Ryzen 7 2700Xのスペックレビューと性能ベンチマーク検証している。第1世代Ryzenが登場されてからおよそ1年後の2018年4月19日に第2世代のRyzen 7が販売開始となった。このRyzen 7 2700Xは第2世代Ryzenシリーズのフラグシップモデルだ。Zen +アーキテクチャを採用していて第1世代Ryzen 7 1700Xからどのぐらい進化したのか気になるところだろう。実際のベンチマークを見ながら検証していく。
Zen +アーキテクチャのRyzen 7 2700Xのゲーム性能はそれほど高くなくRyzen 5 3500と同程度に考えておくとよいだろう。ゲームプレイだけを考えるとやや厳しいかもしれない。マルチスレッド性能ではIntel第11世代のIntel Core i5-11400に匹敵する。Ryzen 7 2700Xの後継モデルは第3世代の「Ryzen 7 3700X」となる。Zen 2アーキテクチャになってより高いCPU性能を発揮することが可能だ。
- 高いマルチスレッドパフォーマンスを持つ(+)
- 12nmプロセスでパワー効率アップ(+)
- WRAITH PRISMクーラー標準搭載(+)
- ゲーミング性能についてはIntel i5よりも劣る(-)
- オーバクロックの上限は限られている(-)
当ページの目次
Ryzen 7 2700Xの基本スペックを知る
他のモデルと比較しながら基本スペックを見ていけばより理解を深めることができるだろう。比較対象は、前世代のフラグシップモデルのRyzen 7 1800XとライバルであるIntelのフラグシップモデルCore i7-8700Kだ。
Ryzen 7 1800Xと比較
Ryzen 7 2700X | Ryzen 7 2700 | Ryzen 7 1800X | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen+ | Zen+ | Zen |
プロセス | 12nm | 12nm | 14nm |
トランジスタ数 | 48億 | 48億 | 48億 |
ダイサイズ | 192mm² | 192mm² | 192mm² |
CPUコア数 | 8 | 8 | 8 |
スレッド数 | 16 | 16 | 16 |
定格クロック | 3.7GHz | 3.2GHz | 3.6GHz |
最大クロック | 4.3GHz | 4.1GHz | 4.1GHz |
オーバークロック | ◯ | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ容量 | 16MB | 16MB | 16MB |
TDP | 105W | 65W | 95W |
CPUクーラー | Wraith Prism | Wraith Spire | ✕ |
価格 | $329 | $299 | $349 |
発売日 | 2018年4月19日 | 2018年4月19日 | 2017年3月2日 |
ただし、進化過程の途中でプロセスは縮小してもトランジスタ数(48億)やダイサイズ(213m㎡)には変化はない。ここはあくまでもZen +となっていることからも想像に難くないだろう。14nmプロセスと比べておおよそ300MHzクロック周波数が高くなる一方で、動作電圧は50mV引き下げられた。つまり、より効率よくパワーを発揮できるということだ。
第1世代のRyzen 1800Xと比べるとおよそ12%パフォーマンスが向上している。定格クロックが3%高く、最大クロックが5%高い。クロック周波数の僅かな引き上げに対してパフォーマンスの伸びが大きい。このパフォーマンスアップに貢献しているのが12nm LPプロセスだ。従来モデルに比べて11%省電力となっている。
電源効率が上がったことでクロック数を上げつつパフォーマンスの底上げが実現した。CPUクーラーが同梱となっているのもポイントだ。ただし、TDPは95Wから105Wへと10%高くなった。価格は$20安くなってより購入しやすくなっている。Ryzenシリーズは高スペックなCPUがより安価に購入できるのが特徴だ。
同じ第2世代Ryzenシリーズの下位モデルであるRyzen 7 2700との違いを中心に見ていこう。価格はおよそ$30と差は小さい。価格差を考えるとコスパはRyzen 7 2700Xの方が高いだろう。大きな違いは定格クロック数及び最大クロック数とそれに付随して消費電力ということになる結果的にゲーミングパフォーマンスも高くなっている。また、末尾のXがあってもなくてもオーバークロックを行えるのがRyzenの特徴だと言える。
Core i7-8700Kと比較
Ryzen 7 2700X | Core i7-8700K | |
---|---|---|
コードネーム | Zen+ | Coffee Lake |
プロセス | 12nm | 14nm |
トランジスタ数 | 48億 | - |
ダイサイズ | 192 mm² | 154 mm² |
CPUコア数 | 8 | 6 |
スレッド数 | 16 | 12 |
定格クロック | 3.7GHz | 3.7GHz |
最大クロック | 4.3GHz | 4.7GHz |
オーバークロック | ◯ | ◯ |
L3キャッシュ容量 | 16MB | 12MB |
TDP | 105W | 95W |
CPUクーラー | Wraith Prism | × |
価格 | $329 | $359 |
発売日 | 2018年4月19日 | 2017年11月02日 |
単純にスペックだけを比較するとRyzenが高コスパCPUだと言える。Ryzenの方がコア数及びスレッド数がおよそ30%多い。同クラスながら8コア16スレッドというのは素晴らしい。その後のIntelの考え方を改めさせたほどインパクトが大きい。
一方で、ブースト時の単コア性能が低いのが弱点だと言える。およそ0.4GHzの差があるので、これがゲームにどう影響を与えるかということだ。また、Intelとの比較ではゲームの最適化についても考える必要がある。いくらRyzenのスペックが高くてもゲーム側での最適化が行われない限り最大限のパフォーマンスを発揮できないことになるからだ。
いずれのモデルもオーバークロックに対応している。L3キャッシュ容量もRyzen 7 2700Xの方が33%%多く16MBとなっている。Ryzen 7 2700XではCPUクーラーが標準同梱となっているのもポイントだ。価格が安い上にCPUクーラーも付いているとなるとお得感がある。
Ryzen 7 2700Xの最新評価
ゲーム用途では次世代のエントリークラス相当となる
当サイトでは20,000をゲーミングCPUとしての基準と考えている。Ryzen 7 2700Xのゲーム性能スコアは19,442と及第点だ。低価格帯で人気の高いRyzen 5 4500と同等のゲーミング性能を持つ。8コア16スレッドとスペックは高いが、キャッシュレイテンシやIPCの問題があり思うようにパフォーマンスを発揮できていない。
Ryzen 3 3300Xにも及ばないのは残念だ。ただし、Ryzen 3 3300Xは中古での入手難易度の高いモデルとなる。長く使う想定なら避けた方がよいだろう。次世代のRyzen 7 3700Xと比べると8%程度の性能差がある。ゲーム以外の用途で考えているなら十分選択肢に入るはずだ。
Ryzenシリーズは、Intel製モデルと比べてマルチスレッド性能の高さが光る。従来モデルのRyzen 7 1800XやRyzen 7 1700Xと比べてもパフォーマンスが向上しているる。およそ10%以上性能が伸びている。一方で、次世代の第3世代Ryzenシリーズと比べるとやや分が悪い。マルチコア性能でも後継モデルであるRyzen 7 3700Xとの差は大きい。
中古価格は税込9,000円前後
製品名 | コア/スレッド | ゲーム性能 | 価格 | コスパ | 発売日 |
---|---|---|---|---|---|
Ryzen 5 4500 | 6/12 | 21,026 | 9,980 | 2.107 | 2022/04/04 |
Ryzen 7 3700X | 8/16 | 21,811 | 12,980 | 1.680 | 2019/07/07 |
Ryzen 5 3600 | 6/12 | 21,467 | 9,480 | 2.264 | 2019/07/07 |
Core i7-8700K | 6/12 | 21,050 | 16,980 | 1.240 | 2017/11/02 |
Core i7-8700 | 6/12 | 20,903 | 11,480 | 1.821 | 2017/11/02 |
Core i3-10100 | 4/8 | 20,069 | 9,980 | 2.011 | 2020/05/27 |
Core i3-10100F | 4/8 | 20,069 | 7,980 | 2.515 | 2020/05/27 |
Ryzen 7 2700X | 8/16 | 19,038 | 8,980 | 2.120 | 2018/04/19 |
Ryzen 7 1800X | 8/16 | 18,621 | 7,980 | 2.333 | 2017/03/03 |
Ryzen 7 2700X中古価格は8,980円~となっている。販売当時の価格が40,000円前後であったことを考えると十分下がっているように思う。性能的には妥当な価格設定であることは間違いない。Ryzen 5 4500なら10,000円前後で購入できる。9,480円で購入できるRyzen 5 3600も魅力的だ。Ryzenシリーズは世代を重ねるごとに大きく進化している。Zen +よりもZen 2のRyzen 5 3600の方が好ましい。
できる限り新しい世代の下位モデルを購入する方が満足度が高いのではないかと思う。もっともゲーム用途を考えていないのであればRyzen 7 2700Xを選択肢に入れてもよいかもしれない。8コア16スレッドというスペックは強力だ。低コストでビジネスPCを構築したい自作PCユーザーも必見だ。マルチスレッド性能の高さは本物で古いモデルと言っても十分通用するだろう。例えば、動画編集などのクリエイターの方ならチェックしておいて損はないはずだ。
Ryzen 7 2700Xのゲーミングパフォーマンスを計る
ゲームをプレイする上でグラフィックボードが重要なことはすでに周知の事実だ。ここでは純粋なCPUのパフォーマンスを測定するためにできる限りボトルネックが生じないように配慮している。具体的にはハイエンドのグラフィックボードを使用した。オーバースペックなグラフィックボードを使うことでボトルネックを潰せる。
ゲームのベンチマーク一覧
Civilization 6
Grand Theft Auto 5
Hitman
Far Cry Primal
Project CARS 2
その他アプリケーションのベンチマーク
Cinebench R15
Single Thread
Multi Thread
HandBrake
X265
X264
Ryzen 7 2700Xのここに注目!特徴を解説【発売当時】
マルチスレッドパフォーマンスが高い
Ryzenシリーズ全般に言えることだが、マルチスレッドパフォーマンスが高いのが強みのCPUとなっている。一方で単コア性能は低めでIntel製CPUに大きく劣る。結果的にゲームでは最適化も問題もありIntelよりも劣ることがある。
それでも、マルチスレッド性能が求められる動画エンコードなどで高いパフォーマンスを発揮できる。ゲームもしたいけど、動画編集などの作業もしたいという方には魅力的だろう。まさにマルチな才能を持つCPUなのだ。今後のRyzenシリーズの進化は楽しみだ。
WRAITH PRISMクーラー標準搭載
Ryzen 7 2700Xには標準でWRAITH PRISMクーラーが付属している。LEDが搭載されているので見た目的にも素晴らしい。4つの銅製ヒートパイプとファンが直接つながっているクーラーだ。105WのCPUを支える重要なパーツだと言える。5,000円程度の価値がある製品なので、実質CPUクーラーが非同梱のRyzen 7 2700よりもオトクだということがわかる。
Ryzen 7 2700X搭載おすすめゲーミングPC紹介
GALLERIA AV(ドスパラ)
CPU:Ryzen 7 2700 アップグレード可
GPU:GeForce RTX 2060
メモリ:DDR4 8GB
SSD:500GB
HDD:2TB
電源:500W BRONZE認証
+6,000円でRyzen 7 2700Xにアップグレードすることができる。RTX2060搭載のゲーミングPCだ。GTX 1070 Tiに匹敵する高い性能を持つ。WQHD環境でのゲームプレイが得意だ。ドスパラのモデルはストレージが強力なのが特徴。流用する予定のない方にとっては魅力的だろう。
G-GEAR GA7A-C181/T(TSUKUMO)
CPU:Ryzen 7 2700 アップグレード可
GPU:GeForce RTX 2070
メモリ:DDR4 16GB
SSD:240GB
HDD:1TB
電源:CWT製 700W BRONZE認証
+2,000円でRyzen 7 2700Xにアップグレードすることができる。RTX2070搭載モデルとしては魅力的な価格設定となる。これはRyzenシリーズの特権だ。メモリ16GB、SSD 240GB、HDD 1TBと構成も充実している。電源ユニットは700W BRONZE認証を採用し万全だ。
SR-ar7-7650G/S6/GP(パソコンショップセブン)
CPU:Ryzen 7 2700X
GPU:GeForce RTX2070
メモリ:DDR4 16GB
SSD:500GB
HDD:非搭載
電源:750W SILVER認証
RTX 2070×Ryzen 7 2700Xのウルトラハイエンドモデルだ。4K解像度でのゲームプレイも可能な一台となっている。メモリ16GB、SSD 500Gと構成面も充実している。さらに、電源には750W GOLD認証を採用。安定した電源供給を実現できる。現時点で性能不足に悩むことはないだろう。
その他あなたにおすすめの記事はこちら!
- おすすめゲーミングPCランキング
- 当サイト紹介ゲーミングPC一覧表
おすすめのゲーミングPCランキングを紹介している。コストパフォーマンスが高いモデルに人気が集中していると言える。
当サイトでレビューをしている全てのゲーミングPCを表でまとめている。一覧で見れば、ゲーミングPCの構成や相場感を把握することができる。
テスト環境
OS | Windows 10 64-bit |
---|---|
GPU | GeForce GTX 1080 |
メモリ | 16GB |
SSD | 1TB Toshiba |
電源ユニット | “SilverStone ST1500-TI, 1500W” |