出典:https://www.ark-pc.co.jp/
当記事では、Core i7-5960X Extreme Editionの性能スペックについて解説している。2014年8月に発売されたこのCPUは、当時最高峰のスペックを誇る超高性能プロセッサーだった。ハイエンドモデルに位置してプロ向けモデルのCPUだ。メインストリームで4コア8スレッドが一般的だった時代に8コア16スレッドと高いスペックを誇っていた。記事執筆時点での評価も合わせて見ていくとしよう。
Core i7-5960X EEの概要
スペック
Core i7-5960X EE | Core i7-4790K | Ryzen 7 1700 | |
---|---|---|---|
メーカー | Intel | Intel | AMD |
コードネーム | Haswell | Devil’s Canyon | Zen |
製造プロセス | 22nm | 22nm | 14nm |
トランジスタ数 | 26億 | 14億 | 48億 |
ダイサイズ | 356 mm² | 177 mm² | 213 mm² |
CPUコア数 | 8 | 4 | 8 |
スレッド数 | 16 | 8 | 16 |
定格クロック | 3.0GHz | 4.0GHz | 3.0GHz |
最大クロック | 3.5GHz | 4.4GHz | 3.7GHz |
L3キャッシュ | 20MB | 8MB | 16MB |
内蔵グラフィックス | 非搭載 | Intel HD 4600 | 非搭載 |
対応メモリ | DDR4-2133 | DDR3-1600 | DDR4-2666 |
ソケット | LGA2011 | LGA1150 | AM4 |
TDP | 140W | 88W | 65W |
MSRP | $1059 | $349 | $329 |
発売日 | 2014年8月30日 | 2014年6月26日 | 2017年3月2日 |
Core i7-5960Xは、2014年のCPUということが信じられないほどのスペックの高さを誇っている。8コア16スレッドと驚異的なコア数を持つ。ゲーム用途で人気のあるCore i7-4790Kのちょうど倍だ。プロセスは22nmと共通となっている。Core i7-5960X EEのトランジスタ数は26億とCore i7-4790Kよりも85%も多い。ダイサイズはおよそ2倍だ。
定格クロックは3.0GHz、ブースト時でも3.5GHzでCore i7-4790Kと比べると20%-25%も低い。コア/スレッドが多い分クロック周波数が抑えられているのだ。クロック周波数が重要な役割を果たすことの多いゲームにおいて適切なCPUとは言いづらい。発売当時は8コアを生かせる用途もそれほどなく、サーバー用などプロ向けのCPUだった。
L3キャッシュ容量はCore i7-4790Kの2.5倍で20MBとなる。内蔵GPUは非搭載だ。対応メモリについても上位規格のDDR4-2133となっている。DDR4メモリはその後長らくメジャーな規格になった。Core i7-4790Kとプラットフォームが異なっている点は忘れてはいけない。ソケットはLGA1567の後継に当たるLGA2011だ。ハイエンドデスクトッププロセッサー用となる。Core i7-4790Kで採用されているLGA1150との互換性はない。TDPは60%高く140Wで省電力性が高いモデルとは言えない。価格は$1059と日本円にすると11万円オーバーと非常に高額だ。
2017年にAMDがリリースしたRyzen 7シリーズは画期的なCPUだったと言える。価格は$329にでCore i7-5960X EEの1/3程度にもかかわらず、Core i7-5960Xとほぼ同等のスペックとなる。8コア16スレッドがメインストリームに降りて来た。さらに、65Wと省電力性に磨きが掛かっている。このときからRyzenの追撃が始まりスペックを比較するとそのすごさがわかる。
性能
Core i7-5960X EEは、8コア16スレッドとマルチコア性能の高さのおかげもあって現在でもそこそこの位置にいる。ゲーム用途で人気の高かったCore i7-4790Kよりも80%も高い。当時としてはいかに驚異的なモデルであったかということは想像に難くない。Intel第10世代のCore i5-10400(6コア12スレッド)と同等だ。
次世代モデルと比べるとパフォーマンスが落ちるのは定格クロック周波数が低いこととアーキテクチャの違いが影響していると考えてよいだろう。Intel第11世代で8コア16スレッドのCore i7-11700になると、Core i7-5960Xよりも60%以上もパフォーマンスが高くなっている。より洗練されたアーキテクチャになっているのだ。プロセスが14nmへと微細化されているのも大きい。
ゲーミング性能についてはCore i7-4790Kとそれほど性能差があるわけではない。数%以内に収まっている。確かにIntel第9世代以降は8コアというのが一般的になったが、この当時のモデルではアーキテクチャ的に活かしきれなかったということだろう。
Core i7-5960X EEの特徴まとめ
8コア16スレッドの前身
今やメインストリームでも8コア16スレッドは一般的になっているが当時としては革新的だった。一般のゲーム向けCPUが4コア8スレッドが普通の時代なので奇妙ささえ感じたほどだ。当時はゲーム向けとしてではなくサーバー用やクリエイター向けのCPUという位置付けになっていた。
2023年時点ではゲーム側でもマルチスレッドを活かしやすい状況になっていて8コア16スレッドが基準になっている。この末尾がXというのはメインストリームではなく、かなり特殊なモデルなので一般ユーザー向けではないことを伝えておかなければいけない。おそらくこのサイトを見てくれている方にとってCore i7-5960X EEを搭載しているPCは購入の対象とはならないと考えている。
中古で安く購入できたとしても価格が下がり切っておらず積極的におすすめはしない。中古でも40,000円前後とかなり強気な価格設定だ。Intel第10世代のCore i7-10700Kを新品で購入できる価格となっている。
DDR4メモリに初めて対応したCPU
Core i7-5960X EEは、実はDDR4メモリを初めて導入したCPUなのだ。それまではDDR3が一般的だった。その後のSkylake世代から一般的に普及したメモリ規格だが実は2013年時点ですでに採用されていたのだ。DDR4メモリがこれまでのDDR3よりも高性能なのは言うまでもない。
省電力性にも磨きが掛かっていてまさに次世代向けメモリだ。さらに、クアッドチャンネルにも初めて対応したモデルだ。あまり表に出ることのなかったCPUだが、今に繋がる基礎を築いたモデルとなっている。6年前からすでに次世代モデルへの一歩が踏み出されていたということだ。
Core i7-5960X EEのベンチマーク
Cinebench
CPU性能を計るのに最適なベンチだ。前世代のi7-4960Xよりも36%高い数値となっている。レンダリング性能で最大32%高速化されたと公式で発表されたが偽りはないようだ。プロフェッショナル向けとして最高峰の性能を発揮している。
Handbrake
CPU速度やメモリ速度を計測するのに最適なベンチマークだ。H.264ファイルのエンコード速度を計測。i7-4960Xを圧倒。i7-5820Xでもわずかに上回っている。やはりCPU性能は高い。公式発表のデータによる4Kビデオの編集だと最大20%早くなっているということだ。
Core i7-5960X EEのゲーム性能
Bio Shock
ミディアムクオリティで720P及び1080Pでフレームレートを計測。Core i7-4790Kと比べると4%性能が向上している。FULL HD環境ではスコアが変わっていないのはグラフィックボードがボトルネックになっているということだろう。Core i7-5960Xを選ぶならCore i7-4790Kを選択するのが賢明だ。
Tomb Raider
Tomb RaiderではCPUごとの差がほとんどない。グラフィックボードがボトルネックとなっている。これだけ差が小さいのであればCore i7-5960Kを選択する理由はない。
Core i7-5960X EE搭載ゲーミングPCを紹介
Core i7-5960X EEはゲーミング用途としては現実的なCPUとは言えなかった。そもそもIntel側もゲーム向けとして販売しているわけではない。サーバーなどのプロフェッショナル向けだ。ではなぜゲーミングPCを紹介するサイトでこのCPUを紹介したかというと下記のモデルの存在が大きい。ドスパラで電王戦で使用されたモデルとして販売されたモデルがあったのだ。当時の記事が残っているのでここに紹介しておく。現在は販売されていない。
![]() | 価格 | 379,980円 |
---|---|---|
CPU | Core i7-5960X EE | |
GPU | GeForce GTX960 | |
メモリ | 64GB | |
SSD | 250GB | |
HDD | 設定なし。 | |
コスパ | – |
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ベンチマークテスト環境
GPU | GTX 780 Ti |
---|---|
メモリ | 8GB |
電源ユニット | Corsair AX1200i |
参照元:Core i7 6700K processor review: Desktop Skylake (The guru of 3D)