ゲーミングPCが手元に届いたら確認すべきことと初期設定について解説している。すぐにでもゲーミングPCを起動してゲームをプレイしたい気持ちはわかるが、少しだけ待って欲しい。また届いてないという方も予習のつもりで目を通していただければと思う。
まず初めに伝えておくと、ゲーミングPCの初期設定は簡単だ。これまでパソコンを購入したことがない初心者の方でもこのページに沿って対応すればばっちりだ。初めてゲーミングPCを購入した方は設定ができるかどうか不安になってしまうだろう。もしかしたら、BTOメーカーが提供する有料の初期設定代行サービスあるいはパソコン設置サービスを利用しようと考えている方もいるかもしれない。
確かにメーカーが設定してくれるのであれば安心だ。ただし、数千円から数万円の費用が掛かり正直それだけの費用を支払う価値はないと考えている。企業にとって利益率の高いサービスの一つだ。当然ご自身で設定をすれば費用を浮かせられる。
当ページの目次
ゲーミングPCと同梱物の確認
丁寧に梱包されていることが確認できる。どこのBTOメーカーも梱包および配送での故障リスクを減らすための試行錯誤の跡が見える。パソコンが届いたらダンボールを開き、まずは同梱されている付属品を確認しよう。本体・電源ケーブル・マウス・キーボード・説明書・納品書・その他特典などだ。ここ最近の傾向としてマウスやキーボードはオプション扱いになっていることが多い。
私自身内容を確認せずだいぶ後になってから電源ケーブルが同梱されていなかったことに気づいたことがある。当然購入から時間が経ってから付属品が足りなかったとはショップには言えるわけもない。慣れている方も必ず確認しておく必要がある。
最近のゲーミングPCは基本的に光学ドライブが非搭載だ。リカバリ用の回復ドライブをディスクメディアで作成する場合は外付けの光学ドライブも準備しておこう。なお、Windows 10以降はOSのインストールディスクやリカバリディスクは非同梱が当たり前となり必要な方はご自身で用意しなければいけない。
同梱物チェックリスト
- 本体
- 電源ケーブル
- 説明書
- 納品書
- マウス(オプション)
- キーボード(オプション)
- その他特典
- OSディスク(非同梱なことが多い)
- ドライバディスク(非同梱なことが多い)
本体・電源ケーブル・説明書・納品書はどのBTOメーカーでも同梱されていると考えてよい。マウスやキーボードについては基本ついてこない。カスタマイズで追加した場合のみ確認しよう。OSディスク・ドライバディスクはショップ次第だ。ゲームがセットになったゲーミングPCの場合はシリアルコードが同封されているので忘れずにダウンロードしておこう。
購入時には記載されていなかったゲームプレゼントもある。これは主にNVIDIA製GPU搭載モデルを購入した際に付随してくるようだ。場合によってはハイエンドGPU限定ということもある。ショップによってはお得なキャンペーン付きの広告が同梱されていることもある。応募でゲームが当たるものやアンケート回答でポイント獲得など様々だ。
ゲーミングPC起動前に確認すべきこと
ゲーミングPC起動前に確認しておくべきことをまとめている。慣れている方でも忘れてしまうことがあり、盲点となっている箇所もあるので必ず確認しておこう。通常ゲーミングPCには1週間から2週間程度の初期不良期間が設けられている。早い段階で問題がないか確認するためにも起動は必ずしておこう。
ネット環境
Windows 11を利用するにはネット環境が必須だ。有線でも無線でも問題はない。マザーボードがWi-Fiに対応していればスムーズだ。無線子機を用意しておけば簡単に接続できる。価格も安く利便性が高い。コマンドプロンプトを使えばオフラインで行えるが、正規の方法ではないため推奨しない。
電源ケーブル
ゲーミングPC本体に電源ケーブルを接続してコンセントに差し込もう。最近のモデルであれば本体下部に設置されていることが多い。本体の電源ボタンは「◯」と「ー」の2種類がある。少しわかりにくいが、「ー」の方がONだ。通電をイメージするとわかりやすいかもしれない。故障したかもと思ったら電源ユニットのONになっていなかったというケースも多い。バイクのキルスイッチみたいなものだ。
モニターケーブル
次にモニターケーブルを接続しよう。ケーブルは、マザーボード側ではなくグラフィックボード側に接続する必要がある。マザーボード側に接続してしまうとパフォーマンスが引き出せずフレームレートが低くなってしまう。間違ってしまうユーザーが多いためか、BTOパソコンの多くは”使用しません”という注意書きと共に、シールなどで接続できないようになっている。
接続端子にも注意が必要だ。グラフィックボードのほとんどがDisplayPort×3とHDMI×1の構成だ。144Hz以上のリフレッシュレートでのゲームプレイにはDisplayPortあるいはHDMI 1.3以上での接続が条件となる。HDMIでWQHD・144Hzを実現するには、HDMI 2.0以上での接続が必須となる。
モニター側もHDMIかDisplayPortに対応していなければならない。中にはDVIやVGAのみにしか対応していないものもある。古いモニターは要注意だ。HDMI・DisplayPortに対応していてもケーブルがなければ意味がない。ケーブルは高価なものではない。所持していないなら予め購入しておこう。変換コネクターでDVI-DをDisplayPortに変換することもできるが、コネクターを使うと高リフレッシュレートに対応できなくなってしまう。
正常にゲーミングPCが起動しない場合の対策
正常にゲーミングPCが起動しない場合に簡単にできる対策をまとめている。初期不良期間中に問題が発生したのであれば、すぐにBTOメーカーに連絡するといい。まずはここで紹介している方法を試してからがいいだろう。そのためにもゲーミングPCが届いたら、できるだけ早めに起動し、確認することを推奨したい。
最小構成で起動する
最小構成は、まずメモリを1枚だけ残して外す。まずはこの状態で正しく起動するか確認してほしい。パソコンの最小構成での起動は、メモリを最小の1枚だけ挿入した状態を指すことが多い。これでも正しく起動しなければグラフィックボードも取り外し、モニターはマザーボード側に接続する。この状態で起動できるかを確認する。ただし、CPU内蔵グラフィックス非搭載のCPUでは対応できない。一度正しく起動することができれば外したパーツを取り付けても起動することができるようになるだろう。
稀に、グラフィックボードを搭載することでモニターが真っ黒なままになることがある。その場合はモニターをマザーボード側につけてドライバーの再インストールなどを試みよう。工場から出荷された時には正しく動作していても、何らかの原因により正常に起動しなくなることがある。よく確認される症状となっているので、不具合が発生した場合はこの手順で起動できるかを確認して欲しい。
どうしても起動できないのであれば次の項目をチェックしよう。注意点として、グラフィックボードの下側を通すような配線のまとめ方をするモデルもある。グラフィックボードの取り外しは想定されていないのか、引っかかってしまい、断線のリスクが生じる。グラフィックボードを外すのは最終手段に考えたい。
ストレージのアクセスランプを確認する
ゲーミングPCのアクセスランプを確認しよう。ゲーミングPC本体と電源付近にマークと光源があるはずだ。ここが点滅していればSSD/HDDなどのストレージにアクセスできていることになる。点滅していない場合はストレージにアクセスできていないので配線の確認が必要だ。このような場合、BIOSの設定やウイルスが原因であることが多い。
しかし、買ったばかりのパソコンでウイルス感染は考えにくく、BIOSの設定が不適切なら工場出荷時のテストをクリアすることができないので、新品のパソコンでここまで来ると少し厄介だ。起動はしてもモニターが映らないなら復旧作業が必要となり、その作業は慣れていないと手間取る可能性が高い。新品のパソコンでこのような症状が発生した場合、これは初期不良の可能性が高い。
正しい手順で様々な原因を予測し復旧しても、初期状態でエラーが出ていたことを考えると何かがおかしいままの可能性もあるので、購入したショップに問い合わせて初期不良のサポートを受けよう。注意点として現在のゲーミングPCにはアクセスランプを採用していないものが多い。ストレージのアクセスランプは、HDDランプ・HDDアクセスランプと言われるように、HDDの動作を確認するためのランプだ。
SATA接続のSSDが主流だった頃は、アクセスランプも機能していた。M.2 SSDが主流になると、アクセスランプは徐々に廃止されるようになった。M.2 SSDではアクセスランプが正常に動作しないことがあるからだ。そのため、パーツのコストを削る一般向けのケースでは採用されるケースもあるが、ゲーミングPCではほとんど採用されていない。現在のゲーミングPCでは確認できないことなので、アクセスランプを確認することの重要性は低くなっている。
再起動を試みる
初期不良の中には起動自体は正常に行えるケースもある。起動してから酷くカクついたり、マウスのカーソルが飛んだりする不具合があることを理解しておこう。正常に起動できた後にマウスやキーボードの操作、ファイルの読み込みができるかの確認はしておきたい。滅多にないことだがストレージ・デバイス・ドライバーの不具合が発生することもある。
こういった不具合は再起動で改善することもあるので、一度再起動してみてほしい。それでも改善しなければ、ドライバーの再インストールかOSの初期化が必要になる。手元にドライバーのディスクがあれば再インストールをしてみてもよい。ここまで来たら素直にBTOメーカーに問い合わせて初期不良のサポートを受けた方が無難だ。
ゲーミングPCの初期設定まとめ
Windows 11の初期セットアップ
ゲーミングPCが問題なく起動すればWindows 11の初期セットアップを行う必要がある。下記に流れをまとめているので参考にしていただければと思う。基本的には指示に従うだけで特別難しいことはない。スキップができるものはスキップして必要に応じて後から設定すればオッケーだ。
セットアップ手順
- 日本を選択して”はい”を押下する
- キーボード入力方式を確認して”はい”を押下する
- 2つ目のキーボードレイアウトの追加項目で”スキップ”を押下する
- ネットワークに接続して”次へ”を押下する
- デバイスの名前について”今はスキップ”を押下する
- ライセンス契約を確認して”同意”を押下する
- Microsoftエクスペリエンスのロックを解除する項目で”サインイン”を押下する
- Microsoftアカウント追加でメールアドレスを入力して”次へ”を押下する
- パスワードを入力して”サインイン”を押下する
- ”新しいPCとしてセットアップする”を押下する
- PINのセットアップをして”OK”を押下する
- デバイスのプライバシー設定の選択項目を選んで”次へ”を押下する
- セキュリティ対策については”スキップ”を押下する
- エクスペリエンスのカスタマイズについても”スキップ”を押下する
- PCから電話を使用するについても”スキップ”を押下する
- PC Game Passについても”今はしない”を押下する
- 更新プログラムの確認を待つ
- デスクトップ画面が立ち上げればセットアップ完了となる
Microsoftのアカウントを所有していない方は新しくサインアップ(登録)を行うとよい。
以前使用していたパソコンのデータを引き継ぎたい場合は”このPCから復元する”を押下する。
CPUとグラフィックボードを確認
タスクマネージャーを開いて搭載されているCPUとグラフィックボードを確認しておこう。グラフィックボードがうまく認識されていないとGPUの表示がうまくされない。きちんとグラフィックボード側に接続されているかどうか確認しよう。合わせてメモリ容量の確認もできる。タスクマネージャーは、「Ctrl+Alt+Delete」を同時に押して開くことが可能だ。DirectX診断(DxDiag)からもCPU・グラフィックボードを確認できるが、タスクマネージャーの方が簡単だ。
ゲーミングモニターのリフレッシュレート設定
ゲーミングモニターを使っている方はリフレッシュレートの設定も行おう。システム→ディスプレイから”ディスプレイの詳細設定”を押下して設定を行う。
希望するリフレッシュレートを選択しよう。表示されるリフレッシュレートはゲーミングモニターのスペックに依存する。
グラフィックボードを最新ドライバーに更新
グラフィックボードのドライバーを最新バージョンにアップデートしておこう。NVIDIAが提供する無料ソフトウェアである「GeForce Experience」を使えば簡単にアップデートが可能だ。ソフトウェア上部の”ドライバー”タブをクリックすれば現在公開されている最新のバージョンを確認できる。
ソフトウェアをダウンロードしたくないならNVIDIAの公式サイトから直接ドライバーをダウンロードすることもできる。GeForce Experience自体は必須のソフトウェアというわけではない。
アプリのインストール&アンインストール
BTOメーカーが販売しているゲーミングPCではほとんどソフトウェアがインストールされていない状態で出荷される。最初からインストールされているのは、Steam・体験版のセキュリティソフトぐらいだ。Steamについてはゲーマーなら必須と言えるソフトなのでそのままインストールしておいてもいい。セキュリティソフトについては私自身そこまで必要性を感じておらず、すぐにアンインストールしている。
頻繁にポップアップが出てきて目障りだというのも要因の一つだ。体験版の期限が近づくとゲームプレイ中でも警告が表示され、マウスのセンシが高くなったり、視点移動がなったりするなどストレスになる。何よりもWindows標準のセキュリティであるWindows Defenderが優秀で、それだけで事足りると考えている。
Windows Defenderだけでは不安なら別途無料のセキュリティソフトをインストールしておけばよい。注意点として、無料のアンチウイルスソフトはあの手この手で有料登録を迫ってくる。「ウイルスが40個見つかりました、アップグレードをすると解決できます」というような文言は常套手段で、ウイルスではなくパソコンの速度を遅くしている原因を解決するためにという言い回しもある。
不要なソフトやツールをインストールしないことも重要だ。頻繁に広告のようなものがポップアップとして出てくるなど快適性が失われてしまう。悪質なソフトウェアだと対象のソフトウェア以外のソフトも同時にインストールしてしまうものもある。もちろんチェックを外すなどで対策ができるのだが、そこまで細かく読み込んでいるユーザーは少ないのではないかと思う。
ブラウザは同期機能や拡張機能の豊富なChromeやFirefoxがおすすめだ。今あるブラウザ設定を引き継ぐことができるのはありがたい。その他、これまで使用してきたソフトウェアはインストールしておこう。動画編集ソフト、マイクロソフトオフィス、メーラーなどだ。
PCの置き場所を検討
最後に、パソコン自体に直接関係ないが、パソコンの置き場所を考えることも推奨する。壁から一定の距離が離れていて風の通りがよいスペースを探すとよい。ゲーミングPCのパフォーマンスを引き出すためにも真剣に向き合って欲しい。基本的には机の下に置くのが最適だと考えている。
ゲーミングPCで一般的なミドルタワーやミニタワーならスペース的に机の下でないと設置は難しいだろう。実はミニタワーとは言っても本体は大きく机の上を圧迫してしまう。キューブ型やスリムタワーケースであれば机の上に置いても違和感はないが、ゲーミングPCではあまり一般的ではない。
実際にゲーミングPCを机の下及び机の上に設置したイメージ写真を掲載。安定している場所に設置できれば第一関門はクリアだ。