当ページでは、Core i7-12700Hのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。2022年1月にIntel第12世代のモバイル向けハイパフォーマンスモデルが登場となった。Core i7-11800Hの後継モデルということになる。Alder Lake世代になってハイブリッドコアアーキテクチャが採用されている。
従来モデルの8コア16スレッドから14コア20スレッドへとスペックが大幅に強化されてマルチスレッド性能が向上している。実はフラグシップモデルであるCore i9-12900HKとコア/スレッド数は共通でクロック周波数が異なるだけだ。そういう意味では、Core i7-12700Hは非常に魅力的なCPUだと言える。搭載モデルについては、「Core i7-12700H搭載の中古ゲーミングノートPC一覧」でまとめている。次世代モデルはIntel第13世代のCore i7-13700Hだ。アーキテクチャ的にはそれほど変わらず性能アップは10%-15%程度に留まる。
当ページの目次
よくわかる!!Core i7-12700Hの特徴まとめ
コードネーム | Alder Lake |
---|---|
プロセス | 10nm |
コア/スレッド数 | 14コア(8Pコア+6Eコア)/20スレッド |
Pコア定格/最大クロック | 2.3 GHz/ 4.7 Ghz |
Eコア定格/最大クロック | 1.7 GHz/ 3.5 Ghz |
L3キャッシュ | 24MB |
PBP | 45W |
MTP | 115W |
発売日 | 2022年01月28日 |
価格 | $457 |
特徴 | (+) 14コア20スレッドとスペックが高い (+) メインストリームでNo.1になる可能性が高い (+) ゲーミング性能が向上している (+) 次世代モデル登場後も販売を継続中 (-) 搭載モデルの価格がやや高い |
評価 | ・総合評価 7.5 ・ゲーム評価 7.5 |
Core i7-12700HのCinebench R23スコア
AMDの第4世代RyzenシリーズのフラグシップモデルであるRyzen 9 5900HXと比べても性能差は大きい。14コア20スレッドとコアが増えたことによる恩恵だ。これまでは8コア16スレッドが最上位だったがついにAlder Lake世代になってその上限が解き放たれた。この高い性能はゲーミングCPUとしても期待が持てる。
Core i7-12700Hの基本スペック
モバイル向けCPUと比較
Core i7-12700H | Core i7-11800H | Ryzen 7 5800H | |
---|---|---|---|
コードネーム | Alder Lake | Tiger Lake | Zen 3 |
プロセス | 10nm | 10nm | 7 nm |
Pコア | 6 | 8 | 8 |
Eコア | 8 | - | - |
トータルコア | 14 | 8 | 8 |
スレッド数 | 20 | 16 | 16 |
定格クロック(P) | 2.3 GHz | 2.3 GHz | 3.2 GHz |
最大クロック(P) | 4.7 GHz | 4.6 GHz | 4.4 GHz |
定格クロック(E) | 1.7 GHz | - | - |
最大クロック(E) | 3.5 GHz | - | - |
オーバークロック | × | × | × |
L3キャッシュ | 24MB | 24MB | 16MB |
対応メモリ | DDR5-4800 LPDDR5-5200 DDR4-3200 | DDR4-3200 | DDR4-3200 DDR4-4266 |
内蔵グラフィックス | Iris Xe Graphics | UHD Graphics | Radeon Graphics 7 |
PBP | 45W | 45W | 45W |
MTP | 115W | 109W | 80W |
価格 | $457 | $395 | - |
発売日 | Q1'22 | Q2'21 | Q1'21 |
Core i7-12700Hで採用されているハイブリッドコアアーキテクチャは注目の進化だと言える。これまでのコアはPコアに該当しゲームプレイなど負荷の掛かる作業をメインに行う。Eコアは省電力性に特化して比較的負荷の軽い作業を担うことになる。消費電力を抑えつつより高いパフォーマンスを得られるのだ。どの作業がどちらのコアに振り分けられるかはOS側(Windows 11)で制御される。
Pコアのクロック周波数を比較していく。定格クロックはどちらも2.3GHzだ。最大クロックはCore i7-12700Hの方が3%高い。L3キャッシュは24MBと共通だ。対応メモリ規格はアップグレードされた。Core i7-12700HではDDR5-4800と省電力なLPDDR5-5200に対応している。内蔵ぐらいックスもIris Xe Graphicsだ。PBPは45Wと共通でMTP(PL2)はCore i7-12700Hの方が6%高く115Wだ。価格差は$62とやや大きい。
競合モデルであるRyzen 7 5800Hのスペックを見ていく。Ryzen 7 5800HはZen 3アーキテクチャを採用したCPUだ。2021年初めに発売されている。7nmプロセスを採用していて10nmプロセスのCore i7-12700Hよりもアーキテクチャ的には一歩先を進んでいる。コア/スレッドはそれぞれ8コア16スレッドと旧モデルのCore i7-11800Hと同等だ。定格クロックはRyzen 7 5800Hの方が40%高く、最大クロックはCore i7-12700Hの方が7%高い。
L3キャッシュ容量はCore i7-12700Hの方が多く24MBとなる。対応メモリも最新モデルであるCore i7-12700Hの方が上位モデルに対応している。内蔵グラフィックスはそれぞれの上位モデルが搭載されている。性能的にはIris Xe Graphicsの方が上だ。もっともグラフィックボードを搭載することがほとんどなのでそれほど気にしなくてもよい。MTPはCore i7-12700Hの方が44%高くなっている。7nmプロセスを採用しているRyzen 7 5800Hは省電力性に優れている。
デスクトップ向けCPUと比較
Core i7-12700H | Core i7-12700 | |
---|---|---|
プラットフォーム | モバイル | デスクトップ |
コードネーム | Alder Lake | Alder Lake |
プロセス | 10nm | 10nm |
Pコア | 6 | 8 |
Eコア | 8 | 4 |
トータルコア | 14 | 12 |
スレッド数 | 20 | 20 |
定格クロック(P) | 2.3 GHz | 2.1 GHz |
最大クロック(P) | 4.7 GHz | 4.9 GHz |
定格クロック(E) | 1.7 GHz | 1.6 GHz |
最大クロック(E) | 3.5 GHz | 2.1 GHz |
オーバークロック | × | × |
L3キャッシュ | 24MB | 25MB |
対応メモリ | DDR5-4800 LPDDR5-5200 DDR4-3200 | DDR5-4800 DDR4-3200 |
内蔵グラフィックス | Iris Xe Graphics | UHD Graphics 770 |
PBP | 45W | 65W |
MTP | 115W | 180W |
価格 | $457 | $349 |
発売日 | Q1'22 | Q1'22 |
Core i7-12700HではPコアが6つでEコアが8つに対して、Core i7-12700ではPコアが8つでEコアが4つとなる。Core i7-12700Hでは消費電力を抑えるために省電力性に長けたEコアの数が多くなっている。トータルコアではCore i7-12700Hの方が14とCore i7-12700よりも15%程度多くなっている。スレッド数は20と同じだ。Pコアのみハイパースレッディングに対応している。
Pコアの定格クロックはCore i7-12700Hの方が10%高く、最大クロックはCore i7-12700の方が5%高い。Eコアについては定格クロックはCore i7-12700Hの方が7%高く、最大クロックもCore i7-12700Hの方が70%高い。PコアがCore i7-12700よりも少ない分だけEコアのクロック周波数を引き上げてカバーしている形だ。
L3キャッシュはCore i7-12700の方が1MB大きい。対応メモリは同等だが、Core i7-12700Hでは省電力モデルのLPDDR5-5200に対応している。内蔵グラフィックスはそれぞれモバイル向け・デスクトップ向けの最高峰のモデルが選択されている。PBPはCore i7-12700の方が45%高く、MTPもCore i7-12700の方が57%高い。価格差は$108でCore i7-12700Hの方が高価だ。消費電力を抑えるためにどうしてもコストが掛かってしまうのだろう。
Core i7-12700Hの強み&搭載モデルの特徴
メインストリームのNo.1モデルになる可能性が高い
Core i7-12700Hは、メインストリームにおけるNo.1モデルになる可能性が高いと考えている。ゲーミングノートPC=Core i7-12700Hになると考えてよさそうだ。各BTOメーカーが軒並みラインナップを増やしてくるだろう。もっともこの予想自体が難しいわけではなく、これまでのCore i7シリーズが軒並みトップモデルになっていることを考えると当然の結果だ。
Core i7-11800H・Core i7-10875H/Core i7-10750H・Core i7-9750H・Core i7-8750H・Core i7-7700HQとCore i7シリーズはすべてゲーミングノートPCで定番のCPUだった。上位モデルのCore i9シリーズとそれほど性能差は小さく選ぶメリットが大きいわけではない。何よりもCore i9シリーズになると価格は跳ね上がってしまうためコストパフォーマンスの観点からもCore i7シリーズは好ましい存在だと言える。また、下位モデルのCore i5シリーズでは性能的に物足りなさがあり、Core i7シリーズはちょうどよい性能を持っているのだ。
14コア搭載モデルの中で最安値となっている
出典:(NOTEBOOKCHECK, 2022)
Core i7-12700Hは、14コア20スレッドを持つモデルの中で最安値クラスのCPUとなっている。実はフラグシップモデルであるCore i9-12900HKも同じ14コア20スレッドなのだ。コア/スレッドだけを見ればCore i7-12700Hは非常にコストパフォーマンスの高いCPUだと言える。特にCore i9シリーズは玄人向けモデルという位置付けだ。
上位モデルとの差は違いはクロック周波数のみで用途によってはそれほど性能に差が生じるわけではない。クロック周波数を引き上げた上位モデルでは熱対策などにコストが掛かり搭載モデルの価格が上がってしまうというデメリットもある。ハイブリッドコアアーキテクチャに対応したIntel第12世代Core iシリーズではよほどフラグシップモデルにこだわりたい方でない限りCore i7で十分だろう。
搭載モデルの価格が高めになると予想される
Core i7-12700H搭載ゲーミングノートPCの価格はCore i7-11800H搭載モデルほど価格は下がらないのではないかと予想している。まずCPU単体のMSRPがCore i7-12700Hは、Core i7-11800Hよりも$62高い。さらに、メモリ規格もより高価なDDR5-4800/LPDDR5-5200搭載モデルが増えるのではないかと思う。これだけを見るとやはりCore i7-11800H搭載モデルほど価格が下がらない可能性があるのだ。
それでもフラグシップモデルであるCore i9-12900HKよりも価格は抑えられていて人気が出ることは間違いない。グラフィックボードのラインナップにRTX 3080 TiやRTX 3070 Tiも追加されて、各BTOメーカーからも多くのモデルがリリースされるだろう。予算は多めに取っておくとよい。場合によってはCore i5シリーズの購入を検討してもよいかもしれない。Core i5-12500Hなら12コア16スレッドと従来モデルよりも飛躍的にスペックが向上していてパフォーマンスに期待ができる。
Core i7-12700Hのベンチマーク一覧
Handbrake
Blender 2.91
7-Zip
Adobe Photoshop
Adobe Premiere Pro 2022
Core i7-12700Hのゲーミング性能
Resident Evil 2
Hitman 3
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege
Core i7-12700H搭載の中古ゲーミングノートPC一覧
Intel NUC X15 Laptop LAPAC71H 166791(インテル)
価格:89,800円
液晶:15.6インチFHD
CPU:Core i7-12700H
GPU:Intel Arc A730M
メモリ:16GB
ストレージ:SSD 500GB
電源:ACアダプター
コスパ:調査中
15.6インチFHDディスプレイを搭載している。Core i7-12700H×Intel Arc A730Mを搭載したエントリークラスのゲーミングノートPCだ。GeForce RTX 3050 Mobileと同等のゲーム性能を有している。メモリ16GB・SSD 500GBと構成は平均的だ。英語配列(US)キーボード搭載となっている。ドスパラでは複数のIntel製ゲーミングノートPCが販売されている。
EGPN712R305(マウスコンピューター)
液晶:15.6インチ
CPU:Core i7-12700H
GPU:GeForce RTX 3050 Ti Mobile
メモリ:16GB
ストレージ:SSD 512GB
電源:ACアダプター
コスパ:調査中
パソコン工房が取り扱っている中古モデルだ。Core i7-12700H×GeForce RTX 3050 Ti Mobile搭載のエントリークラスの一台となる。マウスコンピューターのゲーミングブランドG-Tuneのモデルだ。デザイン性が高くゲーマーからの人気も高い。メモリ16GB・SSD 512GBと構成は平均的だ。
GALLERIA XL7C-R36H 16802 (ドスパラ)
液晶:15.6インチFHD
CPU:Core i7-12700H
GPU:GeForce RTX 3060 Mobile
メモリ:16GB
ストレージ:SSD 512GB
電源:ACアダプター
コスパ:調査中
Core i7-12700H×GeForce RTX 3060 Mobile搭載のミドルクラスのゲーミングノートPCだ。現行のGeForce RTX 4060 Mobileと比べると性能は落ちるが、今でも十分通用する性能を持つ。メモリ16GB・SSD 512GBと構成も必要十分といえる。
Core i7-12700H搭載のゲーミングノートPC一覧
GALLERIA UL7C-AA3 US (ドスパラ)
液晶:15.6型 フルHD 144Hz
CPU:Core i7-12700H
GPU:Intel Arc A550M
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 500GB Gen4 NVMe
コスパ:7.8
サードウェーブとIntelの共同設計モデルだ。税込10万円以下の高コスパモデルとなる。指標は7.8と高めだ。特に税込10万円以下のモデルは指標が伸びづらい傾向にあるため健闘していると言える。15.6インチフルHDディスプレイを搭載したゲーミングノートPCだ。144Hz対応で本格的なゲームプレイを楽しめる。ただし、グラフィックス性能はIntel Arc A550Mとエントリークラスなので設定を下げることが前提だ。Core i7-12700Hとの組み合わせだとCPU寄りと言える。メモリDDR5-4800 16GB・SSD 500GB Gen4 NVMeと構成も十分だろう。
GALLERIA UL7C-AA2 US (ドスパラ)
液晶:15.6型 フルHD 144Hz
CPU:Core i7-12700H
GPU:Intel Arc A730M
メモリ:DDR5-4800 16GB
ストレージ:SSD 500GB Gen4 NVMe
コスパ:8.1
こちらもサードウェーブとIntelの共同設計モデルとなる。5,000円安くなって購入しやすくなった。同じ15.6インチFHDディスプレイを搭載している。本体重量は約2.0kgと平均的だ。バッテリー駆動時間は約6.3時間となる。上記で紹介したGALLERIA UL7C-AA3 USよりもワンランク高いグラフィックス処理性能を得られる。おおよそAmpere世代の50番台であるRTX 3050 Mobileと同等だ。メモリDDR5-4800 16GB・SSD 500GB Gen4 NVMeと構成も十分だろう。
TUF Gaming F15 FX507ZU4(ASUS)
189,800円(税込) 149,800円(税込)
液晶:15.6インチ FHD 144Hz
CPU:Core i7-12700H
GPU:GeForce RTX 4050 Mobile
メモリ:DDR4-3200 16GB
ストレージ:SSD 512GB NVMe
コスパ:調査中
2023年4月上旬発売予定のゲーミングノートPCだ。15.6インチFHDディスプレイ(144Hz)を搭載している。グラフィックスにAda Lovelace世代のエントリークラスであるGeForce RTX 4050を搭載している。RTX 3050と比べてワンランク高いパフォーマンスを発揮する。FHDディスプレイなら性能を活かしやすい。メモリ16GB、SSD 512GBと構成は平均的だ。価格を押さえつつ最新モデルに興味のある方はチェックしておいて欲しい。
TUF Gaming F15 FX507ZV4(ASUS)
219,800円(税込) 169,800円(税込)
液晶:15.6インチ FHD 144Hz
CPU:Core i7-12700H
GPU:GeForce RTX 4060 Mobile
メモリ:DDR4-3200 16GB
ストレージ:SSD 512GB NVMe
コスパ:調査中
2023年3月下旬発売予定のゲーミングノートPCだ。15.6インチFHDディスプレイ(144Hz)を搭載している。本体重量は約2.2kgと平均的だ。グラフィックスにAda Lovelace世代のRTX 4060 Mobileを搭載している。RTX 3060 Mobileよりも高いパフォーマンスを期待できる。メモリDDR4-3200 16GB、SSD 512GB NVMeという構成だ。ゲーミングノートPCで重要なファンにもこだわりが見られる。ASUSオリジナルのArc Flow Fansを搭載していて高い冷却性能を誇る。高性能なモデルでも問題なく稼働できる。
参照外部サイト
- Intel Core i7-12700H Review: Alder Lake on the Go (TECHSPOT, 2022)
- CES 2022 | Intel introduces 12th gen Alder Lake-H led by the Core i9-12900HK with up to 5 GHz boost and 115 W max TDP, Alder Lake-P and Alder Lake-U SKUs detailed(NOTEBOOKCHECK, 2022)
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ベンチマークテスト環境
モデル | XMG GM7AG8M |
---|---|
GPU | Nvidia GeForce RTX 3080 Ti |
メモリ | DDR5-4800 32GB |
ストレージ | – |