ゲーミングPCにおすすめの電源ユニットの紹介及び性能ごとに必要な電源容量を解説している。電源ユニットはパソコンの各パーツに電源を供給してくれる重要なパーツだ。ゲーミングPCの購入時あるいは自作で作る際に迷ってしまうかもしれない。種類も多く電源ユニットのメーカーや電源規格・電源容量を考える必要がある。このページを読めばあなたの抱えている問題が解決するはずだ。
当ページの目次
ゲーミングPCと電源について
電源ユニットはパソコンの心臓部分
デスクトップPCには電源ユニットが必須だ。電力なくして全てのパーツが動作することは不可能だからだ。電力が不足するとパーツに電力が行き渡らず、動作が不安定になったり起動しなくなったりする。パソコン上級者になると電源にコストを掛けるようになる。電源はパソコンの心臓である。全ての機能がこの電源に集約されていると言っても過言ではない。
CPU・グラフィックボード・メモリ・ストレージなど、搭載するパーツそれぞれに電力が必要だ。全てのパーツに必要な電力に少し余裕を持たせた容量が最低限の電源容量となる。電力消費が大きいパーツとしてはCPU及びグラフィックボードが挙げられる。高性能になればなるほど消費電力は高くなる。高性能なゲーミングPCになると1000W以上の電源容量が推奨されることもある。グラフィックボード非搭載のビジネスモデルでは400Wや450Wも珍しくない。
これでもかなり省電力化が進んでいる方だ。5年前では1200Wなどの大容量電源ユニットが当たり前に推奨されていた。CPUもグラフィックボードもプロセスの微細化が進み省電力性に磨きが掛かっている。もっとも現行のハイエンドであるGeForce RTX 4090やGeForce RTX 4080ではそれなりに消費電力が高い。
今は高品質な電源が増え、粗悪な電源は大きく数を減らしている。これは80PLUS認証という規格が広く認知されたからだ。80PLUS認証の電源の登場は2004年くらいで、発売当時は種類も少なく認知されていなかったように思う。今ではどのゲーミングPCでも80PLUS認証が搭載されている。
電源で失敗することがなくなり、安心してパソコンを選べるようになった。電源はパソコンの全てである。ここを妥協してしまっては不安定な動作に繋がる。BTOショップで最もカスタマイズされる項目が電源と言われている。あまりコストを掛けず、モデルの品質を高められるのでカスタマイズするメリットは大きい。
コストパフォーマンスから考えても間違っていない。また、電源の交換は非常に手間が掛かる。寿命が長いに越したことはない。電源は性能を司るパーツと比べて価格通りの品質で選びやすい。初心者でもカスタマイズしやすく、上級者は必ずと言っていいほどカスタマイズを行う。そんな重要な部分が電源である。
BTOショップでの購入は安心してよい
BTOショップの電源ユニットの品質を不安視するユーザーは少なくない。ネット上で様々な情報が氾濫しているのでそれは仕方がないかもしれない。今では大手のBTOショップも昔は粗悪な電源を採用していたことで悪名を轟かせた。電源を原因とする不具合が多発し、今でもその印象が強いのか評判が悪い。実際は優秀な電源を搭載するようになっていたが、一度広がった悪評はなかなか収まらない。
当時はあそこは電源が地雷だから辞めておいた方がいいと色々なところで言われたものだ。80PLUS認証が広く普及したことで、電源によるトラブルは大幅に減少した。はショップ側で必ず起動や動作のチェックが行われているので安心して購入することができる。負荷テストなどで耐久性をチェックした上での販売となる。基本的に電源容量不足になることはない。この動作確認は初期不良を減らすことにも繋がる。
BTOショップでは基本的に80PLUS認証の電源を搭載していると考えてよい。どこのショップも電源には力を入れ、最低限の品質は確保されている。一部ホワイトボックスを採用するドスパラやマウスコンピューターのようなショップでも80PLUS認証済みだ。標準構成で確実に動作が約束できるものが搭載されている点で安心できる。
ショップで電源のメーカーが記載されていない場合、多くはホワイトボックスを採用している。これはメーカー製の電源をBTOメーカー専用に変更したものだ。コストを抑えつつ品質を一定に保てるメリットがある。メーカーは持ち回りなのか定期的に変更されている。パソコンの組み立てを行う工場とサイトの管理が別の場所というのは珍しくない。
これがメーカーや型番を記載できない要因である。ノンブランドや品質に難のある製品というわけではない。必ず同じメーカーの物が採用されるか分からないことで控えているだけだ。在庫状況などにもよって変動するので、そのときに最適な電源ユニットが選択される。
品質は最低限の水準を必ず満たしており、カスタマイズしなくても安全に使用できる。80PLUS認証されているということは電源の変換効率が一定以上であることの証だ。非認証の粗悪品は変換効率がバラバラであるため安定しない。この認証があるのとないのとでは品質に大きな違いが出る。BTOショップはその辺りがしっかりしているので選びやすい。
認証規格の種類
電源ユニットの認証規格にはいくつか種類がある。基本的には80PLUSだけ押さえておけば問題ない。80PLUS以外にも認知度が少し高くなった認証規格を紹介しておく。2024年6月時点ではそれほど重要度が高いわけではないので、こういうものもあるんだぐらいで認識しておけば十分だ。まだまだ積極的に採用しているメーカーは多くない。
80PLUS認証
グレード | TITANIUM | PLATINUM | GOLD | SILVER | BRONZE | STANDARD |
負荷率10% | 90%以上 | - | - | - | - | - |
負荷率20% | 92%以上 | 90%以上 | 87%以上 | 85%以上 | 82%以上 | 80%以上 |
負荷率50% | 94%以上 | 92%以上 | 90%以上 | 88%以上 | 85%以上 | 80%以上 |
負荷率100% | 90%以上 | 89%以上 | 87%以上 | 85%以上 | 82%以上 | 80%以上 |
80PLUS認証電源ユニットの重要性についても触れる必要があるだろう。多くのデスクトップパソコンに搭載される電源ユニットは80PLUS認証を受けた製品が主流となっている。それぞれの規格で電源変換効率を良さを表している。規格が上がるほど高性能になる。
この変換効率は500W BRONZEであれば410W~425W、500W GOLDであれば435W~450Wのように、変換効率が高ければ高いほど表記に近い総電源容量を生み出すことができる。つまり、規格が高ければ高いほど安定しやすくなるということだ。当然、規格が上がれば上がるほど価格も跳ね上がっていく。
500W TITANIUM(450W~470W)と600W STANDARD(480W)の場合600W STANDARDのほうが価格が安く、総電源容量が高くなるので、規格を上げるよりも電源容量をアップさせたほうがコストパフォーマンスがよい場合もある。また、500Wの場合など消費電力がそれほど多くない場合は規格を上げるメリットが薄い。700W以上から規格にこだわっていくほうがよいのではないかと思う。
Cybenetics ETA
グレード | DIAMOND | TITANIUM | PLATINUM | GOLD | SILVER | BRONZE |
変換効率(平均) | 93%以上 | 91%-93% | 89%-91% | 87%-89% | 85%-87% | 82%-85% |
力率(PF) | 0.985以上 | 0.980以上 | 0.975以上 | 0.970以上 | 0.960以上 | 0.950以上 |
5VSB変換効率 | 79%以上 | 77%以上 | 76%以上 | 75%以上 | 73%以上 | 71%以上 |
待機電力 | 0.10W未満 | 0.13W未満 | 0.16W未満 | 0.19W未満 | 0.22W未満 | 0.25W未満 |
変換効率は80PLUSと同等だが、特定の負荷率での値を採用しているのではなく動作範囲全体が評価対象だ。計測時の環境温度も30℃と23℃の80PLUSよりも条件が厳しい。力率は供給された電力の内何%が有効に働いたかを示す。5VSB変換効率は待機時などに有効な効率化を計測している。待機電力は電源が供給されていない時の電力のことだ。
Cybenetics LAMBDA
グレード | A++ | A+ | A | A- | STANDARD++ | STANDARD+ | STANDARD |
動作音 | 15dB未満 | 15dB-20dB | 20dB-25dB | 25dB-30dB | 30dB-35dB | 35dB-40dB | 40dB-45dB |
こちらは各電源ユニットの動作音を評価したものだ。メーカー公表の数値は環境が同じではなく参考にしかならない。Cybenetics LAMBDAのような同一環境での計測には意義があるように思える。
ゲーミングPCにおすすめの電源ユニット
単体で電源ユニットの購入を考えている方向けにおすすめのモデルを紹介しておく。
玄人志向 KRPW-BR650W/85+(650W BRONZE)
画像出典:https://www.kuroutoshikou.com/
Corsair RM850 White(850W GOLD)
画像出典:https://www.corsair.com/
MSI MEG Ai1300P PCIE5(1300W PLATINUM)
画像出典:https://jp.msi.com/
CPU …i5-12400F
メモリ…16GB
Cドライブ…1TB(SSD)
Dドライブ…6TB(HDD)
GPU…RTX3050
の構成を考えているのですが、電源容量は600Wで足りるでしょうか?
コメントありがとうございます。RTX 3050の推奨電源容量が550Wなので600Wなら足りると言えます。
ストレージが増えても消費電力はそれほど大きく変わりません。
今後CPUやグラフィックボードの換装などを考えているなら700W or 750Wの電源を視野に入れても良いでしょう。
PCを作ろうと思っているのですが
CPU:Corei7-9700K
GPU:GTX1070
メモリ:DDR4 16GB×2
マザーボード:ROG STRIX Z390-F GAMING
の組み合わせの場合どのくらいの
電源容量にすればいいですか?
コメントありがとうございます。
その構成ですと600Wもあれば十分だと思います。
オーバークロックを検討しているのであれば700Wほど見ておくと安心です。
規格はBRONZE以上なら好みと予算に合わせた選択で良さそうです。
よろしくお願いいたします。
返信ありがとうございます。
ご指摘いただいたメーカーの600Wの電源狙いで行きたいと思います。なかなかCPUとGPU以外のパーツの消費電力が見当つかなかったのでとても参考になりました。ありがとうございました。
わざわざお礼を頂戴し恐縮でございます。
また何かありましたらお気兼ねなくご連絡いただければと思います。
それでは今後共当サイトをよろしくお願い致します。
初めまして。色々な記事を参考にさせていただいています。
初めて自作パソコンを作ろうと考えているのですが、電源の容量をどれぐらいにすればいいのか悩んでいます。
CPU:Corei7 6700
GPU:Geforce GTX 970
メモリ:DDR4 16GB
マザーボード:ASUS H170 PRO
SSD 250GB
で組もうと思っています。今の所、V750 Semi-Modular RS750-AMAAG1-JPを考えているのですが、750GBもこの構成で必要なのか分かりません。是非アドバイスお願いします。
コメントをいただきありがとうございます。私の考えをまとめさせていただきましたので参考にしていただければと思います。
結論としては750Wまでは必要はなく500W~600W程度で十分だと考えます。
主要部品であるCPUとグラフィックボードの消費電力(TDP)を調べると分かりやすいかと思います。今回想定されるCPUとグラフィックボードは下記の通りです。
・i7-6700 TDP 65W
・GTX970 TDP 145W
この二つでの消費電力は210Wです。
メモリはそこまで消費電力に大きく影響してこないのであまり気にする必要はないでしょう。メモリのオーバークロックや動作速度の優れた製品を搭載予定ですと消費電力は少し高くなりますが、それでもまだ影響は低いでしょう。
マザーボードがH170ということなのでメモリはDDR4-2133になると思います。マザーボードの他にも光学ドライブや社外製のCPUファンや増設する可能性のあるHDDなどを考慮していくと多少ズレてしまいます。
しかしながら、それらのパーツがCPU+グラフィックボードの合計消費電力に迫ることはそうそうありません。細かく正確な数値は出せませんが、理想は500W以上で450Wあれば動作は可能でしょう。電源容量はギリギリを狙うよりも少し余裕を持たせたほうが良いです。
例えば400W消費するとして、使用率80%となる500Wよりも使用率約57%となる700Wのほうが稼働率は抑えられます。
それにより熱を抑える効果も期待できますので、選択肢にある750Wというのもあながち無駄というわけではありません。ただ、750Wも必要なのかと言われると必要ではありません。
CoolerMasterやSeasonic、SilverStone辺りはとても優秀で人気がありますから、理想的な選び方をされていると思います。コストパフォーマンスを考慮するなら500W~600W辺り、今後増設や交換を検討するかもしれないのであれば650W~くらいでいいかもしれません。
以上が私の考えです。参考になれば幸いです。