当記事では、サードウェーブ(ドスパラ)が販売するビジネスモデルの「Lightning AT5」のレビューをまとめている。登場した2月時点では98,980円でその後100,980円→104,980円→103,980円→99,980円→89,980円と着実に価格を引き下げている。円安状況でも旧世代モデルを採用しているからか価格が下がって来ている。
ゲーミングPCではないが、グラフィックボードを搭載しているのでゲームに対応可能だ。グラフィックボードがGeForce RTX 3050 8GBからGeForce RTX 3050 6GBへと換装されてリニューアルが行われている。ゲーミング性能はGeForce GTX 1650 SUPER/GeForce GTX 1650が近くそこまでゲーム性能が高いわけではない。性能を理解した上で選択する必要がある。
ビジネスモデルはケースの見た目がゲーミングPCと異なり、平凡なよくある黒い箱である。そのため、華々しいゲーミングPCを求める方には敬遠されてしまいがちだ。いかに見た目がよくなくても、中身はゲーミングPCとそう変わらない。同じ価格帯のゲーミングPCと比べると性能は高い。ケースにコストがかかっていないというメリットがあるからだ。ゲームをプレイできるビジネスモデルは、よいところも悪いところもある。その特徴を少しでも知れば、ゲーミングPCでないことをデメリットに感じなくなるはずだ。
当ページの目次
Lightning AT5のスペック解説
メーカー | サードウェーブ(ドスパラ) |
---|---|
ブランド名 | Lightning |
製品名 | Lightning AT5 |
価格 | 89,980円(税込) |
CPU | Ryzen 5 4500(レビュー) |
GPU | GeForce RTX 3050 6GB(レビュー) |
メモリ | DDR4-3200 16GB |
SSD | 500GB NVMe |
電源 | 550W BRONZE |
マザーボード | チップセットA520 |
備考 | マウス・キーボード付属 |
おすすめ度 | Aランク |
評価 | ・コスパ 9.9 —–内訳—– ・ショップ評価 9.1 |
Lightning AT5は、Ryzen 5 4500×GeForce RTX 3050 6GB搭載のエントリークラスの一台だ。カテゴリー的にはビジネスモデルだが、グラフィックボードを搭載しているのでゲーミングPCの代用としても使える。メモリはDDR4-3200 16GBと必要十分だ。ストレージはSSD 500GB NVMeとなる。ゲームやメディアの保存にもある程度対応可能だ。電源ユニットは550W BRONZEと最小限に留まる。マザーボードのチップセットは廉価なA520だ。拡張性はそこまで高くない。
マウスとキーボードが付属となっている。まずはお試しで使えばデバイスに掛けるコストを抑えられる。コスパ指標は9.9とほぼマックスだ。さすがに8万円台とモデルなら評価せざるを得ない。ショップ評価も9.1と高い。24時間365日の電話サポートは魅力的だろう。
おすすめカスタマイズ
- CPU -
- CPUファン –
- CPUグリス ×
- メモリ ×
- SSD △
- 電源 ×
Lightning AT5は低価格が魅力のモデルだ。カスタマイズで弱点の構成を補うと、その分価格が高くなってしまう。カスタマイズすべき箇所がない。価格か構成のどちらを優先するか。迷う必要もなく価格を優先すべきだ。構成を重視するなら、Lightning AT5を選択するメリットがない。特徴を活かすためにも、カスタマイズはあまり積極的に行わない方がよい。
CPUグリスは、Ryzen 5 4500の発熱量を考えれば変更しなくていい。受けられる恩恵が限りなく小さい。無駄に価格を高めてしまうだけだ。実用性の高いメモリも、Ryzen 5 4500とGeForce RTX 3050 6GBの組み合わせでは活かしにくい。唯一考慮に値するのはストレージだ。SSDは7,000円で1TBへ変更できる。パソコンを使用すると、ストレージ容量はいくらあっても困るものではない。
ただ、カスタマイズしてまで容量をアップさせるのは、それほど大きなメリットがあるとも思えない。価格は購入時、構成は購入後に影響を与える。この考えでいけば、購入時はカスタマイズせず、購入後に不足を感じたら増設や外付けで対応するのがよさそうだ。
電源容量は550W 80PLUS BRONZEで最低限だ。これがミドルクラスのゲーミングPCであったなら、750W 80PLUS GOLDくらいへのカスタマイズを推奨したかもしれない。一般向けのミニタワーでは、ハイエンドクラスへの換装も物理的にむずかしい。低価格を武器にしているモデルに手を加える必要はないのではないか。多少の手間があっても、パーツの交換等で必要なったタイミングで電源も交換する。それくらい割り切って低価格路線を進みたい。
各タイトルの対応表
Apex Legends | フォートナイト | パルワールド | マイクラ |
---|---|---|---|
・240Hz ・144Hz | ・240Hz ・144Hz | ・144Hz ・60Hz | ・影Mod ・通常 |
★5つ=最高設定、★4つ=高設定、★3つ=標準設定、★2つ=低設定、★1つ=厳しいということだ。なお、対応表は必要なスペックや環境から評価した個人的な見解となっている。
Lightning AT5はRyzen 5 4500とGeForce RTX 3050 6GBを搭載したロークラスのモデルだ。CPUとグラフィックボードの性能は低い。最新のゲームをスペック気にせずプレイすることはできない。基本的に最新のゲームは要求されるスペックが高めだ。設定と解像度を下げるくらいに考えておく必要がある。
Apex Legendsは、240fpsの張り付きはもちろん、安定させることさえむずかしい。144fpsの維持も設定を大きく下げなければならない。Lightning AT5は144Hz環境を上限にした方がいい。200を超えるフレームレートを実現することは現実的ではない。同ジャンルのフォートナイトでも、240fpsの安定はむずかしい。設定を下げる、DirectX 12を避けるなど方法はある。それでも負荷の高い場面では安定しにくい。フォートナイトも144Hz環境を上限にした方が快適に感じられるはずだ。
話題を集めたパルワールドの場合は、60fpsの安定は目指せる。中終盤は負荷が大きくなりやすく、設定を下げてようやく60fpsを維持できるくらいになる。快適なゲームプレイではなく、なんとかゲームをプレイできる程度のものだ。快適かどうかは個人差があるので一概に断言できない。今後のアップデートはさらに厳しくなる。こういった負荷の高いゲームもプレイするなら、Lightning AT5は適していない。
Minecraftは、Modを導入していないバニラ状態なら快適にプレイできる。人気の影Modは負荷が増大し、Lightning AT5の性能では安定しにくい場面が増える。その他のゲーム性を大きく変えるModでも、一部対応しにくいものもある。Lightning AT5では、バニラ状態でのゲームプレイを推奨したい。
Lightning AT5のゲーミング性能
Ryzen 5 4500(CPU)
Lightning AT5に採用されているCPUはRyzen 5 4500だ。ゲームがプレイできるパソコンに搭載されているCPUの中で、最低限の性能となるモデルだ。一世代前のRyzen 5 3500の後継機で、6%程度性能を伸ばした。世代が進み大きく性能を伸ばすかと思われたが、L3キャッシュ容量が半減となり性能の伸びは控えめだ。CPU性能は高くないものの、GeForce RTX 3050 6GBとの組み合わせでのゲームプレイでは、性能の低さを体感する場面は少ない。
控えめな性能というだけで、ゲームにおいては大きく足を引っ張るほどではない。一方で、ゲーム以外の用途への対応力は低い。動画のエンコードや画像編集など、CPUの性能が快適性に直結するアプリケーションは不向きだ。また、ゲームと同時に別のアプリケーションを起動しての操作など、負荷が高まる場面全般苦手だ。使い方によってはストレスを感じるかもしれない。このあたりは価格とのトレードオフと考えたい。
GeForce RTX 3050 6GB(GPU)
当該モデルで搭載されているGeForce RTX 3050 6GBは、一世代前のAmpere世代のエントリークラスのGPUだ。立場的にはGeForce GTX 1650の後継機に当たる。VRAM 8GB搭載のGeForce RTX 3050 8GBと比べると20%程度劣る。8GBモデルが市場から消えつつあり今後はこのGeForce RTX 3050 6GBが低価格帯を支えるモデルとなりそうだ。同じ型番でも別物だと考えるべきだ。GeForce GTX 1650と比べると23%程度処理性能が向上した。GeForce GTX 1650 SUPERやGeForce GTX 1060 6GBに近い。
CPUとGPUのバランス考察
Ryzen 5 4500とGeForce RTX 3050 6GBのバランスはよい。GeForce RTX 3050 6GBの性能が低いことで、Ryzen 5 4500でも十分パフォーマンスを引き出せるということだ。ゲームのことだけを考えるなら、Ryzen 5 4500よりも性能が高くなるとオーバースペックだ。グラフィックボードの性能を引き出すことはできても、CPU性能を持て余すような結果となる。☓という評価であっても、性能を引き出せるので現行で取り扱いされているCPUなら問題ない。GeForce RTX 3050 6GBはどのCPUでも性能を引き出せる。ゲームのバランスを考えるなら、それほど優秀な性能は不要というだけだ。あくまでもバランスを考えてのことなので、目安程度に考えてもらいたい。
Lightning AT5の強み&弱み
10,000円の値引きで評価大幅アップとなる
低価格帯のモデルにまさかの1万円引きが適用となり評価を上げた。低価格帯と言えるモデルに対して、1万円の値引きは滅多に見られるものではない。この値引きによって、GeForce RTX 3050 6GB搭載にリニューアルしてから最安値となった。確かにGeForce RTX 3050 8GB搭載モデルと比べると性能は劣るが、ここまで価格が下がれば話は別だ。10万円を下回るモデルが減少している中で、9万円をも下回るモデルの登場だ。
Lightningシリーズとしては、GeForce GTX 1650搭載のLightning AH5以来である。Lightningシリーズと言えば低価格帯を代表する人気ブランドだ。当該モデルもしっかりとその特徴を引き継いでいる。GeForce GTX 1650からGeForce RTX 3050になり、もう9万円を下回るモデルは出ないだろうと考えていた。その予想をよい意味で裏切った形といえる。予算を抑えたい方はチェックしておいて損はない。
コストパフォーマンスの評価は9.9でほぼ最高評価だ。低価格帯のモデルは、構成が乏しいことから評価が上がりにくい。評価を上げるためには価格を下げなければならない。しかし、低価格帯のモデルは価格を下げにくく、下げられても1,000円単位と控えめだ。このことから、10万円を下回るモデルは、とくに評価が上がらない。そういった状況で9.9という評価を獲得したLightning AT5は異常とも言えるモデルだ。ゲーミングPCではまず実現できない価格だ。
ドスパラの製品は送料3,300円かかる。そのため、実質価格は93,280円だ。9万円以下にはならないものの、10万円を下回る価格で選択できる。Lightningシリーズは、マウスとキーボードも付属する。ゲーミングPCでは付属しないデバイスもついてくる。モニターさえ用意すれば、最低限のパソコン環境が整う。これもLightning AT5の強みであり、魅力と言えそうだ。パソコンを操作するために必要な初期投資が抑えられる。
初めてゲームに対応するパソコンを購入するなら、まずは候補に入りそうなモデルだ。エントリークラスとして注目されているが、性能はそこまで高くない。Lightning AT5で多くのゲームが快適にプレイできるわけではない。最新のゲームへの対応力はとくに低い。その点では、性能を理解している中級者以上のゲーマーに向けたモデルだ。Lightning AT5は優れたモデルであるが、決して価格だけを見て選択しないようにしたい。ここまで低価格のモデルは他にないだけに、初心者の方が深く理解せずに選ぶと後悔してしまうだろう。
グラフィックボードの性能が大幅ダウン
Lightning AT5は、以前Lightning AS5という名称で販売されていたビジネスPCだ。GPUがGeForce RTX 3050 8GBからGeForce RTX 3050 6GBへグレードダウンされて、Lightning AT5と名称が変わった。同じGeForce RTX 3050でも、GeForce RTX 3050 8GBとGeForce RTX 3050 6GBでは性能差は25%以上と大きい。この変化ははっきり言ってマイナスである。
GeForce RTX 3050 8GBはGeForce GTX 1660 SUPERよりも優れた性能を持っていた。Lightning AT5に搭載されているGeForce RTX 3050 6GBはGeForce GTX 1650とGeForce GTX 1660 SUPERの中間的な性能だ。ゲームに関しては体感できるほどの性能ダウンである。ビジネスモデルながらゲーミングPCとしても通用する一台という強みとも言える部分が弱体化したことは、Lightning AT5を選択する理由を失うと言っても過言ではない。
コスト面からか、GeForce RTX 3050 8GBはGeForce RTX 3050 6GBへ換装されつつある。元々グラフィックボードは細かく刻み過ぎて、差別化を図るのがむずかしくなっていた。特に、GeForce RTX 3050 8GBは、コストが抑えにくいせいでGeForce RTX 4060と近すぎて選ばれなかった。それを解消する意味でも、GeForce RTX 3050 6GBの登場は悪くはない。ただ、ユーザーからすると混乱を招き、メリットがほとんどないというのが正直なところだ。
本格的なゲームプレイを想定したモデルではなく、設定次第で60fpsを維持できる環境を目指すモデルだ。最新のゲームへの対応力は低いため、少し古いゲームをメインに考えている方に適している。今回のリニューアルはダウングレードを軸にしていて素直に喜びにくい。マイナスの方が目立つ結果となった。もっとも8万円台まで価格が下がったのであればGeForce GTX 1650の後継モデルとして十分考えることができる。
似ているモデルとの比較
ブランド名 | Lightning | LEVELθ |
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イメージ | ||
製品名 | Lightning AT5 | LEVEL-M1P5-R45-LAX-WHITE2 |
価格 | 89,980円 | 99,800円 |
送料 | 3,300円 | 2,200円(会員無料) |
CPU | Ryzen 5 4500 | Ryzen 5 4500 |
GPU | RTX 3050 6GB | RTX 3050 6GB |
メモリ | DDR4-3200 16GB | DDR4-3200 16GB |
SSD | NVMe 500GB | NVMe 500GB |
電源 | 550W BRONZE | 650W BRONZE |
チップセット | A520 | B550 |
納期 | 翌日出荷 | 2~7日 |
保証(延長) | 1年間 (最長5年間) | 1年間 (最長4年間) |
電話サポート | 24時間365日 | 24時間365日 |
公式 | 公式 | 公式 |
レビュー | 当ページ | レビュー |
比較対象はパソコン工房のLEVEL-M1P5-R45-LAX-WHITE2だ。価格差は9,820円とLightning AT5の方が安い。ただし、LEVEL-M1P5-R45-LAX-WHITE2は会員登録をすれば送料が掛からないので、実質の価格差は6,520円まで縮まる。LEVEL-M1P5-R45-LAX-WHITE2はゲーミングブランドLEVELθのモデルで、ケースデザインもゲーミングPCらしい。さらに、電源容量も少し容量が大きく、マザーボードのチップセットも上だ。
この2製品を比べると、デザインの好みが大きく左右してきそうだ。数少ない100,000円を下回るゲーミングPCであるLEVEL-M1P5-R45-LAX-WHITEは、唯一Lightning AT5に対抗できるモデルだ。6,520円という価格差をどう見るか。この金額で見た目やマザーボードを強化できると考えれば悪くない。少しでも価格の安いモデルがよいなら、マウスとキーボードも付属するLightning AT5だ。
少しでも見た目と品質に優れるモデルがならLEVEL-M1P5-R45-LAX-WHITEといった具合だろうか。低価格帯のモデルは数が少ない。選択肢は広くないため、どちらかを選ぶことになるだろう。総合的に見ればLEVEL-M1P5-R45-LAX-WHITEの方が後悔はしにくいように感じる。
Lightning AT5のパソコンケースレビュー
本体正面
Lightning AT5ではミニタワーケースを採用している。新しいモデルで従来ケースよりも35%小型化されている。
左側面
左側にはやや大きめの吸気口がある。ファンの力を借りて多くの空気を取り入れられる。
内部(左側面)
I/Oパネル
本体前面にI/Oパネルが配置されている。USB 2.0×2基、USB 3.0×2基が搭載されている。Type-Cポートは使用できない。Magnate Xシリーズ(B760) でのみ使用できるようだ。
エアフロー
ミニタワーモデルだ。ビジネス向けモデルということもあって落ち着いたデザインとなっている。一般的なエアフローでゲームプレイにも問題はない。フロントパネルにあるスリットと側面の給気孔から冷たい空気を取り入れる。もっとも性能的にも熱を持ちにくく対応しやすい。
管理人による総評(Lightning AT5)
Lightning AT5は、Ryzen 5 4500×GeForce RTX 3050 6GBを搭載したビジネスモデルだ。グラフィックボードを搭載していてゲームプレイにも対応できる。GeForce GTX 1650搭載モデルの後継機として登場した。GeForce RTX 3050 8GBと比べると大きく性能が劣る点は理解しておこう。フルHD環境で設定を下げれば60fpsを十分目指せる。税込8万円台と価格が抑えられているのが特徴だ。比較対象モデルと合わせて確認しておこう。
価格 | CPU | グラボ |
---|---|---|
89,980円 | Ryzen 5 4500 | RTX 3050 6GB |
メモリ | SSD | HDD |
DDR4 16GB | 500GB | 非搭載 |