gigabyte-rx5700画像引用元:https://www.gigabyte.com/

当記事では、Radeon RX 5700のスペックレビュー&性能ベンチマークの紹介をしている。2019年7月に登場のAMD Navi 10アーキテクチャを搭載したミドルクラスのグラフィックボードだ。競合であるNVIDIA製の「GeForce RTX 2060」よりも高いゲーミング性能を持っている。その後「GeForce RTX 2060 SUPER」がリリースされたことで価格が$30安くなり、より魅力的なモデルとなっている。RTX 2060と同じ価格でより高い性能を得られるというわけだ。

別ページで紹介している「Radeon RX 5700 XT」と同時でのリリースとなった。これら2つの内価格の安いRadeon RX 5700の実力について詳しく見ていこう。残念ながら搭載BTOパソコンのラインナップはそれほど増えずに後継モデルである「Radeon RX 6700 XT」がリリースされている。そこそこ売れたモデルということもあって中古市場にたくさん出ている状況だ。税込16,980円からと価格も手頃でおすすめしやすい。

よくわかる!!Radeon RX 5700の特徴まとめ

  • (+)Radeon RX Vega 64及びRTX 2060より高い性能を持つ
  • (+)AMDの新しいアーキテクチャ”Navi”採用のモデル
  • (-)レイトレーシング・DLSS機能は搭載されていない
  • (-)BTOパソコンで搭載されたモデルはほとんどない

Radeon RX 5700の概要

基本スペックまとめ

RX 5700 RX 5700 XT RX Vega 64
アーキテクチャ RDNA 1.0 RDNA 1.0 GCN 5.0
プロセス 7nm 7nm 14nm
GPU Navi 10 XT Navi 10 XL Vega 10 XT
トランジスタ数 103億 103億 125億
ダイサイズ 251n㎡ 251n㎡ 495n㎡
シェーダーコア 2304 2560 4096
ベースクロック 1465 MHz 1605 MHz 1247 MHz
ゲームクロック 1625MHz 1755 MHz N/A
ブーストクロック 1725 MHz 1905 MHz 1546 MHz
GPUメモリ 8GB GDDR6 8GB GDDR6 8GB HBM2
メモリクロック 1750 MHz
(14 Gbps)
1750 MHz
(14 Gbps)
945 MHz
(1.89 Gbps)
メモリバス 256 bit 256 bit 2048 bit
メモリバス帯域幅 448 GB/s 448 GB/s 483.8 GB/s
バスインターフェース PCIe 4.0 x16 PCIe 4.0 x16 PCIe 3.0 x16
TDP 180W 225W 295W
MSRP $349 $399 $499
中古価格 19,980円~ 22,980円~ 17,980円~
発売日 2019年7月7日 2019年7月7日 2017年8月14日

Navi 10 GPU搭載のグラフィックボード

Radeon RX 5700は、AMDの新しいNaviアーキテクチャを採用したグラフィックボードだ。メインストリーム(主力ラインナップ)において初めて7nmプロセスを採用したモデルということで注目されている。なお、Radeon Ⅶは$699と高額でメインストリームのモデルとは言えない。そういう意味ではこのNaviアーキテクチャからがスタートだと考えて良いだろう。

TSMCの最新の7nm FinFETプロセスを採用していて、これはRyzen 3000シリーズで使用されているのと同じプロセスだ。ダイサイズが495m㎡から251m㎡へとおよそ半減している。トランジスタ数は12.5億から10.3億へと16%減だ。

このNavi 10 GPUでは最大40個のCU(Compute Unit)を持っている。Radeon RX 5700ではその内4基が無効化されているので、GPUコア数は2304(36×64)となる。ベースクロックが17%高く、ブーストクロックも11%高くなっている。アーキテクチャを変更したことでIPCは25%改善され、ワット当たりのパフォーマンスも50%改善されている。Vegaアーキテクチャでネックだった消費電力の高さを抑えることに成功した。

Radeon RX Vega 64よりもおよそ半分の消費電力で同等以上のパフォーマンスが出るようになったのは時代の流れを感じる。AMDの努力の賜物だと言える。7nmプロセスを採用したNaviアーキテクチャの実力だ。消費電力が低いということは、騒音や発熱も抑えることができ本体をより小さくできるというメリットがある。

メモリ周りは大幅にリニューアルされている。珍しくスペックダウンという形だ。高性能かつ高価なHBM2を捨ててNVIDIAでも採用されているGDDR6を採用している。いくら性能が高くてもコスト面が合わなかったのだろう。GDDR6になったことで結果的にバス帯域幅は8%低くなっている。GPUメモリ容量は同じ8GBを採用している。

RTX 2060 SUPERの登場で定価が下がった

RTX 2060 SUPER/RTX 2070 SUPERの発売が決まり、このRX 5700の価格は$379→$349に引き下げられた。これで価格面でもRTX 2060が競合ということになる。上位のRX 5700 XTは、RTX 2070からRTX 2060 SUPERへと比較対象が変わっている。NVIDIAが、AMDの新製品に対して対抗製品を投入していた形だ。まだまだNVIDAが有利な状況になっているように感じられる。

Radeon RX 5700は、同じ日にリリースされたRadeon RX 5700 XTの廉価モデルという位置付けだ。最大40個あるCUの内4つのCUを無効化していることでGPUコアは2560→2304(36×64)となっている。Radeon RX 5700 XTではフルスペックのNavi 10を採用しているので、GPUコアは2560(40×64)だ。そしてクロック周波数についても5%-10%程度引き下げられている。

NVIDIA製モデルと比較

RX 5700 XT RTX 2060 RTX 2060 SUPER
コードネーム Navi 10 Turing Turing
プロセス 7nm 12nm 12nm
GPU Navi 10 XT TU106 TU106
ダイサイズ 251n㎡ 445 mm² 445 mm²
トランジスタ数 103億 108億 108億
シェーディングコア 2304 1920 2176
RTコア 30 34
Tensorコア(AIコア) 240 272
ベースクロック 1465 MHz 1470 MHz 1410 MHz
ゲームクロック 1625MHz
ブーストクロック 1725 MHz 1680 MHz 1650 MHz
GPUメモリ 8GB GDDR6 6GB GDDR6 8GB GDDR6
メモリクロック 1750 MHz
(14 Gbps)
1750 MHz
(14 Gbps)
1750 MHz
(14 Gbps)
メモリバス 256 bit 192 bit 256 bit
メモリバス帯域幅 448.0 GB/s 336.0 GB/s 448.0 GB/s
バスインターフェイス PCIe 4.0 x16 PCIe 3.0 x16 PCIe 3.0 x16
TDP 180W 160W 175W
MSRP $349 $349 $399
発売日 2019年07月07日 2019年01月07日 2019年07月09日
競合モデルであるNVIDIAのRTX 2060と比較していこう。RTX 2060は、Turing世代のグラフィックボードで12nmプロセスを採用している。Radeon RX 5700が7nmプロセスを採用しているのでアーキテクチャ的には少し劣っていると言えるかもしれない。もちろんプロセスがそのままパフォーマンスに直結するわけではな点は理解しておくとよい。RTX 2060ではGPUにTU106を採用している。

ダイサイズはRX 5700よりも一回り大きく445m㎡となる。トランジスタ数は5%多く108億だ。シェーディングユニットは1920とRX 5700の83%程度に留まる。RTX 2060ではRTコア30基とTensorコア240基を搭載しているのは強みだ。ベースクロックはRX 5700の方が7%高く、ターボクロックもRX 5700の方が2%高い。ゲームクロックはRX 5700でのみの特別なクロック周波数となる。ゲーム時の参考値だ。

GPUメモリはRX 5700の方が33%多く8GBだ。メモリクロックは14Gbpsと同じだ。メモリバスはRX 5700の方が大きく256 bitとなる。バス帯域幅もRX 5700の方が33%広く448.0 GB/sだ。バスインターフェースもRX 5700では最新の規格であるPCIe 4.0×16をサポートしている。消費電力はRTX 2060よりも13%高く180Wだ。価格はどちらも同じだ。

元々$379という価格だったが、RTX 2060の後継モデルであるRTX 2060 SUPERのリリースが決まったことで価格を引き下げた形だ。RTX 2060 SUPERになるとシェーディングユニットがRTX 2060よりも13%多くパフォーマンスの底上げが行われている。何よりもGPUメモリ容量がRX 5700と同じ8GBになり、メモリバス・バス帯域幅も並んだのは大きい。性能ではRTX 2060 SUPERが7%-8%程度上回る。

Radeon RX 5700の最新評価【2025年】

今でもローエンド~ミドルクラス相当の性能を持つ

rx5700gamescoreRadeon RX 5700の性能スコアは17,103で競合となるNVIDIA GeForce RTX 2060よりも5%程度パフォーマンスが低い。次世代モデルのRadeon RX 6600は2025年1月時点でも搭載ゲーミングPCが販売されている。そのRadeon RX 6600と同等の性能を持っていることを考えると選択肢として悪くない。Radeon RX 6600は新品で購入可能だ。旧世代になっても生産がおこなわれている。

かつてのハイクラスモデルであるRadeon RX Vega 64よりは少し劣るものの十分すぎる性能だ。2025年時点で平均的なローエンドクラス相当の性能を持っていると考えて間違いないだろう。フルHD環境で設定を調整すれば十分ゲームプレイに対応できる。タイトルによっては高リフレッシュレートを目指せる。

Radeon RX 5700に合わせて登場したRTX 2060 SUPERと比べると15%弱劣る。Radeon RX 5700の後継モデルであるRadeon RX 6700 XTやRadeon RX 6600 XTになると一気にパフォーマンスが引き上げられ、AMD製モデルとして初めてハイクラスのモデルがラインナップに加わった。Radeon RX 6700 XTとの性能差は35%とかなり大きい。Radeon RX 5700はそれまでのつなぎと言えるかもしれない。

中古価格は16,980円とお買い得

rx5700chuko
じゃんぱらでの価格を見ると中古価格は16,980円と手頃だ。上位モデルであるRadeon RX 5700 XTが19,980円となる。性能差が20%に対して価格差は18%程度だ。コストパフォーマンスを考えるとRadeon RX 5700 XTを選ぶべきだろう。GeForce RTX 2060が18,980円~で性能で上回る分だけ価格も高い。次世代のRadeon RX 6600が23,980円~、Radeon RX 6600 XTが25,980円~だ。GeForce RTX 2060 SUPERが23,980円となっている。いずれも新しい分だけやや高めの価格設定となる。

中古だとやはりお買い得感が出てくる。新しいモデルと比べて故障リスクが高いこととレイトレーシングがないことについて受け入れられるならおすすめだ。Core i5シリーズやRyzen 5シリーズとの組み合わせがよいだろう。コストを抑えたパソコンを作り上げることが可能だ。Radeon RX 5700 XTを狙いつつ、Radeon RX 5700の価格を確認しておこう。性能差的にはもう少し下がる可能性がある。在庫の状態によっても変動はするだろう。

Radeon RX 5700の特徴&注意点【発売時点】

RTX 2060よりもゲーム性能は低い

Radeon RX 5700は、競合であるNVIDA RTX 2060よりも性能は低くなっている。タイトルによって変動幅が大きい印象を受ける。それでもミドルクラス相当でフルHD環境で高リフレッシュレートを実現することが可能だ。よりスペックの高いGeForce RTX 2060 SUPERの登場はAMDにとって計算外だったかもしれない。

結果的にRadeon RX 5700の価格が引き下げられ、GeForce RTX 2060と価格が並んだ。ようやく同じ土台に立てたわけだ。フルHD環境からWQHD環境まで対応できる性能の高さは多くのユーザーを魅了してくれる。性能面においてNVIDAが後発モデルとしてリリースしたGeForce RTX 2060 SUPERとの性能差は大きいことは理解しておこう。まだまだNVIDAが一枚も二枚も上手ということだろう。

レイトレーシングやDLSSなどの最新機能はなし

当該グラフィックボードには、RTX 20シリーズに搭載されているレイトレーシングやDLSSといった最新の機能は搭載されていない。純粋なゲーミングパフォーマンスではRTX 2060に匹敵することがあるものの目新しさという点では劣ってしまう。

今後レイトレーシングやDLSSに対応したタイトルが増えて来ればその魅力の差は広がっていくことになる。いち早く新しい技術を投入したNVIDIAに拍手を贈りたい。もっとも、RTX 2060の場合レイトレーシング性能を活かすにはやや性能的に物足りなさがあるのも事実だ。レイトレーシングを重要視しない方ならRadeon RX 5700を選ぶ理由がある。

RX 5700搭載BTOパソコンのラインナップがない

Radeon RX 5700搭載のBTOパソコンはラインナップがない。今後もラインナップに追加されるかは不透明だ。Navi 10 GPUを搭載したゲーミングPCが欲しい方は、現時点ではRadeon RX 5700 XTを選択するしかないだろう。あるいは自作ユーザー限定となってしまう。

そう思っていたらパソコン工房を始めとしていくつかのBTOメーカーで搭載モデルが販売されている。ユーザーの選択肢が増えるのでこれは大きなメリットだと言える。その後もG-TuneやTSUKUMOなどから搭載モデルが販売されたが、後継モデルに当たる「Radeon RX 6700 XT」が登場したことで完全に消滅してしまった。

Radeon RX 5700のベンチマーク一覧

WQHD環境及びFULL HD環境におけるフレームレートを計測した。RTX 2060やRX Vega 64との比較を中心に見ていって欲しい。

Far Cry 5

farcry5RX5700-farcry5

Far Cry 5では総じてAMD製グラフィックボードが強い。フルHD環境では僅差でRTX 2060 SUPERに負ける形となっている。一方で、WQHD環境ではRTX 2060 SUPERよりも3%高いフレームレートを出している。上位のRadeon RX 5700 XTとの差は10%程度だ。Radeon RX Vega 64と比べると16%フレームレートが向上となった。ミドルクラスとして確固たる地位を築いたと言える。

フォートナイト

fortniteRX5700-fortnite

フォートナイトではWQHD環境ではRTX 2060とほぼ同じスコアだ。フルHD環境では2%程度の差が生じている。上位のRadeon RX 5700 XTは、RTX 2060 SUPERに完敗となった。フォートナイトはAMDにやや不利なタイトルだと言える。旧モデルのRadeon RX Vega 64との差は8%とやや期待はずれ感がある。これぐらいの負荷のタイトルなら高リフレッシュレートモニターを活かすことができる。

Hitman 2

hitman2RX5700-hitman2

Hitman 2はややイレギュラーな結果が出た。WQHD環境においては、前世代のRadeon RX Vega 64よりも5%性能が高い一方でフルHD環境では4%劣る。WQHD環境ではRTX 2060を上回っている。今後の最適化やドライバーのアップデートで数値が変わっていくかもしれない。Radeon RX 5700 XTは期待以上のスコアが出ている。RTX 2060 SUPERよりも3%程度高い。

Shadow of the Tomb Raider

Shadow Of The Tomb RaiderRX5700-shadowofthetombraider

このタイトルではAMD製グラフィックボードにとって有利な結果となっている。Radeon RX 5700でもWQHD環境において実質上位のRTX 2060 SUPERよりも10%ほど高い。フルHD環境でもわずかに上回った。Radeon RX 5700 XTになるとさらに10%ほど高く安定感が増す。RX Vega 64との差も10%-30%と性能差がはっきりと出ている。

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参照元:AMD RADEON RX 5700 REVIEW (PCGAMER)