rx6600xtgigabyte画像引用元:https://www.gigabyte.com/ *イメージ

Radeon RX 6600 XTのスペックレビュー&性能ベンチマークを検証している。最新のAMD製メインストリームのGPUがリリースされた。フルHD環境をメインターゲットにしたモデルで競合はNVIDIA GeForce RTX 3060となる。シューティングゲームで高リフレッシュレートを実現したい方などにおすすめだ。2021年時点でおよそ7割のユーザーがフルHD環境でゲームを楽しんでいる(Steam, 2021)ことを考えると多くのユーザーにとって魅力的なモデルに映るのではないだろうか。

RDNA 2アーキテクチャを採用したグラフィックボードの中で最も安価なモデルということもあって注目度は高い。従来モデルのRadeon RX 5700 XTとの比較を中心に見ていく。また、NVIDIAのGeForce RTX 3060GeForce RTX 3060 Tiとの性能差も気になるところだ。合わせてこれまでのモデルと同様に苦戦するであろうレイトレーシング性能についても見ていきたい。なお、後継モデルとして一部スペックを引き上げた「Radeon RX 6650 XT」がリリースされている。

世代RDNA 2.0
プロセス7nm
CUDAコア2,048
ベースクロック1968 MHz
ブーストクロック2589 MHz
TDP160 W
MSRP$379
国内価格31,799円~
発売日2021/08/10
よくわかる!!Radeon RX 6600 XTの特徴まとめ

  • (+)RTX 3060よりも高いゲーミング性能を持つ
  • (+)フルHD環境への適性が高い
  • (+)省電力性に優れている
  • (-)RX 5700 XTとの性能差は大きくない
  • (-)RTX 3060 Tiと比べると魅力に乏しい

Radeon RX 6600 XTの基本スペック

RX 6600 XTRX 6700 XTRX 5700 XT
コードネームRDNA 2.0RDNA 2.0RDNA 1.0
GPUNavi 23Navi 22Navi 10
プロセス7nm7nm7nm
ダイサイズ237 mm²335 mm²251 mm²
トランジスタ数110.6億172.0億103.0億
RTコア数3240-
Tensorコア数---
CUDAコア数204825602560
ベースクロック1968 MHz2321 MHz1605 MHz
ゲームクロック2359 MHz2424 MHz1755 MHz
ブーストクロック2589 MHz2581 MHz1905 MHz
GPUメモリ8GB GDDR612GB GDDR68GB GDDR6
メモリクロック16 Gbps16 Gbps14 Gbps
メモリバス幅128 bit192 bit256 bit
メモリバス帯域幅256.0 GB/s384.0 GB/s448.0 GB/s
TDP160 W230 W225 W
MSRP$379$479$399
国内価格
(執筆時点)
46,890円64,790円33,990円*
搭載PC価格
(執筆時点)
186,780円~167,800円~-
発売日2021/08/102021/03/182019/07/07
*中古価格

Radeon RX 6600 XTは、5ヶ月前に発売されたRX 6700 XTと同じRDNA 2.0アーキテクチャを採用したグラフィックボードだ。RX 6700 XTで採用されていたNavi 22のダウングレード版が採用されるのかと思いきや廉価バージョンのNavi 23が採用されている。これは半導体不足の影響と売れ行きがよかったために対応できなかったのだろう。RX 6700 XTと比べて30%小さく、トランジスタ数は36%少ない。RTコアは20%少ない32となっている。

CUDAコアはRX 6700 XTよりも20%少ない。さらに、ベースクロックは15%少なく、ブーストクロックは僅かに高い。GPUメモリ容量は33%少ない8GBとなっている。これはフルHD環境をターゲットにしているRX 6600 XTでは8GBで十分だという判断だろう。メモリバス幅が33%少なく、メモリバス帯域幅も34%狭い。CUDAコアやクロック周波数だけを見るとそれほど性能差はないように思えるが、メモリ周りも含めて総合的に見るとそれなりに性能差はありそうだ。TDPは30%低い160Wとなっている。価格は21%安い。

Radeon RX 5700 XTとの比較も興味深いものになる。プロセスはいずれも7nmとなっている。RX 6600 XTではRTコアを搭載しているにも関わらずダイサイズが一回り小さい。一方で、トランジスタ数は7%アップとなっている。RX 5700 XTではCUDAコアがRX 6600 XTよりも25%多い。一方で、クロック周波数は総じてRX 6600 XTの方が高い。ブーストクロックは36%も高くなっている。

メモリ周りはRX 5700 XTから大幅ダウングレードだ。メモリバス幅が256 bitから半分の128 bitとなっている。結果的にメモリバス帯域幅は448.0 GB/sから43%ダウンの256.0 GB/sだ。クロック周波数を引き上げているとは言ってもCUDAコアが20%少なくメモリ周りもダウングレードしている。

このようにかなり不利に思える状況で果たしてどのような結果が生まれるのかに注目したい。RDNA 1.0→RDNA 2.0アーキテクチャへの変更でどれほど変わったのか真価が問われる。なお、TDPは225Wから160Wへと30%近く抑えられている。RTコアを搭載していてこれだけ抑えられているのは素晴らしい。価格差は$20だ。

Radeon RX 6600 XTの国内での登場時の販売価格を見ると46,890円だ。搭載PCの価格はRadeon RX 6700 XTよりも高く186,780円~となる。これは搭載しているCPUの違いもあるので純粋な比較は難しい。同等の性能を持つRadeon RX 5700 XTの中古価格は33,990円となる。

Radeon RX 6600 XTの最新評価【2023年】

ミドルクラス相当のゲーミング性能を持つ

rx6600xtgamescore
Radeon RX 6600 XT($379)は、Radeon RX 5700 XTやGeForfce RTX 3060よりも高いゲーミング性能を持つグラフィックボードだ。かつての70番台であるGeForce RTX 2070を超えるゲーミング性能を持っている。前世代の上位モデルを超える性能を得たことは評価できる。Radeon RX 6600 XTよりも15%安価なGeForce RTX 3060($329)を超えるのは当然だろう。旧世代のRadeon RX 5600 XTと比べると25%以上性能が向上していることがわかる。

わずか5%価格の高いGeForce RTX 3060 Ti($399)との性能差が大きいのが気になるところだ。RTX 3060 Tiになるとワンランク性能が高くなり、WQHD環境以上でのゲームプレイも視野に入る。さらに、レイトレーシング性能も大きく向上することもあってゲームプレイにおける満足度は高いだろう。定価ではわずか$20の差しかないのでRTX 3060 Tiの方がコストパフォーマンスは高い。当然市場はそういったことを考慮して価格を決めるはずだ。価格については次の項目でより詳しくみていく。

価格は31,799円~と割安感がある

製品名ゲーム性能価格コスパ
RTX 3060 Ti24,21354,8000.442
RTX 406022,62042,8100.528
RX 760022,16440,0000.554
RX 6650 XT21,99036,8000.598
RX 6600 XT21,14731,7990.665
Arc A77020,79746,8000.444
RX 5700 XT*20,50314,9801.369
Arc A75019,98631,7990.629
*中古価格

Radeon RX 6600 XTは31,799円で購入でき非常にコストパフォーマンスの高いグラフィックボードとなっている。MSRPで見ればコスパに劣るRTX 3060 Tiと比べても実売価格では勝っている。レイトレーシング・DLSSといった機能までを考慮すると見劣りするが、純粋なグラフィックボード性能だけを見れば選択肢として悪くないはずだ。旧世代のRadeon RX 5700 XTは中古価格14,980円~と割安感がある。中古に抵抗がなければ選択肢に入れてもよいかもしれない。

Radeon RX 6600 XTの特徴&強み

他のRX 6000シリーズに比べると評価は平凡

Radeon RX 6600 XTは、Radeon RX 6000シリーズで最も安価なグラフィックボードだ。Radeon RX 5700 XTよりも高いゲーミング性能を持ち順当な進化を遂げている。しかしながら、一つ上のRadeon RX 6700 XTとの性能差が大きくメモリ周りのダウングレードもあって魅力に乏しいというのも事実だ。半導体不足の影響もあってリリースされていないが、もしもRX 6700 XTよりも安価なRX 6700がリリースされればそれがより顕著になるだろう。

また、競合であるGeForce RTX 30シリーズと比較したときの立場も苦しい。RTX 3060よりも$50高く、RTX 3060 Tiよりも$20安いという価格設定も微妙だと言える。価格を考慮すればRTX 3060 Tiに近い性能を持っている必要があるが、実際は20%程度の性能差がありレイトレーシング性能を含めて完敗だ。これなら$20多く支払ってRTX 3060 Tiを購入する方がコスパが高い。

レイトレーシング性能は低い

残念ながらRadeon RX 6600 XTにレイトレーシング性能を期待しないほうがよい。すでにRadeon RX 6000シリーズのパフォーマンスを把握している方ならそれも納得できるだろう。他のRadeon RX 6000シリーズと同様に今世代で初めてレイトレーシング(RTコア)が搭載された。一世代前にすでにRTコアを搭載していたGeForce RTX 30シリーズと比べて出遅れ感がある。

特にこのエントリークラスであるRX 6600 XTでは安定したフレームレートを出すことは難しい。レイトレーシングなしで通常のゲームプレイを考えている方向けだと言える。RX 6600 XTのレイトレーシング性能については、「Radeon RX 6600 XTのレイトレーシング性能」を参考にしてほしい。

RDNA 2.0の恩恵で省電力性が高い

Radeon RX 6600 XTはRDNA 2.0アーキテクチャを採用したグラフィックボードだ。競合であるRTX 3060と比べても消費電力がうまく抑えられていて、グラフィックボードの温度もうまくコントロールできている。消費電力が低いということはより安価な電源ユニットを選択できたり、ミニタワーを選択できたりと選択の幅が広がると同時にコスト面でも有利だ。

消費電力

rx6600xt-watt
RX 6600 XTの消費電力は171.7Wとかなり低いことがわかる。RTX 3060よりも性能が高いにも関わらず同等の消費電力に抑えられている。それだけ優れたアーキテクチャだと言える。より性能の高いRTX 3060 TiやRX 6700 XTと比べると差は歴然だ。

温度

rx6600xt-temp
グラフィックボードの温度もかなり抑えられている。RTX 3060と比べて10%程度低い。性能に対して温度は抑えられていると考えて間違いない。

Radeon RX 6600 XTのフレームレート一覧

RX 6600 XTの性能について実際のゲームプレイ時のフレームレートを見ながら検証していく。注目は従来モデルのRadeon RX 5700 XTとの性能差及び競合モデルであるRTX 3060 Ti/RTX 3060との性能差だ。

Assassin’s Creed Valhalla

Assassin’s Creed Valhalla

RX 6700 XT108.7
80.2
RX 6600 XT87.4
62.2
RX 5700 XT81.4
60.9
RTX 3060 Ti75.4
61.1
RTX 306064.9
50.4
RTX 206056.4
43.1
フルHDWQHD
従来モデルのRX 5700 XTよりも7%高いフレームレートを出しているが、WQHDでは2%と微増に留まる。新しい世代のグラフィックボードであることを考えるとやや期待はずれだと言えるだろう。一方で、RTX 3060 Tiよりもパフォーマンスが高いのは評価できる。フルHD環境で16%、WQHD環境で2%と価格差を考えると十分だ。RTX 3060と比べるとその差はより大きくなる。上位モデルであるRX 6700 XTになればRX 6600 XTよりも最大25%程度フレームレートが向上する。Assassin’s Creed ValhallaではAMD製グラフィックボードとの相性がよさそうだ。

Metro Exodus

Metro-Exodus-Title

RX 6700 XT90.2
71.8
RTX 3060 Ti87.4
69.2
RX 6600 XT74.0
56.9
RX 5700 XT69.7
55.2
RTX 306065.0
51.5
RTX 206055.7
43.3
フルHDWQHD
Metro ExodusではRX 5700 XTよりも6%高いフレームレートとなった。WQHD環境では3%とそれほど性能差はない。もっともフルHDでのゲームプレイを想定しているグラフィックボードなので心配する必要はない。フルHD環境ではRTX 3060よりも14%高く、WQHDでは10%高い。RTX 3060 Tiとの性能差は18%-22%だ。純粋なゲームプレイだけなら健闘しているのではないだろうか。

Red Dead Redemption 2

Red Dead Redemption 2

RX 6700 XT93.9
76.8
RTX 3060 Ti87.5
72.1
RX 6600 XT71.4
57.3
RTX 306070.1
56.9
RX 5700 XT66.5
54.5
RTX 206054.4
43.5
フルHDWQHD
Red Dead Redemption 2ではRTX 3060に対してそれほど優位性を示すことができなかった。RTX 3060との差は最大でも2%程度だ。RX 5700 XTと比べると5%-7%とそれほど伸びがない。$20価格の高いRTX 3060 Tiとの差は最大26%とかなり大きい。入手さえできるのであればRTX 3060 Tiを選択した方がよいだろう。

Radeon RX 6600 XTのレイトレーシング性能

最後にRX 6600 XTのレイトレーシング性能について見ていこう。レイトレーシングをONにするとフルHD環境でも60fpsを維持することが難しくやや苦しいと言える。旧世代の下位モデルであるRTX 2060(ベンチマークはなし)と比べても厳しい状況だ。NVIDIA製のグラフィックボードにはDLSSが搭載されているため多少数値が低くても改善させることができる。RX 6600 XTにはそれがないのが致命的だ。

Shadow of the Tomb Raider

Shadow Of The Tomb Raider

RTX 3060 Ti87.4
60.5
RX 6700 XT73.6
52.1
RTX 306067.3
45.8
RX 6600 XT57.6
38.1
フルHDWQHD
Shadow of the Tomb RaiderにおいてはフルHD環境で57.6fpsと60fpsには届かない。RTX 3060と比べても17%の差がある。さらに、RTX 3060の場合DLSSがあるためより安定したフレームレートを出すことが可能だ。RTX 3060 Tiなら50%以上も高いフレームレートでWQHD環境でも60fpsを超えている。RX 6600 XTはレイトレーシング性能を目的に購入すべきではない。

Metro Exodus

Metro-Exodus-Title

RTX 3060 Ti74.9
54.6
RX 6700 XT59.9
44.0
RTX 306054.7
39.6
RX 6600 XT51.7
36.1
フルHDWQHD
Metro ExodusでもRX 6600 XTのフレームレートは同等だが、RTX 3060との差は6%程度まで縮まっている。いずれにしても60fps以下となっているため快適とは言えない。やはりAMDなら最低でもRX 6700 XT以上が必要だ。NVIDIAならRTX 3060 Ti以上でかなり余裕が生まれる。

Minecraft

minecraft

RTX 3060 Ti60.8
39.3
RTX 306047.3
29.9
RX 6700 XT32.5
20.1
RX 6600 XT20.0
13.4
フルHDWQHD
Minecraftでは20.0fpsとレイトレーシング機能を使用するのは厳しい。RTX 3060との差は60%程度と大きいが、いずれにしても快適には程遠い。RTX 3060 Tiでかろうじて60fpsを超える程度だ。プレイを考えているタイトルに合わせたグラフィックボードの選択が必要だ。

Radeon RX 6600 XT搭載おすすめゲーミングPC

G-GEAR GA5A-W213/XT(G-GEAR)

G-GEAR GA7A-B180T価格:172,300円(税込)
CPU:Ryzen 5 5600X
GPU:Radeon RX 6600 XT *カスタマイズ
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:750W GOLD

初期構成のRadeon RX 6700 XTからRX 6600 XTにダウングレードすることができる。標準価格から-27,501円となる。税込172,300円で購入可能だ。TSUKUMOは意外とカスタマイズの自由度が高く購入しやすい。メモリ16GB、SSD 500GBと構成は平均的だ。電源ユニットは750W GOLDを採用している。

G-Master Spear X570A II(サイコム)

G-Master Spear Z690D4価格:251,580円(税込)
CPU:Ryzen 7 5800X
GPU:Radeon RX 6600 XT *カスタマイズ
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:500GB NVMe対応
HDD:非搭載
電源:750W GOLD SilverStone製

CPUにハイクラスのRyzen 7 5800Xを選択したゲーミングPCだ。+11,900円で初期構成のRTX 3060からRX 6600 XTにカスタマイズできる。フルHD環境でのゲームプレイに適している。ミドルタワーケースである「CoolerMaster CM694」を採用していて拡張性・機能性に優れている。サイドクリアガラスパネルを採用していてデザインも高い。メモリ16GB、SSD 500GBと構成も必要十分だ。電源ユニットはSilverStone製の750W GOLDを採用している。

参照外部サイト

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ベンチマークテスト環境

desktoppc

CPUIntel Core i9-9900K
マザーボードMSI MEG Z390 Ace
メモリCorsair 2x16GB DDR4-3200 CL16
電源ユニットSeasonic Focus 850 Platinum
参照外部サイト:AMD Radeon RX 6600 XT Review: The Memory Compromise(tom’s HARDWARE)