Ryzen 9 3900X画像引用元:https://www.ark-pc.co.jp/

当ページでは、Ryzen 9 3900Xのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。第3世代のRyzenシリーズはパフォーマンスが高い。このRyzen 9 3900Xは、12コア24スレッドと高いマルチスレッド性能を持つCPUだ。ハイエンドモデルであるAMD Threadripper 2920Xの後継モデルに当たる。12コア24スレッドのCPUがついにメインストリームに降りてきた。ゲーム用途としてはややオーバースペック気味でこれだけのスペックを活かせるのかは気になるところだ。

実際のゲームプレイではどのようなパフォーマンスを発揮するのだろうか。ゲーム+αで考えているゲーマーの方必見だ。詳細をまとめたのでぜひ参考にしてほしい。上位モデルは16コア32スレッドの「Ryzen 9 3950X」だ。より高いマルチスレッド性能を持ち動画編集や3D CADなどCPU負荷の高い作業を得意としている。なお、すでにRyzen 9 3900Xの後継モデルである「Ryzen 9 5900X」がリリースされている。Zen 3アーキテクチャになってゲーム適性が向上している。

よくわかる!!Ryzen 9 3900Xの特徴まとめ

コードネームZen 2
プロセス7nm
コア/スレッド数12コア/24スレッド
定格/最大クロック3.8 GHz/ 4.6 Ghz
L3キャッシュ64MB
TDP105W
発売日2019年7月7日
MSRP$749
中古価格25,980円~
評価・総合評価
5.5

・ゲーム評価
3.0

Ryzen 9 3900Xの基本情報

スペック

9 3900X9 3950XThreadripper 2920Xi9-9900K
メーカーAMDAMDAMDIntel
アーキテクチャZen 2Zen 2Zen+Coffee Lake
プロセス7nm7nm12nm14nm
トランジスタ数76億76億192億-
ダイサイズ148m㎡148m㎡213 mm²180 mm²
コードネームZen 2Zen 2Zen+Coffee Lake-R
CPUコア数1216128
スレッド数24322416
定格クロック3.8 GHz3.5 GHz3.5 GHz3.6 GHz
最大クロック4.6 GHz4.7 GHz4.3 GHz5.0 GHz
L3キャッシュ64MB64MB32MB16MB
対応メモリDDR4-3200DDR4-3200DDR4-2933DDR4-2666
CPU内蔵グラフィックス非搭載非搭載非搭載UHD Graphics 630
TDP105W105W180W95W
MSRP$499$749$625$488
中古価格25,980円43,980円データなし38,980円
発売日2019年7月7日2019年11月25日2018年10月29日2018年10月20日
Ryzen 9 3900Xは12コア24スレッドと驚きのスペックを持つCPUだ。前世代のZen +アーキテクチャで言えばThhreadripper 2920Xが該当する。新しいプロセス7nmを搭載して省電力性及びパワー効率が大きく向上した。Zen 2は革新的なアーキテクチャだと言える。Intelがまだ14nmであることを考えると一歩どころか二歩ぐらい前を行っているだろう。問題はこのスペックが実際の環境で十分に発揮できるかどうかだが、それは後述のベンチマークを参考にしてほしい。

上位モデルのRyzen 9 3950Xと比較していく。同じZen 2アーキテクチャを採用している。トランジスタ数及びダイサイズも共通だ。CPUコア及びスレッドがそれぞれ33%高く16コア32スレッドとなる。動画編集などメニーコアが有利になる用途に最適だ。定格クロックはRyzen 9 3900Xの方が9%高く、最大クロックはRyzen 9 3950Xの方が3%高い。L3キャッシュ容量は64MBと変わらない。対応メモリはDDR4-3200となる。TDPは105Wと共通だ。スペックが強化されていることを考えるとRyzen 9 3950Xの省電力性の高さが光る。価格差は$250とかなり大きい。

AMDの「Threadripper 2920X」と比較すると第3世代Ryzenシリーズの進化具合がイメージしやすい。コア数/スレッド数は同じ12コア24スレッドとなっている。定格クロック10%アップ、ブーストクロック7%アップとしっかり性能面の向上も見られる。L3キャッシュも32MB→64MBへと倍増している。Threadripper 2920Xは、スペックほどゲーミングパフォーマンスは伸びなかったが、Ryzen 9 3900XではL3キャッシュの恩恵もありスコアが上がっている。何よりも価格が$499と20%安く、消費電力も105Wへと大幅に引き下げられた。より一般消費者向けのモデルへと変貌している。

競合となるIntel Core i9-9900Kと比較するとスペックは大きく勝っていることがわかる。コア数及びスレッド数は50%アップとなった。ブーストクロックは7%劣るものの定格クロックは4%高くなっている。L3キャッシュは16MB→64MBと驚きの4倍となっている。これによってゲームのレイテンシ低減に良い影響を与えるということだ。ようはゲームプレイ中のフレームレートが向上する。ただし、実際はゲームプレイにおいてはまだまだIntelには及ばない。

総合性能

Ryzen 9 3900Xは、2019年に発売されたCPUですでに3年近くの年月が経過しているがまずまず高いパフォーマンスを持っている。今でも十分通用するCPUだと考えてよいだろう。上位モデルであるRyzen 9 3950Xとの差は10%以上だ。後継モデルであるRyzen 9 5900Xは同じ12コア24スレッドというスペックで12%程度性能が引き上げられている。

コア及びスレッド数が多いことでCore i9-9900KよりもCPU性能は高い。性能差は40%以上となっている。この性能はゲーミングだけではなくあくまでも総合性能であることを理解してほしい。ゲームプレイ時には全く異なるスコアとなる。基本的にZen 2アーキテクチャのCPUはゲームプレイに弱い傾向がある。ゲームプレイを考えるならIntel製CPUを選ぶとよいだろう。

Intel第12世代のAlder Lake世代のモデルはAMDにとって脅威になる。Core i7-12700は、12コア20スレッドとスペックが強化されRyzen 9 3900Xを上回るパフォーマンスを発揮する。フラグシップモデルであるCore i9-12900Kは16コア24スレッドというスペックでCPU市場のトップに君臨する。16コア32スレッドのRyzen 9 3950Xでさえも軽く上回る性能を誇る。

Ryzen 9 3900Xの最新評価【2023年】

22,000を超えるスコアはまずまず

ryzen93900xgamescore
Ryzen 9 3900Xのゲーム性能は22,154とまずまずのスコアだ。ただし、Ryzen 9シリーズというグレードを考慮すると評価はよくない。上記テーブルは各CPUのゲーム性能をまとめたものだ。ゲーム目的で購入を考えている方は避けるべきだ。もちろん、12コア24スレッドとスペックが高くマルチコア性能を見ればまた異なる評価となるかもしれない。22,154とスコアはIntel第9世代のCore i5-9400相当だ。

より新しいモデルで言えば今でも低価格帯のゲーミングPCで採用されることの多いRyzen 5 5500に近い。上位モデルのRyzen 9 3950Xとの性能差はないと考えてよさそうだ。性能的には頑張って60番台のグラフィックボードとの組み合わせとなるだろう。なお、次世代のRyzen 9 5900Xになると一気にゲーム適性が向上して性能差は22%程度と大きい。IPCの改善などでより高いゲーミング性能を発揮する。

ゲーム用途でもコスパは最低クラス

製品名コア/スレッドゲーム性能価格コスパ
Core i7-9700K8/823,84722,9801.038
Core i7-97008/823,67521,9801.077
Core i5-9600K6/622,54713,9801.613
Ryzen 9 3950X16/3222,25243,9800.506
Ryzen 9 3900X12/2422,15425,9800.853
Ryzen 7 3700X8/1621,81115,9801.365
Ryzen 5 36006/1221,4678,9802.391
Ryzen 5 4500*6/1221,02611,0001.911
Core i3-101004/820,0698,9802.235
Ryzen 9 3900Xのコストパフォーマンスは上位モデルのRyzen 9 3950Xに次いで最低クラスだ。Ryzen 9 3900Xを購入すべきユーザーはゲーマーではなくクリエイターの方だろう。できる限り予算を抑えつつコア・スレッドを増やしたいと考えている方ならばっちり当てはまるように思う。12コア24スレッドというスペック自体は現行モデルと比べても見劣りしない。ゲームプレイを考えるならCore i5-9600K・Ryzen 7 3700X・Ryzen 5 3600あたりのモデルがおすすめだ。Ryzen 5 4500であれば新品で購入できる。

Ryzen 9 3900Xの特徴詳細

12コア24スレッドとしては格安のCPU

Ryzen 9 3900Xは、12コア24スレッドの高性能CPUとしては格安モデルだと言える。かつてのAMD製最高峰のCPUだった「Threadripper 2920X」よりも高性能でかつ価格も安いとなればお買い得であることは間違いない。AMDが好きな方にとってはこの上ない選択肢となるだろう。

ただし、ゲームプレイのみで考えているとコストパフォーマンスは高くない。ゲーム+αを考えている方におすすめのCPUだと言える。例えば、ゲーム配信・動画編集・RAW現像・3DC CADなどが挙げられる。これらの用途は、Ryzen 9 3900Xが得意とする分野だ。クリエイターの方もぜひチェックしておこう。

下位モデルのRyzen 7 3700XやCore i7-9700Kの方が価格も安く十分な性能を持っているからだ。特にIntel製CPUには大きく遅れを取ってしまっている。Ryzen 9 3900Xではマルチスレッド性能が必要となるゲーム配信・動画編集・RAW現像など+αで考えて選ぶべきだろう。発売から1年経って1万円程度安く購入できるようになっている。最新のRyzen 9 5900Xが高価なので選択肢に入れてもよいのではないだろうか。

新規格「PCIe Gen.4」に対応している

当該CPUは、PCIe Gen.4に対応となった。従来のPCI3 Gen.3と比較すると2倍の帯域幅を持っていてグラフィックボード及びSSDの性能向上に貢献する。ただし、現時点でGen.4に対応しているものはRadeon RX 5700/RX 5700 XTのみとなっている。今後、対応モデルが増えてきたときに真価を発揮することになることが期待される。

その後Radeon 6000シリーズ(RX 6900 XT etc.)なども対応している。なお、PCI3 Gen.4を活用するにはグラフィックボードもAMD X570チップセットに換装する必要があることを追記しておく。1から組み立てるとなるとある程度の費用が掛かってしまう。それでもIntelよりも優れている点として推しておきたい。特にフラグシップモデルのRyzen 9シリーズなのだからなおさらだ。

消費電力がやや高いので電源ユニット選びには注意

Ryzen 9 3900Xの消費電力は、カタログ上では105Wとなっているが、実際の環境では150Wを超えてくることもある。Intel製CPUと比べても消費電力が高いので、電源ユニットには気を使っておきたい。熱対策も必須だ。

電源ユニットの容量は600W以上・規格は80PLUS SILVER以上が好ましい。BTOパソコンならある程度余裕を持った電源ユニットが搭載されているので安心できる。完成品としtねおゲーミングPCでは基本的には750W GOLDが最低基準となっている。

Ryzen 9 3900Xのゲームベンチマーク一覧

Farcry 5

farcry5

Core i9-9900K134.5
107.7
Ryzen 9 3900X115.3
86.3
Ryzen 7 3700X114.2
88.5
Threadripper 2920X97.4
73.0
Ryzen 7 2700X96.4
73.0
平均99th
Farcry 5プレイ時のスコアはやや伸びない。TD 2920Xよりも20%高いもののCore i9-9900Kよりも15%劣っている。当該タイトルの最適化は今後のアップデート次第といったところだろうか。Zen 2アーキテクチャの限界と言えるかもしれない。

Final Fantasy XV

final fantasy xv

Core i9-9900K169.7
110.4
Ryzen 9 3900X166.4
118.4
Ryzen 7 3700X163.4
118.2
Ryzen 7 2700X151.2
106.6
Threadripper 2920X148.8
104.8
平均99th
FF 15については、Core i9-9900Kと同等のスコアを出している。むしろ安定感ではRyzen 9 3900Xに軍配が上がる。TR 2920Xが、苦手としていたゲームの対応度も上がっている。注目すべきはRyzen 7 3700Xの適正の高さだろう。ほぼRyzen 9と同じだ。コストパフォーマンスの高さが見える。

Hitman 2

hitman2

Core i9-9900K113.3
61.7
Ryzen 9 3900X100.7
58.6
Ryzen 7 3700X99.4
58.4
Ryzen 7 2700X81.9
48.2
Threadripper 2920X79.8
47.0
平均99th
やはりCore i9-9900Kが強い、Ryzen 9 3900Xに対して13%の差を付けている。Ryzen 7 3700Xと比べるとほどんど差がないが、それでもRyzen 7 2700Xよりも20%以上高いスコアを出しているのはさすがだ。ゲーミングパフォーマンスを見るとTR 2920Xとは比べるまでもない。

その他アプリケーションのベンチマーク

Cinebench R20

cinebenchAMD Ryzen 9 3900X-cinebench

マルチスレッド性能の高さが光る。TRよりも33%高くなっている。シングルスレッド性能についてもCore i9よりも高くなっている。ポテンシャルは非常に高いようだ。マルチスレッド性能を活かせる用途で使っていきたい。

Handbrake

handbrakeRyzen 9 3900X-handbrake

動画のエンコードに掛かる時間を計測している。Core i9-9900Kよりも25%も早くエンコードが完了する。TR 2920Xよりも30%早くZen 2の凄さがわかるだろう。7nmプロセス化による性能向上は目を見張るものがある。

7 Zip

Ryzen 9 3900X-7zip

Zipファイルの解凍及び圧縮速度を計測。TR 2920Xよりも解凍速度は12%、圧縮速度は10%早くなった。Core i9-9900Kはやや苦戦している。

Ryzen 9 3900X搭載おすすめゲーミングPC

GALLERIA ZA9R-R70S(ドスパラ)

GALLERIA XA7C-R70S (2)価格:209,980円
CPU:Ryzen 9 3900X
GPU:GeForce RTX 2070 SUPER
メモリ:DDR4 16GB
SSD:1TB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:750W GOLD

RTX 2070 SUPER×Ryzen 9 3900Xを搭載したゲーミングPCだ。12コア24スレッドのRyzen 9 3900Xを搭載していることでオールラウンドに対応できるゲーミングPCに仕上がった。FULL HD環境以上でのゲームプレイだけではなくゲーム配信やその他PC作業にも対応しやすい。ゲームプレイだけを考えるならCPU性能を落としてグラフィックボードに投資をした方がよい。メモリ16GB、SSD 1TB NVMe対応Gen4と構成も充実している。20万円以上のモデルとして納得できる構成だ。

GALLERIA ZA9R-R80S(ドスパラ)

GALLERIA XA7C-R70S (2)価格:209,980円
CPU:Ryzen 9 3900X
GPU:GeForce RTX 2080 SUPER
メモリ:DDR4 16GB
SSD:1TB NVMe対応 Gen4
HDD:非搭載
電源:750W GOLD

ハイクラスのゲーミングPCだ。Ryzen 9 3900Xを搭載していてゲームプレイ+αで通用する一台となっている。12コア24スレッドとマルチコア性能の高さが特徴だ。ゲームだけで使い切るのは難しくゲーム配信なども考えているゲーマーの方向けだと言える。グラフィックボードのRTX 2080 SUPERは、4K解像度にも対応できる高いゲーミング性能が魅力だ。メモリ16GB、SSD 1TB NVMe対応Gen4と充実の構成もドスパラらしい。電源ユニットは750W GOLDで安定したゲームプレイを約束してくれる。

LEVEL-R0X5-R93X-VWA(パソコン工房)

LEVEL-R027-i7-RNR価格:234,800円
CPU:Ryzen 9 3900X
GPU:GeForce RTX 2080 Super
メモリ:DDR4 16GB
SSD:480GB
HDD:2TB
電源:850W GOLD

Ryzen 9 3900X搭載モデルとしては手頃な価格で購入できる。グラフィックボードにはRTX 2080 Superを搭載。4K解像度にも対応できる高いパフォーマンスを持つ。メモリ16GB、SSD 480GB、HDD 2TBと構成も充実している。消費電力が高いモデルでも電源ユニットに850W GOLDを搭載しているため安心だ。

ZEFT R9R07(セブン)

SR-ii9-8862GS6GPW10価格:256,800円
CPU:Ryzen 9 3900X
GPU:GeForce RTX 2080 Super
メモリ:DDR4 16GB
SSD:480GB
HDD:非搭載
電源:750W 80PLUS GOLD

RTX 2080 Super搭載のゲーミングPCだ。Ryzen 9 3900Xとの相性もばっちり。CPU性能も格段に向上して動画編集や動画配信なども得意としている。メモリ16GB、SSD 480GBの構成となっているもポイントだ。カスタマイズをするとすればストレージぐらいだろう。

GALLERIA AXZ(ドスパラ)

galleriaxg価格:299,980円
CPU:Ryzen 9 3900X
GPU:GeForce RTX 2080 Ti
メモリ:DDR4 16GB
SSD:1TB
HDD:2TB
電源:850W PLATINUM CORSAIR

Ryzen 9 3900Xを搭載したゲーミングPCはまだまだ少ない。RTX 2080 Tiを搭載したGALLERIA AXZは税抜き30万円と登場したばかりで強気の設定だ。少しでも早く手にしたいという方でなければもう少し待つのが得策だろう。当然性能では申し分ない。4K解像度でのゲームプレイも可能だ。構成も充実していてメモリ16GB、SSD 1TB、HDD 2TBと十分だろう。電源ユニットも850W PLATINUMと消費電力の高さをカバーできる。

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ベンチマークテスト環境

desktoppc

GPUNvidia GeForce RTX 2080 Ti
メモリ2x 8GB G.Skill Flare DDR4-3200
ストレージ2TB Intel DC4510 SSD
電源ユニットEVGA Supernova 1600 T2, 1600W
マザーボードMSI MEG X570 Godlike