elsagtx980画像引用元:https://www.elsa-jp.co.jp/

当記事では、GeForce GTX 980のスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。Kepler世代の80番台であるGTX 780の後継モデルだ。販売当時の2014年はハイクラスのグラフィックボードだったが、2025年時点ではローエンドクラスに位置する。当然今は新品でGTX 980を購入することは難しく、中古パーツとして探す必要がある。残念ながら古いモデルということもあり中古市場からも消えつつある。

ドスパラやじゃんぱらなどPCパーツショップをチェックして欲しい。発売の2014年当時は各BTOショップが力を入れていて多くのラインナップがあった。非常に人気のあったグラフィックボードだったこともあって中古のタマも豊富だ。後継モデルは、Pascal世代の「GeForce GTX 1080」だ。プロセスの微細化もあってパフォーマンスが引き上げられている。

GeForce GTX 980のスペックと性能

スペック

GTX 980 GTX 780 GTX 1080
アーキテクチャ Maxwell Kepler Pascal
プロセス 28 nm 28 nm 16 nm
GPU GM204 GK110 GK110
CUDAコア 2048基 2304基 2560基
コアクロック 1126MHz 863MHz 1607MHz
ブーストクロック 1216MHz 900MHz 1733MHz
GPUメモリ GDDR5 4GB GDDR5 3GB/6GB GDDR5X 8GB
メモリクロック 7 Gbps 6 Gbps 10 Gbps
メモリバス 256bit 384bit 256bit
メモリ帯域 224.4 GB/s 288.4 GB/s 320.3 GB/s
FLOPS 4.981 TFLOPS 4.156 TFLOPS 8.873 TFLOPS
TDP 165W 250W 180W
MSRP $549 $649 $699
中古価格 6,990円~ 18,980円
発売日 2014年9月19日 2013年3月23日 2016年5月27日
GeForce GTX 980は、Maxwell世代として登場したGTX 900シリーズの上位グラフィックボードだ。プロセスは従来モデルのGTX 780と同じ14nmだ。GPUは新たにGM204が採用されている。GTX 600・700シリーズで採用されたGKベースから一新されたプロセスは処理性能が大きく向上している。省電力性も高まり次世代モデルにふさわしいスペックだ。

基本的な処理性能はコアクロック、ブーストクロックを見ても分かる通りだ。コアクロックは30%高く、ブーストクロックも35%も高い。一方で、CUDAコア数が10%程度減少している。さらに、メモリ帯域及びバス幅の縮小でメモリ周りは少し弱くなったように見える。メモリクロック周波数が7 Gbpsにアップされた事で多少はフォローできているが、性能の伸びが抑えられる結果となっている。

GPUメモリは同じGDDR5を搭載している。GPUメモリ容量は3GBから4GBへと微増だ。性能の指標であるFLOPSが15%しか伸びていないことも、メモリ周りが影響していそうだ。このFLOPSは基本的な性能の基準となる数値だ。ゲームによっては数値の関係は逆転する可能性もある。あくまでも基準として見ておけば良いだろう。消費電力はGTX 780と比べて34%省電力化されている。さらに、価格も15%程度安くなった。

GP104ベースのGTX 1080は表で分かる通り、完全にGTX 980を上回っている。プロセスが28nm→16nmへと微細化された。より高いパフォーマンスを期待できる。CUDAコアが25%増えている。さらに、コアクロックが43%高くブーストクロックも42%高い。さらに、GPUメモリの規格もGDDR5Xになり容量も8GBとなっている。メモリクロックが7 Gbpsから10 Gbpsになりメモリ帯域は43%も広い。性能はFLOPSが表している通り非常に高い。消費電力の向上を考えればワットパフォーマンス(消費電力あたりの性能)は比べ物にならないほどアップしている。

性能

gtx980seinou

GeForce GTX 980の性能はTuring世代のGTX 1660 Tiと同等だ。現行モデルであるAmpere世代ではエントリークラスのRTX 3050にも劣ってしまう。発売から8年の月日が流れてついにここまで厳しい状況となった。現時点では高い性能とは言えないながらも、エントリークラスの運用であれば問題ないだろう。設定を落とすことで対応できるゲームは多い。標準設定以下であれば現在でも通用する性能だと言える。

ネックとなるのはGPUメモリ容量の少なさだ。4GBというのエントリークラスのモデルとしても物足りない。今の時代は50番台でも8GBと容量が多いのだ。最新のタイトルでは対応しづらいと考えてよい。将来性も高いわけではなく長い目で見れば買い替えのタイミングが来たと言える。消費電力の高さもデメリットだ。現行モデルと比べて大きく劣る部分となっている。

GTX 1060 6GBが推奨環境に求められるゲームが登場している。これから発表される最新のタイトルへの対応力はギリギリだ。あくまでも推奨環境なので、高望みしなければまだまだ現役で使用できるだろう。高リフレッシュレートや高解像度は苦手なのでプレイスタイルは限られてしまうのが気になるところだ。

解像度を下げることで高リフレッシュレートはまだ実現可能だ。しかし、高解像度は基本的な性能が不足しているので厳しい。少し古めのタイトルであれば対応できるかもしれない程度だ。現行のエントリークラスが高解像度には対応できてない。できればラッキーくらいに考えておく必要がありそうだ。

GeForce GTX 980の最新評価【2025年時点】

GeForce GTX 980はエントリークラスで通用する

GeForce GTX 980は、GTX 1660 TiやGTX 1660 SUPERと同等程度だ。Ampere世代のGeForce RTX 3050が登場したことでランク的にはエントリークラス相当ということになる。GeForce RTX 3050やGeForce GTX 1660 Tiなどと比べてGPUメモリ容量が4GBと少ない点は注意しなければいけない。GPUメモリは最新のゲームでも重要な役割を担っていてパフォーマンスに影響を与えるからだ。つまり、上記の一覧表通りの性能を発揮できないケースもある。

単純な性能だけを見ればGeForce GTX 1660 Tiと同等だが、ゲームによってはGeForce GTX 1660 Tiよりも安定し辛くなる。これは総合性能で上回るGeForce GTX 1650 SUPERにも同じ事が言える。新しいグラフィックボードと比べると、古いグラフィックボードはゲームへの対応力が低いことが往々にしてある。

GeForce GTX 980が登場したのは2014年9月だ。そのあたりのゲームには余裕を持って対応することができる。そこから2年後の2016年にGeForce GTX 1060 6GBが登場した。2017年前後のゲームではGeForce GTX 980よりもGeForce GTX 1060 6GBの方が対応しやすい。その後2019年にGeForce GTX 1660 Tiがリリースされた。

性能が同等でも持っている機能や性能が違う。新しい製品の方が新しいゲームへは当然対応しやすい。現行のローエンドクラスと比べてもGeForce GTX 980は不利な要素を持っている。ゲームによって得手不得手が出てしまうのが古いグラフィックボードのデメリットである。GeForce GTX 1650 SUPERで快適で、GeForce GTX 980で快適ではないという極端なことにはならないので安心して欲しい。この性能帯では大きな差が生まれにくいが、今後登場するゲームは分からないので理解しておきたい。

消費電力の高さはネックとなる

GeForce GTX 1660 Tiと同等の性能と言っても消費電力の差は気に留めておかなくてはならない。TDPは165Wで補助電源は6ピン2つだ。一方でGeForce GTX 1660 Tiは120Wで補助電源は8ピン1つだ。省電力性は新しいグラフィックボードの方が優れている。そのため、これからGTX 980を搭載しようとしている場合は電源容量に注意だ。

グラフィックボードを搭載していないパソコンからに搭載する場合は特に注意が必要である。ゲーミングPCの多くは500W以上だ。しかし、ビジネスモデルは350Wなどの控えめな電源が搭載されている事が多い。GeForce GTX 980を搭載するとその容量に収まらず、電源不足になるだろう。電源不足になるとパソコンが起動しないなどの不具合が発生する。優れた性能であっても、省電力性から搭載できるパソコンは少し制限されてしまう。

中古価格は安めで狙い目になるかもしれない

GeForce GTX 980は中古価格で6,990円ほどから購入できる。オークションなどであればもう少し安く購入できそうだ。半導体不足の影響によるグラフィックボード価格の高騰も落ち着き一気に購入しやすくなった。同等の性能を持つGeForce GTX 1660 SUPERが13,980円~、GeForce RTX 3050 8GBが22,980円~であることを考えると割安感がある。もちろん古いモデルなので故障リスクも高くそれが価格に反映されている形だ。

中古市場に多く流れているGeForce GTX 980は入手しやすい。比較的コストパフォーマンスに優れたよい製品になる。同じGeForce GTX 900シリーズの最上位モデルであるGeForce GTX 980 Tiになると10,980円程度だ。例えば、グラフィックボードを搭載していないモデルを所持していて安価でグラフィックボードを搭載したいならGeForce GTX 980を候補に入れてもよいかもしれない。

GeForce GTX 980へのアップグレードは、GeForce GTX 780 Tiを除くGeForce 700シリーズ、GeForce 600シリーズ以下の製品を使用中のユーザーが全て対象になる。今のままのパソコンを使用するなら、GeForce GTX 980は選びやすくおすすめだ。現行のローエンドクラスと同等の性能で半額程度で入手できるのは大きい。

GeForce GTX 980の各種ベンチマーク

Battlefield 4

gtx 980-Battlefield 4

GTX 780 Tiよりも10%以上パフォーマンスが高くなっている。最小fpsも高くなっていて安定感が増している。80番台でもTiを超えられる性能はさすがだ。下位モデルのGTX 970との性能差は大きくフレームレートでは17%程度変わる。AMDのRadeon R9 290Xをも圧倒している。15%程度の差を付けているのはAMD側の最適化の問題もあるだろう。

Assasin’s Creed 4

assasins4gtx980-Assasin’s Creed 4

このタイトルではCPUがボトルネックとなっているようだ。GTX 970を除くほとんどのモデルでフレームレートが頭打ちとなっている。当時はそれほどCPU性能が高くなったことから仕方がない。参考までに掲載しておく。

Far Cry 3

Far Cry 3gtx980-Far Cry 3

Far Cry 3でも高いパフォーマンスを発揮している。旧世代の最上位モデルであるGTX 780 Tiよりも6%程度高いフレームレートとなった。下位モデルのGTX 970よりも17%も高い。70番台のモデルとは一線を画する性能を有している。Radeon R9 290Xと比べて20%-25%もフレームレートが高く、AMD製のモデルを圧倒している。

GeForce GTX 980販売当時の評価【2016年時点】

ハイエンドモデルにふさわしい性能を持つ

GeForce GeForce GTX 980は何よりもパフォーマンスの高さが優秀なグラフィックボードだ。ハイエンドモデルに恥じない性能を持っている。性能も人気も高いが、当然それ相応に価格も高めだ。GTX 970からGTX 980へは価格幅・性能幅共に大きい。70番台とは全くの別物でここからは完全に好みで選択してしまってもいいだろう。必要だと思えば買うべき時だということだ。

4K環境にも対応できるポテンシャルを持つ。フルHD環境なら高リフレッシュレートを実現しやすい。多くのゲームがオーバースペックとなってしまう。海外のゲームや基本無料のオンラインゲームだけをプレイするユーザーにはおすすめしづらい。現時点ではGTX 980を活かせる基本無料のオンラインゲームは少ないのが現状だ。

最新のゲームにも対応できるという意味ではゲーマー全般におすすめだ。将来性も高く初期投資はかさむが長い目でみれば悪い選択とはならないだろう。予算的に余裕があるのであれば、ハイエンドの領域に踏み入るために選択するのも悪くない。性能不足に悩むことはなくなるはずだ。

CPUとのバランスを考えるとi7-6700Kがよい

GTX 980もGTX 970同様にCPUとのバランスもできることなら求めたい。Core i7-6700K(Core i7-4790K)が理想だ。最低でもCore i7-6700(Core i7-4790)以上が求められ、Core i5-6600K(Core i5-4690、Core i5-4690K)が最低ラインか。それ以下のCPUではグラフィックの設定を高くしてしまうと、当たり判定などのCPU負荷が増えてしまいカクつきの原因となってしまう。ボトルネックとなってしまってはGTX 980の本来の性能を引き出せなくなってしまう。

最適化がしっかりされているゲームではそういった症状は見られない。しかしながら、Steamなどを利用したゲームをプレイするのであれば注意が必要となる。構成的にハイエンドが求められるため、おすすめできない製品(CPUが低性能なものを搭載)も目立ち、ショップごとにほとんど特徴が見られなくなっている。上位CPUしか相性がよくないことを考えると、当たり前といえば当たり前だろう。価格と構成をしっかり見て選びたい。

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