サードウェーブ(ドスパラ)が販売する「Magnate BTO」のレビューをまとめた。Magnateブランドは、一般向けPCに属している。製品名に「BTO」と付いているのがポイントで、他のサードウェーブのラインナップと比べてカスタマイズの自由度が高くなっている。初期構成ではグラフィックボードは非搭載でゲーミング用途には不向きだ。
ゲーミングPCとして使うにはグラフィックボードの追加が必須だ。ドスパラの他のモデルもBTOと言えばBTOなのだが、どちらかといえば完成品に近い。Magnate BTOは、カスタマイズを前提としてBTO感をより押し出した形だ。新しい試み自体は評価するが、残念ながらコストパフォーマンスが低くおすすめ度は低い。いろいろなモデルを見てから決めてしまうのがよいだろう。
当ページの目次
Magnate BTOのスペック解説
BTOメーカー | サードウェーブ(ドスパラ) |
---|---|
ブランド名 | Magnate |
製品名 | Magnate BTO |
価格 | 119,980円(税込) |
CPU | Core i5-14400 |
グラフィックボード | 非搭載(Intel UHD Graphics 730) |
メモリ | DDR5-4800 16GB |
ストレージ | SSD 500GB Gen4 NVMe |
電源 | 650W 80PLUS BRONZE |
マザーボード | チップセットB760 |
おすすめ度 | Eランク |
評価 | ・コスパ 2.4 —–内訳—– ・ショップ評価 9.1 |
やや特殊なモデルと考えてよい。コスパも2.4と低く選ぶ理由はない。価格は119,980円と高めだ。CPUにはIntel第14世代のCore i5-14400を搭載している。グラフィックボードは非搭載で、モニター出力は内蔵GPUが担う。メモリはDDR5-4800 16GBと必要十分だ。ストレージもSSD 500GB Gen4 NVMeとなる。電源ユニットは650W BRONZEを採用している。マザーボードのチップセットはB760搭載だ。おすすめ度はEランクとなる。119,980円も出せばより高い性能を持つゲーミングPCが選択できる。グラフィックスレスモデルとして見ればかなり高いと言わざるを得ない。
Magnate BTOの性能まとめ
PC初心者の方がスペックを見てもなかなか性能面をイメージすることができないかもしれない。ここでは具体的に当該ゲーミングPCに搭載されているパーツについて解説していく。
Core i5-14400(CPU)
Magnate BTOで搭載されているのはIntel第14世代の高コスパモデルであるCore i5-14400だ。ゲーム性能もまずまず高く、ゲーミングCPUとして人気がある。従来モデルのCore i5-13400と比べるとわずかながらパフォーマンスが向上している。競合のRyzen 5 7500Fと同等のゲーム性能を有する。ハイブリッドコアアーキテクチャを採用していて10コア16スレッドと高いスペックを持つ。マルチコア性能も高くゲーム以外の用途(動画編集・動画エンコード・画像編集など)にも対応しやすい。カスタマイズでCore i3-14100(-11,000円)あるいはCore i7-14700(+32,000円)へ変更できる。
Intel UHD Graphics 730(GPU)
初期構成ではグラフィックボードは搭載されていない。内蔵GPUであるIntel UHD 730の性能スコアは1,844と低い。当然このままではゲーミングPCとして使うことは難しい。カスタマイズでGeForce GT 1030・GeForce RTX 3050 6GB・GeForce RTX 4060・GeForce RTX 4060 Ti 16GB/8GBを搭載することができる。
ゲームプレイを考えるならGeForce GT 1030は除外しよう。明らかに性能不足だ。最低限のゲーム性能が欲しいなら、GeForce RTX 3050 6GBを選択しよう。高設定にこだわりたいならGeForce RTX 4060やGeForce RTX 4060 Tiがおすすめだ。どのような環境でゲームプレイをしたいのかでカスタマイズを検討しよう。
Magnate BTOの特徴&強み
存在意義の分からないモデル
Magnate BTOは、サードウェーブ(ドスパラ)が新しい試みとしてリリースしたビジネスPCだ。その名の通りBTO(カスタマイズ)を前提としたモデルで、他のモデルと比べてカスタマイズの幅が広くなっている。通常構成ではグラフィックボードが非搭載なので当然ゲーム向きではない。ゲーミングPCとして使うにはグラフィックボードの追加が必須だ。
ドスパラのラインナップにおいてCPUとGPUのカスタマイズができるのは珍しい。好みのモデルを構成できるというのがコンセプトのようだ。問題は、カスタマイズしない通常の状態ですでにかなり割高となっている点だ。例えば、通常ラインナップで同等の構成を持つMagnate IMは税込92,980円で27,000円の差がある。
チップセットと電源ユニットの差があるとはいってもこれでは選びづらい。グラフィックボードなどのカスタマイズをしても当然割高だ。GeForce RTX 4060搭載モデルである「Magnate MV」は133,980円で販売されている。Magnate BTOで、GeForce RTX 4060を追加すると+52,000円でトータル費用は171,980円となる。CPUが内蔵GPU非搭載のCore i5-14400Fだったり、マザーボードのチップセットがH610だったりと構成が異なるもののさすがに38,000円も価格差があると致命的だ。
Magnate BTOはどうカスタマイズしても、既存の製品よりも価格が高くなる。その理由はマザーボードと電源にありそうだ。Magnateシリーズに限らず、多くのBTOパソコンでマザーボードの変更ができない。グラフィックボードなし~GeForce RTX 4060 Ti 16GBまで選択できることから、ゲーミングPCとしても対応できるようにチップセットにはB760が採用されている。
通常のMagnateシリーズはここがH610で価格が抑えられている。また、電源もどのGPUを選択しても対応できるように、標準が650W BRONZEとなっている。Magnateシリーズでは450W~550Wが多い。カスタマイズの幅を持たせることで標準構成が最低限に留められない。このことが、既存の製品との価格差を生み、標準構成としてはやや高めに設定される要因となっている。
詳細は次の項目で見ていく。こうなってくるとMagnate BTOの存在意義が分からない。カスタマイズを前提としている割に、カスタマイズをすればするほど割高な製品に仕上がる。当然おすすめすることはない。
誰にとっても選ぶメリットが薄い
チップセットと電源が強化されたMagnateシリーズと思えば悪くないように見える。ただし、その分だけ価格が上乗せされているので、一般向けPCの強みである価格の安さが活かせていない。カスタマイズを例にすると、Core i5-12400とRTX 3060を搭載したモデルを見ていくと、ビジネスモデルのMagnate MVは133,980円、ゲーミングPCブランドのGALLERIA RM5C-R36が169,980円だ。
Magnate BTOのGPUにGeForce RTX 4060を選択すると171,980円となる。ゲーミングPCブランドのGALLERIA RM5C-R36よりも高い価格になるなら、あえてケース性能で落ちるMagnate BTOを選ぶメリットはない。せめて強化版Magnateシリーズの位置づけであれば選択する理由にはなったように思う。
現時点ではどうカスタマイズしても、ドスパラ製品のどのモデルと比べても微妙なポジションだ。B760と650W BRONZEの電源を搭載したことを強みにできればよかった。それこそ、MagnateシリーズとGALLERIA RM5Cシリーズの中間ややMagnateシリーズ寄りの価格だったなら優秀な選択肢となった可能性はある。
Magnateシリーズをはじめ、一般向けPCのよさは価格の安さだ。Magnate BTOはカスタマイズしていない状態が既に微妙なモデルだ。グラフィックボード非搭載モデルは10万円を下回る価格帯で多く展開されていた。今はあまりみかけないが、10万円を超えてしまうと、その価格だけでエントリークラスのゲーム性能を持つパソコンが選択できる。
作業用としても、ゲーム用としても扱いに困るモデルと言える。BTOを推すなら、初心者にもカスタマイズがやりやすく、どうカスタマイズしてもお得である価格設定をしてほしかった。Magnate BTOは誰にとっても選択するメリットの薄いモデルである。
似ているモデルとの比較
ブランド名 | Magnate | Magnate | Magnate |
---|---|---|---|
イメージ | |||
製品名 | Magnate BTO | Magnate MT | Magnate IM |
価格 | 119,980円 | 119,980円 | 92,980円 |
CPU | Core i5-14400 | Core i5-14400F | Core i5-14400 |
CPUクーラー | 空冷 | 空冷 | 空冷 |
GPU | 非搭載 | RTX 3050 6GB | 非搭載 |
メモリ | DDR5-4800 16GB | DDR5-4800 16GB | DDR5-4800 16GB |
ストレージ | SSD 500GB Gen4 NVMe | SSD 500GB NVMe | SSD 500GB NVMe |
電源 | 650W BRONZE | 550W BRONZE | 450W BRONZE |
チップセット | B760 | H610 | H610 |
公式 | 公式 | 公式 | 公式 |
比較対象は同じサードウェーブの2製品だ。まずは同等の構成を持つMagnate IMだ。なんと価格は27,000円も安い。両モデルの違いは、SSDの規格・電源容量・チップセットだ。確かに違いがあるが、27,000円も高いと選びづらくなってしまう。当然92,980円で購入できる方が嬉しいはずだ。
そして、Magnate MTだ。同じ価格でGPU搭載モデルを選択できる。Core i5-14400FとGeForce RTX 3050 6GBの組み合わせならエントリークラスとして十分だ。電源容量やチップセットを重視する方は多くないよう思う。参考までにMagnate BTOにGeForce RTX 3050 6GBを追加するとかかる費用は+35,200円でトータル金額は151,980円で、32,000円も高い。価格的にも構成的にも魅力があるとは言えない。他に選択肢がなかったとしても、おすすめしにくいモデルである。
Magnate BTOのパソコンケースレビュー
本体正面
Magnate MVではミニタワーケースを採用している。新しいモデルで従来ケースよりも35%小型化されている。
左側面
左側にはやや大きめの吸気口がある。ファンの力を借りて多くの空気を取り入れられる。
内部(左側面)
I/Oパネル
本体前面にI/Oパネルが配置されている。USB 2.0×2基、USB 3.0×2基が搭載されている。Type-Cポートは使用できない。Magnate Xシリーズ(B760) でのみ使用できるようだ。
エアフロー
ミニタワーモデルだ。ビジネス向けモデルということもあって落ち着いたデザインとなっている。一般的なエアフローでゲームプレイにも問題はない。フロントパネルにあるスリットと側面の給気孔から冷たい空気を取り入れる。もっとも性能的にも熱を持ちにくく対応しやすい。
管理人による総評(Magnate BTO)
Magnate BTOは、サードウェーブ(ドスパラ)が販売しているビジネスモデルだ。カスタマイズが前提となっていてこのままではゲームプレイに対応できない。大手BTOメーカーではそれほど対応できないことが多いCPUやGPUのカスタマイズができるのは興味深いが、とにかく割高でコストパフォーマンスは低い。基本的には他のモデルを確認しておくとよい。
価格 | CPU | グラボ |
---|---|---|
119,980円(税込) | Core i5-14400 | 非搭載 |
メモリ | SSD | HDD |
DDR5 16GB | 500GB | 非搭載 |