geforcegtx980ti

当記事では、GeForce GTX 980 Tiのスペック&性能ベンチマークを検証している。現在も当該グラフィックボードを使用している方やこれから買い替えを考えている方向けのコンテンツだ。販売当時はGTX TITAN Xよりも使い勝手のよいグラフィックボードと評価されていた。

後継モデルのGTX 10シリーズの登場によってゲーミングPCのラインナップからは完全に姿を消した。後継モデルは、Pascal世代の「GeForce GTX 1080 Ti」だ。プロセスが28nmから16nmへ微細化されて処理性能が大きく向上している。過去の歴史を見てもMaxwell世代と次世代のPascal世代のグラフィックボードは革命を起こしたと言えるかもしれない。

ハイエンドクラスの80番台でも時間が経てば徐々にクラスは落ちていってしまうが、2022年現在でも通用するゲーミング性能を持っている。かつてのウルトラハイエンドはGeForce RTX 2060に匹敵する性能を持っている。リアルタイムレイトレーシングのないローエンドクラスとして通用するだろう。GPUメモリ容量6GBというのは現行モデルでは少ない部類になる。時代に合わせてグラフィックボードを選択していくことが大切だ。

GeForce GTX 980 Tiの概要

スペック

GTX 980 TiGTX 1080 TiGTX 780 Ti
世代MaxwellPascalKepler
アーキテクチャGM200GP102GK110B
プロセス28nm16nm28nm
ダイサイズ601m㎡471m㎡561m㎡
CUDAコア数2816基3584基2880基
コアクロック1000MHz1480MHz875MHz
ブーストクロック1075MHz1582MHz928MHz
GPUメモリ6GB11GB3GB
バス幅384-bit384-bit384-bit
バンド幅336.6 GB/s484 GB/s336.6 GB/s
TDP250W250W250W
MSRP$649$699$699
中古価格21,800円31,790円13,800円
発売日2015年6月1日2017年3月10日2013年11月7日
GTX 980 Tiのスペックと前後一世代の80 Tiと比べた表だ。プロセスは28nmと大きく比例してダイサイズも大きい。GTX 780 Tiでは561m㎡だったものがGTX 980 Tiでは601m㎡と7%大型化された。次世代のGTX 1080 Tiになるとプロセスが16nmになりダイサイズもコンパクトになった。

この比較でその他注目すべき点はGPUメモリだ。GTX 980 Tiは6GBと大容量だ。現在ではミドルクラスでも当たり前にある容量だが、当時はGTX 980 Ti以外にはGTX 780の特殊版とTITANシリーズくらいでしかなかったこの6GBという容量は存在していなかった。大容量とも言えるメモリ容量を搭載したことで、ゲームへの快適性も大きく向上した。バス幅やバンド幅は変更されていない。

処理性能もコアクロックを見て分かる通り、世代が進めば数値が高くなっている。GTX 780 TiからGTX 980 Tiで14%程度向上している。GTX 1080 Tiになるとさらに数値はすごいことになる。GTX 980 Tiと比べると50%近くも向上している。

いずれのモデルでも消費電力は変わらず、性能だけがアップしている。考えようによっては省電力化が進んでいるとも取れる。各世代の80 Tiは最上位の性能を持っている。GTX 980 Tiのみならず、GTX 780 Tiも現在通用するグラフィックボードである。登場から5年以上経っても通用する製品寿命の長さはハイエンドモデルの長所だ。

GTX 980 Tiは3世代前のグラフィックボードだ。それでも一つ前の世代のGTX 1660よりも優れた処理性能を持っている。メモリ帯域は2倍近く、バス幅は2倍である。搭載しているメモリ容量も同等だ。それ故にメモリ周りの処理能力は現行のグラフィックボードでも届かない製品が半数近くに上る。GTX 1080 Tiは現在のミドルクラス以上の性能である。流石にGTX 980 TiはGTX 1080 Tiに比べると20%近く性能が落ちるので比肩することはできない。

性能

RTX 3060 Ti24,213
GTX 1080 Ti22,209
RTX 306020,322
RTX 2060 SUPER19,366
GTX 1070 Ti19,119
RTX 206017,012
RX 660016,900
GTX 980 Ti16,819
RX 5600 XT16,777
GTX 107016,442
RTX 305014,734
GTX 1660 Ti14,522
GTX 1660 SUPER14,113
GTX 166013,645
GTX 1060 6GB12,009
GTX 780 Ti11,283
GTX 7809,863
GTX 16509,506
GTX 9607,405
GTX 980 Tiは3世代前のグラフィックボードだ。さすがに3世代変わると上位モデルではなくなってしまっている。それでも1世代前のローエンドクラスであるRTX 2060に匹敵する性能を持っているのはさすがだ。およそ1%の範囲内で誤差の範囲と言えるかもしれない。その後継モデルのRTX 3060となると性能差は22%とさらに大きくなる。現行のAMD製Radeon RX 6600 XTに近い。

なお、リアルタイムレイトレーシング等の最新の技術には対応していないので、厳密に言うと強化版GTX 1660 Tiとして見る方がよいだろう。レイトレーシングを考慮しなければAmpere世代のエントリークラスであるRTX 3050が該当する。性能差は15%とまだエントリークラス以上の性能は持っている。

ハイエンドクラスが長寿命であることを証明するグラフィックボードだ。性能的にWQHDは厳しい。フルHD+高リフレッシュレートが主な用途になる。あと数年は現役モデルとして通用する性能だ。省電力性などは現行モデルに及ばない点は理解しておく必要がある。

GeForce GTX 980 Tiの最新評価

現在もミドルエンドとして運用可能な性能

性能の項目で話した通り、GTX 980 Tiはまだまだ現役で通用するグラフィックボードだ。フルHD環境なら設定次第である程度ゲームプレイに対応できる。GPUメモリが当時としては珍しい6GBと大容量なことが功を奏している。これが3GBであったなら、対応力は大きく下がっていたはずだ。

ゲーム側のCPUに対する要求スペックは次世代にまで届いている。一方のグラフィックボードは2世代前のGTX 1060 6GBがアッパーだ。GTX 980 TiはGTX 1060 6GBに対して25%以上性能が高い。性能不足に陥るのはしばらく先である。現役で通用するというのは過大評価ではなく事実だ。WQHDや4Kなどの高解像度でのゲームプレイを予定していなければ買い替えの必要もない。

買い替えを検討するのは次の世代だろう。現行のRTX 20シリーズやGTX 16シリーズへの買い替えを検討するの時期尚早だ。ハイエンドユーザーであっても、次世代のグラフィックボードが登場してからでも遅くない。むしろ登場を目前に控えた今買い換えるのは損だ。

ところが、2022年8月時点でGTX 980 Tiでは対応しづらいタイトルも増えてきている。最高設定+高リフレッシュレートのような高望みをするならなおさらだ。あくまでも標準設定を基準に快適なゲームプレイができるという範囲である。

GTX 980 Tiはグラフィックボードに革命を起こした

GTX 900シリーズは価格を大きく抑えた事でグラフィックボードに革命を起こした。それは性能の向上による恩恵でもある。GTX 700シリーズのハイクラスがGTX 900シリーズのミドルクラスで届く性能になった。より安くそしてより高い性能を手にすることができるようになったのだ。

その性能の伸びはGTX 980 Tiの製品寿命を大きく伸ばした。3年以上後の環境にも対応できるようになったのはGTX 900シリーズ以降からだ。GTX 900シリーズでは唯一GTX 980 Tiのみが含まれる。当時から比べるとランクは確かに落ちている。しかし、今も尚高い評価を得て、通用するグラフィックボードであるのは優秀である証拠だ。

例えば、GTX 1060 3GBはGTX 900シリーズの後に登場したミドルクラスのグラフィックボードだ。非常に人気の高いグラフィックボードでコストパフォーマンスに優れていた。GTX 980 Tiよりも新しいにも関わらず、既に推奨環境を満たせないゲームが登場している。

そういった意味では旧製品とは言えハイエンドクラスの寿命の長さをしっかり示している。登場してから約5年経った今も前線に立っている。5年以上推奨環境をクリアできた唯一のグラフィックボードである。

中古で探すならGTX 1070 Tiがおすすめ

GTX 980 Tiの中古価格は10,980円~だ。色々なモデルを見てきて中古価格で10,000円を超えていればある程度の性能を有していると考えてよい。つまり、GTX 980 Tiは今でも問題なく使用できるグラフィックボードだ。残念ながら発売から8年が経過して中古市場からほとんど姿を消している。オークションなどで探せば見つかるかもしれないが、状態の確認が難しくおすすめしづらい。当然発売から時間が経つと故障リスクも上がるためその点は理解しておこう。

同等の性能を持つGTX 1070 Tiが12,990円ほどで市場に流れている。性能的にもそちらを選択した方がよいだろう。グラフィックボードはCPUと違って世代ごとにチップセットで制限されることはなく互換性などを気にせず購入できる。古い製品をあえて選択するよりも、同等の価格の新しい製品を選択することをおすすめしたい。

予算が15,000円あたりなら中古のGTX 1070 Tiがおすすめだ。GTX 980 Tiよりも一世代上の製品である。GTX 10シリーズで最も人気の高いグラフィックボードだった。そのため市場に数多くあるので探しやすいのもポイントだ。参考までにGTX 1660 Tiだと14,990円~で、RTX 2060だと18,980円~と世代が新しくなるごとに割高になっていく。故障リスクなどを考慮すれば当然だろう。価格が安いことには理由があることを理解しておこう。

GeForce GTX 980 Tiのベンチマーク

基本的には古いタイトルとなっているので、他のグラフィックボードとの相対的なスコアを見ることに焦点を当てて欲しい。

Battlefield 4

battlefield4

Radeon R9 295×294.77
49.86
GTX Titan X77.47
39.35
GTX 980 Ti76.54
39.00
GTX 98059.45
30.44
GTX 780 Ti54.85
26.59
Radeon R9 290X50.47
25.86
WQHD4K
GTX 780 Tiと比べると40%近くスコアが伸びている。4K解像度への対応はできないがそれでもfpsは50%向上していることから性能の伸びを体感できる。GTX Titan Xとほぼ横並び状態だ。GTX 980との差も大きく30%ある。

Grand Theft Auto 5

gta5

Radeon R9 295×282.86
52.86
GTX 980 Ti79.07
39.60
GTX Titan X78.80
41.30
GTX 98063.10
31.20
GTX 780 Ti56.08
28.18
Radeon R9 290X52.13
26.17
WQHD4K
GTX 980 TiGTX Titan Xを抑えてNo.2にまで上り詰めている。下位モデルのGTX 980との差は27%程度だ。Radeon RX 9 295×2については例外的なモデルなのでそれほど考える必要はない。GTX 780 Tiと比べて40%向上している。WQHD環境でもゲームプレイが快適に行える。

The Witcher 3: Wild Hunt

thewithcer3

GTX Titan X63.62
36.33
GTX 980 Ti61.43
35.29
GTX 98050.30
29.20
Radeon R9 290X43.69
23.63
Radeon R9 295×236.99
25.88
GTX 780 Ti36.43
21.58
WQHD4K
Radeon製品が苦戦している。NVIDIA製のグラフィックボードが圧倒する結果となった。Radeon R9 295×2よりも70%高い。ここまでの差が開くのはゲーム側の最適化の問題だろう。GTX 980との差は20%と大きい。この差が将来性の高さに繋がるのだ。数世代前のグラフィックボードでもウルトラハイエンドを選択しておけば長く使用できる。

GeForce GTX 980 Tiの特徴&注意点【2016年時点】

Tiシリーズが最強モデルであることを証明した

GTX 980 Tiは価格革命を起こした900番台最強のグラフィックボードだ。旧世代のGTX 780 Tiの$699よりも$50安い$649で展開されたのは素晴らしい。そして最強と謳われたGTX 690の性能を軽々上回った。GTX 780 Tiの2番手感を打ち消し、最強のグラフィックボードとして登場したと言える。

GTX 980 Tiはその圧倒的な性能で比較すべき製品のない状態だ。GTX TITAN Zという40万円オーバーのグラフィックボードはあった。しかし、価格が高すぎて一般に認知されることはなかった。GTX TITAN XもこれまでのTITANシリーズと異なり、明確に用途を分けたグラフィックボード扱いだ。

ゲームにおけるグラフィックパフォーマンスはGTX 980 Tiが最も高い。最強のグラフィックボードは「80 Ti」であると証明した。多くのユーザーがCPU同様にグラフィックボードの進化は停滞すると考えた。筆者もその説を信じた。しかし、実際はそうはならなかったのだ。GTX 980 Tiは次世代に続く伝説となった。

TITAN Xよりも使用用途が明確なグラボ

GTX 980 Tiは、GTX 900番台の最高峰でハイスペックグラフィックボードという位置づけになっている。もう一つ上のグラボであるTITAN Xに比べるとまだ使いやすいグラボだと言えるだろう。価格も同様に抑えられているため、一般ユーザーでも手を出すことができると思う。予算をもう少し低くしたいのであれば、GTX 980でも十分だろう。

ゲーミングPCの価格帯としては、20万円~27万円程度となっている。当然そこそこの予算が必要となる。最適化されていないゲームではCPUの性能も求められるのでCore i7-6700K以上を推奨する。ショップでの構成の自由度は低く、ウルトラハイエンドに適した構成になっているものがほとんどだ。

たまに、Core i5-6600搭載のモデルが販売されていることがあるが、ハッキリとそのような製品は地雷と言えるので注意したい。グラフィックボードの性能に対してCPU性能が極端に低くボトルネックとなりやすい。購入時はしっかりとバランスを含めて吟味する必要がある。

高解像度が前提になる

GeForce GTX 980 Tiは、4K解像度などの高解像度に対応したウルトラハイエンドモデルのグラフィックボードだ。このモデルはグラフィック設定を最高設定がどうとかではなく、高解像度でゲームをプレイしたいというユーザーにのみ推奨する。また、GTX 980 Tiをある程度理解していなければほとんど意味がなくなってしまう。

通常のゲームプレイであればGTX 980でさえオーバースペックになってしまいがちなゲーム事情を考えると、本当に一部のユーザーにだけおすすめとなってしまう。モニターを複数枚繋げて、それを1枚としてゲームをプレイすることを想定するべきだ。レースゲームではよく知られたことだ。

しかし、高解像度にしてしまうとGTX 980 Tiでは性能が不足するかもしれない。あくまでも、GTX 980 Tiは4K解像度に対応したGTX 980という位置づけであり、ウルトラハイエンドを求めるライト層に適していると考える。このクラスになってくると、用途はゲーム+αとなってくるので一概にこういう用途と言えない。

前提としては高解像度であるので、高解像度に対応したモニターが必要になってくることと、ゲームが対応しているかも注意したい。性能は非常に高いので、最適化されていないゲームでもある程度快適なゲームプレイが可能になっている可能性がある。

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参照元:Nvidia GeForce GTX 980 Ti 6GB Review (tom’s HARDWARE)