memory

「ゲーミングPCにメモリは何GB必要なのか?」そして「シングルチャネルは本当に性能が落ちるのか?」

今回は、メモリ8GB・16GB・32GBの各容量でゲーム性能の徹底検証を行った。特に注目したいのが、16GBでの「シングル vs デュアル」の比較だ。最近はメモリ価格の高騰もあり、あえてシングルチャネルを採用するBTOメーカーも増えているが、実際のところ性能にどれだけの差が出るのだろうか。体感できるほどの性能差は出ないというのが結論だ。メモリの役割など基本については、解説記事「メモリとは | パソコンパーツの基礎」もチェックしてみてほしい。

ゲーミングPC(BTO)とメモリに関する考察

32GB搭載モデルのラインナップが増加

frontier-memory32gb

ドスパラ △ GALLERIAブランドの一部
マウスコンピューター 〇 G TUNEブランドの大半
パソコン工房 △ LEVEL∞ブランドの一部
フロンティア ◎ ほぼすべてのモデル
TSUKUMO ◎ ほぼすべてのモデル

BTOパソコンでも32GBを搭載したモデルが増えつつある。フロンティアやTSUKUMOはラインナップのほとんどが32GB搭載だ。マウスコンピューターもプレミアムブランドのG TUNEでは32GB搭載モデルが多くなっている。一方で、ドスパラとパソコン工房はまだまだ16GB搭載モデルが大半を占めている。今後メモリ価格の高騰が落ち着けば32GBを搭載したモデルが増えてくるかもしれない。

steam-memoryvolume出典:(Steam, 2026)

Steamの最新統計データを見ても、16GBが40.24%で32GBが38.02%とほとんど変わらない数値となっている。予算に余裕があれば32GBを選択しておくのがよさそうだ。BTOメーカーが32GB搭載モデルを販売するのは必然だ。64GBはまだまだ一般的とはいえない。32GBのシェアが増えているのはゲームの推奨要件が引き上げられていることも要因ではないかと思う。シューティングタイトルを除けばほとんどのタイトルにおいてメモリ16GBが推奨されている。

最新のパルワールドではついにメモリ32GBが推奨となった。もちろんタイトルによっては設定や解像度にこだわりがなければ8GBでも対応できることもあるが、基本的には16GB以上を選択しておくことが好ましい。16GBが主流の状況で16GBが推奨容量に指定されるというのは、これまでのことを考えると異常事態とも言える。

24GBに一定のユーザーがいるのは8GB×2枚組から8GB×3枚組へと増設したからだと推察される。中途半端な容量は自作ユーザーの間では割りと見られる。最新のゲームへの対応として、そういったモデルが登場してもおかしくはない。ハイクラス以上のゲーミングPCでも16GB搭載モデルが主流だが、ゲームの展開次第で32GBへ置き換わる可能性もある。今でも16GBに対する不安はある。価格がそれほど高くなるわけではないので、ハイクラス以上のモデルは32GBも視野に入れておきたい。

シングルチャネル採用のBTOパソコンが登場

Lightning-G AT5Wright
THIRDWAVE AD-R7A57A-01specs
ドスパラではコストを抑えるためにいち早くシングルチャネルを採用したBTOパソコンへと切り替えた。16GB搭載モデルが中心で、8GB×2枚組のデュアルチャネルから16GB×1枚のシングルチャネルへと変更されている。コスト的に16GBを1枚搭載する方が安いということだろう。同様にフロンティアでも一部のモデルでシングルチャネルを採用している。うまく価格が抑えられているのでユーザーからすると意外と悪くないかもしれない。

ちゃんと見ていないと見逃してしまうので注意しよう。これまでのように当たり前にデュアルチャネルが採用される時代ではなくなった。なお、BTOパソコンでシングルチャネルはマイナスばかりではない。後から32GBへアップグレードする際に16GBのメモリを追加するだけでいいからだ。8GB×2枚組だとすべて買い替えるからよりパフォーマンスの落ちる4枚組となってしまう。

メモリ容量別のゲーム性能を計測

amdsocketam5-2024

検証機 ベンチマーク検証機AMDソケットAM5
OS Windows 11
CPU AMD Ryzen 7 9800X3D
CPUクーラー DEEPCOOL LS520 WH R-LS520-WHAMNT-G-1
GPU Inno3D GeForce RTX 4090 X3 OC WHITE
マザーボード ASUS ROG STRIX X670E-A GAMING WIFI
メモリ Corsair CMK32GX5M2B5600C36【DDR5-5600 16GB×2】
Corsair CMK32GX5M2B5600C36【DDR5-5600 16GB×1】
Patriot Viper Venom PVV516G560C40K【DDR5-5600 8GB×2】
Patriot Viper Venom PVV516G560C40K【DDR5-5600 8GB×1】
SSD Crucial P5 Plus CT1000P5PSSD8JP 1TB Gen4 NVMe
電源ユニット 玄人志向 1200W PLATINUM KRPW-PA1200W/92+

メモリ容量別のパフォーマンスを計測していく。テスト環境は上記のとおりだ。CPUには現行最強のRyzen 7 9800X3Dを使用した。GPUはAda Lovelace世代のハイエンドモデルであるGeForce RTX 4090だ。結論から言えば、メモリ容量は多い方がよく、シングルチャネルよりもデュアルチャネルの方が好ましいことがわかった。ただし、デュアルチャネルとシングルチャネルでの差を体感することは難しいように思う。

メモリ8GBは優位にパフォーマンスが落ちる。アプリケーションがうまく起動しないこともあるのでゲーミングPCでは避けた方がよさそうだ。特に高解像度でのゲームプレイは不向きだ。今回はハイエンドのGeForce RTX 4090で試したが、ハイクラスやミドルクラスであればメモリの差はより縮まるはずだ。まずは16GBのデュアルチャネルを基準にどのようなゲーム環境を構築したいかで判断するとよい。つまり、ハイエンドかつ高解像度ならメモリ32GBを、ミドルクラスでフルHD環境を想定するならメモリ16GBで十分だ。

Cyberpunk 2077

cyberpunk2077-memory

Cyberpunk 2077では期待通りメモリ32GBが高いパフォーマンスを記録した。ついでデュアルチャネルの16GB・シングルチャネルの16GBと続く。WQHD環境までであればメモリ32GBを搭載するメリットがありそうだ。フルHDではメモリ32GBが237.4fpsとなっている。16GB(デュアルチャネル)が225.9fpsと5%程度の差がある。16GBにおいてデュアルチャネルとシングルチャネルでは2%程度の差がある。メモリ8GBはやや厳しい結果となったが、高解像であればパフォーマンスの差はほとんどないといえそうだ。

FF14 黄金のレガシー

ff14-memory

FF14黄金のレガシーではメモリによる差がほとんどなかった。今回はDLSSを使用しなかったが、DLSSでGPU負荷を下げれば結果が変わっていたかもしれない。

Forza Horizon 5

fh5-memory

Forza Horizon 5ではメモリ32GBが頭一つ抜き出ている。フルHD環境では16GB搭載モデルよりも13%もフレームレートが高い。一方で、16GBならデュアルチャネルでもシングルチャネルでも性能差が出ていない。もう一つ無視できないのはメモリ8GBだとWQHD及び4K環境でベンチマーク中に落ちてしまい測定ができないということだ。もっともハイエンドモデルで8GBを選択するユーザーは少ないだろう。

Fire Strike(3DMARK)

firestrike-memory

Fire Strikeではメモリ容量及びチャネルによる性能差はほとんどない。CPU及びグラフィックボードの性能が素直に出ている形だ。

Time Spy(3DMARK)

timespy-memory

Time Spyではメモリ容量及びチャネルによってスコア差がある。Time Spyスコアについて32GBと8GBでのスコア差は4%弱にとどまるが、CPUスコアでは11%も差がある。16GBのデュアルチャネル及びシングルチャネルによる差はTime Spyスコアで1%弱、CPUスコアでも2%弱となる。確かにデュアルチャネルの方が有利だが、体感できるほどの差はないといえそうだ。

メモリ容量別のクリエイティブ性能を計測

Cinebench R23

cinebenchr23-memory

Cinebench R23ではスコア差はほとんどない。32GBよりも16GB(デュアルチャネル)や8GBの方がスコアが高いのが気になる。発熱量によってパフォーマンスに差が生じてしまったのかもしれない。

Cinebench 2024

cinebench2024-memory

Cinebench 2024ではマルチコアのみ想定通りの差が出ている。メモリ32GBは、16GB(デュアルチャネル)よりも2%高い。16GB(デュアルチャネル)は、シングルチャネルよりも4%弱高くなっている。メモリ8GBではソフトウェアがうまく起動しなかった。やはりゲーミングPCで8GB搭載は一般的ではないのだろう。

7-Zip

7-zip-memory

Zipファイルの解凍及び圧縮速度をまとめたものだ。解答速度では16GB(デュアルチャネル)がトップで、32GB→16GB(シングルチャネル)→8GBと続く。メモリ16GB(デュアルチャネル)と8GBでのパフォーマンスの差は4%弱だ。圧縮速度ではより顕著にパフォーマンスの差が出ている。メモリ32GBでは104,013と高い。メモリ16GB(デュアルチャネル)よりも12%もパフォーマンスが高い。また、16GBにおいてデュアルチャネルとシングルチャネルで11%弱のパフォーマンス差がある。メモリ8GBでは69,139とやや遅れをとっている。

参照外部サイト