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当記事では、GeForce GTX 760のスペック&性能ベンチマークを検証している。2013年6月に発売されたグラフィックボードだ。前世代のGTX 660 Tiをも凌駕するパフォーマンスを持ちながらその下位モデルであるGTX 660並の低価格で人気を博したモデルだ。当時としては画期的だったと言える。
次世代のGTX 960やGTX 1060 6GBと比較してどこまでゲームに対応できるかを見ていこう。現在GTX 760を使用していて買い替えや換装を考えている方をターゲットにしている。今となっては通用しないグラフィックボードとなってしまった。買い替えのタイミングが来たと覚悟しておこう。
当ページの目次
GeForce GTX 760の基本スペック
GTX 760 | GTX 660 | GTX 960 | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Kepler | Kepler | Maxwell |
GPU | GK104 | GK104 | GM206 |
プロセス | 28 nm | 28 nm | 28 nm |
トランジスタ数 | 35.4億 | 25.4億 | 29.4億 |
ダイサイズ | 294 mm² | 221 mm² | 228 mm² |
SMX | 6 | 5 | 8 |
CUDAコア数 | 1152基 | 960基 | 1024基 |
コアクロック | 980MHz | 980MHz | 1127MHz |
ブーストクロック | 1033MHz | 1033MHz | 1178MHz |
GPUメモリ | GDDR5 2GB | GDDR5 2GB | GDDR5 2GB |
メモリクロック | 1502 MHz | 1502 MHz | 1753 MHz |
メモリ帯域 | 192.3 GB/s | 144.2 GB/s | 112.2 GB/s |
メモリバス幅 | 256-bit | 192-bit | 128-bit |
FLOPS | 2.378 TFLOPSPS | 1.981 TFLOPS | 2.413 TFLOPS |
TDP | 170W(6pin x 2) | 140W(6pin) | 120W(6pin x 2) |
MSRP | $249 | $229 | $199 |
中古価格 | 2,980円 | 1,980円 | 4,980 |
発売日 | 2013年6月25日 | 2012年9月13日 | 2015年1月23日 |
CUDA COREやメモリ周りの差がそのままパフォーマンスに影響を与えると考えてよいだろう。トランジスタ数が40%増えて、ダイサイズも33%も大きくなっている。Gk104では8基のSMXが搭載されていてGTX 760ではその内6基が有効化されている。つまり、CUDA COREは、1152基(6×192)だ。GTX 660では5基が有効化されているためCUDA COREは960基(5×192)だ。
CUDA COREはGTX 960をも10%以上も上回っている。しかし、GTX 960とはプロセスが異なるので、それが性能に繋がっているわけではないので数値以上の意味はない。コアクロック/ブーストクロックはGTX 660とGTX 760は同じ数値だ。
メモリ周りについてはメモリバス幅が192 bitから256 bitへと強化されている。結果的にメモリ帯域が144.2 GB/sから192.3 GB/sへと34%広くなった。TDPは170WとGTX 660よりも2.3倍だ。価格差は$20となっている。メモリ帯域、メモリバス幅の伸びによってメモリ周りのボトルネックが改善して、性能差にあらわれているのだろう。消費電力(TDP)がGTX 660と比べて20%以上高くなっているのは少しマイナスか。
GTX 760とMaxwell世代のGTX 960を比べると、細かな部分での差は確かにあるがプロセスは共通だ。トランジスタ数が29.4億とGTX 760よりも27%少ない。一方で、ダイサイズは23%もコンパクトになっている。SMXは8基でCUDA COREは1024基(8×128)となる。アーキテクチャが異なるため純粋な比較が難しい点は注意しよう。
基本性能を表すTFLOPSはほぼ同等の数値である。ただ、ゲームの処理性能に関してはこの理論値通りに行かない。コアクロックやブーストクロック等の性能が大きく影響してくる。実際はGTX 960の方が20%以上もゲーミング性能が高い。TFLOPSはグラフィックボードの持つ処理性能の基準として見ておくくらいでよいだろう。
GTX 760とGTX 960のGPUメモリは2GBと4GBがある。一般的なモデルは2GBである。当記事でも2GBに焦点を当てて解説している。GTX 960はGTX 760よりも新しい。当然性能もGTX 960の方が高い。しかし、メモリ周りはGTX 760よりも落ちる。例えばメモリ帯域は192.2GB/sのGTX 760に対して、112GB/sと少ない。メモリバス幅も半減の128bitである。
メモリ帯域は秒間に処理できる容量だ。バス幅はその処理を行える範囲と言うべきだろうか。高速道路で例えられる事が多い。メモリ帯域は制限速度、バス幅は車線だ。1秒間に処理できる容量はGTX 760の方が多いというわけだ。負荷が高くなると高速道路は渋滞状態になる。
渋滞になると車線が多いほど処理できる車が多くなる。このことから、負荷が高くなるとGTX 760はGTX 960を上回る場面がある。負荷に弱いというのがGTX 960の弱点だ。ただし、省電力性の高さと総合的な性能はGTX 960が上なのでGTX 760の方が優れているというわけではない。しかも価格が$50も安い。
GeForce GTX 760の最新評価【2024年】
ゲーミングプレイにおいては通用しなくなった
GTX 760のゲーム性能は次世代のGTX 1050/GTX 950に近い。当サイトが基準とする10,000スコアの半分強だ。基本的には一つ前の世代であるGTX 660 Tiよりも高い数値を出しているが、ゲームによっては逆転してしまうこともある。当時の評価で言えばGTX 660 Tiの方が上だった。それでも新しいゲームには新しいグラフィックボードが有利になることは間違いない。
後継モデルであるGTX 960ですら対応しづらくなっている状況においてGTX 760ははっきりと微妙なラインにある。設定を大きく下げることはもちろん、場合によっては解像度も下げなくてはならない。2015年に登場した人気タイトル「Rocket League」の最低環境はGTX 760である。8年前のゲームですら最低限必要なグラフィックボードにGTX 760を提示している。性能的にギリギリだという事が分かるだろう。
次世代モデルのGTX 960になると30%近くグラフィックス処理性能が高くなる。そして3世代後の50番台であるGTX 1650はGTX 760よりも65%以上も処理性能が高い。そのGTX 1650でさえ推奨環境を満たせていないことがあるぐらいだ。そう考えるとやはり世代交代の時期が来たと言えるだろう。
さすがに11年前のミドルクラスのモデルでは現行のロークラスにも全く届かない。GTX 760をこれから選ぶのはおすすめしない。そして、現在使用しているなら買い替えを検討するべきだろう。現在使用されている方には申し訳ないが、時代遅れのグラフィックボードになってしまった。
中古価格は2,980円と底値に到達
現在のじゃんぱらでの中古価格は、2,980円となっている。さすがにこれだけ価格が安いということは性能が低いことの裏返しでもあるということだ。今でも最低限ゲーム目的で推奨できる最安値のモデルはGTX 1650で10,980円~だ。ゲームプレイを目的とするなら10,000円程度の予算はあった方がよいだろう。どれだけ価格が安くても性能が低く思うようにゲームがプレイできなければ本末転倒だ。そこでまた買い替えとなると無駄なコストが掛かってしまう。それなら初めからある程度お金を掛けておく方が満足度が高くなる。
GeForce GTX 760の評価【2022年時点】
現在は使用が困難なグラフィックボード
GTX 760は、発売当時間違いなくミドルクラス最高傑作と言えるグラフィックボードだった。その最高傑作も時代が進み、通用しなくなってきている。GTX 970、GTX 1070 Ti、RTX 2070 SUPERのように、人気のグラフィックボードは70番台であることが多いように思う。当時700シリーズで最も人気を得ていたのはこのGTX 760でその後の流れとはちょっと違っていたのだ。
GTX 600シリーズにはないコストパフォーマンスの高さで多くの搭載モデルが登場したのだ。GTX 760は前述の通り、5年前のゲームの最低環境になる程度のグラフィックボードだ。負荷の高い最新のゲームではプレイすら困難になる可能性が高い。それでも、最新のゲームの多くは設定で負荷を幅広く変更できる。そのため、GTX 760でも対応しやすいタイトルもそれなりにある。
プレイするタイトルの要求スペックに合わせて買い替えを検討する方がよい。GTX 1050は当時ですら性能不足が指摘されていた。そのGTX 1050に近い性能であるGTX 760は当然厳しい。GTX 1050は省電力性に長けているのでGTX 760と比べて選択の余地が残る。現在、GTX 760はそれ以降のモデルと比べて省電力性など長所となるものがない。
ミドルクラスの製品寿命は2世代が限界
ミドルクラスのグラフィックボードは製品寿命が2世代程度である。4世代前のグラフィックボードであるGTX 760はすでに限界が来ている。ギリギリ通用する程度で、快適なゲームプレイは難しい。今では一般的になりつつある高リフレッシュレートも実現困難だろう。グラフィックボードはゲーム用途が基本である。そのゲーム用途で性能不足となるなら御役御免となってしまう。むしろここまでよく持ったと言える。
GTX 760はGTX 660 Tiの後継機に位置づけされている。このように、NVIDIAのグラフィックボードは世代が上がると型番が一つ下がる。従来のワンランク下の型番で同等以上のパフォーマンスになる。単純にその法則で行けばGTX 900シリーズではGTX 950より低くなる。
ゲーミング用途に適した最低の型番である50番台よりも次の900シリーズで下回っている。そこから2世代進めば当然通用しないグラフィックボードになる。最新のタイトルをプレイする予定があるなら、買い替えをしっかり視野に入れておくべきだ。
買い替えならGTX 1650以上を推奨
現在GTX 760を使用しているユーザーは性能不足に困るようになってきたのではないだろうか。グラフィックボードの性能が着実に進化するにつれてゲーム側でも要求スペックが上がってきている。そうなるとやはり買い替えを考える時期だと言える。
買い替えを検討するならGTX 1650の性能以上、かつ同等の価格が基準になる。どの性能帯に買い換えるかによっては中古製品にも目を向けておくべきだ。GTX 1650の新品価格はおよそ35,000円~である。半導体不足の影響によって倍程度まで価格が上がってしまっている。
2世代前のミドルクラスGTX 1060 3GBは中古で25,000円ほどからある。新品にこだわらないならGTX 1060 3GBあるいはGTX 1060 6GBが狙い目となる。GTX 980はさすがに古くて中古で探すのが難しくなってきている。GTX 1650への買い替えを検討するならこの辺りも候補に入る。
GTX 1660 Tiは60,000円、中古で48,000円程度だ。現行の価格に近く性能の高い中古製品は候補に入る。この場合は40,000円から購入できるGTX 1070 Tiが候補だ。このように、価格が高騰しているとは言っても前世代のモデルは中古価格が非常に安くなっている。
RTX 20シリーズ以上への買い替えは同等の製品が過去製品にない。それはリアルタイムレイトレーシングという機能が初めて実装されたのがRTX 20シリーズだからだ。性能だけを見れば並ぶものはあっても、機能面で並べるものはない。また、現行のミドルエンド以上であれば過去製品とも価格差がそこまで無いので迷う必要もないだろう。
GeForce GTX 760のベンチマーク
ここでは純粋にfpsを見ていくというよりは過去世代のグラフィックボードと比べてどのような位置にいるのかということに焦点を当てて欲しい。2021年時点で考えるとGTX 760でもGTX 1050より少し高いぐらいでゲームプレイに対応しにくいということは変わらないからだ。
Battlefield 3
GTX 770 | |
GTX 670 | |
GTX 760 | |
GTX 660 Ti | |
HD 7950 Boost | |
GTX 660 |
Hitman
GTX 770 | |
HD 7950 Boost | |
GTX 670 | |
GTX 760 | |
GTX 660 Ti | |
GTX 660 |
Far Cry 3
GTX 770 | |
GTX 670 | |
HD 7950 Boost | |
GTX 760 | |
GTX 660 Ti | |
GTX 660 |
販売当時の評価【2013年当時】
GTX 590の上位互換に位置するモデル
GTX 760はGTX 660と同じく標準レベルのグラフィックボードだ。性能はGTX 590やGTX 660 Tiに近い。GTX 590と比べて省電力性など様々な点で改良され、性能が同程度であることからGTX 590の上位互換というほうが適切だ。2013年3月登場までのゲームであれば問題なく動作するのも同じで、1年や2年で性能の限界が来ると予想されるのも同じだ。良くも悪くも標準的な性能であるため、買い替え対象の線引が非常に難しい。
PS4の登場で性能の限界は近いかも
PS4とPCによるクロスプラットフォーム対応のゲームが登場した場合、GTX 760の性能ではカクつくゲームが登場する可能性が高い。PS4と違いゲームによって必要なスペックを合わせなくてはならないPC側はある程度高い性能が求められる。
PCゲームも8GBのメモリが当たり前となると予想されるため、グラフィックボード以外もハイスペックにしておくことが重要だろう。GTX 760の性能は近い。しかし、最低限必要な性能でもある。コストパフォーマンスや予算を気にする場合に選択できるグラフィックボードである。
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