パソコン工房が販売する「LEVEL-M77M-134F-SLX」の詳細レビューを行っている。Core i5-13400×RTX 4060 Ti搭載のミドルクラスのゲーミングPCだ。旧世代のRTX 3060 Ti搭載モデル並みに価格が下がり選びやすい。組み合わせ的にCore i5-12600K×RTX 3070搭載モデルと考えるとわかりやすい。高解像度でのゲームプレイにも対応できるのがポイントだ。メモリ規格・マザーボードのチップセットのグレードを落として価格を抑え、RTX 4060 Tiのよさを引き出したモデルだと言える。
当ページの目次
LEVEL-M77M-134F-SLXのスペック解説
ブランド名 | LEVEL∞ |
---|---|
製品名 | LEVEL-M77M-134F-SLX |
価格 | 159,800円(税込) |
CPU | Core i5-13400F(レビュー) |
GPU | GeForce RTX 4060 Ti(レビュー) |
メモリ | DDR5-4800 16GB |
SSD | 500GB NVMe |
HDD | 非搭載 |
電源 | 700W BRONZE |
マザーボード | チップセットB660 |
おすすめ度 | Aランク |
評価 | ・コスパ 9.1 ・構成 6.5 ・品質/サポート 10.0 ・総合評価 8.0 |
カスタマイズは非推奨
LEVEL-M77M-134F-SLXはカスタマイズすることで、持ち味とも言える価格の安さを失う。そのため、基本的にLEVEL-M77M-134F-SLXはカスタマイズをせず、標準構成のまま購入したいモデルだ。数年前までパソコン工房のカスタマイズはBTOショップの中でもかなり安い部類にあった。ところが、いつの間にか、そのアドバンテージを失っており、今ではカスタマイズの高い部類のショップになってしまった。
キャンペーンでカスタマイズの価格が下がらない限りは、標準構成のまま選択することをおすすめしている。カスタマイズを行うとすれば、構成ではなくデバイスや周辺機器をメインに考えたい。利便性を向上させる拡張もありだ。ストレージやメモリなどに比べて性能に関する恩恵は少ない。用途や環境によってはかなり快適にパソコンを使用できるようになる。そんなカスタマイズを中心におすすめしている。
- 内蔵ネットワークカード
- 電源
内蔵ネットワークカードは有線LANで接続するのであれば不要なカスタマイズだ。一方で、Wi-FiやBluetoothを利用するならあった方がいいの。選択できるのはASUS PCE-AX58BTだけだ。ASUS PCE-AX58BTはWi-Fi6とBluetooth 5.0の最新の規格に対応している。日常的にBluetooth接続を行うのであれば便利だ。ただ、メインとなるのはWi-Fiだ。有線LANを使用するなら、やはり必要性は薄くなる。有線LANにBluetoothを使用する環境なら、USBの受信機でも対応しやすい。Bluetoothを使用せず、Wi-Fiだけが目的でも選択する価値はある。安定した速度を維持しやすいため、ゲームでの使用にも適している。
電源は700W 80PLUS BRONZEか700W 80PLUS GOLDの二択だ。GOLDへのアップグレードは2,800円なので選択しやすい。恩恵はそれなりにあるかもしれないが、基本的に使用感が変わることはない。ここは電源に強いこだわりがある方にのみおすすめしたい。せめて少しでも容量が変わればおすすめできていた。変換効率が高まるのは確かに安定するので魅力的だが、Core i5-13400FとRTX 4060 Tiでは700Wは余裕のある容量と言える。変換効率を高めることは必須ではない。価格が控えめなカスタマイズなので、おすすめしやすいというだけだ。
各タイトルの対応表
FF15 | Apex Legends | FORTNITE |
---|---|---|
・4K ・WQHD | ・240fps ・144pfs | ・240fps ・144fps |
★5つ=最高設定、★4つ=高設定、★3つ=標準設定、★2つ=低設定、★1つ=厳しいということだ。なお、対応表は必要なスペックや環境から評価した個人的な見解となっている。
LEVEL-M77M-134F-SLXはCore i5-13400FとRTX 4060 Tiを搭載したミドルハイクラスのゲーミングPCだ。Apex Legendsやフォートナイトのような人気のゲームを240Hz環境でプレイできる優れた性能を有している。RTX 4060 Tiは扱いやすく、これからの主流になっていく予感をさせるGPUだ。Core i5-13400とのバランスはそれほどいいわけではないが、大きく足を引っ張るほどでもない。高解像度への対応力は少し下がるが、フルHDではあまり問題を感じないだろう。
LEVEL-M77M-134F-SLXの性能まとめ
ゲーミングPCとは、グラフィックボードやCPUなどのPCパーツの集合体だ。ここでは特に重要なグラフィックボードとCPUについて分解して細かく見ていく。PC初心者の方がスペックを見て性能をイメージすることは難しいだろう。一体として見るよりも一つずつのパーツを見ていくと理解がしやすいと考えている。
Core i5-13400F(CPU)
Core i7-13700K | |
Ryzen 9 7900X | |
Core i9-12900K | |
Core i5-13600K | |
Core i7-12700K | |
Core i7-12700 | |
Ryzen 7 7700X | |
Core i5-13500 | |
Core i5-12600K | |
Core i5-13400 | |
Ryzen 5 7600X | |
Ryzen 7 5800X | |
Core i7-11700K | |
Core i5-12400 | |
Core i7-11700 | |
Core i5-11400 |
LEVEL-M77M-134F-SLXで採用されているのはIntel第13世代のCore i5-13400Fだ。CPU内蔵グラフィックスは非搭載だが、グラフィックボードを搭載しているゲーミングPCなら問題はない。今世代から無印モデルでもハイブリッドアーキテクチャ採用となり性能が高くなっている。6つのPコアと4つのEコアを搭載し、10コア16スレッドというスペックを実現している。
従来モデルのCore i5-12400と比べて25%も処理性能が高い。ゲーム実況・動画編集・画像編集などの用途にも対応しやすい。当該モデルについては価格を抑えるためにCore i5-13400を搭載しているが、ゲームプレイだけを考えるなら理にかなう選択だと言える。Core i7-13700搭載モデルと比べて大きくフレームレートが落ち込むことはない。
GeForce RTX 4060 Ti(GPU)
RTX 4070 | |
RTX 3080 10GB | |
RX 6800 | |
RTX 3070 Ti | |
RTX 3070 | |
RTX 4060 Ti 16GB | |
RTX 4060 Ti | |
RTX 2080 Ti | |
RX 6700 XT | |
RTX 3060 Ti | |
RTX 3060 | |
RTX 2060 SUPER | |
RTX 2060 | |
GTX 1660 SUPER |
グラフィックスにはAda Lovelace世代のミドルクラスであるGeForce RTX 4060 Tiを搭載している。60番台ながら従来モデルのRTX 3070に近い処理性能を持つ。フルHD環境でのゲームプレイではRTX 3070を上回る。従来モデルのRTX 3060 Tiと比べて15%以上処理性能が高くなった。タイトルによってはWQHDでのゲームプレイにも対応可能だ。競合モデルのRadeon RX 6700 XTと比べても8%程度上回っている。DLSS 3.0をサポートしていて将来性の高いモデルだと言えるだろう。
LEVEL-M77M-134F-SLXの特徴&強み
旧パーツとの組み合わせで最安値クラスのモデルへ
LEVEL-M77M-134F-SLXは、少し前まで販売されていたLEVEL-M76M-134-SLXのCPUをCore i5-13400からCore i5-13400Fへ換装したモデルだ。時間経過もあってか、この変更で価格が11,000円ほど安くなり、Core i5-13400FとRTX 4060 Tiの組み合わせで最安値クラスのモデルとなった。旧パーツを採用することでこの価格を実現している。チップセットに採用されているB660は一世代前のCPUに対応したもので、現行のB760より一つ落ちる。
Core i5-13400Fを搭載することもできるので、コストカットの意味であえて採用したのだろう。メモリも最新のDDR5ではなく、一世代前に主流だったDDR4-3200を採用している。DDR4-3200自体は低価格帯やミドルクラス以下のモデルに今でも多く採用されているメモリだ。次世代のB760やDDR5を搭載したモデルに対して、価格的なアドバンテージを得ている。その後DDR5-4800へと換装され評価を上げている。
単純なコストパフォーマンスは圧倒的に高く、15万円台の価格帯はゲーミングPCで最も人気がある。コストパフォーマンスの高さからRTX 4060 Ti搭載モデルの中でもおすすめしやすいモデルに変貌を遂げた。価格が全てではないにしても、人気の価格帯に突入したことで選ばれるモデルとなることは間違いないはずだ。対抗となるモデルは多くあるものの、16万円台後半がほとんどである。価格を抑えることに成功したLEVEL-M77M-134F-SLXに追いつくのは難しそうだ。
しばらくの間は、LEVEL-M77M-134F-SLXがこの性能帯と価格帯を牽引する存在になるだろう。今後は多くのショップがCore i5-13400FとRTX 4060 Tiの組み合わせで15万円台を実現していくことになるだろう。その時には、LEVEL-M77M-134F-SLXが14万円台になっているかもしれない。ミドルハイクラスのモデルがミドルクラスの価格で購入できることになる。ワンランク性能帯が異なるモデルの誕生だ。もっと評価されてもいいモデルだ。
他ショップが真似しにくい組み合わせが魅力
LEVEL-M77M-134F-SLXはこの価格帯・性能帯で唯一のモデルになる可能性がある。前述の通り、旧パーツを採用してコストカットを行っており、低価格とコストパフォーマンスが両立できているからだ。他ショップでは、ある程度時間が経過すると旧パーツの取り扱いが終了する。CPU程度であれば一世代前のものが採用されているが、Intel第13世代CPUとB660の組み合わせはほとんど見かけることはない。価格を抑えるのが難しいのだ。
チップセットにB660を採用したことにより低価格を実現したのだとすると、他ショップではLEVEL-M77M-134F-SLXのような低価格は真似しにくい。構成が同じであれば、多少安くなるモデルも出てくるかもしれない。それが難しいとなれば、LEVEL-M77M-134F-SLXを超えるモデルはそうそう出てこないのではないだろうか。どんなに優秀なモデルでも、しばらくすると類似したモデルが他ショップから登場する。
そうなると価格競争が激化し、少しでも安い方が評価の上では有利になる。セールやキャンペーンの多いショップほど優位に立つ構図が出来上がる。ただ、パソコン工房は旧パーツの採用を意外と行っている。第12世代が登場した時も第11世代は長く残っていた。最新CPUと旧CPUなら多少価格が高くても最新CPUに分がある。これがチップセットになるとどうだろうか。
B760が登場した時も、しばらくの間B660採用のモデルが価格の優位性もあって選ばれていた。B660がほぼ市場から消えたタイミングなら、他ショップも追いかけることは難しい。少しだけタイミングが違うだけで、一気に評価されるモデルになるのはおもしろい。セールやキャンペーンを利用しなくても、旧パーツをうまく使用することでお得なモデルを生み出せる。
とくにチップセットはグレードではなく世代が進むだけでは、パフォーマンス面で与える影響は小さい。価格重視のCore i5-13400Fを搭載するならなおのことだ。LEVEL-M77M-134F-SLXは絶妙なタイミングが生み出した強力なモデルだ。唯一無二と言える価格と構成で、最新モデルに対抗している。
競合モデルとの比較
ブランド | LEVEL∞ | GALLERIA |
---|---|---|
イメージ | ||
製品名 | LEVEL-M76M-134-SLX | GALLERIA RM5C-R46T |
ケース | ミニ | ミニ |
価格 | 158,800円(税込) | 169,980円(税込) |
CPU | Core i5-13400F | Core i5-13400F |
GPU | RTX 4060 Ti | RTX 4060 Ti |
メモリ | DDR4-3200 16GB | DDR4-3200 16GB |
SSD | NVMe 500GB | NVMe 1TB |
電源 | 700W BRONZE | 650W BRONZE |
マザボ | B660 | B760 |
公式 | 公式 | 公式 |
そうなると11,180円の差は逆転し、構成で落ちるモデルになる。構成を削り、価格を抑えたモデルはカスタマイズなしの標準モデルで選ぶ方がいい。少しでも構成を求めるならGALLERIA RM5C-R46T、予算を抑えるならLEVEL-M77M-134F-SLXがおすすめだ。用途や求めているものに合わせて選択したい。
パソコンケースレビュー
LEVEL∞ M-Classでは2023年3月15日に登場した新しいミニタワーケースを採用している。最新モデルらしく大型水冷クーラーに対応しているなど拡張性が向上している。
正面
ミドルタワーケースをそのまま小さくしたデザインとなる。正面の真ん中にLEVEL∞のロゴが刻印されている。シンプルなデザインながら高級感もある。マットブラックがかっこいい。
左側面
左側面には何もない。本体上部ケース取り外し用のネジがある。
右側面
右側面も左側面と同様だ。意外とここまで落ち着いたデザインを採用したケースは希少だ。
I/Oパネル
前面には電源ボタン、USB 3.0×2、ヘッドセット端子×1が配置されている。USB Type-Cがあればよかったのだが、コストが重要となるBTOパソコンなら仕方がないのかもしれない。
背面
背面には12cmのケースファンが見える。拡張スロットは4つだ。その内3つがグラフィックボード専有となる。PCI Express 4.0[x16] ※x4動作が余っている。
本体上部
本体上部には2基のファン(12cm)が搭載されている。初期構成のままなら十分なエアフローを確保できる。
本体下部
本体下部にはメッシュ加工が施されたカバーが取り付けられている。メンテナンス性が高いのは魅力だ。
管理人による総評(LEVEL-M77M-134F-SLX)
LEVEL-M77M-134F-SLXは、Core i5-13400F×RTX 4060 Ti搭載のゲーミングPCだ。従来のCore i5とRTX 3060 Tiの組み合わせを踏襲しており、今後の主流となりそうな組み合わせだ。CPUがCPU内蔵グラフィックス非搭載のCore i5-13400Fへと換装され1.1万円の値引きが適用となった。コストパフォーマンスの高いモデルと言える。
今後搭載とのランキング上位になる可能性がある。60番台ながら旧世代のRTX 3070と同等以上の性能を持ち高リフレッシュレートに対応しやすく、フルHD環境でのゲームプレイを考えている方におすすめだ。構成面ではチップセットB660とコストカットが見られるがそれがしっかりと価格に反映されていて評価できる。メモリ規格がDDR4からDDR5へとアップグレードされたのはプラスだ。キャンペーンやセールなど今後の変化が楽しみなモデルだ。
価格 | CPU | グラボ |
---|---|---|
159,800円(税込) | Core i5-13400F | RTX4060Ti |
メモリ | SSD | HDD |
DDR5 16GB | 500GB | 非搭載 |