ROG Strix G15 Advantage Edition G513QY
当記事では、モバイル向けRadeon RX 6800MのスペックとおすすめのゲーミングノートPCを紹介している。NVIDIAとは違って末尾に「M」を付けてデスクトップ向けモデルとの違いを明確にしている。Raeon RX 6800Mは、RDNA 2.0アーキテクチャ採用のRadeon RX 6000Mシリーズにおけるフラグシップモデルだ。従来モデルであるRadeon RX 5700Mを大きく上回る性能を持つ。

最新のRDNA 2アーキテクチャを採用してNVIDIA一強のゲーミングノートPC市場に一石を投じている。RNDA 1.0採用のRadeon RX 5700Mが期待外れだったことから後継モデルとなるRX 6800Mに掛かる期待も大きい。AMDが好きな方はチェックしておいて損はない。搭載モデルについては、「Radeon RX 6800M搭載おすすめゲーミングノートPC」で紹介している。ラインナップはそれほど増えずASUSから1機種販売されているのみだ。同性能帯のモデルを探しているならGeForce RTX 3080 Mobile搭載モデルあるいはGeForce RTX 3070 Ti Mobile搭載モデルをチェックしよう。

Radeon RX 6800Mのスペック比較

Radeonシリーズと比較

型番 RX 6800M RX 6700 XT RX 5700M
プラットフォーム モバイル PC モバイル
GPU Navi 22 XTM Navi 22 XT Navi 10 XML
プロセス 7nm 7nm 7nm
トランジスタ数 17.2億 17.2億 10.3億
ダイサイズ 335 mm² 335 mm² 251 mm²
CUs 40 40 36
シェーダーコア 2560 2560 2304
RTコア 40 40
Tensorコア
ゲームクロック 2300 MHz 2424 MHz 1620 MHz
GPUメモリ 12GB 12GB 8GB
メモリ形式 GDDR6 GDDR6 GDDR6
メモリクロック 16 Gbps 16 Gbps 12 Gbps
メモリバス 192 bit 192 bit 256 bit
メモリバス帯域幅 384.0 GB/s 384.0 GB/s 384.0 GB/s
Infinity Cache 96MB 96MB
TDP 145W 230W 180W

Radeon RX 6800Mは、デスクトップ向けのRadeon RX 6700 XTと同じGPUであるNavi 22を採用している。スペックを見ると非常に共通点が多いことに気付くだろう。トランジスタ数は17.2億、ダイサイズは335m㎡だ。コンピュータユニットは40となっている。ゲームクロックに関してはRadeon RX 6800Mの方が5%少なく2300MHzだ。

メモリ周りもすべて共通だ。GPUメモリ容量は12GBでメモリバンド幅も384.0 GB/sとなっている。モバイル向けモデルとして見ると高スペックだ。Infinity Cacheも96MBと変わらない。TDPはRX 6700 XTよりも37%低い145Wだ。当然グラフィックス処理性能はデスクトップ向けのRadeon RX 6700 XTよりもワンランク落ちる。

RNDA 1.0のトップモデルだったRadeon RX 5700Mと比較していこう。プロセスは7nmと共通だ。GPUにはNavi 10 XMLを採用している。トランジスタ数はRX 5700Mよりも70%近く増えている。ダイサイズも33%大きい。コンピュータユニットは36から11%アップの40となっている。ストリームプロセッサも11%アップだ。ゲームクロックは42%も引き上げられている。RX 5700MではGDDR6メモリを8GB搭載していた。そこから50%も増えている。

メモリバスは256 bitから192 bitへとダウングレードされているが、クロックスピードが12 Gbpsから16 Gbpsへと速くなりメモリバンド幅は384.0 GB/sと共通だ。RX 5700MにはInfinity Cacheは搭載されていない。TDPは180Wから145Wへと20%も省電力になった。Inifinity Cacheを含めて大幅にスペックが強化されたと考えてよいだろう。

GeForceシリーズと比較

型番 RX 6800M RTX 3080 RTX 3070
メーカー AMD NVIDIA NVIDIA
プラットフォーム モバイル モバイル モバイル
GPU Navi 22 XTM GA104 GA104
プロセス 7nm 8nm 8nm
トランジスタ数 17.2億 17.4億 17.4億
ダイサイズ 335 mm² 392 mm² 392 mm²
CUs 40 48 40
シェーダー(CUDA)コア 2560 6144 5120
RTコア 40 48 40
Tensorコア 192 160
ベースクロック 1110 MHz-
1350 MHz
1110 MHz-
1215 MHz
ゲームクロック 2300 MHz 2424 MHz 1620 MHz
ブーストクロック 1545 MHz-
1710 MHz
1560 MHz-
1620 MHz
GPUメモリ 12GB 8GB 8GB
メモリ形式 GDDR6 GDDR6 GDDR6
メモリクロック 16 Gbps 14 Gbps 14 Gbps
メモリバス 192 bit 256 bit 256 bit
メモリバス帯域幅 384.0 GB/s 448.0 GB/s 448.0 GB/s
Infinity Cache 96MB
TDP 145W 115W-150W 115W-150W

NVIDIA GeForceシリーズとの比較を見ていく。性能が近いRTX 3080 MobileとRTX 3070 Mobileとなる。メーカー自体が異なるため細かく見るというよりは注目したいところだけ簡単に見ていくとしよう。まずプロセスはRadeon RX 6800Mが7nmと一歩先をいっている。NVIDIA製グラフィックボードは8nmプロセスだ。

NVIDIAはストリームプロセッサの数を大幅に増やしている。RX 6800Mが2560に対してRTX 3080では2.4倍の6144となる。RTX 3070ではちょうど2倍だ。RTX 30シリーズではRTコアに加えてTensorコアが搭載されているのもポイントだ。DLSSで強みを発揮する。レイトレーシングを活用してもフレームレートの低下を下げることが可能だ。

メモリ周りでも両者に違いがある。まずGPUメモリ容量についてはRX 6800MがNVIDIA製モデルよりも50%多く12GBとなっている。一方で、NVIDIAはメモリバスが256 bitでメモリバンド幅が448.0GB/sとRX 6800Mよりも高性能だ。メモリバンド幅では16%程度劣る。それを96MBのInfinity Cacheでカバーする形だ。

Radeon RX 6800M搭載ゲーミングノートPCの特徴

RX 5700M搭載モデルより大幅にゲーム性能が向上している

型番 総合性能
RTX 3070 Ti Desktop 29,957
RTX 3080 Ti Mobile 26,029
RTX 3080 Mobile 24,337
RX 6800M 20,848
RTX 3070 Ti Mobile 20,748
RTX 3060 Desktop 20,322
RTX 3070 Mobile 18,646
RTX 2080 Mobile 18,618
RX 6800S 18,363
RX 5700M 17,379
RTX 3060 Mobile 17,197
RTX 2070 Mobile 17,075
GTX 1660 Ti Mobile 12,476
RTX 3050 Ti Mobile 11,843

Radeon RX 6800Mは、RNDA 2.0アーキテクチャを採用した最新のグラフィックボードだ。Radeon RX 6000シリーズのフラグシップモデルとなっている。従来モデルのRadeon RX 5700Mと比べてゲーミング性能が飛躍的に向上してNVIDIA製のグラフィックボードと比べて引けを取らないところまで来た。性能差は20%以上となっている。

フルHD環境ならGeForce RTX 3080 Mobileと同等のフレームレートを出すことができる。WQHD環境になるとRTX 3080 Mobileよりもパフォーマンスは劣る。性能差は広がってしまうので、フルHD環境をメインに考えよう。ゲーミングノートPCでは大幅に遅れを取っていたが、この最新のモデルでは期待どおりの性能を発揮してくれる。性能的に不安でAMD製グラフィックボードを搭載したモデルの選択を避けていた方は今が購入のチャンスだと言える。

NVIDA製グラフィックボード搭載モデルよりもコスパが高い

性能面だけではなくコスパ面でも優位性があるのがAMD製グラフィックボードの特徴だ。Radeon RX 6800M搭載モデルは税込み22万円台から購入することができる。RTX 3070 Mobile搭載モデルが税込み25万円以上、RTX 3080 Mobile搭載モデルが税込み30万円以上であることを考えるとRX 6800M搭載モデルは魅力的だ。

競合モデルよりも10%程度安くなっている。より安価なRadeon RX 6800Mだがゲーミング性能は高くRTX 3070 Mobile搭載モデルよりは高いフレームレートを安定して出せる。少しでも予算を抑えたゲーミングノートPCを探している方は必見だ。問題は次に解説する搭載モデルのラインナップの少なさだろう。

現在入手可能な搭載ゲーミングノートPCは1機種のみ

2021年8月末時点でRadeon RX 6800Mを搭載したゲーミングノートPCはASUS「ROG Strix G15 Advantage Edition G513QY」の1機種のみとなっている。ゲーマーの方にとって選択肢がないのは致命的だろう。今後もラインナップが増える見込みは薄い。2022年3月になってROG Strix G15 Advantage Edition G513QYも在庫切れとなってしまった。

特に国内のBTOメーカーからは搭載モデルが販売されないのではないかと思う。旧モデルであるRadeon RX 5700M搭載モデルもほとんど見かけなかった。性能・コスパ的に魅力的なモデルになったのは事実だが、購入できないのであれば意味がない。今後の動向に注目していきたい。やはりモバイル向けモデルはNVIDIA製グラフィックボード搭載モデルには勝てないのかもしれない。RTX 3080 MobileやRTX 3070 Ti Mobileなどを候補に入れるとよい。ラインナップも豊富で選びがいがある。

Radeon RX 6800Mのベンチマーク

Metro Exodus

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フルHD環境ではRTX 3070 Mobileよりも7%高いが、WQHD環境では3%劣る。RTX 3080と比べるとフルHD環境では6%低く、WQHD環境では16%劣る。Metro ExodusではRTX 3070と同等だと考えてよいだろう。いいところまで来たもののRTX 3080との差はまだ大きく期待通りとはいかなかった。

Borderlands 3

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Borderlands 3ではしっかりとRTX 3070 Mobileを上回っている。フルHD環境では5%高く、WQHD環境では11%高い。RTX 3080 Mobileと比べるとフルHD環境では8%高く、WQHD環境では7%劣る。フルHD環境ではCPUがボトルネックとなり、CPUの差が出ていると考えられる。そう考えるとやはりRTX 3080 Mobileには敵わないと考えてよい。

Red Dead Redemption 2

Red Dead Redemption 2rx6800m-Red Dead Redemption 2

RTX 3070 MobileよりもフルHD環境では14%高く、WQHD環境では17%高い。一方で、RTX 3080 Mobileと比べるとフルHD環境では3%上回るもののWQHD環境では2%劣る。デスクトップ向けモデルと比べるとやはりフレームレートの差が大きい。デスクトップ向けのRTX 3070と比べると性能差は20%以上だ。

Assassin’s Creed Valhalla

Assassin’s Creed Valhallarx6800m-Assassin’s Creed Valhalla

Assassin’s Creed Valhallaも同様だ。RTX 3080 Mobileと比べるとフルHD環境では4%上回るが、WQHD環境では3%下回っている。RTX 3070 Mobileと比べるとフルHD環境では17%高く、WQHD環境では13%高い。これまでの結果を見てわかるとおりRTX 3080寄りだがRTX 3080には勝てないという形だ。

Cyberpunk 2077

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Cyberpunk 2077ではRTX 3080 Mobileに完敗だ。フレームレートの差は最大で10%となる。高解像度になるとRTX 3080 Mobileのスコアが大きく伸びる。RTX 3070 Mobileと比べるとフルHD環境では18%高く、WQHD環境では12%高い。RTX 3070よりも性能の高いグラフィックボードであることは間違いない。

Radeon RX 6800M搭載おすすめゲーミングノートPC

ROG Strix G15 Advantage Edition G513QY(ASUS)

ROG Strix G15 Advantage Edition G513QY価格:229,800円(税込)
モニター:15.6インチ 165Hz
CPU:Ryzen 9 5900HX
GPU:Radeon RX 6800M
メモリ:DDR4-3200 16GB
SSD:1TB NVMe
HDD:非搭載

国内で購入できる唯一のRadeon RX 6800M搭載モデルだ。WQHDモニターを採用していてクリエイターの方にもおすすめできる。CPUには同じAMDのRyzen 9 5900HXを搭載している。ゲーミングノートPCの最高峰の一台だ。高解像度にも対応できるポテンシャルがある。フルHD環境なら165Hzという高リフレッシュモニターを活かせる。高性能なモデルを差させるインテリジェント冷却システムも心強い。負荷の掛かる場面でも安定して使い続けられる。メモリ16GB、SSD 1TBと構成も抜群だ。

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ベンチマークテスト環境

notepc

モデル Asus ROG Strix G15 AMD Advantage Edition
CPU Ryzen 9 5900HX
GPU AMD Radeon RX 6800M
メモリ 16GB DDR4-3200
ストレージ
参照元:AMD Radeon RX 6800M Review (TECHSPOT)