i5 or i7
当記事では、BTOパソコンにおいてCore i5シリーズとCore i7シリーズのどちらを選ぶべきなのかについて検証していく。便宜上BTOパソコンとしているが、ゲーミングPCと読み替えても問題ない。コスト重視でCore i5-14400(F)搭載モデルを選択するべきか、性能重視でi5よりも2万円以上高価なCore i7-14700(F)搭載モデルを選択するべきか悩んでいる方は必見だ。数世代前まではCore i5シリーズは貧弱でゲーミングCPUとしては選びづらさがあった。

グラフィックボードとのバランスもかなり取りづらいCPUだったのだ。ところが、Intel第10世代以降はCore i5シリーズでも性能が引き上げられて侮れない水準になっている。数世代前のCore i7シリーズを軽く上回るほどだ。Intel第13世代以降廉価なCore i5シリーズでもハイブリッドアーキテクチャ採用となりより魅力を増している。だからこそこれまで以上にCore i5とCore i7のどちらを選ぶべきかは重要なポイントだと言えるだろう。

結論:多くのユーザーがCore i5で十分

Core i5がよいのかCore i7がよいのかは選択するグラフィックボードに依存する。60番台以下のグラフィックボードならCore i5-14400(F)でも十分なパフォーマンスを期待できる。GeForce RTX 4070やGeForce RTX 3070などの無印モデルであれば70番台でもある程度通用すると考えてよい。それを踏まえた上でSteamハードウェア&ソフトウェア調査(Steam, 2023)を見ると、大半のゲーマーが60番台あるいは70番台以下のグラフィックボードを使用していることがわかる。

つまり、多くのユーザーはCore i5-14400で十分だということだ。フルHD環境でのゲームプレイをメインに考えているならCore i7-14700(F)を無理に選ぶ必要はない。とくにグラフィックス負荷の高いタイトルならCPUが与える影響は小さくなる傾向にある。なお、ゲーム実況・動画エンコードなどのクリエイター作業を行いたいならCore i7-14700(F)は魅力的な選択肢となる。

当ページでの検証の前提条件まとめ

ラインナップレビュー数定価国内価格コア/スレッドPコア周波数(最大)Eコア周波数(最大)TDP
Core i7-14700K(F)12/131$409($384)66,899円(62,880円)20(8P+12E)/283.4GHz(5.6Hz)2.5GHz(4.3GHz)125W-253W
Core i7-14700(F)20/131$384($359)62,840円(59,580円)20(8P+12E)/282.1GHz(5.4GHz)1.5GHz(4.2GHz)65W-219W
Core i5-14600K(F)0/131$319($294)50,970円(45,500円)14(6P+8E)/203.5GHz(5.3GHz)2.6GHz(4.0GHz)125W-181W
Core i5-145000/131$232(-)39,375円(-)14(6P+8E)/202.6GHz(5.0GHz)2.0GHz(3.7GHz)65W-154W
Core i5-14400(F)19/131$211($184)35,880円(32,780円)10(6P+4E)/162.5GHz(4.7GHz)1.8GHz(3.5GHz)65W-148W

まず初めに検証を行う上での前提条件を記載しておく。Core i5=Core i5-14400(F)、Core i7=Core i7-14700(F)のどちらがよいのかを検証していく。倍率ロックフリーモデルのCore i7-14700K(F)/Core i5-14600K(F)及びCore i5-14500については除外している。これらのCPUはBTOパソコンではマイナーな存在で比較が複雑になってしまうためだ。当ページではBTOパソコンを中心にした検証としたい。ゲーミングPCではCPU内蔵グラフィックス非搭載のFシリーズが一般的だ。

Core i5-14400(F)とCore i7-14700(F)では単体価格では26,960円の差がある。搭載モデルの場合はそれ以上に差が広がるケースもある。Core i7-14700(F)の方が消費電力・発熱量が高く、より高性能なCPUクーラーや電源ユニットが必要になることもあるからだ。採用するケースやBTOメーカーの考え方次第だと言える。Core i7-14700(F)搭載モデルの方が安くなることはないと考えてよい。

Core i5とCore i7の比較のポイント

どちらのCPUもゲーミングPCで人気がある

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BTOメーカーではこのCore i5-14400(F)とCore i7-14700(F)でデットヒートが繰り広げられている。パソコン工房のランキングを見ると1位がCore i5-14400F搭載モデルで、2位がCore i7-14700F搭載モデルだ。やはり高性能なグラフィックボードになるとCore i7-14700(F)が好まれるようだ。

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ドスパラのランキングではCore i7-14700F搭載モデルが上位3つを占めている。他のBTOメーカーでもこれら2つのモデルがランキング上位に入っているケースが多い。当サイトのおすすめランキングでもCore i7-14700F搭載モデルやCore i5-14400F搭載モデルが人気だ。もっとも今は価格が暴落しているRyzen 7 5700Xに押され気味ではあるが…

基本的にBTOパソコンの場合は、選ぶCPUによってグラフィックボードが限定される。例えば、Core i5-14400FならGeForce RTX 4060 Tiが上限であることが多く稀にGeForce RTX 4070があるぐらいだ。80番台以上のモデルとの組み合わせはほとんどないと考えてよい。一方で、Core i7-14700Fの場合は幅広いグラフィックボードを選択できるが、CPUとGPUのバランスを考えるとGeForce RTX 4060 Ti以上のモデルがよいのではないかと思う。

Core i5の性能が大きく向上している

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Core i5シリーズの無印モデルも飛躍的に性能が向上していることがわかる。だからこそ今ユーザーがCore i7シリーズと悩むところまで来ていると言えるだろう。2世代前のフラグシップモデルであるCore i9-11900Kに匹敵する性能は圧巻だ。Intel第10世代CPUまではCore i5シリーズが売れ筋モデルになることは少なかった。当サイトでも積極的に選ぶことはなかったことをよく覚えている。それがIntel第12世代以降Core i5シリーズの性能が引き上げられたことで搭載モデル・人気モデルが増えている。

現行のCore i5-14400の性能は高く4世代前のCore i5-10400と比べて30%以上ゲーム性能が高い。ゲーミングCPUとして十分なパフォーマンスを持っていることも選ばれる理由だ。ユーザーの予算次第では必ずしもCore i7-14700を選ぶ必要はないということだ。特に60番台や70番台ぐらいまでであればCore i5-14400でも通用しなくはない。基本的にはCPUよりもGPUにお金を掛ける方がより高いフレームレートを得られる。

当然価格が安いだけでゲーマーに選ばれることはない。価格に対して十分な性能を持っていることが前提となる。Core i5-14400は、3世代前のCore i7シリーズを上回る高い性能を持っているからこそこれだけ支持されているのだ。最近はGeForce RTX 4070と組み合わせモデルもリリースされている。これもCore i5-14400の性能が高いことの証明だ。

搭載BTOパソコンの価格差は3.0万円以上

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同じグラフィックボードでもCPUをCore i7-14700FからCore i5-14400Fへ引き下げれば4.1万円安く購入できる。Core i7-14700F搭載モデルはメモリ倍増の32GBとなるので、実質の価格差は30,000円程度だ。単体CPUの価格差が27,000円程度なので妥当と言えるだろう。Core i5-14400F搭載モデルの場合、上位モデルのCore i7-14700F搭載モデルと比べてストレージや電源ユニットなど構成が異なるケースもありCPU単体の価格差よりも広がることもある。

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ドスパラではCore i5-14400F搭載モデルとCore i7-14700F搭載モデルで35,000円~48,000円の差がある。ドスパラの場合はCore i5-14400FではSSD規格がGen4接続対応だが、Core i7-14700FではGen3接続となっている。Core i5-14400F搭載モデルがやや優遇されているのだ。

Core i5とCore i7のゲーミング性能を検証

Core i5-14400FとCore i7-14700Fでゲーミング性能がどのぐらい変わるのかを検証していく。グラフィックスがミドルハイクラスのGeForce RTX 4060 Tiの場合の性能差は0%-15%とそれほど大きいわけではなく、価格を抑えるという意味でCore i5-14400F搭載モデルを選ぶメリットがある。

グラフィックスがハイエンドのGeForce RTX 4090になると話は変わる。もっともCPUの性能差が現れるケースで最大値として見ておこう。Core i5-14400FとCore i7-14700Fで20%-50%程度フレームレートが変わる。GeForce RTX 4090はグラフィックス処理性能が高すぎて解像度を落とすとCPUの性能が顕著に出るのだ。グラフィックスの性能が低くなるとボトルネックがGPUになるためCPUの性能差が小さくなる。

GeForce RTX 4060 Ti以下のモデルではCore i7-14700F搭載モデルとの差は5%前後になるのではないかと思う。GeForce RTX 4070 TiやGeForce RTX 4070などのグラフィックボードでも性能差はここで示しているほど大きくならないはずだ。予算を抑えつつ高いゲーミング性能を得たいならCPUよりもGPUに投資する方が好ましいと言われている。

フォートナイト

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フォートナイトは比較的負荷の軽いタイトルでCPUによってフレームレートが大きく変わる。高解像度でのゲームプレイが一般的ではないためフルHD固定で設定を変えてフレームレートを計測している。GeForce RTX 4060 Tiでも5%-10%程度、GeForce RTX 4090になると35%前後変わる。フォートナイトで高リフレッシュレートを目指すならCore i7-14700を選ぶのもよいだろう。ミドルハイクラスあるいはそれ以下のグラフィックボードでもCPUによる差はそこそこ出そうだ。

FF14

ff14画像引用元:https://www.playstation.com/i5ori7-ff14

FF14での結果を見るとまず目を引くのがCore i5-14400×GeForce RTX 4090でボトルネックが発生していることだ。フルHDとWQHDでフレームレートが変わらない。Core i7-14700になると一気にフレームレートが向上する。ただし、やはりグラフィックス負荷が軽めなこともあってCore i7-14700でもボトルネックは発生している。より高いフレームレートを実現したいならCPUへ投資してもよさそうだ。GeForce RTX 4060 Tiの場合4K環境ではCore i7-14700でもCore i5-14400でもフレームレートは変わらない。これはグラフィックボードがボトルネックとなっているからだ。

Blue Protocol

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Blue ProtocolではGeForce RTX 4060 Tiを選択した場合そこまでCPUによる性能差が出ていない。最大でも7%程度だ。WQHD以上の高解像度になるとその差はさらに縮まる。一方で、GeForce RTX 4090を搭載した場合CPUによる性能は顕著に出る。これは想定通りだろう。フルHDではCore i7-14700とCore i5-14400で49%もフレームレートが変わる。4Kでは性能差はないが、WQHDでも30%以上フレームレートが変わっていることがわかる。

Forza Horizon 5

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Forza Horizon 5はグラフィックス負荷の高いタイトルでCPUによるフレームレート差はほとんど出ていない。それはハイエンドのGeForce RTX 4090でも同様だ。極端な話Forza Horizon 5がメインなら全力でGPUにお金を掛けるべきだ。こういったケースもあることは理解しておくとよいだろう。

Cyberpunk 2077

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Cyberpunk 2077もグラフィックス負荷の高いタイトルの一つだ。GeForce RTX 4060 TiだとCore i7-14700でもCore i5-14400でもフレームレートはほとんど変わらない。GeForce RTX 4090になると最大で20%前後フレームレートの差が生じる。ただし、4K環境がメインならほとんど変わらないと覚えておこう。

Cyberpunk 2077 RT&DLSS

Cyberpunk2077topi5ori7-cyberpunk2077rt

レイトレーシング・DLSSのパフォーマンスを見てもグラフィックスはミドルハイクラスのGeForce RTX 4060 TiだとCPUによる性能差は見られない。Cyberpunk 2077を目的としているならCPUをワンランク落としてもよいのではないかと思う。GeForce RTX 4090になると全解像度で性能差が現れる。フルHDで25%、WQHDで9%、4Kで25%とやや大きい。

ゲーム+αで考えているならCore i7が輝く

ゲーム以外の用途においてはやはりコア・スレッドの多いCore i7-14700が有利になる。ゲーム実況などもこのカテゴリーに入ると考えてよい。基本的にはグラフィックボードに依存しないためこういった用途を考えているならCore i7-14700を選択するのが吉だ。

Cinebench 2024

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Cinebench 2024は最新世代のCPUにも対応したベンチマークソフトだ。Cinebench R23の次世代バージョンとなる。CPU性能を客観的に把握する上で有用だと言える。Core i7-14700の方がマルチコア性能が130%高く、シングルコア性能も10%高い。ゲーム性能以上に性能差があることがわかるだろう。

Cinebench R23

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Cinebench R23で見てもCore i7-14700が圧倒的だ。マルチコア性能が110%高く、シングルコア性能も14%高くなっている。クリエイター作業などでは明らかな差がありそうだ。20コア28スレッドのCPUと10コア16スレッドのCPUでは性能差が出るのが当然だ。それはゲームプレイよりも大きなものになる。

7-Zip

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Zipファイルの圧縮及び展開速度を比較していく。Core i7-14700の方が圧縮速度が110%速く、展開速度も68%速い。実世界でZipファイルを取り扱う機会は多いだろう。あまり速度を意識することはないかもしれないが、CPUによる性能差は大きい。

Handbrake

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動画のエンコードに掛かる時間を計測している。Core i7-14700は、Core i5-14400と比べてx264で79%速く、x265でも63%も速い。確かにCore i5-14400も性能は向上しているが、それでもCore i7-14700と比べると性能差は大きい。Intel第14世代になってCore i7シリーズが16コア24スレッドから20コア28スレッドへとスペックアップが図られたのも大きい。

Adobe Premiere Pro CC

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動画編集ソフトであるAdobe Premiere Pro CCでも性能差が顕著だ。Core i7-14700は、Core i5-14400よりも36%もパフォーマンスが高い。

Adobe Photoshop

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画像編集ソフトのPhotoshopでのパフォーマンスを見ていく。Core i7-14700は、Core i5-14400と比べて30%程度パフォーマンスが高い。動画のエンコードと同等の性能差が出ている形だ。

当記事のまとめ

当記事では、BTOパソコンにおけるCPUの選択について検証した。具体的にはゲーミングPCではCore i5-14400(F) or Core i7-14700(F)のどちらを選ぶべきかという内容だ。ゲームプレイにおいてはCPUよりもGPUの方が重要であることは事実だ。例えば、Core i7-14700(F)×GeForce RTX 4060 TiよりもCore i5-14400(F)×GeForce RTX 4070の方が高いフレームレートを実現できる。

一方で、GeForce RTX 4090などのハイエンドクラスのグラフィックボードになるとCPUにもある程度投資するべきだ。もっともGeForce RTX 4090やGeForce RTX 4080などのハイエンドのグラフィックボードとCore i5-14400(F)を組み合わせたモデルはなくある程度答えが出ていると言える。

60番台や70番台のグラフィックボードとの組み合わせならCore i7-14700(F)搭載モデルを選択したからといって大きくフレームレートが高くなるわけではない。コストを抑えられるという点でCore i5-14400(F)がおすすめだ。同じグラフィックボードならCore i7-14700(F)搭載モデルよりも3.0万円以上安く購入できる。ミドルクラスのモデルならこの差は大きいはずだ。浮いたお金でゲーミングデバイスなどにお金を掛けられる。

動画編集・エンコード・ゲーム実況などのクリエイター作業を行うことを考えているならCore i7-14700(F)が好ましい。ゲームプレイ時のようにグラフィックボードに依存せず、単純にコア・スレッドが多い方が有利だからだ。動画編集やエンコードなどの作業では物理コアが多い分だけより高いパフォーマンスを期待できる。

参照外部サイト

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