当ページでは、CPUの2大メーカーであるAMD RyzenシリーズとIntel Core iシリーズに関して紹介している。Intel独占の市場に一石を投じたRyzenの登場はゲーマーにとって好ましいことで今まで以上にゲーミングPC業界が盛り上がっている。せっかくなのでAMDの第4世代Ryzenを中心にIntel製品と比較しながら解説していく。どちらのCPUが良いのか悩んでいる方はぜひチェックして欲しい。
- 第4世代Ryzenシリーズ(デスク)
- 第3世代Ryzenシリーズ(ノート)
- 第11世代Intel Core iシリーズ(デスク)
- 第10世代Intel Core iシリーズ(ノート)
マルチコア性能が優秀、ゲーミング性能が向上、従来より価格が高め
低価格でゲーミングノートPC搭載CPUとして評価が高い
ゲーミング性能が高い、消費電力が高い、Core i9以外はコスパ良好、マルチコア性能はRyzenに劣る
ゲーミングノートPCの定番CPUで人気がある
Ryzenシリーズは第4世代シリーズになって苦手だったゲーミング性能が向上している。やや価格面での優位性が薄れてしまったが、魅力的なCPUであることは間違いない。ノート向けの第3世代Ryzenシリーズは価格が抑えられていて評価が高い。
2021年3月30日にIntel第11世代CPUが登場した。前世代よりシングルスレッド性能は向上したもののマルチコア性能ではRyzenシリーズに比べて劣っている。消費電力の増加も気になるところだ。依然として14nmプロセスを採用していて限界が来ているように思える。
当ページの目次
Ryzen&Intel製CPUの概要
これまでの歩み・歴史
年月日 | Ryzen | Intel |
---|---|---|
2017年01月06日 | Core i7-7700K Core i7-7700 Core i5-7600K Core i5-7400 | |
2017年03月02日 | Ryzen 7 1800X Ryzen 7 1700X Ryzen 7 1700 | |
2017年04月11日 | Ryzen 5 1600X Ryzen 5 1600 | |
2017年04月15日 | Ryzen 5 1500X Ryzen 5 1400 | |
2017年07月27日 | Ryzen 3 1300X Ryzen 3 1200 | |
2017年11月02日 | Core i7-8700K Core i7-8700 Core i5-8400 | |
2018年04月03日 | Core i5-8500 | |
2018年04月19日 | Ryzen 7 2700X Ryzen 7 2700 Ryzen 5 2600X Ryzen 5 2600 | |
2018年09月01日 | Ryzen TR 2950X | |
2018年09月11日 | Ryzen 5 2500X Ryzen 3 2300X | |
2018年10月20日 | Core i9-9900K Core i7-9700K | |
2019年02月01日 | Core i5-9400F | |
2019年03月29日 | Core i9-9900KF Core i7-9700KF | |
2019年05月16日 | Core i3-9100F | |
2019年06月07日 | Core i7-9700F | |
2019年07月07日 | Ryzen 9 3900X Ryzen 7 3700X Ryzen 5 3600X Ryzen 5 3600 | |
2019年12月13日 | Core i9-10980HK Core i7-10875H Core i7-10750H Core i5-10300H | |
2020年02月07日 | Ryzen TR 3990X | |
2020年02月22日 | Ryzen 5 3500 | |
2020年05月20日 | Core i9-10900K Core i9-10900 Core i7-10700K Core i7-10700 Core i5-10600K Core i5-10600 | |
2020年07月18日 | Ryzen 9 3900XT Ryzen 7 3800XT Ryzen 5 3600XT | |
2020年11月06日 | Ryzen 9 5950X Ryzen 7 5800X Ryzen 5 5600X | |
2021年03月30日 | Core i9-11900K Core i7-11700K Core i7-11700 Core i5-11600K Core i5-11400 |
そして、第1世代Ryzenに対抗する形で4ヶ月後の2017年11月にIntelが第8世代CPU(Coffee Lake)が登場。その5ヶ月後に第2世代Ryzenが発売開始となった。この辺りからRyzenが市場シェアを拡大してきた。第2世代Ryzenの脅威に対して2018年10月にIntelが第9世代CPU(Coffee Lake-Refresh)をリリース。その9ヶ月後に第3世代Ryzenが登場している。
その後2019年12月にモバイル向けのIntel第10世代CPUが発売開始となった。その5ヶ月後にやっとデスクトップ向けIntel第10世代CPUが登場した。2020年7月7日にRyzen XTシリーズが登場したが、これは第4世代までの繋ぎと考えてよいだろう。その後2020年11月に待望の第4世代Ryzenシリーズが登場した。そして2021年3月に対抗モデルとしてIntel第11世代が登場というのがこれまでの流れだ。
今後第4世代Ryzenシリーズで登場していない型番がリリースされるはずだ。Ryzen 7 5800/Ryzen 7 5700・Ryzen 5 5600・Ryzen 5 5500など第3世代Ryzenシリーズで中心となっているCPUの後継モデルということになる。発売までかなり待たされている状況だが、これらのCPUが揃えばRyzenシリーズがより優勢な状況になるかもしれない。
AMDがIntelのシェアを超えた
画像引用元:https://www.bcnretail.com/
上記のデータは、BCNによる全国の主要家電量販店及びネットショップのPOSデータを集計したものだ。AMD製CPUのシェアが大きく拡大していることがわかる。2018年10月には27.9%だったものが、2019年6月には50.5%とIntelのシェアを超えた。AMDの株価もうなぎのぼりとなっている。
第3世代Ryzenシリーズのリリースはコストパフォーマンスの高さもさることながらタイミングが良かった。Intel製CPUの生産が追いつかず第8世代CPUから品切れ状態になっていた。第9世代CPUを投入しても品切れの影響が大きくシェアを落とす結果になったということだ。
Ryzenシリーズにとってネックとなるのが各BTOメーカーのラインナップの少なさだ。ただ、第3世代Ryzenシリーズは第2世代までと比べて取り扱いが多いように思える。人気がないからと言って実力が無いというわけではない。どうしても長く最前線にいたIntel製CPUの知名度に及ばないというのが実情だろうか。
Steamでのシェアも大きく伸ばす
引用元:https://steamcommunity.com/sharedfiles/filedetails/
上記は2020年11月~2021年3月までのSteam上でユーザーが使用しているCPUのシェアだ。今ではRyzenシリーズのシェアが30%近くに到達している。2019年10月時点では19.39%だったことを考えると一気に伸びている。第4世代Ryzenシリーズの登場も大きいはずだ。
今では海外だけでなく、国内でもゲーム配信を行うユーザーが爆発的に増えているのは明らかで、Ryzenシリーズの需要が増しているのは間違いない。各ショップでも取り扱いの幅を広げていて一部ショップではIntel製CPU搭載モデルよりも力を注いでいるところもあるくらいだ。
Ryzenの快進撃はIntelの迷走が終わるまで続くだろう。それが何ヶ月、何年先かはわからない。案外Intelが息を吹き返した時には、長らく続いたAMDの天下が終わりを告げる…そんな日になるのかもしれない。
参考:2019年10月~2020年2月までの推移
月間1億近いユーザーが稼働しているSteam上で2019年10月~2020年2月までの期間にゲームをプレイしたPCに搭載されているCPUの割合を表記している。この5ヶ月の間でAMD製CPUは2%も上昇しており、Intel 78.61%に対して21.39%のシェアを持っている。まだまだIntel製CPUの割合は多く、AMD製CPUが主流となるのは難しい。考えようによっては苦手なゲーム用途でも20%以上のシェアを持てる優れたCPUである。
AMD RyzenとIntel Core iのスペック/価格&性能比較
スペック&価格比較
製品型番一覧 | アーキテクチャ | プロセス | コア/スレッド | クロック(最大) | OC | L3キャッシュ | TDP | 発売日 | 定価 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 9 5950X | Zen 3 | 7nm | 16/32 | 3.7GHz(4.8GHz) | ◯ | 64MB | 105W | Q3'20 | $799 |
Ryzen 9 5900X | Zen 3 | 7nm | 12/24 | 3.7GHz(4.8GHz) | ◯ | 64MB | 105W | Q3'20 | $549 |
Core i9-11900K | Rocket Lake | 14nm | 8/16 | 3.5GHz(5.3GHz) | ◯ | 16MB | 125W | Q1'21 | $539 |
Core i9-11900 | Rocket Lake | 14nm | 8/16 | 2.5GHz(5.2GHz) | × | 16MB | 65W | Q1'21 | $439 |
Ryzen 7 5800X | Zen 3 | 7nm | 8/16 | 3.8GHz(4.7GHz) | ◯ | 32MB | 105W | Q3'20 | $449 |
Ryzen 7 3700X | Zen 2 | 7nm | 8/16 | 3.6GHz(4.4GHz) | ◯ | 32MB | 65W | Q3'19 | $329 |
Core i7-11700K | Rocket Lake | 14nm | 8/16 | 3.6GHz(5.0GHz) | ◯ | 16MB | 125W | Q1'21 | $399 |
Core i7-11700 | Rocket Lake | 14nm | 8/16 | 2.5GHz(4.9GHz) | × | 16MB | 65W | Q1'21 | $323 |
Ryzen 5 5600X | Zen 3 | 7nm | 6/12 | 3.7GHz(4.6GHz) | ◯ | 32MB | 65W | Q3'20 | $299 |
Ryzen 5 3600 | Zen 2 | 7nm | 6/12 | 3.6GHz(4.2GHz) | ◯ | 32MB | 65W | Q3'19 | $199 |
Ryzen 5 3500 | Zen 2 | 7nm | 6/6 | 3.6GHz(4.1GHz) | ◯ | 16MB | 65W | Q1'20 | $129 |
Core i5-11600K | Rocket Lake | 14nm | 6/12 | 3.9GHz(4.9GHz) | ◯ | 12MB | 125W | Q1'21 | $262 |
Core i5-11400 | Rocket Lake | 14nm | 6/12 | 2.6GHz(4.4GHz) | × | 12MB | 65W | Q1'21 | $182 |
次にゲーミングPCでは売れ筋のRyzen 7&Core i7を見ていく。第4世代のRyzen 7 5800Xはゲーム適性が高いが価格も高めで選びにくい。そのため、Zen 2アーキテクチャを採用したRyzen 7 3700Xと第11世代のCore i7-11700を比較していく。価格はほぼ同じだ。いずれも8コア16スレッドと非常にスペックが似ている。ただし、Ryzen 7 3700Xは旧世代のCPUでゲーム適性が著しく劣ってしまう。Core i7-11700は、旧世代よりもクロック周波数が高くなりよりゲーム適性が高くなっている。価格も従来モデルと変わらず優位性が高い。
最後に高コストパフォーマンスが特徴のRyzen 5&Core i5シリーズについて比較していく。ここでもZen 3アーキテクチャを採用しているRyzen 5 5600Xは価格が高く比較対象はZen 2アーキテクチャのRyzen 5 3600やRyzen 5 3500となる。ブルー軍からはCore i5-11400を選出した。Ryzen 5 3600とCore i5-11400は非常にスペックが似ている。どちらも6コア12スレッドだ。Ryzen 5 3600は7nmプロセスを採用しているものの第4世代モデルに比べるとゲーミング性能が低い。クリエイター作業での優位性は健在だ。また発売から時間が経っていることから価格はかなり下がっている。
一方で、Core i5-11400はIPCの改善やクロック周波数の引き上げでパフォーマンスが向上している。ゲーム用途を考えるとCore i5-11400に軍配が上がる。Ryzen 5 3600との差はかなり大きい。意外と販売価格も抑えられていて旧モデルと変わらない。Ryzen 5 3500は、Core i5-11400よりも価格の安いモデルだ。税込10万円以下の低価格帯のゲーミングPCに搭載されることが多い。6コア6スレッドというスペックで性能はワンランク落ちる。ゲーム用途では必要最低限の性能だと言える。
総合性能比較
マルチスレッド性能ではRyzen 9 5900Xが圧勝だ。Core i9-11900Kとの差は35%と大きい。やはりいくらIPC改善やAdaptive Boost Technologyなどの機能があっても8コア16スレッドではここが限界だ。動画編集などのクリエイター作業を考えるならRyzen 9 5900Xを選択するべきだろう。
Ryzen 7 3700XとCore i7-11700を比べるとCore i7-11700の方が6%高い。Ryzen 7 5800Xと比べても12%とそれほど差が大きいわけではない。価格が安い分だけCore i7-11700を選ぶ理由もある。Ryzen 5 3600とCore i5-11400を比べても同様の傾向が見られる。上位のRyzen 5 5600Xとの性能差は21%とやや大きいが価格差も大きいので直接の比較対象とはならない。
シングルスレッド性能ではIntel第11世代CPUが強い。Core i9-11900Kが、Ryzen 9 5900Xよりも20%高い。画像編集やゲームプレイを考えるならCore i9-11900Kを選ぶのもよいかもしれない。Ryzen 7 3700XとCore i7-11700でも同様だ。性能差は16%と大きい。Ryzen 5 3600とCore i5-11400の性能差は9%だ。
ゲーミング性能比較
このゲーミング性能&総合性能のバランスと価格を考慮する必要があることは理解しておこう。例えば、Core i9-11900Kはトップのゲーミング性能を持つCPUだが、価格が$539と高い。およそ2%ゲーミング性能が劣るCore i7-11700なら$323とかなり安く抑えられる。また、クリエイター作業も考えているなら$549のRyzen 9 5900Xを選択するべきだろう。ゲーミング性能は4%劣るもののマルチスレッド性能が35%も高い。
搭載ゲーミングPCから見る両者の特徴
ラインナップはIntel搭載モデルが圧倒的に多い
各BTOメーカーが販売しているゲーミングPCを見ればIntel製CPU搭載モデルが多いことに気付く。2021年4月時点での当サイトでレビューをしているモデルを見ると、Ryzen搭載モデルは28.5%(43/151)に留まる。数年前に比べて明らかにRyzenシリーズ搭載モデルが増えてきているもののCore iシリーズが優勢な状況は変わらない。
確かに2,3年前までなら10%にも満たなかったように思う。ドスパラ・パソコン工房・パソコンショップセブンで僅かに取り扱いがあったぐらいだ。ゲーミングノートPCだとより顕著で当サイトでの扱いはわずか3台(3/23)だ。間違いなく今後はRyzen搭載ゲーミングPCのラインナップが増えてくるだろう。もしかしたら全ラインナップの半分がRyzenシリーズで占めるということも起こり得るかもしれない。
当サイトGamingPCs.jpで紹介しているゲームパソコンのレビュー記事をまとめている。価格、CPU、GPU、メモリ等押さえるべきポイントを解説。気になるゲーミングPCがあればチェックしてほしい。
全体で見るとCore i7シリーズの人気が高い
ゲーミングPCではCore i7シリーズ搭載モデルが人気だ。Core i7-11700KやCore i7-11700が該当する。性能と価格のバランスがよいというのがその理由だろう。Core i5シリーズでは物足りなく感じてしまうことが多く、Core i9シリーズだとオーバースペックになりやすい。
また、GTX 1660 SUPERからRTX 3080まで幅広いグラフィックボードとも合わせやすいというのも強い。コストパフォーマンスに優れたモデルを探すとCore i7シリーズ搭載モデルが多い。当サイトの人気ランキングでもCore i7-11700K・Core i7-11700搭載モデルが上位を占めている。
ゲーミングPCおすすめランキング2020年秋版を紹介。コスパの高い最強ゲーミングPCを知りたい方必見だ!情報の信頼性を担保するためにランキング根拠も解説している。番外編として激安ゲーミングPCや海外製の高価なモデルもピックアップ。
低価格帯ではRyzen 5 3500搭載モデルが強い
税込10万円以下の低価格帯のゲーミングPCを見ると、一点Ryzenシリーズが勢いを増す。例えば、最安値モデルを見るとRyzen 5 3500を搭載したドスパラの「Lightning AH5」・マウスコンピューターの「mouse DT6-G」が出てくる。これらは税込7万円台と驚くべき価格設定だ。
少しでも安いゲーミングPCを探している方はRyzen搭載モデルをチェックして欲しい。ミドルクラス以上ならIntel製CPUが強いが、低価格帯を見るとAMD製CPUが強い。Intelの低価格帯を支えるCore i5-11400よりも価格が抑えられるのはメリットだと言える。両者でうまく棲み分けが行われているように思う。
需要があると考えられるおすすめの安いゲーミングPC特集をまとめた。少しでも安くゲーミングPCを購入したいと考える方はぜひ参考にして欲しい。誰だって予算はあるはずなので安く購入したいと思うのは当たり前のことだ。私だって少し …
ゲーミングノートでもRyzenが存在感を示す
ゲーミングノートPCでもRyzenを搭載したモデルが増えてきている。ノート向けのRyzen 4000シリーズが後押しをしている形だ。海外メーカーを中心に搭載モデルが多い。国内だとドスパラから販売されている。少し前までは考えられなかったことだ。
Ryzen 5 4600H搭載モデルの「GALLERIA GR1650TGF-T」や「GALLERIA GR1650TGF-T」なら税込10万円前後で購入することができる。性能面ではIntel Core iシリーズが優勢だが、コスパを重視したいならRyzen搭載ゲーミングノートPCも選択肢に入る。
最新のゲーミングノートPCおすすめランキングを紹介している。ノートパソコンのCPU&グラフィック性能が飛躍的に向上して、デスクトップにも引けを取らない性能が魅力的だ。コスパが高いモデルを厳選しているので是非参考にして欲しい。
リアルな環境でのパフォーマンスはIntelが優勢!?
Intelは、AMDの台頭に当たって長い間実際の環境でのパフォーマンスを重視すべきだと訴え続けている。具体的には多くのメディアで採用されているPCMARK 10やCinebench R20は実際の環境に即したベンチマークソフトとは言えないということだ。
多くのメディアで言われているようにAMD Ryzenシリーズの方がマルチスレッド性能が高いというのは違う結果になってしまう可能性がある。こういった意見があるということを知った上でCPUを選ぶことが重要だろう。
Intelが主張するベンチマークの弊害
CPU性能の最適な計測方法は何?
出典:(NOTEBOOKCHECK, 2020)
Our position is that the only consistent and reliable measure of performance is the execution time of real programs…
一貫性があって信頼性の高い唯一の性能の計測方法は、実際のプログラムの実行時間だというのが私達の見解です。
Intelとしては、実際のプログラムでパフォーマンスを見て欲しいということだ。確かにRyzenシリーズが特にゲームプレイで極端にパフォーマンスが低下してしまうのは気になってしまう。Intelが全て正しいというわけではないが、言いたいことはわかる。
Cinebench R20が常に最適とは言えない
出典:(WCCFTECH, 2020)
Cinebench R20は、多くのメディアで活用されているベンチマークソフトだ。ただし、1つの画像のレンダリングするという特殊性から実際の環境を反映しているとは言えない。それよりもプレゼンテーションの作成・動画の視聴・画像の編集・ゲームプレイなどより一般的な利用を想定したベンチマークの方が有効だ。
IntelとしてはSYTMARK 25がよい
出典:(NOTEBOOKCHECK, 2020)
同様に多くのメディアで採用されているPCMARK 10も一般的な利用を想定したベンチマークとは言えないということだ。あまり一般的なベンチマークソフトとは言えないが、SYSMARK 25の方がより参考になるとIntelは発表している。
ノート向けCPUの総合性能-Intel発表
アプリケーションの性能を比較
Core i7-10750Hの方が、Ryzen 7 4800Hよりも最大25%高性能であるということだ。PCMARK 10でも実際のアプリケーションの使用を想定したPowerPoint及びExcelではCore i7-10750Hの方がスコアが高くなっている。その他WEBブラウザ・画像編集などでも同様だ。
ゲーム性能を比較
Cinebenchや3D MARK PhisicsのスコアではRyzen 7 4800Hのスコアが高い。しかしながら、ゲームプレイ時の平均fpsではIntel Core iシリーズが優勢だ。下位モデルであるCore i5-10300Hでも最大10%パフォーマンスが高い。これは多くのメディアでも同様の結果が出ていることから信頼性してもよいだろう。Intelが言うベンチマークは当てにならないというのはこのテーブルからも一目瞭然だ。
ゲームテスト一覧-補足
Core i7-10750HとRyzen 7 4800Hのフレームレートを計測すると36のタイトルの内35のタイトルでCore i7-10750Hが上回っている。そして残りの1つも同等の数値となっているだけでRyzen 7 4800Hが上回っているわけではない。
デスクトップゲーミング性能-Intel発表
ゲーム性能を比較
デスクトップ向けCPUでも同様の結果が得られている。Core i7-10700Kは、多くの人気タイトルでRyzen 9 3900XTを上回るfpsを出している。Total Warで最大23%、Rocket Leagueで14%と圧倒的だ。
ゲームテスト一覧-補足
24/30のタイトルでRyzen 9 3900XTと同等あるいはより優れたスコアを出した。$387のCPUが、$499のCPUを上回るのは圧巻だ。やはりゲームプレイを基準にするのであればIntel製CPUを選ぶべきだと言えるかもしれない。
これまでのRyzen&Intelの比較から見る総評&レビュー
ゲーム用途ではIntelを基本に考えよう
ゲームに活かせる性能としてはi7-11700>Ryzen 7 3700Xとなっている。これはグラフィックボードとの相性もあり、何かがボトルネックとなっている可能性もある。一方で、CPUの処理性能としてはRyzen7 3700Xを始め、第3世代のRyzenシリーズは非常に優秀だ。最新の第4世代Ryzenシリーズも価格は割高だが、総合性能が高い。
何でもバランス良くこなせるRyzenとゲームに特化したIntelだ。この図式は変わらないが、ゲーミング性能については第4世代Ryzenシリーズになって肉迫している。個人的な見解となるが、現時点ではゲームをプレイするという前提があるのであればIntel製品に分があると考えている。Intel第11世代のCore i7シリーズやCore i5シリーズでは価格的にも有利な状況が続いている。
これはRyzenのほうが高速処理に長けているとは言え、Intel製品が大きく劣るというわけでもないからだ。Intel製CPUの価格が大きく下がったことで、Ryzenが圧倒的に安価なモデルではなくなったというのも大きい。第4世代Ryzenシリーズになって価格が上がってしまったのは致命的だ。
低価格帯のモデルを狙うならRyzenもあり
低価格帯のゲーミングPCでは第3世代Ryzenシリーズの存在感が増してきているように思う。特に10万円以下のモデルでは圧倒的だ。価格が安くそれなりのゲーミング性能を持つというのは心強い。また、これまでIntelの一強だったゲーミングノート向けCPU市場にもRyzenシリーズが入り込んでいる。ドスパラの「GALLERIA GR1650TGF-T」を中心としてIntel製CPUにはない立場を築いている。
AMD Ryzenの登場は単純な性能面だけではなく市場へ良い影響を与える。ユーザーにとっては更に選択肢が広がり、非常に良い傾向にあると言えるだろう。ただ、ショップにあるRyzen搭載モデルはIntel搭載モデルに比べてまだまだ少ない。メーカーの担当者によると売上的にも良くない状態が続いているということだ。
もっとも、この売上が良くないという点においては、自作ユーザーに人気だという背景があるからだろう。Ryzen搭載のゲーミングPCの存在感は薄いわけではなく、Intel製品との価格差がほとんどない状態だからだ。CPU単体で見れば選択する価値はあり、コストパフォーマンスは優秀だが、搭載モデルとなるとその長所は失われがちだ。
これからもRyzenの進化に期待が持てる
第4世代Ryzenシリーズになってゲーミング性能が上がりIntelとの差は縮まっている。その上でマルチコア性能が高いので、ゲーマーだけではなく幅広い用途を考えている方におすすめできる。第4世代RyzenシリーズもRyzen 7 5700・Ryzen 5 5600が発売されれば今のネックである価格の問題を解消できるかもしれない。
比較的新しいRyzenシリーズはいち早く7nmプロセスを採用して有利な立場にあるのではないかと思う。Intelの第11世代に対してまだ第4世代だ。進化のスピード・期待値・将来性…これらは圧倒的にRyzenに分がある。Intelは次世代の10nmプロセス次第ではあるが、Ryzenは今後CPUにおける唯一の選択肢に成長する可能性も十分にある。第4世代では届かなかったが、覇権を奪い主流のCPUになる日も遠くないだろう。
たくさんのアプリケーションを同時に起動し、複数の作業を同時にこなすのであればRyzen。総合性能では劣るが、コア単位の性能に優れ、ゲームやフォトショップなどの特定のアプリケーションで真価を発揮しやすいIntel。これが評価であるものの、用途を分けて評価したとして、どちらを選んでも圧倒的な差があるわけではない。製品がそれぞれ一つずつしかないのであればこれで完結なのだが、そうではない。
例えば、Core i5-11400と同じ価格帯のRyzen 5 3600では総合的に見てもCore i5-11400のほうが僅かに優れる。結果的にどの価格帯・性能帯を選ぶかによって優劣が逆転することもある。複雑な関係もあり、分かりやすいIntel製品を選ぶほうが無難であり万能でもある。
参照外部サイト一覧
- 11th Gen Intel Core: Unmatched Overclocking, Game Performance(Intel Newsroom, 2021)
- Intel still leans on gaming comparisons to prove its worth, but it may have shot itself in the foot this time around(NOTEBOOKCHECK, 2020)
- Intel Claims 10th Gen Core i7-10750H CPU Offers Up To 37% Faster Gaming Performance Than AMD’s Ryzen 7 4800H ‘Renoir’ APU, Up To 25% Higher Productivity Performance In “Real-World’ Benchmarks(WCCFTECH, 2020)
ガレリアのAXFとXFだと、YouTubeでApexなどのpcゲームのライブ配信などをするにはAXFの方が良いのでしょうか?
ストレスなくみやすいのはどちらでしょうか?
ライブ配信にあたって、ゲーム+配信+何かの何かにはどういった事が含まれるでしょうか?
コメントありがとうございます。
>ガレリアのAXFとXFだと、YouTubeでApexなどのpcゲームのライブ配信などをするにはAXFの方が良いのでしょうか?
GALLERIA XFとAXFを比較すると配信に向いているのは間違いなくAXFです。特にGALLERIA XFのCPUがi7-9700Fにダウングレードされている今はGALLERIA AXFが圧倒的です。
>ストレスなくみやすいのはどちらでしょうか?
こちらは視聴者側という視点で考えます。この点については、どちらも同じと考えて良いでしょう。
ただし、GALLERIA AXFは性能が高い分動画の負荷を高くすることができますので、GALLERIA AXFの方がストレスを感じてしまう可能性は上がります。
それでもビットレートを調整すれば対応できます。
>ライブ配信にあたって、ゲーム+配信+何かの何かにはどういった事が含まれるでしょうか?
ライブ配信にあたっての「何か」とはその他のCPU負荷がかかるアプリケーションやツールのことを指します。それらに対応しやすいのがCPU負荷に強いRyzenシリーズです。動画の編集ソフト、キャプチャーソフト、仕事で使用するツール等も含まれます。
これらは操作していなくても、起動していれば負荷が発生します。例えば、ゲームを配信しながらDiscordやSkypeなどのボイスチャットツールもそうです。ゲーム+配信以外の「何か」ソフトやツールを起動していても安定するという表現で記載しました。人それぞれ起動するソフトやツールが違うので、明確に記載出来ませんでした。分かりにくい表現となってしまい、申し訳ありませんでした。
以上です。
よろしくお願いいたします。