Ryzen 9 9900X3Dのスペックレビュー&性能ベンチマーク検証を行った。2025年3月12日にRyzen 9000シリーズの新しい3D V-Cache搭載モデルがリリースされた。Ryzen 9 9950X3DとRyzen 7 9800X3Dの間を埋める存在だ。Ryzen 7900X3Dの後継モデルとなる。スペックは12コア24スレッドと従来モデルを踏襲している。第2世代3D V-Cache技術が採用され、キャッシュの配置がCCDの上から下へと変更されている。
これによりCCDとヒートスプレッダーの間の干渉がなくなり効率的な冷却及び動作クロックの引き上げを実現した。これまで弱点だったクリエイティブ作業(マルチコア性能)も高い水準で行える。従来モデルではRyzen 9 7900X3Dがマルチコア性能でRyzen 9 7900Xで上回ることはなかったが、今は3D V-Cache搭載モデルも非搭載モデルと同等のパフォーマンスを期待できる。
ヒートスプレッダーとは型番などが刻印された金属のプレートのことだ。熱を広げて拡散することができ効率的にヒートシンクに熱を伝えられる。この部分にCPUグリスをつけて水冷クーラー(ヒートシンク)を取り付ける。つまり、Ryzen 9 9900X3DではCPUクーラー→ヒートスプレッダー→CCD→L3キャッシュとなったのだ。これまではヒートスプレッダーとCCDの間にL3キャッシュが配置されていたので熱の放熱という観点からは非効率的だった。
Ryzen 9 9900X3Dの基本情報
コードネーム | Zen 5 (Granite Ridge) |
---|---|
プロセス | 4nm |
コア/スレッド数 | 12コア / 24スレッド |
定格/最大クロック | 4.4 GHz / 5.5 GHz |
L2キャッシュ | 12MB |
L3キャッシュ | 128MB(32MB+96MB) |
TDP | 120W |
PPT | 230W |
発売日 | 2025年03月12日 |
MSRP | $599 |
価格 | 112,800円~ *2025/3時点 |
特徴 |
(+)12コア24スレッドの高パフォーマンスモデル (+)現行トップクラスのゲーム性能を持つ (+)従来モデルよりマルチコア性能が向上している (+)オーバークロックに対応している (+)価格と性能のバランスがよい (-)消費電力がやや高い (-)単体CPUの入手難易度が高い (-)搭載ゲーミングPCのラインナップがほとんどない |
評価 |
・総合評価 9.5 ・ゲーム評価 9.5 |
Ryzen 9 9900X3Dのスペック
Ryzen 9 9950X3D/9 9900X/9 7900X3Dと比較
Ryzen 9 9900X3D | Ryzen 9 9950X3D | Ryzen 9 9900X | Ryzen 9 7900X3D | |
---|---|---|---|---|
イメージ | ![]() |
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メーカー | AMD | AMD | AMD | AMD |
コードネーム | Zen 5 (Granite Ridge) |
Zen 5 (Granite Ridge) |
Zen 5 (Granite Ridge) |
Zen 4 (Raphael) |
プロセス | 4nm | 4nm | 4nm | 5nm |
トランジスタ数 | 166.30億 | 166.30億 | 166.30億 | 178.40億 |
ダイサイズ | 2×70 mm² | 2×70 mm² | 2×70 mm² | 2×70 mm² |
I/Oプロセス | 6nm | 6nm | 6nm | 6nm |
I/Oトランジスタ数 | 34億 | 34億 | 34億 | 非公開 |
I/Oダイサイズ | 122m㎡ | 122m㎡ | 122m㎡ | 122m㎡ |
コア数 | 12コア | 16コア | 12コア | 12コア |
スレッド数 | 24スレッド | 32スレッド | 24スレッド | 24スレッド |
定格クロック | 4.4GHz | 4.3GHz | 4.4GHz | 4.4GHz |
最大クロック | 5.5GHz | 5.7GHz | 5.6GHz | 5.6GHz |
オーバークロック | 〇 | 〇 | 〇 | × |
L2キャッシュ | 12MB | 16MB | 12MB | 12MB |
L3キャッシュトータル (通常Cache+3D V-Cache) |
128MB (64MB+64MB) |
128MB (64MB+64MB) |
64GB (64MB+0MB) |
128MB (64MB+64MB) |
対応メモリ | DDR5-5600 | DDR5-5600 | DDR5-5600 | DDR5-5200 |
内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Radeon Graphics | Radeon Graphics | Radeon Graphics |
実行ユニット | 2 | 2 | 2 | 2 |
グラフィックス周波数 | 2200MHz | 2200MHz | 2200MHz | 2200MHz |
CPUクーラー | なし | なし | なし | なし |
PCI-Express | Gen 5, 24 Lanes | Gen 5, 24 Lanes | Gen 5, 24 Lanes | Gen 5, 24 Lanes |
TDP | 120W | 170W | 120W | 120W |
PL2(PPT) | 162W | 230W | 162W | 162W |
ソケット | AM5 | AM5 | AM5 | AM5 |
MSRP | $599 | $699 | $499 | $599 |
国内価格 | 112,800円~ | 132,800円~ | 82,800円~ | 95,800円~ |
発売日 | 2025/03/12 | 2025/03/12 | 2024/08/15 | 2023/02/28 |
比較対象として従来モデルであるRyzen 9 7900X3Dと同世代のRyzen 9 9950X3D/Ryzen 9 9900Xを挙げている。Ryzen 9 7900X3Dとの違いについてもっとも知ってほしいので詳しく見ていく。Ryzen 9 9950X3DとRyzen 9 9900Xについては簡単に違いを知るだけで十分だ。まずはRyzen 9 7900X3Dと比較していく。Ryzen 9 7900X3DはZen 4アーキテクチャを採用したモデルだ。CPUダイのプロセスは5nmとなる。次世代のRyzen 9 9900X3Dになって4nmへ微細化された。
トランジスタ数はRyzen 9 9900X3Dの方が7%程度少ない。ダイサイズは2×70m㎡と共通だ。I/OプロセスはZen 4アーキテクチャ時代のものを踏襲している。I/Oダイサイズも変わらない。コア・スレッドも12コア24スレッドと変更なしだ。定格クロックは4.4GHzと同じだが、最大クロックは0.1GHz(2%弱)引き下げられている。せっかく3D V-Cacheの搭載位置を変更して熱の問題をクリアできたはずなのにどうして最大クロックを引き下げたのか。その理由はIPCの改善が挙げられる。
Zen 5になってIPCが16%改善しているので、クロック周波数を抑えても性能は上になるからだ。5.5GHzから16%上乗せすると6.38GHz相当ということになる。オーバークロックに対応しているのもハイライトだ。第2世代3D V-Cacheになって自由度が上がった。L2キャッシュ及びL3キャッシュ容量に変更はない。対応メモリはDDR5-5200からDDR5-5600とより高クロックなメモリをサポートしている。内臓グラフィックスに変更はない。PCI-ExpressもGen 5, 24 Lanesのままだ。
TDP及びPL2はそれぞれ120W・162Wと両モデル共通だ。対応ソケットはAM5となる。MSRPは$599と同じだ。それぞれの販売時点での価格は17,000円の差がある。円安や部材高騰など様々な要因があるのだろう。おおよそ2年ぶりの新モデルということになる。
現行モデルの2機種について簡単に見ておく。まずは3D V-Cache非搭載のRyzen 9 9900Xだ。このモデルに3D V-Cacheを搭載するとRyzen 9 9900X3Dになる。基本的なスペックは共通だが、最大クロックがRyzen 9 9900Xの方が0.1GHz高くなっている。L3キャッシュ容量は半減の64MBとなる。Ryzen 9 9900X3Dの方が$100高くなっている。国内販売価格では30,000円の差がある。
Ryzen 9000X3DシリーズのフラグシップモデルであるRyzen 9 9950X3Dのスペックを見ていく。コア・スレッドがそれぞれ33%増えて16コア32スレッドとなる。定格クロックはRyzen 9 9900X3Dの方が0.1GHz高いが、最大クロックはRyzen 9 9950X3Dの方が0.2GHz高く5.7GHzだ。ここまでクロック周波数を引き上げられるのはそれだけ質のよいウェーハーを使用しているということだろう。L2キャッシュはRyzen 9 9950X3Dの方が4MB多く16MBだ。L3キャッシュ容量は同じだ。
TDPは170WとRyzen 9 9900X3Dよりも50W多い。さらに、PL2は230Wと実に68Wアップだ。スペックを考えれば妥当な数値だといえる。MSRPは+$100だ。国内販売価格では20,000円の差がある。どちらも入手困難な状況が続いている。
Core Ultra 9 285Kと比較
Ryzen 9 9900X3D | Core Ultra 9 285K | |
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メーカー | AMD | Intel |
コードネーム | Zen 5 (Granite Ridge) |
Arrow Lake |
プロセス (コンピュートタイル) |
4nm | 3nm |
トランジスタ数 | 166.3億 | 178.0億 |
ダイサイズ | 2×70 mm² | 243 m㎡ |
I/Oダイプロセス | 6nm | 6nm |
I/Oダイトランジスタ数 | 34.0億 | 非公開 |
I/Oダイサイズ | 122m㎡ | 非公開 |
SoCタイルプロセス | – | 6nm |
グラフィックスタイルプロセス | – | 5nm |
コア数/スレッド数 | 12 / 24 | 24(8P+16E)/ 24 |
定格クロック(P) | 4.4GHz | 3.7GHz |
最大クロック(P) | 5.5GHz | 5.7GHz |
定格クロック(E) | 該当コアなし | 3.2 GHz |
最大クロック(E) | 該当コアなし | 4.6 GHz |
オーバークロック | 〇 | 〇 |
L2キャッシュ | 12MB | 40MB |
L3キャッシュ | 128MB(32MB+96MB) | 36MB |
対応メモリ | DDR5-5600 | DDR5-6400 |
内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Intel Graphics |
実行ユニット | 2 | 4 |
グラフィックス周波数 | 2200MHz | 2000MHz |
内蔵NP | 非搭載 | Intel AI Boost |
CPUクーラー | 非同梱 | 非同梱 |
PCI-Express | Gen 5, 24 Lanes | Gen 5 , 20 Lanes |
TDP(PBP) | 120W | 125W |
PL2(PPT) | 230W | 250W |
ソケット | AM5 | LGA1851 |
MSRP | $599 | $589 |
国内価格 | 112,800円~ | 115,800円~ |
発売日 | 2025/03/12 | 2024/10/24 |
次に競合モデルであるCore Ultra 9 285Kと比較していく。Core Ultraシリーズ2のフラグシップモデルでこれ以上のコンシューマー向けモデルは発売されていない。MSRPを見ると$589でRyzen 9 9900X3Dよりも$10安いだけだ。国内販売価格はCore Ultra 9 285Kの方が3,000円高いが、同等といえるだろう。なお、Core Ultra 9 285KにはCPU内臓グラフィックス非搭載のCore Ultra 9 285KFは存在しない。Arrow Lake世代のモデルでAMDと同じように複数のダイを組み合わせたチップレット構造を採用している。
Ryzen 9 9900X3D(Zen 5)がCPUダイとI/Oダイの2つで構成されているのに対して、Core Ultra 9 285K(Arrow Lake)ではコンピュートタイル(CPUダイ)・I/Oタイル(I/Oダイ)・SoCタイル・グラフィックスタイルとさらに細かく分割されている。CPUの根幹部分に当たるコンピュートタイルの製造プロセスは3nmとRyzen 9 9900X3Dよりも微細化されている。I/Oタイルは6nmと共通だ。SoCタイルは6nm、グラフィックスタイルは5nmプロセスで製造されている。
Core Ultra 9 285Kは8個のPコアと16個のEコアを組み合わせて24コア24スレッドというスペックだ。今世代からハイパースレッディングは廃止されコア数=スレッド数となる。物理コアはRyzen 9 9900X3Dの2倍だがスレッド数は同じ24となる。Pコアの定格クロックはRyzen 9 9900X3Dの方が0.7GHz高く、最大クロックはCore Ultra 9 285Kの方が0.2GHz高い。Ryzen 9 9900X3DにはEコアは搭載されていない。Core Ultra 9 285KのEコアのクロック周波数は定格3.2GHz、最大4.6GHzとなる。Pコアよりも抑えられていることがわかる。いずれのモデルもオーバークロック対応だ。
L2キャッシュはCore Ultra 9 285Kの方が28MB多いが、L3キャッシュはRyzen 9 9900X3Dの方が92MB多い。3D V-Cache搭載モデルということで一般的なモデルよりも大容量だ。Core Ultra 9 285Kの内臓グラフィックスはIntel Graphicsだ。内臓NPとしてIntel AI Boostを搭載している。ここはRyzen 9 9900X3Dに対して優位なポイントだ。CPUクーラーはどちらも非同梱だ。Core Ultra 9 285KのPCI-ExpressはGen 5, 20 Lanesだ。TDP・PL2ともにCore Ultra 9 285Kの方が高くなっている。価格は初めに見たとおりだ。
Ryzen 9 9900X3Dの特徴&注意点【2025年】
ゲーム性能・マルチコア性能共に高い水準にある
Ryzen 9 9900X3Dのゲーム性能スコアは42,620と高い数値となっている。Ryzen 7 9800X3D・Ryzen 9 9950X3Dとコンシューマー向けモデル全体で見て上から3番目だ。従来モデルのRyzen 9 7900X3Dと比べると5%程度ゲーム性能が向上している。競合モデルであるCore Ultra 9 285Kと比べると15%程度性能が高い。Core Ultraシリーズ2は最適化がうまくできていないのかゲーム性能が思ったほど伸びず旧世代のモデルにも劣ってしまう。Intelからすると想定外だろう。
前世代のCore i9-14900Kと比べてもRyzen 9 9900X3Dの方が10%弱性能が高い。Ryzen 9 9900X3Dの性能があればGeForce RTX 5090・GeForce RTX 5080・Radeon RX 9070 XTなどのハイエンドモデルと組み合わせでこそ本領発揮となる。高解像度でのゲームプレイを考えているなら選択肢に入れてもよいだろう。オーバークロックの余力もあるのは強みとなる。
マルチコア性能スコアは40,024と高めだ。Ryzen 9 9900Xと比べてもわずかに性能が高い。旧世代では3D V-Cache搭載モデルのRyzen 7 9700X3Dの方がRyzen 7 9700Xよりも性能が低かったので、3D V-Cacheの配置を変えたのはよい選択だったといえる。クロック周波数を維持できるのはゲーム以外の用途においてプラスに働く。競合モデルであるCore Ultra 9 285Kと比べると15%以上劣ってしまう。Arrow Lake世代のCPUはマルチコア性能が高い。
性能アップの代償として消費電力が高くなった
今世代では仕様変更に伴いクロック周波数の引き上げが実現したことで消費電力も相応に高くなっている。Ryzen 9 7900X3Dと比べるとゲームプレイ時で95%高く、高負荷(マルチコア)時でも37%も高くなっている。ゲーミング性能の伸びが5%程度なのでやはりワットパフォーマンスは悪化している。
前世代のRyzen 7000X3Dシリーズでは3D V-Cache搭載モデルは省電力性の高さがウリの一つだった。特にゲームプレイ時はうまくコントロールされていて消費電力が抑えられていたのだ。もっとも消費電力が上がったといっても許容範囲内で特別な対策が必要というわけではない。
Ryzen 9000X3Dシリーズの中でも存在感を示す
製品名 | コア/スレッド | ゲーム性能(マルチコア) | 価格 | コスパ(マルチコア) |
---|---|---|---|---|
Ryzen 7 9800X3D | 8/16 | 45,025(34,011) | 102,990 | 0.437(0.330) |
Ryzen 9 9950X3D | 16/32 | 43,316(50,009) | 132,800 | 0.326(0.377) |
Ryzen 9 9900X3D | 12/24 | 42,620(40,024) | 112,800 | 0.378(0.355) |
Ryzen 9 7950X3D | 16/32 | 42,444(40,051) | – | – |
Ryzen 7 7800X3D | 8/16 | 42,174(29,874) | – | – |
Ryzen 9 7900X3D | 12/24 | 40,579(35,152) | – | – |
Core i9-14900K | 24/32 | 38,957(43,839) | 76,980 | 0.506(0.569) |
Core Ultra 9 285K | 24/24 | 36,785(48,282) | 112,800 | 0.326(0.428) |
Ryzen 9 7950X | 16/32 | 33,513(44,755) | 89,800 | 0.373(0.498) |
Ryzen 9 7900X | 12/16 | 33,489(37,541) | – | – |
海外ではRyzen 9 9900X3Dは評判のいいCPUではないが、筆者は意外と悪くないモデルなのではないかと考えている。その理由は価格設定がよくうまくバランスが取れているからだ。国内の定価をみるとRyzen 7 9800X3Dが102,990円で、そこに+10%でRyzen 9 9900X3Dになり、そこからさらに19%でRyzen 9 9950X3Dになる。Ryzen 7 9800X3Dと比べるとゲーム性能は5%低くなるが、マルチコア性能は17%高くなる。それで+10%なら悪くないどころがプラスではないだろうか。
一方で、海外のMSRPでは話が変わってくる。Ryzen 9 9900X3Dが$599、Ryzen 9 9950X3Dが$699、Ryzen 7 9800X3Dが$479だ。Ryzen 7 9800X3Dに+25%でRyzen 9 9900X3Dに、そこからさらに17%でRyzen 9950X3Dとなる。つまり、Ryzen 9 9900X3Dの価格が高めなのでそれならRyzen 9 9950X3Dを選ぶ方がいいだろうという判断だ。国内価格で販売される限りRyzen 9 9900X3Dも魅力的であることは間違いない。登場時点ですでに性能を踏まえた上での価格設定となっているのは素晴らしい。
ソフトウェアのアップデートで使い勝手が向上
ハードウェアだけではなくソフトウェアの面でも改善が見られる。一つは「AMD Provisioning Package Service」だ。今回のアップデートでCPUの交換時に自動的に検出してくれるようになりWindows OSの再インストールが不要になった。「Automatic Processor Detection」と呼ばれる。これまでRyzen 7 7800X3DなどのCCXが1基のCPUからRyzen 9 7900X3DなどのCCXが2基CPUに交換する場合Windows OSの再インストールが必須だったのだ。CPUのアップグレードがしやすくなったのは大きなメリットだ。筆者のようにベンチマークを計測する機会が多い方にとっても嬉しいアップデートだといえる。
もう一つは「AMD 3D V-Cache Performance Optimizer」だ。これはRyzen 9 9900X3Dなどの3D V-Cache搭載モデルを使用する際に、アプリケーションに応じて適切なコアを割り当ててくれる機能だ。Windowsにゲームタスクを3D V-Cache搭載コアへ割り当てるのを助ける。VBSに関連した問題が解決されている。また、ゲーム以外のアプリケーションにおいても最適なCCDの割り当てを実現してくれるのだ。より実世界に合ったパフォーマンスを期待できる。
Ryzen 9 9900X3Dのゲームベンチマーク
各種ゲームプレイ時のパフォーマンスを見ていこう。最高設定でのフレームレートを計測しているたもGPUボトルネックが発生しやすくCPUによる差が表れづらい。今後は設定を下げたり、アップスケーリングを活用したりしてGPUボトルネックをなくした状態での計測に移行していきたい。試行錯誤中だ。
モンハンワイルズ
モンハンワイルズでのパフォーマンスを見ていく。従来モデルのRyzen 9 7900X3Dとほとんど変わらないスコアだ。上位モデルに関してはGPUがボトルネックになりCPUによる差がほとんど出ていない。Intel第14世代を除けばどのモデルでもよさそうだ。トップはRyzen 7 9800X3Dだが性能差は1%未満となる。
FF14 黄金のレガシー
FF14黄金のレガシーではRyzen 9 9950X3Dに次いで2番目に高いフレームレートが出ている。従来モデルのRyzen 9 7900X3Dと比べてフルHDで7%弱、WQHDで4%弱フレームレートが高い。下位モデルであるRyzen 7 9800X3Dよりも高いのは評価できる。競合のCore ultra 9 285Kは性能が伸びず性能差はフルHDで45%、WQHDで22%も高い。FF14はAMD製CPUとの相性がよいタイトルといえそうだ。
Cyberpunk 2077
Cyberpunk 2077でも悪くない結果となっている。従来モデルのRyzen 7 9700X3Dと比べるとフルHDでは13%もフレームレートが高い。WQHDでは少し劣ってしまうが、これはGPU負荷が上がりボトルネックとなっているためだろう。Ryzen 9 7950X3Dと同等以上のパフォーマンスは評価できる。上位モデルのRyzen 9 9950X3Dになるとさらに10%弱もフレームレートが高くなっている。WQHD環境でも3%程度上回っている。Core Ultra 9 285Kと比べるとフルHDだと9%程度高くなっている。ここでもやはりWQHDでは劣るが、参考値としてみるだけでよい。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5はGPUボトルネックの発生しやすいタイトルだ。とにかく負荷が高い。今回はGeForce RTX 4090での計測だが、次世代のGeForce RTX 5090ならもう少しCPU性能の差が出るかもしれない。Ryzen 9 990X3DのフレームレートはフルHDで220.3fps、WQHDで201.8fpsとなる。最上位のCore i7-14700Kとの差は1.3fpsとそれほど大きくない。誤差の範囲と言えそうだ。Forza Horizon 5をメインゲームに考えているならできる限り高性能なグラフィックボードを選択するのが吉だ。
Far Cry 6
Far Cry 6ではRyzen 9 9950X3Dに次いで高いフレームレートとなった。性能差は1%未満で同等の性能といえる。下位モデルのRyzen 7 9800X3Dと比べても最大で3%弱フレームレートが高い。Ryzen 9000X3Dシリーズの序列順になった希少なタイトルだ。従来モデルのRyzen 9 7900X3Dと比べるとフルHDで32%高く、WQHDでも27%高くなっている。競合のCore Ultra 9 285Kと比べても最大で50%近くも上回っている。Core i9-14900Kと比べても35%以上もフレームレートが高い。
Ryzen 7 9800X3Dのアプリケーションベンチマーク
Cinebench 2024
Cinebench 2024でレンダリング性能を見ていく。実際のアプリケーション性能を完全に反映しているわけではないが、一つの参考としてみるのも悪くない。Ryzen 9 990X3Dのマルチコア性能は1,647で、シングルコア性能は117だ。おおよそ3D V-Cache非搭載のRyzen 9 9900Xと同じだ。従来モデルのRyzen 9 7900X3Dと比べるとマルチコア性能が11%高く、シングルコア性能も4%弱高くなっている。上位モデルのRyzen 9 9950X3D戸倉江bるとマルチコア性能が21%低く、シングルコア性能も2%程度低い。同価格帯のCore Ultra 9 285Kと比べるとマルチコア性能が23%低く、シングルコア性能も13%低い。
Cinebench R23
Cinebench R23でも傾向は変わらない。Ryzen 9 9900X3DのスコアはRyzen 9 9900Xと同等だ。Ryzen 9 7900X3Dと比べるとマルチコア性能が14%高く、シングルコア性能も12%高い。上位モデルであるRyzen 9 9950X3Dとの差は最大で23%とやや大きい。Intel製CPUだとCore Ultra 7 265Kが近い。
Blender
Blenderのスコアは466.20となる。Ryzen 9 9900Xと同等だ。Ryzen 9 7900X3Dと比べると21%も向上していることがわかる。上位モデルであるRyzen 9 9950X3Dと比べると23%低い。Core Ultra 9 285Kと比べても16%低い。
7-Zip
Zipファイルの解凍及び圧縮速度を見ていく。Ryzen 9 9900Xと比べると解凍速度は少し速くなった程度だが、解凍速度は8%程度速くなっている。Ryzen 9 7900X3Dと比べると解凍速度が8%速く、圧縮速度も10%弱速い。圧縮速度ではCore Ultra 9 285Kに劣るが、圧縮速度は上回っている。
Handbrake
動画のエンコード速度を見ていく。Ryzen 9 9900Xと同等のパフォーマンスを発揮できている。Ryzen 9 7900X3Dと比べるとH264では9秒速く、H265では1分22秒も速くなっている。Core Ultra 9 285Kはさらに適正が上でH.264は17秒速く、H.265も28秒も速く処理できる。Ryzen 9 9950X3DだとCore Ultra 9 285Kと比べても見劣りしない。
Photoshop
画像編集ソフトであるPhotoshopでのパフォーマンスを見ていく。Ryzen 9 9900X3Dのスコアは14,289とRyzen 9 9900Xと同等だ。従来モデルのRyzen 9 7900X3Dと比べると34%もスコアが高い。Zen 4アーキテクチャのフラグシップモデルであるRyzen 9 7950X3Dよりも14%もスコアが高く高いパフォーマンスを発揮している。Ryzen 7 9800X3DがトップなのはCCDの仕様がよいのかもしれない。Ryzen 7 7800X3DもRyzen 9 7950X3DやRyzen 9 7900X3Dよりもスコアが高いことから根拠となりそうだ。
Premiere Pro
Premiere Proでのベンチマークスコアは13,962だ。Ryzen 9 9900Xにわずかに届かなかった。Core i9-14900KやCore i7-14700Kと同等のスコアだ。現行の同価格帯モデルであるCore Ultra 9 285Kと比べるとわずかにスコアが低い。上位モデルのRyzen 9 9950X3Dと比べると2%弱スコアが低くなっている。グラフで見えるほどの差はない。
Ryzen 9 9900X3D搭載おすすめゲーミングPC
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価格:424,800円+送料2,200円
CPU:Ryzen 9 9900X3D(水冷)
GPU:GeForce RTX 5070 Ti
メモリ:DDR5 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:850W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
GPUにGeForce RTX 5070 Tiを搭載したハイエンドクラスのゲーミングPCだ。GeForce RTX 4080に近いゲーム性能を持つ。DLSS 4.0をサポートしているタイトルならGeForce RTX 4080さえも上回る。グラフィックス性能が高いモデルなのでRyzen 9 9900X3Dを選ぶ価値はある。CPUクーラーは240mmラジエーター搭載の水冷式だ。メモリDDR5 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も充実している。電源ユニット緒は850W GOLD搭載だ。比較的価格が抑えられていて選びやすいモデルといえる。
GALLERIA ZA9R-R57 9900X3D搭載(ドスパラ)
価格:459,980円+送料3,300円
CPU:Ryzen 9 9900X3D(水冷)
GPU:GeForce RTX 5070
メモリ:DDR5-5600 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:750W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
ガレリアブランドからRyzen 9 9900X3D搭載モデルが販売されている。他にGeForce RTX 5080やGeForce RTX 5070 Tiと組み合わせたモデルも販売されていたが今は在庫切れとなっている。GeForce RTX 5070搭載モデルのみ選択可能だ。Ryzen 9 9900X3Dの性能を考えるとややバランスが取れていないといえる。クリエイティブ作業をメインに考えているなら選択肢として悪くない。CPUクーラーはASETEK製水冷式だ。高い冷却性能は頼もしい。CPUグリスも高品質なナノダイヤモンドグリスが塗布されている。メモリDDR5-5600 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成は抜群だ。電源ユニットは750W GOLDを搭載している。ゲーマーからの人気が高いミドルタワーケースで拡張性が高い。マザーボードはのチップセットは上位グレードのX870Eだ。なお、グラフィックボードステーが搭載されるのはGeForce RTX 5070 Ti以上のモデルだ。
LEVEL-M8A6-LCR99D-TGX(パソコン工房)
価格:494,700円+送料2,200円
CPU:Ryzen 9 9900X3D(水冷)
GPU:Radeon RX 9070 XT
メモリ:DDR5 32GB
ストレージ:SSD 1TB Gen4 NVMe
電源:850W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
Ryzen 9900X3D×Radeon RX 9070 XT搭載のハイクラスのゲーミングPCだ。リニューアルされたミニタワーケースを採用している。クリアガラスパネル採用となりデザイン性が向上した。白色ケースを選択することもできる。Radeon RX 9070 XTは、競合のGeForce RTX 5070 Tiと同等の性能を持ちWQHD環境でのゲームプレイに最適だ。Ryzen 9 9900X3Dとのバランスも良好だ。メモリDDR5 32GB・SSD 1TB Gen4 NVMeと構成も抜群だ。電源ユニットは850W GOLDを搭載している。
ZEFT R61X(セブン)
価格:526,680円(送料込)
CPU:Ryzen 9 9900X3D(水冷)
GPU:GeForce RTX 5070 Ti
メモリ:DDR5-5600 32GB
ストレージ:SSD 2TB Gen4 NVMe
電源:850W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
50万円オーバーの高価なモデルだ。PCケースはASUS TUF Gaming GT502だ。最近流行のピラーレスケースとなる。セブンの特別仕様モデルとして販売されていてマザーボードサイト×3基、リア×1基のARGB対応ファンを搭載している。Ryzen 9 9900X3D×GeForce RTX 5070 Ti搭載のハイエンドモデルとなる。CPUクーラーは360mmラジエーター搭載の水冷式だ。ARGB対応で光るゲーミングPC構築の手助けをしてくれる。メモリはDDR5-5600 32GBと十分すぎる容量だ。ストレージはSSD 2TB Gen4 NVMeとなる。電源ユニットはSilverStone製850W GOLD搭載だ。マザーボードはASRock B850Mとなる。Wi-Fi&Bluetoothに対応で実用性が高い。
ZEFT R61AH(セブン)
価格:853,380円(送料込)
CPU:Ryzen 9 9900X3D(水冷)
GPU:GeForce RTX 5080
メモリ:DDR5-5600 64GB
ストレージ:SSD 2TB Gen4 NVMe×2基
電源:1000W 80PLUS GOLD
コスパ:調査中
PCケースにフルタワーの「CoolerMaster COSMOS C700M」を採用した一台だ。サイズは幅306mm×奥行650mm×高さ651mmと巨大だ。参考までにガレリアのミドルタワーケースは幅220mm×奥行440mm×高さ480mmとなる。およそ50%も大きい。本体のI/OパネルにはARGBコントロールボタンやPWMファンスピードボタンが配置されていて使い勝手がよい。Ryzen 9 9900X3D×GeForce RTX 5080搭載のハイエンドモデルだ。4K環境でのゲームプレイに適している。CPUクーラーは360mmラジエーター搭載の水冷式だ。メモリはDDR5-5600 64GBと大容量だ。ストレージはSSD 2TB Gen4 NVMe×2基搭載している。電源ユニットはFSR製1000W GOLDだ。ブルーレイスーパーマルチドライブが標準搭載となっている。無線LAN及びBluetoothにも対応している。
ベンチマークテスト環境
検証機 | ベンチマーク検証機AMDソケットAM5 |
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CPU | AMD Ryzen 7 9800X3D etc. |
CPUクーラー | DEEPCOOL LS520 WH R-LS520-WHAMNT-G-1 |
GPU | GeForce RTX 4090 |
マザーボード | ASUS ROG STRIX X670E-A GAMING WIFI |
メモリ | Corsair CMK32GX5M2B5600C36【DDR5-5600 16GB×2】 |
電源ユニット | 玄人志向 1200W PLATINUM KRPW-PA1200W/92+ |
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