GeForce RTX 5080の性能比較&ベンチマーク検証を行った。Blackwell世代のラインナップで2番目に性能の高いグラフィックボードだ。GeForce RTX 4080の後継モデルに当たる。グラフィックス性能は10%-15%の伸びにとどまる。フラグシップモデルであるGeForce RTX 5090との性能差・価格差は大きくターゲットも異なる。MSRP(定価)は後発のGeForce RTX 4080 SUPERと同じだ。国内販売価格は198,800円~だ。現在GeForce RTX 4080 SUPER/RTX 4080を所有している方は買い替え対象にはならないが、DLSS 4.0をサポートしている点は選ぶ理由になる。
GeForce RTX 30シリーズより前のモデルからの買い替えならパフォーマンス向上による恩恵が大きい。搭載ゲーミングPCは「GeForce RTX 5080搭載おすすめゲーミングPC」で紹介しているので参考にしてほしい。ドスパラ・TSUKUMO・マウスコンピューター・パソコン工房など大手BTOメーカーでのラインナップが豊富だ。最低価格は45万円以上と高価だ。単体グラフィックボードはすでに完売となっているので、GeForce RTX 5080を手に入れるならBTOパソコンしか選択肢はない。
GeForce RTX 5080のスペック
世代 | Blackwell |
---|---|
プロセス | 5nm TSMC |
CUDAコア | 10,752 |
ベースクロック | 2295 MHz |
ブーストクロック | 2617 MHz |
GPUメモリ | GDDR7 16GB |
L2キャッシュ | 64MB |
TDP | 360W |
MSRP | $999 |
国内価格 | 198,800円~ |
発売日 | 2025/01/30 |
よくわかる!!GeForce RTX 5080の特徴まとめ
- (+)RTX 4080よりも10%程度性能が高い
- (+)DLSS 4.0をサポートしている
- (+)競合を圧倒する高いレイトレーシング性能を持つ
- (+)$999とRTX 4080 SUPERと同等
- (-)搭載モデルのラインナップが多い
- (-)RTX 4080 SUPER Tiという名前がしっくりくる
- (-)消費電力が高い
- (-)単体グラフィックボードの入手は困難
GeForce RTX 5080の基本スペック
項目 | RTX 5080 | RTX 4080 SUPER | RTX 4080 |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Blackwell | Ada Lovelace | Ada Lovelace |
GPU | GB203 | AD103 | AD103 |
プロセス | 5nm TSMC | 5nm TSMC | 5nm TSMC |
トランジスタ数 | 456億 | 459億 | 459億 |
ダイサイズ | 378m㎡ | 378m㎡ | 378m㎡ |
SM数 | 84/84 | 80/80 | 76/80 |
シェーディングユニット | 10,752 | 10,240 | 9,728 |
RTコア | 84 | 80 | 76 |
Tensorコア | 336 | 320 | 304 |
ベースクロック | 2295 MHz | 2295 MHz | 2205 MHz |
ブーストクロック | 2617 MHz | 2550 MHz | 2505 MHz |
VRAM | GDDR7 16GB | GDDR6X 16GB | GDDR6X 16GB |
メモリクロック | 30.0 Gbps | 23.0 Gbps | 22.4 Gbps |
メモリバス | 256 bit | 256 bit | 256 bit |
メモリバンド幅 | 960 GB/s | 736.3 GB/s | 716,8 GB/s |
L2キャッシュ | 64MB | 64MB | 64MB |
接続インターフェース | PCIe 5.0 | PCIe 4.0 | PCIe 4.0 |
TDP | 360W | 320W | 320W |
補助電源 | 1x 16-pin | 1x 16-pin | 1x 16-pin |
MSRP | $999 | $999 | $1,199 |
国内価格 | 198,800円~ | 189,800円~ | 219,800円~ |
発売日 | 2025/1/30 | 2024/1/31 | 2022/11/16 |
*価格は発売時点
GeForce RTX 5080のスペックを詳しく見ていく。まずは、GeForce RTX 4080と比較していくとしよう。GeForce RTX 4080は、Ada Lovelace世代のハイエンドモデルだ。GPUはAD103を搭載している。GeForce RTX 5080ではGPUがGB203となっているが、製造プロセスはTSMC製5nmでGeForce RTX 4080と共通だ。トランジスタ数は3億減少している。ダイサイズは378m㎡で同じだ。アーキテクチャ的にはそこまで変わっていないという印象を受ける。
SM数は76基から84基へと8基増えた。CUDAコア数も1,024(SM8基×128)増えて10,752だ。RTコア及びTensorコアもSMの分だけ増量されている。クロック周波数も引き上げられた。ベースクロックが4%高く、ブーストクロックも5%弱高い。GeForce RTX 5080を含むBlackwell世代の強みはメモリ周りだろう。今世代からはGDDR7へと強化された。VRAM容量は16GBと変わっていない。メモリクロックは22.4 Gbpsから30.0 Gbpsへと速くなった。メモリバス256 bitと接続してメモリバンド幅は960 GB/sとGeForce RTX 4080よりも33%も速い。
L2キャッシュ容量は64MBが維持されている。接続インターフェースがようやくPCIe 5.0をサポートした。PCIe 4.0での接続も可能だ。TDPは320Wから360Wへと40Wと増えている。クロック周波数の引き上げやGPUメモリの強化を考えれば当然だろう。補助電源は最近のハイエンドモデルでは一般的な12VHPWR対応の16ピンを1基搭載だ。MSRPは$999とGeForce RTX 4080よりも$200安い。国内の初動価格も21,000円安くなっている。
後発のGeForce RTX 4080 SUPERとも比較しておく。GeForce RTX 4080と同じGPU AD103を搭載している。トランジスタ数やダイサイズもGeForce RTX 4080と共通だ。GeForce RTX 4080との違いはシェーディングユニット数・クロック周波数・メモリクロックの3点だ。特にシェーディングユニット数の増加が大きなポイントとなる。よりGeForce RTX 5080に近づいている。
GPUがフルスペック版となりSM数が4基増え、シェーディングユニットが512基増えた。RTコア及びTensorコアもそれぞれ増えている。VRAMの規格及び容量は同じだが、メモリクロックが少しだけ速くなった。メモリバス256 bitと接続してメモリバンド幅は736.3 GB/sと3%弱速い。MSRPが$999とGeForce RTX 5080と同じであることがわかる。国内販売価格も近い。GeForce RTX 5080は、スペック的にも性能的にもGeForce RTX 4080 SUPER Tiといえそうだ。
GeForce RTX 5080の特徴&強み
RTX 4080よりも10%以上グラフィックス性能が向上
GeForce RTX 5080のゲーム性能スコアは49,994とTOP 3に入る高い数値だ。メインターゲットは4K環境でのゲームプレイとなる。従来モデルのGeForce RTX 4080よりも12%弱高く、GeForce RTX 4080 SUPERよりも11%高い。GeForce RTX 3080からGeForce RTX 4080では性能が40%以上も向上していることを考えると1世代の伸びとしては物足りさなさがある。GeForce RTX 40シリーズの80番台からの買い替えはほとんど性能差を体感できないだろう。
すでにGPUもフルスペック版であとはクロック周波数を高くするかメモリ周りを強化するぐらいしかない。NVIDIAとしてもこれが限界だったのかもしれない。もし将来的にGeFoce RTX 5080 TiあるいはGeForce RTX 5080 SUPERをリリースするとなるとGPUをGeForce RTX 5090と同じ大型のGB202にするかクロック周波数に手を加えるくらいしか思いつかない。前者はコストの兼ね合いもあって非現実的ではないだろうか。そうなるとやはりクロック周波数・TDPも引き上げとなりそうだ。
マルチフレーム生成(DLSS 4.0)をサポートしている
旧世代のGeForce RTX 4080と比べた際のGeForce RTX 5080の強みはマルチフレーム生成にある。これはDLSS 4.0に含まれる機能で従来のDLSS 3.0で追加フレーム生成を強化したものだ。今レンダリング中の映像と1フレーム前の映像を比較してその中間をTensorコアが推測して生成するのだ。DLSS 3.0では2つのフレーム(今とフレーム前)に対して1つのフレームを生成していたが、マルチフレーム生成では最大で3フレームを生成できる。
実際にGPUが描写するピクセルは全体のわずか1/16(6.6%)だけだ。ちなみに、DLSS 2では1/4(25%)DLSS 3では1/8(12.5%)だった。これならフレームレートが高くなるのもうなずける。さらに、Flip Meteringと呼ばれる機能でフレーム生成によって生じる不自然さを軽減してくれ高フレームレート実現のメリットだけが残る。発売時点で対応タイトルは75にも及ぶという。
通常のラスタライズ性能ではGeForce RTX 4080とそこまでの差をつけられなかったが、このマルチフレーム生成でGeForce RTX 5080は輝く。NVIDIAはこのマルチフレーム生成を利用で、GeForce RTX 4090と同等のパフォーマンスを発揮できると謳っている。今世代では明らかにAIに振り切った形だ。上記画像はNVIDIAが公式に発表しているものでDLSSを活用した上でGeForce RTX 4080とのパフォーマンスを比較している。
Black Myth:Wukong・Alanwake 2・Cyberpunk 2・Star Wars Outlawsなどで従来モデルのGeForce RTX 4080よりも2倍程度パフォーマンスが高いことがわかる。4K(最高設定)+レイトレーシング・DLSS・レイ再構築ともりもりの内容だ。ここにGeForce RTX 5080はDLSS 4.0(4xモード)を適用している。通常のグラフィックス性能の差が10%とすると、+90%がAIで上乗せされている形だ。
消費電力が高めでも悪くない
ゲームプレイ中の消費電力は332Wと高めだ。従来モデルのGeForce RTX 4080よりも36W高く、GeForce RTX 4080 SUPERよりも32W高い。つまり、およそ11%-12%消費電力が高くなっていることだ。性能も同程度向上しているためワットパフォーマンスは変わらない。製造プロセスが変わっていないことからも想定通りといえそうだ。GeForce RTX 5080の推奨電源ユニットは850Wとなる。GeForce RTX 4080 SUPERが750Wだったので、100Wアップだ。余裕を持たせる意味でも850Wを最低基準に考えるのがよさそうだ。
2世代前のGeForce RTX 3080 10GBよりも消費電力が低く性能も大幅に引き上げられているので、ワットパフォーマンスは60%も上回っている。GeForce RTX 3090 Tiと比べてもワットパフォーマンスが110%高く、GeForce RTX 3090よりも45%高い。製造プロセスが8nmから5nmへと微細化された恩恵だ。競合のRadeon RX 7900 XTXと比べても15%程度優れている。オーバークロックをするなど特殊な状況を除けば消費電力について過度に心配しなくてもよい。通常の運用であれば特に大きな問題になることはない。
RTX 5090よりも現実的な価格だがすでに入手困難
GeForce RTX 4080の国内販売価格は198,800円~とグラフィックボード単体として見れば高いが、393,800円~で販売されているGeForce RTX 5090よりも現実的な価格だといえる。MSRP通りおよそ半額で購入できる。ゲームプレイにおいてはGeForce RTX 5080でも性能を持て余してしまうのではないかと思う。GeForce RTX 5080のメインターゲットが4K環境なので、これ以上のモデルは不要だろう。GeForce RTX 5090はAIクリエイターやガジェット好きなエンスージアスト向けだ。GeForce RTX 5080はヘビーゲーマーでも選ぶ価値はある。
問題はすでに各パーツショップでGeForce RTX 5080は完売となっていて単体グラフィックボードを購入することはできないことだ。メルカリやヤフオクでの出品はいわゆる転売が大半でかなりのプレミアム価格を支払わなければならず割に合わない。そもそも保証を受けられない可能性が高くリスクが大きすぎる。20万円をどぶに捨ててしまうことになりかねない。購入するならショップでの再販を待つべきだ。抽選になる可能性はあるが、定価で購入できるのはメリットだろう。
ただし、GeForce RTX 5080についてもどのぐらい待てば普通に手に入るようになるのか先行き不透明だ。GeForce RTX 5090が発売即完売でその後再販の目途は立っていなさそうだ。注目度の高かったCPUであるRyzen 7 9800X3Dも2024年11月の発売から3か月経過しても供給が安定しないのが気になるところだ。GeForce RTX 5090と比べて価格的にも妥当で購入待ちのユーザーも多いのではないかと思う。需要に追いつく時が来るのだろうか。
GeForce RTX 5080搭載おすすめゲーミングPC
搭載モデルのラインナップは豊富だ。ドスパラ・マウスコンピューター・パソコン工房・TSUKUMOなど大手BTOメーカーが販売している。今のところBTOパソコンに関しては購入が難しいという状況ではなさそうだ。価格帯は459,800円~と高い。万人受けするモデルでないことは確かだ。GeForce RTX 4070やGeForce RTX 3080と同等以下のモデルからの買い替えを推奨する。
LEVEL-R6B6-LCR98D-VKX [LED](パソコン工房)
価格:459,800円+送料2,200円
CPU:Ryzen 7 9800X3D(水冷)
GPU:GeForce RTX 5080
メモリ:DDR5 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:1000W 80PLUS PLATINUM
コスパ:調査中
赤色LED搭載のミドルタワーケースだ。前面×3基、上面×2基(キャンペーン中3基)、背面×1基のLEDファンを搭載していて魅せる一台に仕上がっている。キャンペーン中は水冷CPUクーラーのラジエーターが240mm→360mmへとアップグレードされるのでファンの数が増える。CPUには現行最強のゲーミングCPUであるRyzen 7 9800X3Dを搭載している。人気殺到で単体のモデルでは購入できない。メモリDDR5 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も十分だろう。電源ユニットは1000W PLATINUM搭載で万全だ。高負荷時でも安定した稼働が実現する。総合的に見てコストパフォーマンスは良好だ。GeForce RTX 5080搭載モデルの中では狙い目といえる。Ryzen 7 980X3D搭載モデルで50万円以下は評価できる。
G-GEAR GE7J-L251/ZBH(TSUKUMO)
価格:474,800円
CPU:Core Ultra 7 265K
GPU:GeForce RTX 5080
メモリ:DDR5-5600 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:850W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
Core Ultra 7 265Kを搭載したゲーミングPCだ。20コア20スレッドと高いスペックを誇る。ゲーム性能は旧世代のCore i7-14700Kに劣ってしまうこともあるが、将来的には改善されるはずだ。この性能帯では珍しくCPUクーラーは空冷式だ。オーバークロックを考えているなら水冷式へ変更しておくとよい。GeForce RTX 5080との組み合わせならGPU寄りだ。メモリDDR5-5600 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も充実している。電源ユニットは850W GOLDだ。他のモデルと比べると電源ユニットはやや控えめだ。マザーボードのチップセットはZ890でオーバークロックに対応している。
GALLERIA ZA7C-R58(ドスパラ)
価格:489,980円+送料3,300円
CPU:Core i7-14700KF(水冷)
GPU:GeForce RTX 5080
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:1000W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
Core i7-14700KF×GeForce RTX 5080搭載のハイエンドモデルだ。ゲーム適正だけを見ればCore Ultra 7 265K搭載モデルよりも優れている。構成はメモリDDR5-4800 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeとなる。電源ユニットは1000W GOLD搭載だ。ガレリアブランドのミドルタワーケースを採用している。デザイン性が高くゲーマーからの支持が厚い。チップセットは1世代前のZ790となる。
GALLERIA UA9C-R58(ドスパラ)
価格:559,980円+送料3,300円
CPU:Core i9-14900KF(水冷)
GPU:GeForce RTX 5080
メモリ:DDR5-4800 32GB
ストレージ:SSD 2TB Gen4 NVMe
電源:1000W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
GALLERIAブランドのフラグシップモデルであるGALLERIA Uシリーズの一台だ。PCケースはアルミヘアライン外装を持ち高級感がある。Core i9-14900KF×GeForce RTX 5080搭載で今購入できるモデルの中でもトップクラスの組み合わせだ。4K環境で思う存分ゲームを楽しみたいコアなゲーマーにおすすめだ。メモリDDR5-4800 32GB・SSD 2TB Gen4 NVMeと構成も充実している。電源ユニットは1000W GOLD搭載だ。559,980円という価格を考えると、メモリはDDR5-5600、電源ユニットは1200W PLATINUM、チップセットはZ890だったらよかったのに惜しいモデルだ。
G TUNE FG-A7G80(マウスコンピューター)
価格:569,800円(送料込)
CPU:Ryzen 7 9800X3D(水冷)
GPU:GeForce RTX 5080
メモリ:DDR5-5600 32GB
ストレージ:SSD 2TB Gen4 NVMe
電源:1200W 80PLUS PLATINUM
コスパ:調査中
Ryzen 7 9800X3Dを搭載したハイエンドモデルだ。2025年1月末に発表されたG TUNEブランドリニューアルケースを採用している。高級感のあるデザインで好印象だサイズ的にはミドルタワーだ。。メモリはDDR5-5600 32GB・SSD 2TB Gen4 NVMeと妥協は見られない。電源ユニットは1200W PLATINUMと最高峰だ。チップセットはB650となる。ここはX870を選択してほしかった。DVDスーパーマルチドライブ搭載、Wi-FI 63対応で実用性も高い。
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