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当記事では、GeForce GTX 1660 Tiの性能スペックレビュー&ベンチマークの紹介をしている。これまでNVIDIAはGeForce RTX 2060やGeForce RTX 2070などのモデルをリリースしてレイトレーシングやDLSS機能を全面に押し出してきた。今回リリースされたGeForce GTX 1660 Tiはこれらの機能をなくした廉価なGTX 16シリーズだ。
GeForce RTX 20シリーズとは役割が異なりフルHD環境でのゲームプレイを考えている方向けだと言える。2024年時点でロークラスの性能を持つに留まる。最新のAAAタイトルだと設定を落とす必要がある。すでに新品での購入は難しくなっている。後発モデルとしてGeForce GTX 1660 SUPERがリリースされている。GeForce GTX 1660に近い価格でGeForce GTX 1660 Tiに近い性能を得られる。なお、ゲーミングノート向けのGeForce GTX 1660 Ti Mobileとは別物だ。
- (+)RTコアとTensorコアなしのローエンドクラスのモデル
- (+)前世代のGTX 1070と同等のパフォーマンスを持つ
- (-)GTX 1060 6GBよりもやや価格が高く設定されている
- (-)GTX 1660 SUPERの登場でやや存在感が薄くなった
当ページの目次
GeForce GTX 1660 Tiの概要を押さえよう
総合性能
GeForce GTX 1660 Tiのゲーミング性能は前世代のGeForce GTX 1070に近いゲーミング性能を持つ。60番台で70番に近付いたのは評価できるポイントだ。ゲームタイトルによってはGeForce GTX 1070を上回ることがある。前世代のGeForce GTX 1060 6GBよりも20%ゲーミング性能が伸びている。上位モデルであるGeForce RTX 2060との性能差は10%程度だ。GeForce GTX 1660 Tiは、後発のGeForce GTX 1660 SUPERよりも2%程度性能が高くなっている。性能差を体感するのは難しいだろう。
また、2018年11月に出たAMD Radeon RX 590よりもおよそ25%高い。立ち位置を考えるとちょうど良い場所に入り込んだと言えるだろう。今後出てくるエントリークラスやローエンドクラスのグラフィックボードでうまく性能の底上げが行われる形だ。現行モデルを見ると、GeForce RTX 3060がその後継モデルとなる。ゲーミング性能は高く40%のパフォーマンスが向上する。
性能的な後継モデルはGeForce RTX 3050だ。おおよそ同等の性能だが、GPUメモリ容量が8GBとなるためより高いパフォーマンスを期待できる。現行モデルのエントリークラスと同等の性能を持つGeForce GTX 1660 Tiは今でも十分通用するグラフィックボードであることは間違いない。設定にこだわりがなければ満足できるはずだ。
基本スペックまとめ
GTX 1660 Ti | RTX 2060 | GTX 1060 6GB | |
---|---|---|---|
コードネーム | Turing | Turing | Pascal |
プロセス | 12nm | 12nm | 16nm |
GPU | TU116 | TU106 | GP106 |
トランジスタ数 | 66億 | 108億 | 44億 |
ダイサイズ | 284m㎡ | 445m㎡ | 200m㎡ |
SM数 | 24 | 30 | 10 |
CUDAコア数 | 1536基 | 1920基 | 1280基 |
RTコア数 | - | 30基 | - |
Tensorコア数 | - | 240基 | - |
ベースクロック | 1500MHz | 1365MHz | 1506MHz |
ブーストクロック | 1770MHz | 1680MHz | 1708MHz |
GPUメモリ | 6GB GDDR6 | 6GB GDDR6 | 6GB GGDR5 |
メモリクロック | 12 Gbps | 14 Gbps | 8 Gbps |
メモリバス | 192 bit | 192 bit | 192 bit |
メモリバス帯域幅 | 288 GB/s | 336 GB/s | 256 GB/s |
TDP | 120W | 160W | 120W |
MSRP | $279 | $349 | $249 |
中古価格 | 14,980円 | 16,980円 | 8,980円 |
発売日 | 2019/02/22 | 2019/01/15 | 2016/06/10 |
GeForce GTX 1660 Tiのスペックについて前世代のGTX 1060 6GBと上位モデルであるRTX 2060と比較していく。前世代のGTX 1060 6GBよりも価格は$20高くなった。性能もアップしているのでそれほど気にしなくてもよいだろう。Pascal世代からプロセスが16nm→12nmへと微細化され技術的な進化が見られる。省電力性の向上やパワー効率の向上にメリットがありグラフィックボードの性能において要となる部分だ。トランジスタ数が44億から66億へと50%も向上している。一方で、ダイサイズが200m㎡から284m㎡へと42%大きくなった。プロセスが微細化されたことでダイサイズの巨大化を抑えることを実現したと言える。
GTX 1660 Tiは、TU116のフルスペックバージョンでSM数は24となる。CUDAコア数は20%アップで1536基(24×64)だ。ベースクロックはほぼ同等でブーストクロックは4%アップしている。メモリ規格もGDDR6と新しくなっているのも特徴だ。性能の底上げが行われているにもかかわらず消費電力は同じ120Wに抑えられ省電力性の高さが光る。上位モデルのRTX 2060では一回り大きいGPUである「TU106」を搭載している。トランジスタ数はGTX 1660 Tiよりも64%多く、ダイサイズも57%大きい。ダイサイズが大きいのはSM数が増えていることに加えて、RTコア/Tensorコアが追加されていることも要因だ。
RTX 2060と比べるとGTX 1660 TiのCUDAコアは80%に留まる。また、クロック周波数は10%アップ、ブースト時5%アップと引き上げられているのだ。もちろんCUDAコアが少なくなっている分性能面では及ばない。およそ85%の性能だと考えるとわかりやすいだろう。メモリメモリも差別化が図られている。GPUメモリ規格及び容量はGDDR6 6GBと共通だが、メモリクロックはRTX 2060の方が17%速く、メモリバス帯域幅も17%広い。TDPはRTX 2060の方が34%大きくなっている。価格差は$70だ。
3つのモデルの中古価格を見ると性能に比例して妥当な価格設定になっていると言える。GTX 1660 Tiは、14,980円~購入できる。上位モデルのRTX 2060との価格差は2,000円だ。旧世代のGTX 1060 6GBは6,000円安く購入できる。価格だけを考えるとGTX 1060 6GBは魅力的だが、性能的にやや厳しくなってきている。価格が安いのにはそれなりの理由があるというわけだ。
GeForce GTX 1660 Tiの中古価格とコスパ
製品 | 性能 | 中古価格 | コスパ | VRAM | 発売日 |
---|---|---|---|---|---|
RTX 2060 SUPER | 19,989 | 21,980 | 0.909 | 8GB | 2019/07/09 |
RTX 2060 | 18,150 | 16,980 | 1.069 | 6GB | 2019/01/07 |
RX 5600 XT | 16,777 | 12,980 | 1.293 | 6GB | 2020/01/21 |
GTX 1070 | 16,442 | 10,980 | 1.497 | 8GB | 2016/07/10 |
RTX 3050 | 14,734 | 32,800 | 0.449 | 8GB | 2022/01/27 |
GTX 1660 Ti | 14,522 | 14,980 | 0.969 | 6GB | 2019/02/22 |
GTX 980 | 14,257 | 7,980 | 1.787 | 4GB | 2014/09/19 |
GTX 1660 SUPER | 13,913 | 12,980 | 1.072 | 6GB | 2019/10/29 |
GTX 1660 | 13,645 | 12,980 | 1.051 | 6GB | 2019/03/14 |
RX 590 | 11,799 | 11,980 | 0.985 | 8GB | 2018/11/15 |
GTX 1060 6GB | 11,257 | 8,980 | 1.254 | 6GB | 2016/07/19 |
GTX 1060 3GB | 10,961 | 7,980 | 1.374 | 3GB | 2016/07/19 |
GTX 1660 Tiの中古価格は14,980円となる。コスパ指標(1円当たりの性能)は0.969とまずまずだ。GeForce GTX 1660 SUPERやGeForce GTX 1660よりわずかに劣るものの性能が高いことを考えると選択肢として魅力的だろう。GeForce GTX 1060 6GBもコスパは高いが、やはり性能的に物足りない。基本的に新しい方が省電力性も高くおすすめしやすい。故障リスクが低いというのもポイントだ。
GeForce RTX 3050やGeForce RTX 2060はレイトレーシング・DLSSに対応していることもあって指標的にはやや弱い。もっともこれらのグラフィックボードはレイトレーシング適正は高くなくDLSS運用がメインとなるだろう。そこをきっぱりと切り捨てたGeForce GTX 1660 Tiは優秀だ。世代を気にしないのであればGeForce GTX 1070も魅力的な選択肢となる。GeForce GTX 1660 Tiよりも性能が13%高いにも関わらず、価格が28%も安い。コストパフォーマンス重視なら選択肢の一つに入れておこう。2016年発売のモデルで故障リスクが上がる点は理解しておく必要がある。
GeForce GTX 1660 Tiの特徴&注意点など【発売時点】
フルHD環境×標準設定が得意分野となる
GTX 1660 Tiは、性能的にはGTX 1070よりも高いゲーミング性能を持つグラフィックボードだ。適正で考えるとフルHDがぴったり当てはまる。WQHD環境でのゲームプレイも対応できないことはないが、タイトルによっては設定を大きく落とす必要がある。フルHD環境を基準にすれば標準設定を前提とすれば対応しやすい。もちろん負荷の軽いフォートナイトなどでは最高設定でのゲームプレイも現実的だ。
GTX 1660 Tiは、レイトレーシングやDLSS機能をなくしているため価格が安く選びやすい。レイトレーシングなどが不要なゲーマーの方におすすめだ。まだまだレイトレーシング対応タイトルが少ないので急いで選ぶ必要はないだろう。上位モデルであるRTX 2060ではレイトレーシングに対応しているものの性能がそれほど高くないためフレームレートが大きく下がってしまう。そう考えるとGTX 1660 Tiは非常にバランスのよいグラフィックボードということになる。
中心グラフィックボードとなるポテンシャルがある。RTX20シリーズは確かに魅力的なグラフィックボードだが、性能も価格も高くライトユーザー向けとは言えない。そこにこのGTX 1660 Tiが入ってくることになったのでゲーマーにとっては喜ばしいことだろう。Steamの統計で最も使用されているグラフィックボードがGTX 1060 6GBであることを考えると、実質の後継モデルであるこのGTX 1660 Tiは人気グラフィックボードになる可能性が高い。
RTX 2060よりも価格が安く$300以下の予算で考えていた方にとっては魅力的な選択肢となる。例えば、今GeForce GTX 960やRadeon R9 380を使っている方からするとやっと買い替えを検討する価値のあるグラフィックボードが登場したのだ。前世代のGTX 1060 6GBからの買い替えはそれほど恩恵を受けられない。合わせるCPUとしてはCore i5-10400やCore i5-10600KがベストでCore i7-11700でも用途次第ではおすすめだ。
GTX 1660 SUPERの登場で立場が変わった
2019年10月29日に下位モデルであるGeForce GTX 1660の後継モデルとしてGeForce GTX 1660 SUPERが登場した。結果的にGTX 1660 Tiの存在感がなくなってしまっている。ミドルクラスのグラフィックボードとして非常に性能が高くこのGeForce GTX 1660 Tiに近い性能を持っている。GeForce GTX 1660と同等の価格でGeForce GTX 1660 Tiと同等の性能が手に入るということで注目されている。
2023年2月時点でGeForce GTX 1660 Ti搭載モデルはパソコン工房で販売されているモデルのみだ。グラフィックボードの供給不足の影響でGTX 1660 Ti搭載モデルの価格も高い。ドスパラやTSUKUMOでは完全に取り扱いがなくなってしまった。
次世代のAmpere世代のグラフィックボードも登場してTuring世代で残っているのはこのGTX 1660 SUPERとGTX 1650ぐらいだろう。GTX 1660 SUPER搭載モデルならまだまだラインナップも多く様々なモデルから選択することができる。今後RTX 3050が登場すれば完全に切り替わるのではないかと思う。
GeForce GTX 1660 Tiのベンチマーク一覧
各タイトルのゲームプレイ時におけるフレームレートを計測している。フルHD環境でのゲームプレイに注目して欲しい。100fps以上が出せるかどうかも重要なポイントだろう。フレームレートが高くなれば120Hz/144Hz対応モニターを活かすことができるからだ。
*フレームレート(fps)は、1秒間に描写されるコマ数のことだ。一般的に60fps以上が出れば快適だと言われている。
PUBG
RTX 2060 | |
GTX 1660 Ti | |
GTX 1070 | |
GTX 1060 6GB | |
GTX 1060 3GB |
Fortnite
RTX 2060 | |
GTX 1070 | |
GTX 1660 Ti | |
GTX 1060 6GB | |
GTX 1060 3GB |
Rise of the Tomb Raider
RTX 2060 | |
GTX 1070 | |
GTX 1660 Ti | |
GTX 1060 6GB | |
GTX 1060 3GB |
Battlefield 5
RTX 2060 | |
GTX 1070 | |
GTX 1660 Ti | |
GTX 1060 6GB | |
GTX 1060 3GB |
Far Cry 5
RTX 2060 | |
GTX 1070 | |
GTX 1660 Ti | |
GTX 1060 6GB | |
GTX 1060 3GB |
Deus EX: Mankind Divided
RTX 2060 | |
GTX 1660 Ti | |
GTX 1070 | |
GTX 1060 6GB | |
GTX 1060 3GB |
GeForce GTX 1660 Ti搭載ゲーミングPC
LEVEL-M0P5-R56X-RXX(パソコン工房)
CPU:Ryzen 5 5600X
GPU:GeForce GTX 1660 Ti
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:500W BRONZE
比較的コストパフォーマンスに優れたモデルとなっている。ミニタワーケースを採用している。ゲーミング性能は標準的でフルHD環境でのゲームプレイに最適だ。CPUにはミドルクラスのRyzen 5 5600Xを搭載している。6コア12スレッドとマルチスレッド性能が高い。第12世代Core i5シリーズと比べると性能的にやや物足りないか。第3世代Ryzenシリーズとは別物だ。メモリ16GB、SSD 500GBと構成も必要十分だと言える。
LEVEL-M066-124-RXX(パソコン工房)
CPU:Core i5-12400
GPU:GeForce GTX 1660 Ti
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:500W BRONZE
GTX 1660 Ti×Core i5-12400搭載のゲーミングPCとなっている。Ryzen 5 5600Xと比べてもゲーム適性は高くフレームレートを安定させることが可能だ。フルHD環境ならある程度対応しやすい。タイトルによっては設定を下げる必要がある。メモリ16GB、SSD 500GBと構成も充実している。電源ユニットは500W BRONZEだ。
LEVEL-M066-127-RXX(パソコン工房)
CPU:Core i7-12700
GPU:GeForce GTX 1660 Ti
メモリ:DDR4-2933 16GB
SSD:500GB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:500W BRONZE
GTX 1660 Ti×Core i7-12700搭載のゲーミングPCだ。CPU性能が高く動画編集・画像編集・ゲーム実況などの作業への対応力が高い。12コア20スレッドというスペックは強力だ。Core i7-11700Kを軽く超えるパフォーマンスを持つ。クリエイターPCという側面もある。メモリ16GB、SSD 500GBという構成だ。電源ユニットは500W BRONZEで必要十分だと言える。
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ゲーム推奨 | BTOショップ比較 | グラボ比較表 |
ベンチマークテスト環境
CPU | Core i7-8700K |
---|---|
メモリ | “2x8GB G.Skill TridentZ RGB DDR4-3200” |
SSD | “Samsung 970 Evo 1TB Samsung 860 Evo 4TB” |
電源ユニット | EVGA SuperNova P2 1000W |
マザーボード | Gigabyte Z370 Aorus Gaming 7 |