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ローコストのIntel Core i3シリーズがゲームプレイに不向きなのかを検証していく。少しでも予算を抑えたゲーミングPCを手に入れたいと思えばCore i3シリーズは気になる存在だろう。Raptor Lake世代のCore i3-13100を中心にCore i3シリーズのパフォーマンスを見ていく。旧世代のCore i3-12100・Core i3-10105・Core i3-10100・Core i3-9100・Core i3-8100辺りのモデルについても簡単に触れている。

Intel第11世代では実質Core i3シリーズは登場しなかった。代わりにIntel第10世代であるComet Lake-S Refreshがリリースされた。型番としてはCore i3-10105が該当する。アーキテクチャは共通なのでおおよそIntel第10世代のCore i3シリーズと同等と考えてよいだろう。Core i3シリーズも世代を重ねるごとにスペックが引き上げられて性能の底上げが行われている。あなたが想定するゲーム環境によってはCore i3シリーズでも十分対応できるはずだ。

Core i3シリーズに関する仮説

i3tekisei

仮説は”Core i3シリーズでも上位モデルと同等のフレームレートが出る”だ。結論から言えばGeForce RTX 4060 Tiなどミドルクラス相当のグラフィックボードであればCore i3シリーズでも上位モデルと同等のパフォーマンスを期待できる。ただし、フォートナイトのように低負荷かつフルHD環境ではCore i9シリーズが有利になる。ゲームプレイだけを考えるならCore i9-13900K×RTX 4060よりもCore i3-13100×RTX 4060 Tiの方が好ましいと言える。

ハイエンドのGeForce RTX 4090になると基本的にはCore i9シリーズが優勢だ。唯一Forza Horizon 5などGPU負荷の高いタイトルかつ4K環境ではCore i3シリーズでも同等のフレームレートが期待できる。もっともGeForce RTX 4090にCore i3シリーズを組み合わせるユーザーは少ないように思う。

そもそもCore i3シリーズって何?

Core iシリーズのエントリークラス

Pentium Gold G7400i3-13100i5-13400i7-13700
コードネームAlder LakeRaptor LakeRaptor LakeRaptor Lake
プロセス10nm10nm10nm10nm
ダイサイズ-257 mm²257 mm²257 mm²
コア/スレッド2/44/810(6+4)/1616(8+8)/24
定格クロック(P)3.7GHz3.4GHz2.5GHz2.1GHz
最大クロック(P)-4.5GHz4.6GHz5.2GHz
定格クロック(E)--1.8GHz1.5GHz
最大クロック(E)--3.3GHz4.1GHz
L2キャッシュ2.5MB5MB9.5MB24MB
L3キャッシュ6MB12MB20MB30MB
内蔵GPUUHD 710UHD 730UHD 730UHD 730
実効ユニット16242432
グラフィックス周波数1.35GHz1.5GHz1.55GHz1.6GHz
PBP46W60W65W65W
MTP(PL2)-89W148W219W
マルチコアデータなし11,99725,345(+211%)36,074(+42%)
ゲーム性能データなし23,38128,926(+24%)37,022(+28%)
価格$74$134$221$384
発売日2022/01/042023/01/042023/01/032023/01/04

Core i3シリーズとは、Intelの高性能モデルであるCore iシリーズのエントリークラスという位置づけにあるCPUのことだ。上位モデルにはCore i5シリーズ・Core i7シリーズ・Core i9シリーズがあって数字が大きいほど高性能になる。下位モデルにはPentium Goldシリーズがある。Pentiumシリーズはスペックも控えめで性能も低い。

Core i3-13100はエントリークラスとは言っても廉価モデルであるPentium Gold G7400よりも価格が$57高い。スペックを見るとその分パフォーマンスも向上していることがわかる。Pentium Goldでゲームプレイを行おうと考える人はいないが、Core i3になるとやはり対応できそうで気になるところだろう。

Pentium Gold G7400と比べるとコア/スレッドも2コア2スレッドから4コア8スレッドへと大幅にアップしている。ブーストクロックにも対応していてクロック周波数も高い。Core i5シリーズになると10コア16スレッド、Core i7シリーズでは16コア24スレッドとより高い性能を得られる。一般的にゲーミングPCではCore i5シリーズ以上が選択されることが多い。それはCore i3シリーズの4コア8スレッドというスペックだとロードなどで重さを感じてしまうことがあることも要因のように思う。

第13世代までに大きく進化している

i3-13100i3-12100i3-10105i3-10100i3-9100i3-8100i3-7100
コードネームRaptor LakeAlder LakeComet LakeComet LakeCoffee Lake-RCoffee LakeKaby Lake
プロセス10nm10nm14nm14nm14nm14nm14nm
ダイサイズ257 mm²163 mm²--126 mm²126 mm²-
コア/スレッド4/84/84/84/84/44/42/4
定格クロック3.4GHz3.3GHz3.7GHz3.6GHz3.6GHz3.6GHz3.9GHz
最大クロック4.5GHz4.3GHz4.4GHz4.3GHz4.2GHz非対応非対応
L2キャッシュ5MB5MB1MB1MB1MB1MB1MB
L3キャッシュ12MB12MB6MB6MB6MB6MB3MB
内蔵GPUUHD 730UHD 730UHD 630UHD 630UHD 630UHD 630UHD 630
実効ユニット2424-----
グラフィックス周波数1.5GHz1.4GHz1.1GHz1.1GHz1.1GHz1.1GHz1.1GHz
PBP60W60W65W65W65W65W51W
MTP(PL2)89W89W90W90W---
マルチコア11,997(+5%)11,415(+69%)6,773(+2%)6,652(+24%)5,368(+8%)4,982(+8%)4,620
ゲーム性能23,381(+1%)23,258(+15%)20,224(+1%)20,069(+3%)19,406(+3%)18,769(+17%)16,070
価格$134$122$134$122$122$117-
発売日2023/01/042022/01/042021/03/162020/04/302018/09/012017/10/052017/01/03

第7世代から第13世代までのCore i3を比較していく。Core i3シリーズも大きく進化していることがわかる。Core i3-13100では4コア8スレッドとなり、ブーストクロックも最大4.5GHzに到達している。2017年発売のIntel第7世代Core i3-7100が2コア4スレッドだったのでコア・スレッドは倍増だ。Core i3-7100はブーストクロックには対応していない。マルチコア性能はおよそ2.4倍、ゲーム性能も20%も高くなっている。

第8世代では物理コアが2つ増えて4コア4スレッドとなった。これで一気にゲーミング性能が向上した。Core i3-7100からの伸びは17%と大きい。ハイパースレッディングには非対応だ。そして、第9世代になって初めてCore i3シリーズもブーストクロックに対応となった。ここに来てCore i3シリーズへの期待値が上がったように思う。実際はそこまでゲーム性能は高くなく搭載モデルはほとんどなかった。ドスパラやパソコン工房など一部のBTOメーカーで取り扱いがあったぐらいで人気モデルとは言えない。

第10世代になって第7世代以来実に3世代ぶりにハイパースレッディングに対応となった。4コア4スレッドから4コア8スレッドへと進化した。マルチコア性能は向上したが、ゲーム性能はそこまで伸びていない。クロック周波数がそこまで高くなっていないことが要因かもしれない。第11世代はラインナップがなく同じComet LakeのCore i3-10105がCore i3-10100の後継モデルに当たる。

Alder Lakeの第12世代ではプロセスが10nmへと微細化されて大きく進化した。15%のパフォーマンス向上はCore i3-7100からCore i3-8100への伸びに次いで二番目だ。ゲームプレイに有効なL2キャッシュ及びL3キャッシュが大幅に増えたことも大きい。Core i3-10105/Core i3-10100と比べて15%以上もゲーム性能が向上している。Core i3-13100でクロック周波数が引き上げられてパフォーアンスが少しだけ高くなった。

Intel Core i3シリーズのゲーム性能比較

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上記は各CPUのゲーム性能スコアをまとめたものだ。現行のIntel第13世代のCore i3-13100は、Core i3シリーズながら23,381とまずまずのスコアだ。Intel第9世代のCore i7シリーズあるいはIntel第11世代のCore i5シリーズ相当のゲーミング性能を持つ。第7世代のCore i3-7100と比べると45%以上もゲーミング性能が高い。Core i3シリーズのターニングポイントはCore i3-8100だろう。2コア4スレッドから4コア4スレッドへと物理コアが増えたのは大きい。この世代からは4コアがデフォルトとなった。エントリークラスであるCore i3もちゃんと性能の底上げが行われているのだ。

Core i3シリーズ搭載ゲーミングPCの評価

搭載モデルが少なく選択肢はない

Core i3シリーズを搭載したゲーミングPCはほとんど販売されていないことは理解しておこう。ユーザーが購入したくてもBTOパソコンは選択肢に入らないということだ。ドスパラ・マウスコンピューター・パソコン工房などの大手BTOメーカーは全滅だ。パソコンショップセブンなど一部のショップで取り扱いがあるぐらいだ。

4コア8スレッドだと物足りないと考えられがちだ。ゲームプレイを考えるなら最低でも6コア、理想は8コアと言われている。フレームレート自体に問題はなくてもゲームの起動やロード時間が長くなってしまうことある。そういったことを考慮してCore i3シリーズを取り扱わないのだろう。

また、Core i3シリーズだとBTOメーカー側の利益率が落ち込んでしまうことも要因と言えるかもしれない。グラフィックボード価格が高騰していて、販売するゲーミングPCの単価を上げたいという思惑がありそうだ。単価の安いCore i3シリーズなら必然的にゲーミングPCの単価が下がる。そう考えるとCore i3シリーズ搭載モデルが少ないことも仕方がないのかもしれない。

第8世代以降のCore i3シリーズが最低基準となる

現行のCore i3-13100の性能を考えるとゲーミングCPUとして通用しないということはない。ベンチマークを見る限りCore i3シリーズでも60fps以上で安定させることもできる。4コア8スレッドとスペックは控えめだが、6コア12スレッドのCore i5-10400やCore i5-11400と同等以上のゲーム性能を発揮できるのも事実だ。特にミドルクラスのグラフィックボードとの組み合わせなら選択肢に入れてもよいように思える。

Core i3-13100×RTX 4060やCore i3-13100×RTX 4060 Ti 8GB辺りであればまだまだ現実的だ。Core i3-13100×GTX 1650であれば全く問題はないだろう。ただし、GTX 1650搭載モデルになるとRyzen 5 4500が幅を利かせていて立ち入る隙がない。性能的にはCore i3-13100の方が上なのでそこはうまく差別化して欲しいところだ。

自作PCでCPUにCore i3シリーズを選択するなら第8世代以降のモデルがおすすめだ。Core i3-7100は2コア4スレッドとスペック的に厳しい。最低でも4コア4スレッドを選びたい。さすがに2コアだとボトルネックが発生してしまい思うようにパフォーマンスを引き出せない。もっともGeForce GTX 1050 Tiなど旧世代のモデルであればそこまで大きな問題にはならない。

ゲームプレイ時のベンチマーク一覧

Core i9-13900K・Core i7-13700・Core i5-13400・Core i3-13100の各CPUでのフレームレートを計測した。グラフィックボードはGeForce RTX 4090とGeForce RTX 4060 Tiを選択した。その他はベンチマーク検証機材でまとめている。

フォートナイト

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フォートナイトはCPU性能の差が現れやすいタイトルの一つだ。グラフィックスにハイエンドのGeForce RTX 4090を選択した場合、Core i9-13900KとCore i3-13100で50%-60%程度のフレームレートの差が生まれる。Core i7-13700でもCore i9-13900Kと同等のフレームレートが出ているのは興味深い。また、Core i5-13400とCore i3-13100の性能差はそれほど大きくなく10%程度に留まる。

ミドルクラスのGeForce RTX 4060 Ti 8GBでもCPUによるパフォーマンスの差が大きい。ただし、それはフルHD×中設定に限定される。Core i9-13900KとCore i3-13100でフレームレートの差は70%近い。一方で、フルHD×最高設定やWQHD環境ではそこまで大きな差がないことがわかる。

FF14

ff14画像引用元:https://www.playstation.com/ff14-rtx4090ff14-rtx4060ti8gb

FF14でのフレームレートを見ていこう。GeForce RTX 4090で見るとやはり同じグラフィックボードでもCPUによってフレームレートに顕著な差がある。フルHDではCore i9-13900KとCore i3-13100で65%以上と大きい。WQHDで55%以上、4Kで25%以上と高解像度になるほど差が縮まる。

グラフィックスがミドルハイクラスのGeForce RTX 4060 Ti 8GBでもCPUによる性能差はあるもののGeForce RTX 4090ほどではない。フルHDではCore i9-13900KとCore i3-13100で26%、WQHDでは10%、4Kでは性能差なしだ。これぐらいの差であればCore i3-13100でもよいように思える。極端な話Core i9-13900K×RTX 4060 Ti 8GBではなく、Core i3-13100×RTX 4070を選ぶ方がフレームレートは高くなるだろう。

Blue Protocol

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Blue Protocolは比較的新しいMMOタイトルとなっている。ハイエンドのGeForce RTX 4090を選択した場合、Core i9-13900KとCore i3-13100での性能差はフルHDで70%、WQHDで49%、4Kで13%だ。人気の高いCore i5-13400と比べると3%-13%程度の差がある。GeForce RTX 4090を選択する場合はCore i7-13700以上を選ぶ方がグラフィックボードの性能を活かせそうだ。

GeForce RTX 4060 Ti 8GBの場合のパフォーマンスを見ていこう。RTX 4090と比べると明らかにCPUによる性能差が小さくなっている。もっとも差が大きくなるフルHDでのCore i9-13900KとCore i3-13100との性能差は13%だ。それがWQHDでは6%、4Kでは7%とより縮まる。Blue ProtocolではCore i3-13100を選択してもそこまで大きなマイナスがあるわけではないと言えそうだ。

Forza Horizon 5

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Forza Horizon 5はGPU負荷の高いタイトルで、CPUによる性能差はほとんどない。ゲーミングPCを購入する目的がForza Horizon 5ならCPUについては無視してもよい。もちろんそれは極論で他のタイトルをプレイすることを考慮した上での選択が重要だ。

Cyberpunk 2077

Cyberpunk2077topcyberpunk2077-rtx4090cyberpunk2077-rtx4060ti8gb

Cyberpunk 2077の負荷の高いタイトルの一つだ。GeForce RTX 4060 TiではグラフィックボードがボトルネックとなりCPUによる差が生まれていない。GeForce RTX 4090を搭載した場合はある程度CPUにもお金を掛けるべきだろう。フルHDではCore i9-13900KとCore i3-13100で54%程度の差がある。WQHDで27%、4Kで1%程度だ。高解像度が前提ならCore i3-13100でもよいだろう。

Cyberpunk 2077 RT

Cyberpunk2077topCyberpunk 2077 RT-rtx4090cyberpunk2077rt-rtx4060ti

次にレイトレーシングウルトラでのパフォーマンスを見ていく。GeForce RTX 4090ではやはりCPUによってフレームレートが変わる。DLSS 3.0有効時のCore i9-13900KとCore i3-13100の差は70%近い。DLSS 2.0でも60%以上だ。GeForce RTX 4090を選択するならCore i7-13700以上を選択するとグラフィックボードの性能を引き出せる。

GeForce RTX 4060 TiではGeForce RTX 4090搭載時ほど大きな差が出ているわけではないが、DLSS 3.0有効化時でCore i9-13900KとCore i3-13100で8%程度の差がある。DLSS 2.0有効化時で25%だ。レイトレーシングを使用したいならCore i5-13400以上を選択しておこう。

今後の課題

今回はグラフィックボードにGeForce RTX 4090とGeForce RTX 4060 Ti 8GBをピックアップした。GeForce RTX 4090については現行でトップの性能を持つモデルで他に選択肢はない。一方で、GeForce RTX 4060 Tiについては他の選択肢があったように思う。GeForce RTX 4070 TiやGeForce RTX 4070でもCore i3-13100とCore i9-13900Kで性能差が出ないのかどうかは気になるところだ。

例えば、Forza Horizon 5やCyberpunk 2077ではGeForce RTX 4060 Ti 8GBの性能がボトルネックとなりCPUの差が出ていない。グラフィックスの性能が上がるとCPUの性能差が出る可能性がある。つまり、どの程度のグラフィックボードまでGPUのボトルネックが発生するのかがポイントとなる。今後他のグラフィックボードについても検証したいと考えている。

もう一つの課題は、ベンチマークを計測したタイトルだ。今回はフォートナイト・FF14・Blue Protocol・Forza Horizon 5・Cyberpunk 2077の5つのタイトルをピックアップした。ベンチマークソフトが用意されているあるいは客観的にフレームレートを計測しやすいタイトルと言える。選択するタイトルを増やせば結果が変わる可能性がある。将来的にはもう少しタイトルを増やした検証を行いたい。

ベンチマーク検証機材

testsystem_Intel Ver

モデルベンチマーク検証機Intel Ver. 2023
CPUCore i9-13900K
Core i7-13700
Core i5-13400
Core i3-13100
GPUGeForce RTX 4090
GeForce RTX 4060 Ti
メモリDDR5-5600 32GB
ストレージSSD 1TB Gen4 NVMe
マザーボードMSI MPG Z790 CARBON WIFI MB5911
電源玄人志向 1200W PLATINUM KRPW-PA1200W/92+

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