当ページでは、Core i9-13950HXの性能レビュー及び搭載ゲーミングノートPCの紹介をしている。Intel第13世代のモバイル向けハイパフォーマンスモデルであるCore HXシリーズが登場した。Core i9-13950HXは、HXシリーズの中でも上から2番目の高い性能を持つモデルだ。TDPは55Wと45WのCore Hシリーズよりもスペックが高い。なお、フラグシップモデルのCore i9-13980HXとの差はターボクロック0.1GHzでほぼ同等だ。
24コア32スレッドと高いスペックを持ちゲームやクリエイター作業に適している。基本的にはGPU搭載が前提でCPU内臓グラフィックスの性能は控え目だ。Ada Lovelace世代のフラグシップモデルであるGeForce RTX 4090 Mobileが登場してより高いCPU性能が求められる。Core i9-13950HXは現行のハイエンドクラスのグラフィックボードとのバランスを考えると理想的だ。搭載モデルは「Core i9-13950HX搭載のゲーミングノートPC一覧」で紹介している。
当ページの目次
よくわかる!!Core i9-13950HXの特徴まとめ
コードネーム | Raptor Lake |
---|---|
プロセス | 10nm |
コア/スレッド数 | 24コア(8Pコア+16Eコア)/ 32スレッド |
Pコア定格/最大クロック | 2.2 GHz/ 5.5 GHz |
Eコア定格/最大クロック | 1.6 GHz/ 4.0 GHz |
L3キャッシュ | 36MB |
PBP | 55W |
MTP | 157W |
発売日 | 2023年01月04日 |
価格 | $590 |
特徴 | (+) 24コア32スレッドと高いスペックを持つ (+) i9-12900HKよりも50%以上高性能 (+) AMD製CPUとの差を大きく広げた (-) RTX 4090 Mobileとではボトルネックとなることがある (-) 消費電力は高め (-) 搭載モデルの価格が高い |
評価 | ・総合評価 9.0 ・ゲーム評価 9.0 |
Core i9-13950HXの基本スペック
Core i9-13950HX | Core i9-13980HX | Core i9-12950HX | |
---|---|---|---|
コードネーム | Raptor Lake | Raptor Lake | Alder Lake |
プロセス | 10nm | 10nm | 10nm |
ダイサイズ | 257 mm² | 257 mm² | 215 mm² |
トータルコア(スレッド) | 24(8P+16E)/ 32 | 24(8P+16E)/ 32 | 16(8P+8E)/ 24 |
定格クロック(P) | 2.2 GHz | 2.2 GHz | 2.3 GHz |
最大クロック(P) | 5.5 GHz | 5.6 GHz | 5.0 GHz |
定格クロック(E) | 1.6 GHz | 1.6 GHz | 1.7 GHz |
最大クロック(E) | 4.0 GHz | 4.0 GHz | 3.6 GHz |
オーバークロック | 〇 | 〇 | 〇 |
L2キャッシュ | 24MB (2.00MB×8+4MB×4) | 24MB (2.00MB×8+4MB×4) | 14MB (1.25MB×8+4MB×2) |
L3キャッシュ | 36MB (3.00MB×8+3MB×4) | 36MB (3.00MB×8+3MB×4) | 30MB (3.00MB×8+3MB×2) |
対応メモリ | DDR5-5600 DDR4-3200 | DDR5-5600 DDR4-3200 | DDR5-4800 DDR4-3200 |
内蔵グラフィックス | UHD Graphics | UHD Graphics | UHD Graphics |
PBP | 55W | 55W | 55W |
MTP | 157W | 157W | 157W |
価格 | $590 | $668 | $590 |
発売日 | 2023/01/04 | 2023/01/04 | 2022/05/10 |
Pコアの定格クロックは3%低くなったが、最大クロックは10%高くなった。Eコアも定格クロックは0.1GHz低くなった一方で最大クロックは11%高く4.0GHzに到達している。いずれのモデルもオーバークロック対応だ。デスクトップパソコンに比べると熱対策が難しく余力はそれほど大きいわけではないと考えておこう。
Core i9-13950HXのL2キャッシュ容量は65%増えて24MBとなる。Pコア1つ当たりのキャッシュ容量が1.25MBから2.00MBへと増えた。また、Eコアクラスタが倍になりL2キャッシュ容量が大きく増量されている。L3キャッシュもEコアクラスタが増えた分だけ容量アップとなる。メモリ規格がDDR5-4800からより高クロックなDDR5-5600までサポートしているのはポイントだ。内臓グラフィックスはUHD Graphicsだ。PBP・MTPは変わらない。価格も$590となる。
Raptor Lake世代のフラグシップモデルであるCore i9-13980HXとの違いはPコアの最大クロックと価格のみだ。Pコアの最大クロックが0.1GHz高く5.6GHzとなる。価格は$78高くなる。スペックの差を考えると物足りなさがあるが、当然Core i9-13980HXの方が性能が高く高性能なグラフィックボードと組み合わせるなら好ましい。
Core i9-13950HX搭載モデルの特徴
24コア32スレッドと高スペックモデル
Core i9-13980HX | |
Core i9-13950HX | |
Core i9-12900HX | |
Core i9-12900HK | |
Core i9-12900H | |
Core i7-12700H | |
Ryzen 9 6900HX | |
Ryzen 9 5900HX | |
Ryzen 9 6900HS | |
Core i5-12500H | |
Ryzen 7 6800H | |
Core i9-11980HK | |
Core i7-11800H |
Core i9-13950HXは、24コア32スレッドとスペックが高くモバイル向けモデルとしてトップクラスのCPU性能を誇る。上位にCore i9-13980HXがあるが、実際の環境で性能差を体感することは難しく同等だと考えてよさそうだ。従来モデルのCore i9-12900HXと比べて20%近くも処理性能が向上している。Core i9-12900HKと比べると23%程度性能が高い。
モバイル向けAda Lovelace世代のグラフィックボードの性能が高く上位モデルを選択するならこのCore i9-13950HXを最低基準に考えたいところだ。Core i9-13980HKやCore i9-13900HなどのHシリーズ(45W)ではやや物足りなさがある。それだけAda Lovelace世代のモデルは性能が高くなっているのだ。ゲームプレイにおいてはCPUのボトルネックが発生するケースが増えている。特にフルHD環境以下ではそれが顕著だ。
これで第4世代RyzenシリーズのフラグシップモデルであるRyzen 9 6900HXを引き離した。性能差は60%以上とかなり大きい。Zen 3からZen 3+へとマイナーチェンジが行われたが、Intel第13世代の登場で全く勝負にならない。やはり第5世代(Zen 4)が登場するまで厳しい状況となるだろう。ハイブリッドアーキテクチャはかなり優秀だ。
消費電力が高い
Core i9-13900HXは消費電力が高いCPUであることは理解しておく必要がある。PBPが55WでMTPが157Wに設定されている。Core HシリーズのフラグシップモデルであるCore i9-13900HKがそれぞれ45W・115Wなのでそれよりもかなり高めだ。特に熱を抑えることが必須のゲーミングノートPCで消費電力が高いことはマイナスになる。熱をコントロールするためにゲーミングノートPC本体はどうしても大きくそして重くなってしまう。本体重量が3.0kgを越えは当たり前だ。
ハイエンドクラスのゲーミングノートPCを購入するというのはそれらを受け入れることだ。高い性能を手に入れるための代償だと言える。グラフィックボードの高性能になっているのでシステム全体での消費電力は上昇傾向にある。プロセスの微細化などで消費電力を抑えていくのが永遠の課題だ。Intel製CPUは長らく10nmプロセスを採用していてまだまだ省電力性を向上させるための手段はあるはずだ。あとはハイブリッドアーキテクチャ採用の性能とのバランスが重要となりそうだ。
ハイエンドGPUとの組み合わせが一般的で高価
Core i9-13950HXを搭載したゲーミングノートPCはかなり高価だ。2023年3月時点で最安値は税込660,000円~と万人受けするモデルとは言えない。Core i9-13950HXは性能が高く、60番台や70番台のグラフィックボードだと不釣り合いということもあって必然的にハイエンドクラスのグラフィックボードとの組み合わせとなる。Ada Lovelace世代のハイエンドモデルであるRTX 4090 MobileやRTX 4080 Mobileと組み合わせると当然価格は高くなる。
ハイエンドのグラフィックボードと合わせるとゲーミングノートPC自体の冷却性能を高める必要がありそういったところにもコストが掛かる。CPUやグラフィックボード単体の価格に加えて他にも考慮すべき点があるのだ。玄人向けのCPUだという認識で間違いない。ほとんどのユーザーはCore Hシリーズで満足できるだろう。Core i9-13950HXなどHXシリーズ自体たくさんの数が売れるモデルではない。
Core i9-13950HXのベンチマーク一覧
Cinebench R23
Core i9-13950HX | |
Core i9-12900HX | |
Core i9-12900HK | |
Core i7-12700H | |
Ryzen 7 6800H | |
Ryzen 9 5900HX | |
Ryzen 9 6900HS | |
Core i9-11980HK | |
Core i7-11800H | |
Core i7-10875H |
Handbrake
Core i9-13950HX | |
Ryzen 9 5900HX | |
Ryzen 7 6800H | |
Core i9-12900HK | |
Ryzen 9 6900HS | |
Core i7-12700H | |
Core i9-12900HX | |
Core i9-11980HK | |
Core i7-11800H | |
Core i7-10875H |
Blender 2.91
Core i9-13950HX | |
Core i9-12900HX | |
Core i9-12900HK | |
Ryzen 7 6800H |
7-Zip(圧縮)
Core i9-13950HX | |
Core i7-12700H | |
Core i9-12900HK | |
Core i9-12900HX | |
Ryzen 9 6900HS | |
Core i9-11980HK | |
Ryzen 7 6800H | |
Ryzen 9 5900HX | |
Core i7-11800H | |
Core i7-10875H |
7-Zip(解凍)
Core i9-13950HX | |
Core i9-12900HX | |
Core i9-12900HK | |
Core i7-12700H | |
Ryzen 7 6800H | |
Ryzen 9 6900HS | |
Ryzen 9 5900HX | |
Core i9-11980HK | |
Core i7-11800H | |
Core i7-10875H |
Microsoft Excel
Core i9-13950HX | |
Core i9-12900HX | |
Core i7-12700H | |
Core i9-12900HK | |
Ryzen 7 6800H | |
Ryzen 9 6900HS | |
Core i9-11980HK | |
Core i7-11800H | |
Ryzen 9 5900HX | |
Core i7-10875H |
Adobe Photoshop
Core i9-12900HK | |
Core i7-12700H | |
Core i9-13950HX | |
Core i9-12900HX | |
Ryzen 9 6900HS | |
Ryzen 7 6800H | |
Core i7-11800H | |
Ryzen 9 5900HX | |
Core i7-10875H |
Adobe Premiere Pro 2022
i9-13950HX×RTX 4090 | |
i9-12900HX×RTX 3070 Ti | |
i9-12900HK×RTX 3080 Ti | |
i7-12700H×RTX 3080 Ti | |
i7-11800H×RTX 3070 | |
9 5900HX×RTX 3070 | |
7 6800H×RTX 3060 | |
i7-10875H×RTX 2070S MAX-Q | |
9 6900HS×RX 6800S |
Core i9-13950HX搭載のゲーミングノートPC一覧
AORUS 17X AZF-C5JP665JP(GIGABYTE)
モニター:17.3インチQHD 240Hz
CPU:Core i9-13950HX
GPU:GeForce RTX 4090 Mobile
メモリ:DDR5-5600 32GB
SSD:1TB Gen4 NVMe×2基
HDD:非搭載
GIGABYTEが販売するフラグシップモデルだ。17.3インチQHDディスプレイ(240Hz)を搭載している。このモデルの性能を考えるとQHDディスプレイは必須だ。フルHDだと宝の持ち腐れとなる。本体重量は約2.8kgとかなり重い。持ち運ぶことが多い方は注意しよう。Core i9-13950HX×RTX 4090 Mobileの組み合わせで現行最強のゲーミング性能を誇る。ゲーミングノートでも性能面で妥協したくないなら選択肢に入れたいところだ。もっとも税込66万円という価格では簡単に購入できない。メモリDDR5-5600 32GB、SSD 1TB Gen4 NVMe×2基と構成も抜群だ。
Raider-GE78HX-13VI-2803JP(MSI)
モニター:17.3インチWQXGA 240Hz
CPU:Core i9-13950HX
GPU:GeForce RTX 4090 Mobile
メモリ:DDR5 32GB
SSD:2TB NVMe
HDD:非搭載
MSIブランドのハイエンドのゲーミングノートPCだ。標準で2年保証なのがうれしい。17.3インチWQXGAディスプレイ(240Hz)を搭載している。Core i9-13950HX×RTX 4090 Mobileの組み合わせならWQXGAディスプレイぐらいはないともったいない。メモリDDR5 32GB、SSD 2TB NVMeと構成もずば抜けている。税込679,800円とかなり価格が高いにも仕方がないだろう。本体重量は約3.1kgと重量級だ。持ち運びは車でないと厳しい。
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ベンチマークテスト環境
モデル | MSI Titan GT77 |
---|---|
ディスプレイ | 17.3インチ4K 144Hz |
CPU | Core i9-13950HX |
GPU | Nvidia GeForce RTX 4090 Laptop |
メモリ | DDR5-4800 64GB |
ストレージ | – |