Radeon RX 580
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当記事では、AMD Radeon RX 580のスペック&性能ベンチマークを検証している。GeForce GTX 1060 3GBの対抗馬として登場したグラフィックボードだ。Polaris 20アーキテクチャを採用している。Radeon RX 480の後継モデルということになるが、アーキテクチャが大幅に変わったわけではなく性能の伸びは順当な範囲に収まる。AMDお得意のリネームモデルだ。

競合モデルであるNVIDIA製GeForce GTX 1060 6GBが登場してから10ヶ月遅れでの登場なのでやや出遅れ感がある。価格帯的にはGTX 1060 3GBが競合モデルだ。消費電力が高いというデメリットがあるもののパフォーマンス的にはまずまずの評価を得ている。気になる性能について詳しく見ていくとしよう。

よくわかる!!Radeon RX 580の特徴まとめ
総合評価 :45/100
ゲーム評価:45/100

  • GTX 1060 3GBと同等のゲーミング性能を持つ(+)
  • DirectX 12のタイトルに強い(+)
  • 消費電力が非常に高い(-)

Radeon RX 580の概要、基本を押さえる!

基本スペック・仕様

RX 580 RX 590 RX 480
プロセス Polaris 20 Polaris 30 Polaris 10 XT
GPU 14nm 12nm 14nm
トランジスタ数 57億個 57億個 57億個
ダイサイズ 232m㎡ 232m㎡ 232m㎡
シェーダーコア 2304基 2304基 2304基
コアクロック 1257MHz 1469MHz 1120MHz
ブーストクロック 1340MHz 1545MHz 1266MHz
GPUメモリ 8GB 8GB 8GB
メモリタイプ GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリクロック 2000MHz
(8Gbps)
2000MHz
(8Gbps)
2000MHz
(8Gbps)
メモリバス 256 bit 256 bit 256 bit
メモリバス帯域幅 256.0 GB/s 256.0 GB/s 256.0 GB/s
TDP 185W 175W 150W
MSRP $229 $279 $229
中古価格 8,980円~ 12,980円~ 7,480円~
発売日 2017/04/18 2017/04/18 2016/06/29
Radeon RX 580のスペックについて前世代のRadeon RX 480と上位モデルであるRadeon RX 590と比較しながら見ていく。まず、前モデルのRX 480と比べると正直それほど大きく変わったことはない。GPUもPolaris 10からPolaris 20になっているが、基本的にはリネームモデルだ。10ヶ月前のモデルと比べて大きな変化がないのは残念だ。Radeon RX 480からの買い替えは意味をなさない。

残念ながらアーキテクチャは共通のものでクロック周波数を引き上げることで性能を高くしているだけだ。コアクロックは12%、ブーストクロックは6%高くなった。およそ5%-12%引き上げられている。一方で、その代償として消費電力が150Wから185Wへと23%大きくなっている。アーキテクチャを変えずクロック周波数を高くするとこうなるのは自然だ。メモリ周りは共通だ。GDDR5メモリ8GB搭載でバンド幅は256.0 GB/sだ。価格も同じ$239となっている。

上位のRadeon RX 590は、RX 580のように前世代のリフレッシュモデルというわけではない。このRX 590ではプロセスが12nmと縮小化されている。結果的に消費電力を抑えつつクロック周波数を引き上げるこができている。ただし、ダイサイズやトランジスタ数に変わりはなく少しだけパワー効率を引き上げただけに留まる。次の世代への綱渡し的な存在だと考えておこう。メモリ周りも共通のものを採用していて評価が難しい。価格差は$50だ。

GeForce GTX 1060 6GBと比較

RX 580 GTX 1060 6GB GTX 1060 3GB
メーカー AMD NVIDIA NVIDIA
プロセス 14nm 16nm 16nm
トランジスタ数 57億個 44億個 44億個
ダイサイズ 232m㎡ 200m㎡ 200m㎡
CUDA(シェーダー)コア 2304基 1280基 1152基
コアクロック 1257MHz 1506MHz 1506MHz
ブーストクロック 1340MHz 1709MHz 1708MHz
GPUメモリ 8GB 6GB 3GB
メモリタイプ GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリクロック 2000MHz
(8Gbps)
2002MHz
(8Gbps)
2002MHz
(8Gbps)
メモリバス 256 bit 192 bit 192 bit
メモリバス帯域幅 256.0 GB/s 192.2 GB/s 192.2 GB/s
TDP 185W 120W 120W
MSRP $229 $249 $199
中古価格 8,980円~ 8,980円~ 7,980円~
発売日 2017/04/18 2016/07/19 2016/08/18
NVIDIAから販売されているGTX 1060 6GB/GTX 1060 3GBとスペックを比較していこう。まず初めに考えるべきはグラフィックボードの発売時期だろう。GTX 1060 6GBはRX 580が発売される9ヶ月前に発売されている。GTX 1060 3GBでも8ヶ月前ということになる。AMDがNVIDIAに追いつけていないというのが現状だ。

プロセスはNVIDIAの16nmに対してAMDでは14nmと縮小化に成功している。しかしながら、多くのトランジスタを搭載するためにダイサイズが大きくなっている。ここも消費電力の高さに繋がっているのだろう。それぞれのグラフィックボードについてAMD及びIntelの特徴がよく現れている。

Radeon RX 580は、コア数を多くしてクロック数を抑えている。一方、GTX 1060は、コア数が45%少ないもののクロック数が20%程度高い。いきなり結論を言うとRX 580の方が性能がわずかに低い。さらに、1年近く前のモデルだと考えるとGTX 1060がいかに優れたグラフィックボードであるかということがわかるだろう。

Radeon RX 580の強みはGPUメモリ容量が8GBと多いことだ。GTX 1060は6GBと3GBのモデルがあるものの絶対数で差を付けていることがわかる。もっともフルHD環境をターゲットにしたグラフィックボードなので、パフォーマンスに与える影響はそれほど大きくない。GPUメモリ容量よりもCUDAコア・クロック周波数・メモリ規格などが重要な要因となる。

消費電力はRX 580の方が25%多い。消費電力についてあまり考えずパワーアップさせたのだろう。今の時代に逆らっているように思える。価格はRX 580の方が$20安いが、国内価格で見るとRX 580の方がGTX 1060 6GBよりも10%程度高くなっている。この価格を考えるとコスパはGTX 1060 6GBの方がよいと言える。同等の性能を持つGTX 1060 3GBになるとさらにコストパフォーマンスが高くなる。

Radeon RX 580の最新評価【2025年】

今でもフルHDでゲームプレイに対応できる

rx580gamescore
2025年時点でも新品で購入できるモデルで言えばGeForce GTX 1650が近く性能はわずかに高い程度だ。スコア的には10,000を超えていてエントリークラス並みの性能は持っているということになる。旧世代のRadeon RX 480とほとんど変わらないのはAMDらしさと言えるかもしれない。2025年時点でもフルHD環境で設定を調整すればある程度のゲームプレイに対応することが可能だ。消費電力の高さは最新モデルと比べると見劣りしてしまうが、GPUメモリ容量が8GBと大容量で今のモデルにはないよさもある。

お手頃価格でダークホース的存在

rx580chuko
中古パーツショップであるじゃんぱらでの中古価格は税込8,980円からとなっている。基本的にはOCモデルでリファレンスモデルよりも高いパフォーマンスを期待できる。故障リスクはある程度受け入れる必要がある。ただし、すでに在庫が枯渇状態ですぐに購入できなくなるように思う。実は競合モデルのGTX 1060 3GBが7,980円~と破格なのでやや見劣りしてしまう。

それでも、古いモデルながらRadeon RX 580はGPUメモリ容量が8GBというのが強みになる。2024年時点でも8GBというのは価格帯を考えるとかなり余裕がある容量だ。他のRadeonシリーズと比べてタマが多いのも魅力だ。穴場狙いをしたいならこのRadeon RX 580はおすすめできる。コストパフォーマンスや安定感を重視するならGTX 1060 3GBかGTX 1060 6GBを候補に入れよう。RX 580が市場から消えてもGTX 1060シリーズは残りそうだ。

Radeon RX 580の特徴まとめ【発売当時】

GTX 1060 6GB/3GBと同等のゲーム性能を持つが…

rx580seinou
総合性能を見ると、競合であるGTX 1060 6GB/GTX 1060 3GBを下回っていることがわかる。タイトルによっては大幅に劣ってしまうこともあるので、購入を検討する際は注意しよう。GPUメモリ容量を抑えたGTX 1060 3GBに対しては性能差が縮まり2%程度だ。それでもパフォーマンスが劣ってしまう。かつてのフラグシップモデルであるR9 390Xに近い性能を持っているは興味深い。上位モデルのRX 590との差は35%程度とやや大きい。

消費電力が高いのがネックとなる

rx580-watt

性能面ではそこそこ通用するのだが、性能に対して消費電力が高いというデメリットがある。これを見ると無理やり性能を引き上げただけに見えてしまう。競合であるGTX 1060 6GBよりも25%以上も消費電力が高い。ゲームプレイなど負荷の掛かる用途では熱も気になるところだ。電源ユニットなどにも費用を掛けないと熱によってパフォーマンスが低下してしまうことになる。

AMD製の中でもユーザーの多いモデル

rx580steam出典:(Steam, 2020)

実はこのRadeon RX 580は、ユーザーの多いグラフィックボードとなっている。おおよそ2.0%のユーザーがSteamにいるということだ。AMD製グラフィックボードの中でトップに位置している。RX 500シリーズはそれなりに注目されていたのだろう。

GTX 1060 6GBがトップで10%のシェアをあることを考えると十分健闘しているのではないだろうか。この性能帯は発売からある程度時間が経っても一定の人気を確保できているということだ。高解像度や高設定にこだわなければある程度ゲームプレイに対応できる。

Radeon RX 580のベンチマーク一覧

当該グラフィックボードのベンチマークを一覧でまとめている。各ゲームタイトルにおいて、フルHD環境及びWQHD環境でのフレームレートを計測。どのぐらいゲームプレイが安定するかを把握することができる。

60fps以上の数値が出ていれば最高設定でも快適にゲームをプレイすることができるということだ。ただし、いずれも最高設定での計測となっているので60fpsに到達していなくても設定を下げれば十分対応できる場合もある。

Rise Of The Tomb Raider

Rise Of The Tomb Raiderrx580-rise of the tomb raider

GTX 1060 6GBがトップとなっている。WQHD環境でも及ばない。フレームレートの差は最大12%とフルHD環境での差が顕著だ。高解像度になるとその差が縮まるのはGPUメモリの容量が大きいことが要因だろう。Radeon RX 480との差は3%と僅差でやはり飛躍的なパフォーマンス向上は見込めない。

Battlefield 4

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Battlefield 4でもGTX 1060 6GBがRadeonシリーズを圧倒している。フルHD環境でのフレームレートの差は25%で、WQHD環境では27%だ。Battlefield 4では高解像度の方が差が広がってしまっている。価格差を考えてもやや厳しい状況だ。RX 480よりも4%-7%性能が高くなっているが、やはり最新モデルならもう少し性能が高くあってほしかった。

Grand Theft Auto V

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GTA 5でもGTX 1060の性能の高さが光る。RX 580よりも26%もフレームレートが高い。WQHD環境でも20%の差がある。69.4fpsなら快適なゲームプレイができる。一方、RX 580は55.1fpsと60fpsには届かない。設定調整を行うことは必須だ。

Hitman

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Hitmanは、AMD製グラフィックボードが得意とするタイトルだ。GTX 1060よりも3%程度高い。僅かながらも上回っているタイトルがあるのは心強い。RX 480よりも4%高い。クロック周波数を引き上げている割にはフレームレートはそれほど上がらない。

Ashes of the Singularity: Escalation

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Hitmanと同様で、GTX 1060よりもほんの少しだけフレームレートが高い。上位3つのモデルについては僅差で並んでいる。RX 480と比べてもほとんど変わらず残念な結果だ。

参照外部サイト

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