画像引用元:https://www.amazon.co.jp/
当ページでは、AMD Ryzen Threadripper 2950Xのスペックと搭載ゲーミングPCの紹介をしている。まず格納されているケースがかっこよすぎる。AMDのこのモデルに対する本気が垣間見えるのではないだろうか。16コア32スレッド搭載のウルトラハイエンドのRyzen CPUだが、ゲーミング用途においてはパフォーマンスを発揮できない。なぜならゲームプレイ時に最適なコア数は8コア~10コアで16コアには最適化されていないからだ。
Ryzen 7 2700Xなどのメインストリームのモデルとは違ってハイエンドモデルのCPUだ。ほとんどの方には縁のないCPUだが、私自身興味があるので、ごく一部のコアなユーザーのために執筆することにする。12nmプロセスの採用で14nmプロセスのCore i9-7900Xを引き離しているのもポイントだ。もちろんゲーム用途以外では高いパフォーマンスを発揮する。このようなありえないスペックを持つハードのレビューは楽しい。
総合評価 :40/100
ゲーム評価:25/100
- 16コア/32スレッドの驚異的なスペック(+)
- Ryzen+で従来モデルよりもパフォーマンスアップ(+)
- ゲーム専用機としてはコスパが悪い(-)
当ページの目次
Ryzen Threadripper 2950Xの概要
基本スペック・仕様
Threadripper 2950X | Threadripper 2990WX | Threadripper 1950X | |
---|---|---|---|
コードネーム | Zen+ | Zen+ | Zen |
プロセス | 12nm | 12nm | 14nm |
トランジスタ数 | 192億 | 192億 | 96億 |
ダイサイズ | 213 mm² | 213 mm² | 213 mm² |
CPUコア数 | 16 | 32 | 16 |
スレッド数 | 32 | 64 | 32 |
定格クロック | 3.5GHz | 3.0GHz | 3.4GHz |
最大クロック | 4.4GHz | 4.2GHz | 4.4GHz |
L3キャッシュ | 32MB | 64MB | 32MB |
対応メモリ | DDR4-2933 | DDR4-2933 | DDR4-2666 |
内蔵GPU | × | × | × |
CPUクーラー | × | × | × |
TDP | 180W | 250W | 180W |
PCI-Express | Gen 3 | Gen 3 | Gen 3 |
価格 | $899 | $1799 | $750 |
発売日 | 2018/08/13 | 2018/08/13 | 2017/08/10 |
プロセスが12nmへと小型化されたためよりパワー効率がよくなったり、メモリの改善によってレイテンシの軽減に繋がったりした結果だ。事実ダイサイズは同じ213m㎡に留めながらトランジスタ数が倍増の192億となっている。これはAMDのプロセス改善に費やした時間が報われたことを意味する。対応メモリについてもDDR4-2666からDDR4-3200へとアップグレードされた。TDPは180Wと変更されていない。
一応上位モデルでワークステーション向けのThreadripper 2990WXも記載しているが一般向けではないしゲーミング向けとしては最低クラスの性能だ。32コア64スレッドとRyzen Threadripper 2950Xからそれぞれ倍だ。価格も$1799と倍になっている。このクラスはレンダリングなどの用途で輝くCPUだと言える。それは後述のベンチマークを見ればわかると思う。
Core i9-7900Xと比較
Threadripper 2950X | Core i9-7900X | |
---|---|---|
コードネーム | Zen+ | Maxwell |
プロセス | 12nm | 14nm |
トランジスタ数 | 192億 | - |
ダイサイズ | 213 mm² | - |
CPUコア数 | 16 | 10 |
スレッド数 | 32 | 20 |
定格クロック | 3.5GHz | 3.3GHz |
最大クロック | 4.4GHz | 4.3GHz |
L3キャッシュ | 32MB | 14MB |
対応メモリ | DDR4-2933 | DDR4-2666 |
内蔵GPU | × | × |
CPUクーラー | × | × |
TDP | 180W | 140W |
PCI-Express | Gen 3 | Gen 3 |
価格 | $899 | $999 |
発売日 | 2018/08/13 | 2017/06/26 |
スペックを見るとAMDの圧勝だ。まずプロセスがCore i9-7900Xの14nmに対してRyzen Threadripper 2950Xでは12nmとなっている。CPUの技術的革新はこのプロセスの微細化にあると言っても過言ではない。パワー効率の改善やクロック周波数の引き上げといったメリットがある。
コア数及びスレッド数は1.6倍となっている。さらに、定格クロックも7%、最大クロックも3%程度上回っている。L3キャッシュ容量も2.3倍で32MBだ。対応メモリもDDR4-2933とワンランク上の規格だ。消費電力が180Wと高いのはコア数が増えていることから仕方がないと言える。価格差は$100だ。コストパフォーマンスの高さは圧巻だ。
Ryzen Threadripper 2950Xの評価【2023年】
16コア32スレッドがメインストリームになった
Ryzen Threadripper 2950Xがリリースされた当時は、16コア32スレッドというCPUは画期的だった。現行モデルで言えば8コア16スレッドのRyzen 7 5800Xと同等の性能を持つに留まる。アーキテクチャがより洗練されて性能が引き上げられている形だ。ゲーミング性能についてはRyzen 7 5800Xが大きく上回る。
2020年にメインストリームでThreadripper 2950Xと同じ16コア32スレッドを持つRyzen 9 5950Xが登場した。性能では40%以上も上回りゲーム適性も高い。何よりもZen 3アーキテクチャになって省電力性が神がかっている。性能が40%以上も向上しているにも関わらず消費電力は30%程度抑えられている。Ryzen Threadripper 2950Xが今に繋がるモデルだったことは事実だ。
中古での購入は推奨できない
Ryzen Threadripper 2950Xの中古での購入はおすすめできない。まずタマが少なく在庫を見つけることが困難だろう。その上でZen +アーキテクチャのCPUは、今のモデルと比べてまだまだ荒削りなモデルだった。消費電力を犠牲にしてパフォーマンスを引き上げている側面がある。より優れたアーキテクチャを持つモデルがある以上購入しない方がよいだろう。
故障のリスクを考えても購入するメリットが小さい。それでも価格が相応に安ければ手をだすのも悪くない。もちろんその場合でもゲームプレイは対象外だ。レンダリングやエンコードなどの作業がメインなら候補に入れてもよいかもしれない。
Ryzen Threadripper 2950Xの特徴&注意点まとめ【2018年時点】
16コア32スレッドのモンスターCPU
16コア/32スレッドのCPUは圧巻だろう。メインストリームのハイクラスモデルであるRyzen 7 2700Xが8コア/16スレッドなので単純に考えるとこのRyzen 7 2700Xを2つ搭載していることになる。このCPUは誰もがそのパフォーマンスを生かしきれるわけではない。4K動画の編集をしたり、ワークステーションとして考えている方向けのCPUだと言える。
当然オーバークロックをすることができる。もちろん、その場合は排熱対策やコントロールをうまくしないとCPUに負荷が掛かってしまうので注意したい。ほとんどのユーザーはRyzen 7 2700Xで事足りるはずだ。購入を検討する際は本当に必要かどうかじっくり考えて欲しい。
例えば今Core i9-7900XやRyzen Threadripper 1950Xを使用している方が交換を検討するなら推奨する。しかし、それよりも下のCPUを使っていて特に性能不足を感じていないのであれば交換はおすすめしない。常にハイエンドクラスのモデルを選びたいと考えている玄人の方には堪らないだろう。
ゲーミング用のCPUとしても悪くない
これだけのコアがあってもゲームでは生かしきれないと思うかもしれない。もちろんそれは事実だが、コスパを度外視すれば実際のところは意外と悪くない。高解像度+ハイエンドのグラフィックボードを搭載していることが絶対条件だ。
最低でもGTX 1070 TiあるいはGTX 1080以上を積んでいないとグラフィックボードがボトルネックとなってしまってパフォーマンスの最大化が不可能だ。ゲームでも高い性能を発揮することは間違いないがとにかくコスパが悪い。
このCPUには”ゲーミングモード”が搭載されている。これは”Legacy Compatibility mode”と呼ばれるモードをよりゲーミング向けに変更するモードだ。具体的には、Windowsコマンドから1つのダイを無効化する。そうすることで32スレッドがうまく機能しないプログラムが正常に動かせる。
クロスダイのコミュニケーションを除外できる。ゲームモードではこのダイの無効化に加えて、ローカルメモリーモードに切り替える。そうすることで8コア/16スレッドのCPUを作り出すことができる。状況に合わせて最適化できるのはさすがだと言える。
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Ryzen Threadripper 2950Xのゲームベンチマーク一覧
ここからはテスト環境を用意して、具体的なゲームやアプリケーションでの性能を測っていく。ゲームのスコアの計測方法は、Full HD環境下でグラフィックボードを統一しCPUの純粋な性能を計っている。単位はFPSでフレームレートを指している。
通常60fps以上で快適とされているが、今回はCPU性能を計るためそれほど重要ではない。なぜならグラフィックボードがGTX 1080で固定なのでそれなりのスコアが出るからだ。あとは相対的な位置を知ることで性能がわかる。
Ashes of the Singularity:Escalation
Star Wars BattlefrontⅡ
F1 2017
その他アプリケーションのベンチマーク
Cinebench R15
HandBrake
7-zipファイルマネージャー
なお、Core i9-7890Xと比べても150%以上早い。一方解凍については、圧縮ほどではないにしろAMDのCPUが高い性能を持っていることがわかる。Ryzen Threadripper 2950XはCore i7-7900Xよりも20%速い。Ryzen Threadripper 1950Xと比べても8%高く素晴らしい。
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