AMD RADEON RX 5600 XT画像引用元:https://www.asrock.com/

当記事では、Radeon RX 5600 XTのスペック&性能ベンチマークを検証している。世界的なイベントであるCES 2020で発表された新しいグラフィックボードがついに登場となった。Radeon RX 590の後継モデルだ。

$300というミドルクラスの市場に新しいラインナップが追加されゲーマーの注目を集めている。競合はGeForce GTX 1660 Ti/GeForce RTX 2060でそれらを上回る性能を持っていることがわかっている。10%安くGeForce RTX 2060と同等の性能が手に入る。フルHD環境での適性が高い。次世代モデルは、「Radeon RX 6600 XT」だ。RDNA 2.0アーキテクチャになってより高いパフォーマンスを得られる。

よくわかる!!Radeon RX 5600 XTの特徴まとめ

  • (+)フルHD環境で高いパフォーマンスを発揮する
  • (+)競合モデルよりも性能が高い
  • (+)ミドルクラスとして高い存在感を示す
  • (+)中古価格が14,980円~と安くコスパが高い
  • (-)レイトレーシングやDLSSといった機能はない
  • (-)搭載モデルのラインナップは僅少

CES 2020での発表

ces2020rx5600xt出典:(マイナビニュース, 2020)

現地時間2020年1月6日にAMDがRDNAアーキテクチャ採用の新しいグラフィックボードであるRadeon RX 5600 XTを発表した。同じ$279という価格であるGTX 1660 Tiと比べて10%-20%程度高いゲーミング性能を発揮するということだ。コストパフォーマンスではRadeon RX 5600 XTに期待が掛かる。

Radeon RX 5600 XTの基本スペック

RX 5600 XT RX 5700 RX 590
アーキテクチャ RDNA 1.0 RDNA 1.0 GCN 4.0
GPU Navi 10 Navi 10 Polaris 30
プロセス 7nm 7nm 12nm
トランジスタ数 10.3億 10.3億 5.7億
ダイサイズ 251n㎡ 251n㎡ 232n㎡
シェーダーコア 2304 2304 2304
ベースクロック 1465 MHz 1469 MHz
ゲームクロック 1375 MHz 1625 MHz N/A
ブーストクロック 1560 MHz 1725 MHz 1545 MHz
GPUメモリ GDDR6 6GB GDDR6 8GB GDDR6 8GB
メモリクロック 12 Gbps 14 Gbps 14 Gbps
メモリバス 192-bt 256-bit 256-bit
メモリバス帯域幅 288 GB/s 448 GB/s 256 GB/s
TDP 150W 180W 225W
MSRP $279 $349 $279
発売日 2020年1月21日 2019年12月20日 2019年3月29日

Navi 10のスペックダウンバージョンを採用

RX 5600 XTで採用されているGPUは、RX 5700 XTと同じNavi 10だ。通常AMDはこのようなパターンを取ることはない。今回イレギュラーにNavi 10を採用した理由は単純で、それはRX 5500 XTで採用されているNavi 14ではAMDが競争相手に見ているGTX 1660シリーズと対等に戦えないとわかっているからだ。

RX 5600 XTは、RX 5700と多くの共通点がある。例えば、コア・テクスチャ、処理能力は非常に似ている。また、Navi 10のROPs 64も共通となっている。大きく違うのは15%引き下げられたクロック周波数ぐらいだ。同等のスペックを維持しない限りGTX 1660シリーズに勝てないと踏んだということになる。

メモリには12 Gbps GDDR6を採用

クロック周波数以外で異なるのはメモリ規格だ。RX 5700 XTとの差別化を図るために重要な役割を果たしている。メモリ規格はRX 5700/RX 5500で採用されている14 Gbps GDDR6とは異なる12 Gbps GDDR6を採用。結果的にRX 5700と比べてメモリバンド幅は36%低い288 GB/sだ。また、容量も6GBと25%少なくなっている。

メモリバンド幅をカットすることはAMDにとって、パフォーマンスに関して製品の差別化を図ったり及びグラフィックスの製造価格の引き下げたりという点において理にかなっている。AMDが192-bitメモリバスを搭載したグラフィックボードを発売したのは初めてで通常はしない。192-bitバスを採用したことでAMDはNavi 10 GPUを採用しつつ安価なメモリを採用することで価格を引き下げることに成功した。

Radeon RX 5600 XTの最新評価【2025年】

rx5600xtgamescore
Radeon RX 5600 XTは、フルHD環境をターゲットにしたグラフィックボードだ。ローエンドクラス相当の性能となる。標準設定においてしっかりその目標を達成している。GeForce RTX 2060よりも8%程度性能が低い。Radeon RX 5700との差は2%、Radeon RX 5700 XTとは21%となっている。NVIDIAのローエンドクラスのグラフィックボードであるGeForce GTX 1660 Ti及びGeForce GTX 1660 SUPERよりも15%高く圧倒する結果となった。価格帯を考えると非常に魅力的だ。現行モデルと比べてもまずまずの性能を持っていると言えるだろう。

次世代モデルのRadeon RX 6600 XTとの性能差が30%とやや大きい。現在のRadeon RX 5600 XTの中古価格は12,980円だ。上位モデルのRadeon RX 5700が14,980円となる。競合のGeForce RTX 2060が16,980円であることを考えるとコストパフォーマンスが高いと言える。レイトレーシングやDLSSがなくても問題ないならおすすめしやすいグラフィックボードだ。このクラスならレイトレーシング性能も高くないので機能がないこと自体に大きなデメリットはないように思う。よりコストパフォーマンスの高いモデルが欲しいなら10,980円で購入できるGeForce GTX 1070が候補に入る。

Radeon RX 5600 XTの特徴&注意点【2020年】

フルHD×高設定でのゲームプレイを見据えたモデル

Radeon RX 5600 XTは、明確なターゲットがありそれはフルHD(1080p)でのゲームプレイだ。基本的にフルHD環境なら高設定あるいはそれに近い設定で対応することができる。世界的なゲーミングプラットフォームであるSteamでも多くのゲーマーがフルHD環境を選択していることから売れ筋モデルになるポテンシャルを持っているということ(STEAM, 2022)だ。

STEAMのデータは2022年のものだがこれは発売当時でも変わらない。価格的にも$300以下という絶妙なところを攻めている。競合となるGTX 1660 TiあるいはGTX 1660 SUPERを上回るパフォーマンスを発揮する。価格の高いRTX 2060をも超えているのだ。2022年時点でもある程度通用するモデルだと考えて問題ないだろう。

$300前後の価格帯をいい意味で荒らした

AMDラインナップ 価格帯 Intelラインナップ
$349 GeForce RTX 2060
Radeon RX 5700 $329
$299 GeForce RTX 2060
Radeon RX 5600 XT $279 GeForce GTX 1660 Ti
$229 GeForce GTX 1660 Super
Radeon RX 5500 XT 8GB $199/$209 GeForce GTX 1660
Radeon RX 5500 XT 4GB $169/$159 GeForce GTX 1650 Super
$149 GeForce GTX 1650

Radeon RX 5600 XTは、$279という価格帯だ。$329のRX 5700と$199のRX 5500 XTの間を埋めるモデルでAMDとしても必要だったグラフィックボードだと言える。このRX 5600 XTがターゲットとするのはフルHD環境での高いゲームプレイができるGTX 1660 Tiだ。その後登場したGTX 1660 Superも比較対象となる。

RX 5600 XTの発売が決まったことでNVIDIAもRTX 2060の価格を$50下げた。つまり、$300以下の価格帯に多くのモデルが混在する形になっている。これはユーザーにとって選択肢が増えるためメリットが大きい。それでもRX 5600 XTは、RTX 2060以上の性能を持つことから優位性がある。

レイトレーシングなど目新しい機能は備わっていない

Radeon RX 5600 XTにはRTX 2060にあるレイトレーシング・DLSSといった最新の機能は搭載されていない。よりリアルなゲーム描写をしたいと考えている方や新しい技術に興味を持っている方にとってはデメリットとなってしまう。NVIDIA製グラフィックボードに対して遅れをとってしまっている。

もっともRTX 2060ではレイトレーシングをするにはやや性能不足となってしまうため性能を存分に発揮することが難しいが…GeForce RTX 2060と同等以上の性能を持つグラフィックボードであることに価値を見出だせる方なら損はしないはずだ。

メモリ容量は6GBとやや物足りない

RX 5600 XTの懸念点は6GBというメモリ容量にある。今年次世代のソフトウェアがリリースされれば、ハードウェア要件は突然引き上げられる可能性がある。そうなると6GBというメモリ容量がネックとなってしまうだろう。とは言ってもAMDとNVIDAは、同じ道を辿っている。

RX 5600 XTもGTX 1660シリーズもメモリ容量は6GBだからだ。つまり、今後何らかの形で動きがあれば両方のモデルが衰退するこということになる。ただし、そうなると6GBのRX 5600 XTと8GBのRX 5500 XTを説明するのがトリッキーだ。

デメリットばかりではない。小さいGPUメモリ容量と抑えられたクロック周波数によってパワー効率は引き上げられている。150W以下で利用できるのはコストを掛けられない方には魅力的だろう。

Radeon RX 5600 XTのベンチマーク一覧

当該グラフィックボードのゲーミングパフォーマンスを見ていく。ゲーミング性能は各タイトルにおけるフレームレートを計測することで把握可能だ。平均と99th(最小)を合わせてみればゲームプレイ時にどれほど安定しているのかを理解することができる。

Far Cry 5

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RX 5600 XTは、RTX 2060よりも5%性能が高く安定感もずば抜けている。GTX 1660 Tiと比べると20%程度高いスコアを叩き出している。GTX 1660 Superも同等のスコアと考えて良いだろう。価格差を考えてもRX 5600 XTは有利な立場にある。

Battlefield V

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Battlefield VでもRTX 2060よりも5%程度高いフレームレートとなっている。GTX 1660 Tiとの差も大きく20%だ。実際のゲームプレイにおいても高いパフォーマンスを発揮している。

Shadow of the Tomb Raider

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RTX 2060との差は4%で上回っている。99thでも5%程度高いことからゲームプレイの適性は高いと言える。RX 5700との差は10%程度でしっかりと差別化が図られていることがわかる。

Boarderland 3

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新しいタイトルでもRX 5600 XTの性能の高さがわかる。RTX 2060との差は2%とわずかだが価格の高いグラフィックボードよりも性能が高いのは魅力的だ。GTX 1660 Tiとの差は20%と他のタイトルと同水準となっている。

Metro: Exodus

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他のタイトルと同等の結果となっている。ただし、RTX 2060との差は10%程度と高くなっている。負荷が掛かるタイトルではよりパフォーマンスを発揮できるのかたまたま相性が良いのかは判断がしづらいが納得できる性能であることは間違いない。

Radeon RX 5600 XT搭載のゲーミングPC一覧

GALLERIA ARV(ドスパラ)

価格:114,980円
CPU:Ryzen 5 3500
GPU:Radeon RX 5600 XT
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:2TB
電源:650W BRONZE

Radeon RX 5600 XT×Ryzen 5 3500を搭載したゲーミングPCだ。ミドルエンドクラスのパフォーマンスを発揮する。消費電力の高さについては650W BRONZEの電源ユニットでカバーできる。SSD 512GB、HDD 2TBのダブルストレージも素晴らしい。最近はSSDのみを搭載したモデルが増えてきているが、その逆光をいっているモデルだと言える。

GALLERIA AXRV(ドスパラ)

価格:159,980円
CPU:Ryzen 7 3700X
GPU:Radeon RX 5600 XT
メモリ:DDR4 16GB
SSD:512GB NVMe対応
HDD:2TB
電源:750W GOLD

RX 5600 XT×Ryzen 7 3700X搭載のゲーミングPCだ。RTX 2060 Superに近いゲーミングパフォーマンスを発揮する。メモリ16GB、SSD 512GB NVMe対応、HDD 2TBと構成も充実している。ミドルクラスのゲーミングPCを探している方向けだが、まだ価格が高いのでもう少し待ってから購入した方が良いだろう。

参照外部サイト

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