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CPUの2大メーカーであるIntel CoreとAMD Ryzenの特徴を比較していく。BTOパソコンで購入できるIntel Core Ultraシリーズ/Intel第14世代Core iシリーズとAMD Ryzen 9000/Ryzen 7000/Ryzen 5000/4000シリーズを取り扱う。なお、Ryzen 5000/Ryzen 4000シリーズはBTOパソコンでは人気だが、単体CPUの在庫は減少傾向にあり、着実に次世代のRyzen 9000/Ryzen 7000シリーズへと世代交代が進んでいる状況だ。

世代の異なるモデルが入り乱れていてユーザーからすると複雑に感じてしまうかもしれない。今だとゲーム適性の高さからAMD製CPUが人気だ。幅広い価格帯・性能帯をカバーできているのは大きい。Intel製CPUはまずは次の項目の比較表を見て欲しい。これでざっくりと両メーカーの特徴を把握できるはずだ。各CPUの性能や価格の詳細については、「CPU比較表【性能ベンチマーク・コスパが丸わかり】」を参考にしてほしい。

Intel CoreとAMD Ryzenシリーズの概要

  • Core Ultraシリーズ2 ★★★☆☆
  • →最新モデルだがゲーム性能が伸び悩む。特にCore Ultra 9/Core Ultra 7シリーズは旧世代に大きく劣る。BTO人気は今ひとつだが、世代交代が進みつつある。

  • Intel第14世代シリーズ ★★★★☆
  • →Core i7/Core i5シリーズは根強い人気がある。ゲーム性能もCore Ultraシリーズ2/Ryzen 9000シリーズと同等以上。徐々に搭載モデルは減少傾向にある。

  • Ryzen 9000シリーズ ★★★★★
  • →3D V-Cache搭載モデルの人気が高い。キャッシュの配置を変更することでクロック周波数の引き上げに成功。マルチコア性能も旧世代から大きく改善している。

  • Ryzen 7000シリーズ ★★★★★
  • →Ryzen 7 7800X3D/Ryzen 7 7700の人気が高い。ミドルクラスのRyzen 5 7500Fは過小評価されている。AM5ソケットの将来性が高くアップグレードしやすい。

  • Ryzen 5000/4000シリーズ ★★★★★
  • →Ryzen 7 5700X/Ryzen 5 4500は低価格帯BTOパソコンで高いシェアを誇る。Ryzen 5 5600やRyzen 5 5500も狙い目。

今は選べるモデルが多く悩んでしまうだろう。ここまで複数世代のモデルを選べるのは珍しい。今はAMD製CPUが人気だ。Ryzen 9000/Ryzen 7000/Ryzen 5000シリーズなど幅広い価格帯・性能帯が揃っている。ゲーム性能をとことん追求するならRyzen 7 9800X3D/Ryzen 7 7800X3Dなどの3D V-Cacheモデルがおすすめだ。他のモデルとは一線を画す性能を持つ。

Intel CoreとAMD Ryzenの比較表【概要】

Core Ultraシリーズ2 Intel第14世代 Ryzen 9000 Ryzen 7000 Ryzen 5000/4000
イメージ Core Ultra 9 285K Core i7-14700 BOX Ryzen 7 9700X ryzen77700x ryzen75700x
発売日 2024年10月24日 2023年10月17日 2024年08月08日 2022年09月27日 2020年10月09日
ラインナップ Core Ultra 9 285K
Core Ultra 7 265K(F)
Core Ultra 7 265(F)
Core Ultra 5 245K(F)
Core Ultra 5 235
Core Ultra 5 225(F)
Core i9-14900KS
Core i9-14900K(F)
Core i9-14900(F)
Core i7-14700K(F)
Core i7-14700(F)
Core i5-14600K(F)
Core i5-14500
Core i5-14400(F)
Core i3-14100(F)
Ryzen 9 9950X3D
Ryzen 9 9900X3D
Ryzen 7 9800X3D
Ryzen 9 9950X
Ryzen 9 9900X
Ryzen 7 9700X
Ryzen 5 9600X
Ryzen 5 9600
Ryzen 9 7950X3D
Ryzen 9 7900X3D
Ryzen 7 7800X3D
Ryzen 9 7950X
Ryzen 9 7900X
Ryzen 7 7700X
Ryzen 7 7700
Ryzen 5 7600X
Ryzen 5 7600
Ryzen 5 7500F
Ryzen 7 5800X3D
Ryzen 7 5700X3D
Ryzen 9 5950X
Ryzen 9 5900X
Ryzen 7 5800X
Ryzen 7 5700X
Ryzen 5 5600X
Ryzen 5 5600
Ryzen 5 5500
Ryzen 5 4500
MSRP $246-$589 $109-$689 $279-$649 $229-$699 $159-$799
国内価格 26,889円~94,960円 13,980円~77,980円 38,800円~109,800円 32,410円~126,800円 9,980円*~49,980円*
プラットフォームコスト 高い 安い 高い 高い 安い
ソケット LGA1851 LGA1700 AM5 AM4 AM4
BTO人気 ・通常

・3D V-Cache搭載
・通常

・3D V-Cache搭載
・通常

・3D V-Cache搭載
省電力性(消費電力) ・通常

・3D V-Cache搭載
・通常

・3D V-Cache搭載
・通常

・3D V-Cache搭載
ゲーミング性能 ・通常

・3D V-Cache搭載
・通常

・3D V-Cache搭載
・通常

・3D V-Cache搭載
マルチコア性能 ・通常

・3D V-Cache搭載
・通常

・3D V-Cache搭載
・通常

・3D V-Cache搭載
シングルコア性能 ・通常

・3D V-Cache搭載
・通常

・3D V-Cache搭載
・通常

・3D V-Cache搭載
特徴 ゲーム性能が伸び悩む バランスがよく人気がある X3Dシリーズの存在感が凄い 比較的コスパが高い 終売が近くBTOメイン

*中古価格

Intel Core Ultraシリーズ2/Intel第14世代CPU・AMD Ryzen 9000/Ryzen 7000/Ryzen 5000(Ryzen 4000含む)の5つに分類してそれぞれの特徴をまとめた。Ryzen 5000/Ryzen 4000シリーズの取り扱いは少なくなってきている。ソケットAM5のRyzen 9000及びRyzen 7000シリーズへの世代交代が着実に進みつつある。Intel第14世代Core iシリーズはまだ潤沢な在庫がありそうだ。

黄色のマーカーを付けたモデルが特に注目のCPUだ。価格を重視するならIntel第14世代Core iシリーズかAMD Ryzen 7000/Ryzen 5000シリーズがよい。現行モデルだとRyzen 7 9800X3DやRyzen 7 9700Xが人気だ。価格はやや高めだが、ゲーム性能が高くコストパフォーマンスは良好だ。

AMD Ryzenシリーズは4世代に渡るモデルが選択できる。BTOパソコンでの人気も高い。Ryzen 9000/Ryzen 7000は、マザーボード及びメモリなどプラットフォームコストが高く割高だ。それでも悪いことばかりではなく、しばらくは同じプラットフォームを使用できるので長い目で見れば選択肢として悪くなさそうだ。3D V-Cache搭載のRyzen 7 9800X3D/Ryzen 9 7900X3D/Ryzn 7 7800X3D辺りはユーザーから支持されている。

省電力性はRyzen 9000/Ryzen 7000シリーズが優れている。Intel第14世代CPUはやや見劣りしてしまう。Core Ultraシリーズ2も悪くない。もっとも省電力性を重視しているユーザーがいるのかどうかは疑問だ。パソコンを使っていて消費電力を意識するユーザーは少ないはずだ。CPUよりもグラフィックボードの方が消費電力が高いので電源ユニット選択の際に重要なポイントになる。グラフィックボードに比べるとCPUの消費電力は相対的に小さい。

ゲーミング性能は3D V-Cache搭載のRyzen 9000X3D/Ryzen 7000X3Dがずば抜けて高い。次いでRyzen 9000シリーズやIntel第14世代が続く。Intel第14世代CPUはゲーム性能・マルチコア性能・シングルコア性能のバランスがよい。最新のRyzen 9000シリーズではシングルコア性能に磨きが掛かっている。

2024年10月に登場したIntel Core Ultraシリーズ2は正直選びづらい。マルチコア性能については順当に向上しているが、ゲーム性能が前世代よりも低くBTOパソコンでの人気もいまいちぱっとしない。ベンチマーク計測でIntel第14世代Core iシリーズに劣ることがある。今後ファームウェアやソフトウェアのアップデートで改善される可能性がある。今すぐ購入する必要はないのではないかと思う。

Intel CoreとAMD Ryzenの性能比較

ゲーミング性能

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3D V-Cache搭載のRyzen 9000X3D/Ryzen 7000X3Dシリーズがゲーミング性能のトップを占める。次いでCore i9-14900KS・Core i9-14900Kが続く。現行トップのRyzen 7 9800X3Dは、Intel第14世代のフラグシップモデルであるCore i9-14900KSと比べておよそ15%も性能が高い。注意点としては、全てのタイトルで高いパフォーマンスを発揮するわけではなく、L3キャッシュ容量が効くタイトルだけだ。もっともそれでもトップクラスのゲーム性能を持つことは間違いない。どのタイトルをプレイするのかで判断しよう。

Ryzen 9000X3D/Ryzen 7000X3Dシリーズを除けばIntel第14世代CPUが優勢だ。Intel第14世代のCore i9-14900KS/Core i9-14900Kがトップで、それにCore i9-14900・Core i7-14700Kと続く。Core i5-14600KでさえもRyzen 9000シリーズでもっともゲーミング性能の高いRyzen 7 9700Xと同等だ。Core i5-14400のみやや後退といった形だ。これはCore i5-14600K以上のモデルではPコアに最新のRaptor Coveが採用されているのに対して、Core i5-14400ではPコアがGolden Coveのリフレッシュモデルであることが要因だろう。

Intel Core Ultra 200Sシリーズは全く振るわない状況であることがわかる。最上位モデルであるCore Ultra 9 285Kでも性能スコアは36,785と、Core i5-14600Kをかろうじて上回る程度だ。Core i9-14900Kとの性能差は7%と大きい。Core Ultra 7 265KやCore Ultra 5 245Kも同様に思ったほどのパフォーマンスを発揮できていない状況だ。ゲームプレイを考えるならまだCore Ultra 200Sシリーズには手を出さない方がよさそうだ。

3D V-Cache搭載モデルを除くRyzen 9000シリーズについて見るとフラグシップモデルのRyzen 9 9950XとミドルクラスのRyzen 5 9600Xで性能が逆転している。ゲームプレイだけを考えるならCCX×1基搭載のRyzen 7 9700XやRyzen 5 9600Xを選択するのが吉だ。これはCCXの仕様上の問題だと言える。Ryzen 9シリーズではCCX×2基を搭載することで12コア・16コアを実現していて、CCX間でのやり取りが必要でレイテンシが発生してしまうのだ。これがゲームプレイにおいてマイナスになってしまう。

Ryzen 7000シリーズのRyzen 7 5700XやRyzen 5 5500の価格が下がっていて選びやすくなっている状況だ。Core i5-14400と同等のゲーミング性能を持ち価格はCore i5-14400よりも安い。Ryzen 5 4500については他のモデルと別枠で考えてもよいのではないかと思う。アーキテクチャ的には2世代前のZen 2となる。Intel製CPUと比べると性能はツーランク以上落ちるが、コストパフォーマンスを重視するなら候補に入れてもよいだろう。今は中古でしか手に入れる術がないのは残念だ。BTOパソコンでは現役だ。

総合性能

intel-amd-multicore
総合性能では最新のRyzen 9 9950X3DがトップでRyzen 9 9900X・Core Ultra 9 285K・Core i9-14900KS・Ryzen 9 7950X・Core i9-14900Kと続く。当然コアが多いほうが有利だ。最新のCore Ultra 9 285Kを含むArrow Lake世代のモデルではハイパースレッディングを廃止している。24コア24スレッドと従来モデルのCore i9-14900K(24コア32スレッド)から実質スペックダウンだが、プロセスの微細化などアーキテクチャの改良でパフォーマンスが大きく向上している。

Core i9-14900Kは24コア32スレッドとコア数が多いが、高パフォーマンスコアであるPコアとパフォーマンスを抑えたEコアを合わせたコア数となっている。全てがPコアで16コア32スレッドというスペックのRyzen 9 9950Xには劣る。Ryzen 9シリーズは高い総合性能を持っている。ゲーム以外の用途を考えるならRyzen 9 9950XやRyzen 9 9900Xは魅力的なCPUといえるだろう。予算が許すならRyzen 9 9950X3Dも魅力的な選択肢となる。第2世代になり3D V-Cache搭載モデルの弱点である発熱の問題をクリアして高いクロック周波数を実現している。これが高いマルチコア性能につながっている。まさかXシリーズを上回るとは思わなかった。

販売されているBTOパソコンから見る両者の特徴

BTOメーカーの取り扱いも大きく変わっている

gamingpc_white
10年以上BTOパソコを紹介するメディアを運営する側から見ても明らかにAMD製CPUの取り扱い方が変わっていることを感じる。AMD製CPUを搭載したゲーミングPCを前面に押し出しているのが明らかだ。

thirdwave-g-amdlineup
ドスパラのTHIRDWAVE-Gブランドでは上位ランキングをAMD製CPU搭載モデルが占めている。ガレリアブランドでもAMD製CPUが人気だ。

nextgear-lineup-amd
マウスコンピューターのNEXTGEARブランドではそもそもIntel製CPUの取り扱いがない。ショップ側からしてもコストパフォーマンスの高さからゲーマー受けすると考えているのだろう。

tsukumolineup-amd
TSUKUMOのG-GEARブランドでは並びがIntel→AMDからAMD→Intelへと変わっている。これは数年前まででは考えられなかったことだ。当サイトでのAMD製CPUのレビュー数が急増中だ。2025年11月時点での当サイトでレビュー数を見ると、AMD Ryzen搭載モデルは63.6%(63/99)と半分以上を占めている。昨年2024年9月時点では30.8%(47/120)だったことを考えると大きく伸ばしていることがわかる。

Steamのシェアは40%を超えている

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ゲーミングプラットフォームSteamでのシェア率(Steam, 2025)を見てもAMDは42.89%とシェアを伸ばしている。Intelは57.11%となる。一時はIntelが80%を超えるシェアを持っていただけに驚くしかない。Core Ultraシリーズ2の性能が思ったほどではなくユーザーからすると期待外れなのかもしれない。プラットフォームコストが高いことやゲーム性能が低いことから伸び悩んでいるとはっきり感じている。

AMD Ryzenシリーズで主流となっているのはRyzen 7 9800X3D・Ryzen 7 7700・Ryzen 5 7500F・Ryzen 7 5700X・Ryzen 5 4500だ。ゲーム特化型・バランス型・コスパ型とうまくラインナップがそろっている。複数世代にまたがってラインナップがあることとマザーボードのソケットが2種類しかなくアップグレードしやすいのが強みになっているように思う。Ryzen 5 4500は10万円以下のゲーミングPCで人気があるが、性能は低く将来性が高いわけではない。

とにかくコストを抑えたいユーザー向けといえる。できればRyzen 5 5500かRyzen 7 5700Xを最低基準に考えるとよい。当サイトのおすすめランキングを見てもIntel製CPUは、Intel第14世代Core iシリーズが中心でCore Ultraシリーズ2を搭載したモデルの数は少ない。

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