AORUS 17X AZF-C5JP665JP

当ページでは、Core i9-13950HXの性能レビュー及び搭載ゲーミングノートPCの紹介をしている。Intel第13世代のモバイル向けハイパフォーマンスモデルであるCore HXシリーズが登場した。Core i9-13950HXは、HXシリーズの中でも上から2番目の高い性能を持つモデルだ。TDPは55Wと45WのCore Hシリーズよりもスペックが高い。なお、フラグシップモデルのCore i9-13980HXとの差はターボクロック0.1GHzでほぼ同等だ。

24コア32スレッドと高いスペックを持ちゲームやクリエイター作業に適している。基本的にはGPU搭載が前提でCPU内臓グラフィックスの性能は控え目だ。Ada Lovelace世代のフラグシップモデルであるGeForce RTX 4090 Mobileが登場してより高いCPU性能が求められる。Core i9-13950HXは現行のハイエンドクラスのグラフィックボードとのバランスを考えると理想的だ。搭載モデルは「Core i9-13950HX搭載のゲーミングノートPC一覧」で紹介している。

よくわかる!!Core i9-13950HXの特徴まとめ

cpu

コードネーム Raptor Lake
プロセス 10nm
コア/スレッド数 24コア(8Pコア+16Eコア)/ 32スレッド
Pコア定格/最大クロック 2.2 GHz/ 5.5 GHz
Eコア定格/最大クロック 1.6 GHz/ 4.0 GHz
L3キャッシュ 36MB
PBP 55W
MTP 157W
発売日 2023年01月04日
価格 $590
特徴 (+) 24コア32スレッドと高いスペックを持つ
(+) i9-12900HKよりも50%以上高性能
(+) AMD製CPUとの差を大きく広げた
(-) RTX 4090 Mobileとではボトルネックとなることがある
(-) 消費電力は高め
(-) 搭載モデルの価格が高い
評価 ・総合評価
9.0

・ゲーム評価
9.0

Core i9-13950HXの基本スペック

Core i9-13950HX Core i9-13980HX Core i9-12950HX
メーカー Intel Intel Intel
コードネーム Raptor Lake Raptor Lake Alder Lake
プロセス 10nm 10nm 10nm
トランジスタ数 データなし データなし データなし
ダイサイズ 257 mm² 257 mm² 215 mm²
コア/スレッド数 24(8P+16E)/ 32 24(8P+16E)/ 32 16(8P+8E)/ 24
定格クロック(P) 2.2 GHz 2.2 GHz 2.3 GHz
最大クロック(P) 5.5 GHz 5.6 GHz 5.0 GHz
定格クロック(E) 1.6 GHz 1.6 GHz 1.7 GHz
最大クロック(E) 4.0 GHz 4.0 GHz 3.6 GHz
オーバークロック
L2キャッシュ 24MB
(2.00MB×8+4MB×4)
24MB
(2.00MB×8+4MB×4)
14MB
(1.25MB×8+4MB×2)
L3キャッシュ 36MB
(3.00MB×8+3MB×4)
36MB
(3.00MB×8+3MB×4)
30MB
(3.00MB×8+3MB×2)
対応メモリ DDR5-5600
DDR4-3200
DDR5-5600
DDR4-3200
DDR5-4800
DDR4-3200
内蔵グラフィックス UHD Graphics UHD Graphics UHD Graphics
PBP 55W 55W 55W
MTP(PL2) 157W 157W 157W
MSRP $590 $668 $590
発売日 2023/01/04 2023/01/04 2022/05/10
Core i9-13950HXは、Raptor Lake世代のCore HXシリーズの高パフォーマンスモデルだ。Core i9-12900HXの後継モデルで同じ10nmプロセスを採用している。Core i9-13950HXになってダイサイズが20%大きくなった。これはEコア増量分及びL2キャッシュ増量分で説明が付く。Core i9-13950HXでは、Eコアが倍増となりトータルスペックは24コア32スレッドだ。16コア24スレッドからそれぞれ50%・33%増えたことになる。

Pコアの定格クロックは3%低くなったが、最大クロックは10%高くなった。Eコアも定格クロックは0.1GHz低くなった一方で最大クロックは11%高く4.0GHzに到達している。いずれのモデルもオーバークロック対応だ。デスクトップパソコンに比べると熱対策が難しく余力はそれほど大きいわけではないと考えておこう。

Core i9-13950HXのL2キャッシュ容量は65%増えて24MBとなる。Pコア1つ当たりのキャッシュ容量が1.25MBから2.00MBへと増えた。また、Eコアクラスタが倍になりL2キャッシュ容量が大きく増量されている。L3キャッシュもEコアクラスタが増えた分だけ容量アップとなる。メモリ規格がDDR5-4800からより高クロックなDDR5-5600までサポートしているのはポイントだ。内臓グラフィックスはUHD Graphicsだ。PBP・MTPは変わらない。価格も$590となる。

Raptor Lake世代のフラグシップモデルであるCore i9-13980HXとの違いはPコアの最大クロックと価格のみだ。Pコアの最大クロックが0.1GHz高く5.6GHzとなる。価格は$78高くなる。スペックの差を考えると物足りなさがあるが、当然Core i9-13980HXの方が性能が高く高性能なグラフィックボードと組み合わせるなら好ましい。

Core i9-13950HX搭載モデルの特徴

24コア32スレッドと高スペックモデル

型番 総合性能
Core i9-13980HX 31,759
Core i9-13950HX 30,862
Core i9-12900HX 25,953
Core i9-12900HK 24,296
Core i9-12900H 23,873
Core i7-12700H 23,029
Ryzen 9 6900HX 18,732
Ryzen 9 5900HX 17,688
Ryzen 9 6900HS 17,127
Core i5-12500H 17,085
Ryzen 7 6800H 17,045
Core i9-11980HK 16,954
Core i7-11800H 15,631

Core i9-13950HXは、24コア32スレッドとスペックが高くモバイル向けモデルとしてトップクラスのCPU性能を誇る。上位にCore i9-13980HXがあるが、実際の環境で性能差を体感することは難しく同等だと考えてよさそうだ。従来モデルのCore i9-12900HXと比べて20%近くも処理性能が向上している。Core i9-12900HKと比べると23%程度性能が高い。

モバイル向けAda Lovelace世代のグラフィックボードの性能が高く上位モデルを選択するならこのCore i9-13950HXを最低基準に考えたいところだ。Core i9-13980HKやCore i9-13900HなどのHシリーズ(45W)ではやや物足りなさがある。それだけAda Lovelace世代のモデルは性能が高くなっているのだ。ゲームプレイにおいてはCPUのボトルネックが発生するケースが増えている。特にフルHD環境以下ではそれが顕著だ。

これで第4世代RyzenシリーズのフラグシップモデルであるRyzen 9 6900HXを引き離した。性能差は60%以上とかなり大きい。Zen 3からZen 3+へとマイナーチェンジが行われたが、Intel第13世代の登場で全く勝負にならない。やはり第5世代(Zen 4)が登場するまで厳しい状況となるだろう。ハイブリッドアーキテクチャはかなり優秀だ。

消費電力が高い

Core i9-13900HXは消費電力が高いCPUであることは理解しておく必要がある。PBPが55WでMTPが157Wに設定されている。Core HシリーズのフラグシップモデルであるCore i9-13900HKがそれぞれ45W・115Wなのでそれよりもかなり高めだ。特に熱を抑えることが必須のゲーミングノートPCで消費電力が高いことはマイナスになる。熱をコントロールするためにゲーミングノートPC本体はどうしても大きくそして重くなってしまう。本体重量が3.0kgを越えは当たり前だ。

ハイエンドクラスのゲーミングノートPCを購入するというのはそれらを受け入れることだ。高い性能を手に入れるための代償だと言える。グラフィックボードの高性能になっているのでシステム全体での消費電力は上昇傾向にある。プロセスの微細化などで消費電力を抑えていくのが永遠の課題だ。Intel製CPUは長らく10nmプロセスを採用していてまだまだ省電力性を向上させるための手段はあるはずだ。あとはハイブリッドアーキテクチャ採用の性能とのバランスが重要となりそうだ。

ハイエンドGPUとの組み合わせが一般的で高価

Core i9-13950HXを搭載したゲーミングノートPCはかなり高価だ。2023年3月時点で最安値は税込660,000円~と万人受けするモデルとは言えない。Core i9-13950HXは性能が高く、60番台や70番台のグラフィックボードだと不釣り合いということもあって必然的にハイエンドクラスのグラフィックボードとの組み合わせとなる。Ada Lovelace世代のハイエンドモデルであるRTX 4090 MobileやRTX 4080 Mobileと組み合わせると当然価格は高くなる。

ハイエンドのグラフィックボードと合わせるとゲーミングノートPC自体の冷却性能を高める必要がありそういったところにもコストが掛かる。CPUやグラフィックボード単体の価格に加えて他にも考慮すべき点があるのだ。玄人向けのCPUだという認識で間違いない。ほとんどのユーザーはCore Hシリーズで満足できるだろう。Core i9-13950HXなどHXシリーズ自体たくさんの数が売れるモデルではない。

Core i9-13950HXのベンチマーク一覧

Cinebench R23

cinebenchr15Core i9-13950HX-cinebenchr23

Cinebench R23で他のCPUとのマルチスレッド・シングルスレッド性能の差を見ていこう。Core i9-13950HXは、従来モデルのCore i9-12900HXと比べてマルチスレッド性能が46%高く、シングルスレッド性能も10%高くなっている。Raptor Lake世代ではCPUコアの改良だけではなく、L2キャッシュ増量などの恩恵で総合力が向上しているのだ。競合モデルであるRyzen 9 5900HXと比べてもマルチスレッド性能が78%も高く、シングルスレッド性能も40%も高い。ここには記載がないが、Zen 3+アーキテクチャ採用のRyzen 9 6900HXをもってしてもCore i9-13950HXには遠く及ばない。PコアとEコアを組み合わせたハイブリッドアーキテクチャの効果は圧倒的だ。今後AMDも追随してくるかもしれない。

Handbrake

handbrakeCore i9-13950HX-handbrake

動画のエンコードソフトであるHandbrakeでもCore i9-13950HXは一段階高いパフォーマンスを発揮している。上記は60分の動画についてHEVCへのエンコード掛かる時間をまとめたもので数値が少ない方が高性能であることを意味する。従来モデルのCore i9-12900HXと比べて25%も処理性能が向上している。これまでトップだったRyzen 9 5900HXと比べても20%程度パフォーマンスが高い。モバイル向けモデルとしては必要十分な性能を持っていると言えるだろう。

Blender 2.91

blenderclassroomCore i9-13950HX-blender

Blenderでも高いパフォーマンスを発揮している。Core i9-12900HXと比べて46%もパフォーマンスが高い。Ryzen 7 6800Hと比べても52%高く圧倒的だ。Core i9-13950HXは、モバイル向けCPUというカテゴリーで大きな一歩を踏む出した。

7-Zip(圧縮)

zipCore i9-13950HX-compression

Zipファイルの圧縮速度をまとめている。Core i9-13950HXは、他を寄せ付けない高いパフォーマンスを発揮している。Core i9-12900HXと比べて40%以上も処理性能が速い。Ryzen 9 6900HSと比べても63%も速度が速くなっている。Raptor Lake世代のCPUは7-Zipとの相性がよさそうだ。

7-Zip(解凍)

zipCore i9-13950HX-unfrozen

圧縮速度に続いて解凍速度も圧倒的なパフォーマンスとなっている。Core i9-12900HXと比べて43%も速度が速くなった。Ryzen 7 6800HやRyzen 9 6900HSよりも60%前後パフォーマンスが高い。Zipファイルの取り扱いはIntel製CPUに任せるのがよいだろう。

Microsoft Excel

excelCore i9-13950HXexcel

エクセルでのパフォーマンスを見ていく。ナンバークランチングテストで長く複雑な数値計算を行う作業だ。Core i9-13950HXは、Core i9-12900HXと比べて19%もパフォーマンスが高い。Ryzen 7 6800Hと比べても40%も処理性能が高いことがわかる。Intel製CPUが引き続きRyzen 6000シリーズを圧倒している形だ。

Adobe Photoshop

photoshopCore i9-13950HX-photoshop

Adobe Photoshopでのパフォーマンスを見ていこう。Core i9-12900HXやCore i7-12700Hよりもパフォーマンスが低いのはCPU内蔵グラフィックスの性能の低さが影響している可能性がある。Core HシリーズではCPU内蔵グラフィックスの実行ユニットが96に対して、Core i9-13950HXでは32と1/3に留まる。これはグラフィックボード搭載が前提のモデルだからこそCPU内蔵グラフィックスはそれほど高い性能がいらないということだろう。Ryzen 9 6900HSやRyzen 7 6800Hと比べて4%-10%程度性能が高くこれはシングルスレッド性能の高さが影響している。

Adobe Premiere Pro 2022

Adobe Premiere Pro CCCore i9-13950HX-premierepro

Adobe Premiere Pro 2022ではそれほど大きな伸びは見られなかった。RTX 4090 MobileをもってしてもCore i9-12900HX×RTX 3070 Ti Mobileよりも6%高いだけだ。Core i9-12900HK×RTX 3080 Ti Mobileとの組み合わせよりは16%高い。次世代モデル以降に期待したいところだ。

Core i9-13950HX搭載のゲーミングノートPC一覧

AORUS 17X AZF-C5JP665JP(GIGABYTE)

AORUS 17X AZF-C5JP665JP価格:660,000円(税込)
モニター:17.3インチQHD 240Hz
CPU:Core i9-13950HX
GPU:GeForce RTX 4090 Mobile
メモリ:DDR5-5600 32GB
SSD:1TB Gen4 NVMe×2基
HDD:非搭載

公式サイト

GIGABYTEが販売するフラグシップモデルだ。17.3インチQHDディスプレイ(240Hz)を搭載している。このモデルの性能を考えるとQHDディスプレイは必須だ。フルHDだと宝の持ち腐れとなる。本体重量は約2.8kgとかなり重い。持ち運ぶことが多い方は注意しよう。Core i9-13950HX×RTX 4090 Mobileの組み合わせで現行最強のゲーミング性能を誇る。ゲーミングノートでも性能面で妥協したくないなら選択肢に入れたいところだ。もっとも税込66万円という価格では簡単に購入できない。メモリDDR5-5600 32GB、SSD 1TB Gen4 NVMe×2基と構成も抜群だ。

Raider-GE78HX-13VI-2803JP(MSI)

Raider-GE78HX-13VI-2803JP価格:679,800円(税込)
モニター:17.3インチWQXGA 240Hz
CPU:Core i9-13950HX
GPU:GeForce RTX 4090 Mobile
メモリ:DDR5 32GB
SSD:2TB NVMe
HDD:非搭載

公式サイト

MSIブランドのハイエンドのゲーミングノートPCだ。標準で2年保証なのがうれしい。17.3インチWQXGAディスプレイ(240Hz)を搭載している。Core i9-13950HX×RTX 4090 Mobileの組み合わせならWQXGAディスプレイぐらいはないともったいない。メモリDDR5 32GB、SSD 2TB NVMeと構成もずば抜けている。税込679,800円とかなり価格が高いにも仕方がないだろう。本体重量は約3.1kgと重量級だ。持ち運びは車でないと厳しい。

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ベンチマークテスト環境

MSI Titan GT77

モデル MSI Titan GT77
ディスプレイ 17.3インチ4K 144Hz
CPU Core i9-13950HX
GPU Nvidia GeForce RTX 4090 Laptop
メモリ DDR5-4800 64GB
ストレージ