らしている。これを天板のI/OパネルにあったLEDスイッチで輝度調整を行うのだ。全く新しいLEDの使い方である。

gtunefullcase-led
LEDファンとは違った優しく、そして力強い光りでライトアップはゲーミングPCに対する印象を変えるほどだ。漏れ出した光やアンダーカバーを照らす光がクリアパネルの存在をかき消すかのようだ。どこか幻想的な彩りは、G TUNEのフルタワー最大の魅力と言える。

内部フロント


ケースのフロント部分には3連の吸気ファンがある。背面と水冷のファンをあわせて7つのファン搭載で圧巻だ。強力なエアフローでハイスペックなモデルにも十分な冷却効果が期待できる。フロント3連ファンの前にはフロントの防塵フィルターがある。奥の右サイドパネルのエアインテークにも防塵フィルターがある。エアフローが強力なモデル対して、しっかり対策を取っているのがわかる。

ただ、ここまで防塵フィルターが多いとメンテナンスが少し大変だ。取り外ししやすいようにワンタッチの工夫がされているものの、その数が多くなれば億劫に感じやすい。さらなるメンテナンス性の向上に期待したいところだ。

フロント防塵フィルター

gtunefullcase-frontfilter
フロント部分の防塵フィルターを外してみた。ここはフロントマスクに設置されているため、フロントマスクを外さなければならない。一応ワンタッチで外れるが、他の箇所よりも固めに取り付けられている。頻繁に外すのは少しためらわれる。

フロントのスリットデザインにより、取り外さなければメンテナンスできない。フロントのファンがメインの吸気であるため、最もメンテナンス頻度の高い箇所だけにもう少しなんとかしてほしかった。見た目の印象はフロントマスクのスリットデザインの恩恵が大きい。デザインと実用性を両立したと考えれば最善なのかもしれない。

内部右サイド

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右サイドパネルの中は配線・ストレージ・電源のスペースとなっている。BTOメーカーでいちはやく背面通しで配線を隠す方法を採用していたのはマウスコンピューターだったと思う。長くやっているだけに、とても綺麗にまとまっているのがわかる。

下部のアンダーカバーには電源とストレージベイがある。ストレージベイは3.5インチ・2.5インチ共用となっている。画像では左下のぽっかり空いた空間だ。余ったスペースを有効活用した形で、複数のストレージを搭載するには不向きだ。カスタマイズで3.5インチ・2.5インチのストレージは選択できないので、ここは増設用のスペースと考えていい。M.2スロットが1つ余っている。ストレージは2つまでは問題なく追加できる。

gtunefullcase-cover
アンダーカバーに2.5インチのSSDを置くだけのスペースは存在している。M.2タイプと異なり、SATA接続の2.5インチSSDは熱を発さないため、ここに置くなどすれば対応できないことはない。表からは見えないところに工夫をこらすのもありだ。

ケースまとめ

G TUNEのフルタワーケースは、これまで培ってきたマウスコンピューターの集大成のよう出来栄えだ。賛否分かれる箇所や気になるところはある。それでも、フルタワーとしての使い勝手や機能面のよさは素晴らしい。設置場所が固定されるという点で、人や環境を選んでしまうのはマイナス要素だ。ここでは触れなかったが、重さが15kgと重めであることも設置場所を限定的にしてしまう要因である。デザイン性や機能面がそれらのマイナス要素を覆せるだけ優れている。

シンプルに見えて奥深い設計が随所に散りばめられている。メンテナンス性の高さも長く使う上で見逃せないポイントだ。ハイスペックなモデルに対応できるケースは多くても、ここまで最適化されたケースは少ない。MASTERPIECEの系譜とも呼べる完成度の高さは素晴らしい。総合的に見ておすすめのゲーミングPCケースだ。筆者も買い替えるなら、ぜひG TUNEのフルタワーモデルを選びたいと思う。問題は相応の価格設定くらいのものだ。

管理人による総評

nextgear

Ryzen 9 9950X3D×Radeon RX 9070 XT搭載のハイエンドモデルだ。最新のフルタワーケースを採用している。拡張性・デザイン性に優れてぜひとも手にとって見てほしいケースだ。ゲーム性能は高く高解像度・高画質でのゲームプレイにも対応しやすい。CPUは現行最強のマルチコア・ゲーム性能を誇るRyzen 9 9950X3Dだ。3D V-Cacheのおかげで圧倒的なゲーム性能を発揮する。同じRadeon RX 9070 XT搭載モデルの中でももっともゲーム適性が高い一台だ。構成もメモリDDR5-5600 32GB・SSD 2TB Gen4 NVMeと優れている。電源ユニットは850W GOLDだ。

価格 CPU グラボ
549,800円 9 9950X3D RX9070XT
メモリ SSD チップセット
DDR4 32GB 2TB B650